2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
提供:株式会社ディバータ
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安成蓉子氏(以下、安成):1時間ほど登壇者のみなさまにお話を聞いてきましたので、今度はぜひ会場の方からも、せっかくですのでご質問がある方はいらっしゃいますか?
質問者1:イメージボードという概念を初めて知ったんですけれども、あれを読み解くのは天性のセンスがいるというか、難しいんじゃないかなと思いました。アンティー・ファクトリーさんから言語化したオリエンテーションがあるのか、それとも社内で「これのイメージはこういうことだよね」と揉んでいくのかを知りたいなと思いました。
佐藤洋介氏(以下、佐藤):イメージボードを使って、サイバーエージェントの社内のデザイナーと(イメージを揉んでいく)ということですか?
質問者1:リニューアルプロジェクト全体において、サイバーエージェントさんとしてイメージボードをどう解釈していくのかということです。
佐藤:たぶんどちらかと言うと、アンティーさんの中の話でもあり、半分半分みたいな感じではあると思います。内側のサイバーエージェントのイメージも、イメージボードと言っているくらいなので言語すらいらず、あれを見た段階で、「これは今のうちのすべてのビジュアルが詰まっている」という見本みたいなかたちなので、あそこを明示的に説明するかと言うとそうではありません。
当然、水野さんからご提案いただいて、「ここはこうじゃない?」と2校、3校していただくときに言語化は経てきているので、最終的なアウトプットとしての言語というのはなくて、その後にまとめていただいた6個の項目のところで入ってくるという感じですね。
山下陽司郎氏(以下、山下):それと、サイバーエージェント側もデザインができるメンバーがそろっていたので、「サイバーエージェントってこうだよね」というところは、そんなに大きくはずれていなかったというのはあります。
質問者1:わかりました。ありがとうございます。
質問者2:一番驚きだったのは、コンテンツをばっさり減らしたというところでした。削除するってなかなか難しいことだと思うし、どうしてもコンテンツが少なくなるとSEO的にサイトパワーが弱くなってしまうと思われます。
(検索)順位が急落してしまったり、逆に研ぎ澄まされることによってどんと上がったということはあったのでしょうか?
渡邉靖彦氏(以下、渡邉):一部のコンテンツに関しては、非常にSEOが強いものもありました。ただ、「それが本当にコーポレートにあるべきなのかどうか」と考えて、今回削除して、キーワード的に強かったものがアドテクノロジー事業のコンテンツだったりしたので、そのコンテンツに関しては、アドテクノロジー事業のサイト側に移行しました。
アドテクノロジーは時代によって伝えていかないといけないことがどんどん変わってくるので、それを置くことによってデメリットが生まれてくるというのもあったので、本当にそこに注力している事業部に更新なども含めて(コンテンツを)譲渡していくことになっています。
そこはばっさりいきましたが、もちろんその他のコンテンツでも重要なものは残していますし、重要ではないと思われるものはばっさりいったという感じです。
質問者2:ありがとうございました。
安成:他にどなたかいらっしゃいますか? じゃあそこの女性の方、お願いいたします。
質問者3:サイバーエージェントさんの方にお伺いしたいのですが、まずリニューアルをするときに外注先を選定されると思います。
たくさんの候補から選ばれたと思いますが、そのときの選定方法や基準について、どのようなところを気をつけて選定されているのかお聞かせいただきたいというのが、まず1点目です。
2点目としては、今ご登壇いただいている方々がキーパーソンとなって、非常にたくさん工数がかかるところだとは思うので、配下の方を含めて、どれくらいのメンバー構成でリニューアル体制を組まれているのか。
最後にもう1点、コーポレートのサイトリニューアルにあたって、社長さまの意思がどれくらい入るというか、要望を汲んで作られているのかお聞きしたいと思います。お願いいたします。
山下:選定方法は、今回はロゴの刷新があったということもあって、クリエイティブ力を重要視していて、さらに規模の大きいサイトも構築できること、その両面でしっかりとコミット力を持って任せられる会社という2つの軸で選定していました。
この2つの軸は、意外と「この会社なら安心できる」と思えるところが少ないんですね。クリエイティブに特化している会社はあっても大規模サイトはやっていないとか、大規模サイトはやっているんだけど、クリエイティブに強いわけではないというところがありました。その中で絞り込んでいって、アンティーさんにたどり着いたという流れです。
渡邉:あとは「サイバーエージェントにとって文化が重要だった」というところを理解してもらいやすいというのが、親和性として感じる部分でした。
安成:実際の体制としてはどんな感じだったんですか?
渡邉:あまり参考にならないかもしれませんが、メンバー数としては少ないです。サイバーエージェントは、このメンバープラス2人くらいです。アンティーさん側も5〜7名くらいですかね。ディバータさんも3〜4名くらいです。
安成:総勢15名弱くらいのチームで、今回のプロジェクトを行ったということですね。
渡邉:そうですね。それくらいになります。この後の話にもつながるかもしれないんですけれども、ここで固めたことを他のメンバーに文句を言われないという進め方をしています。
渡邉:ただ抑えないといけない部分が1つ。社長の部分ですけれども(笑)。
安成:3つ目の質問にも「社長の意思をどのくらい反映させるのか」とありましたよね。
佐藤:いろいろな会社さんでリニューアルしようとしたときに、そこは大きなネックになってくる部分だと思うんですけれども、うちの会社の場合は特殊で、僕の上には社長の藤田しかいないんですね。なので、基本的に僕が一任されています。
一応、グランドデザインを上げていただいた後に、「こういう感じでリニューアルをします」という話をしたときに、「しっかりしたものを作ってくれるなら、好きにやっていいよ」ということを言われていました。これまでの藤田との関係もあるので確認だけは通しますが、イメージのズレというか、そこに何か違和感を感じることはなかったです。
水野可奈子氏(以下、水野):成功するポイントの1つとして「バランスの良いプロジェクトチーム」は絶対あるなと思っていて、コーポレートサイトだと社長さんが最後に出てきて「あれ?」みたいな状態も起こっちゃいけない事件ですけれども、起こる可能性もあります。
今回は決裁や承認のプロセスの段階で、バランスが本当に良かったなと思います。それぞれの役割分担がありながら全員がシンクロしているというか。やりやすかったかなと思いますね。
佐藤:うちの会社は「確認の確認待ち」を嫌うんです。社長に確認するために、2週間かかりますというのを非常に嫌う傾向があるんですね。僕が社長に確認したのも、社長がぱっと出てきたタイミングに2〜3分で当てたくらいです。立ち話程度で、別の話をしていて「そういえば」という感じで当てています。
確認に対するハードルの低さ、それに対する意思は確認者に委ねられる部分もあるので、うちの会社は「やってから持ってきて」ということが多いですね。コンテンツをばっさり切ったというところも、最終的に我々が責任を持ってやっているので、もし失敗したのであれば、我々が責任を持って全力で取り返せばいいんです。とりあえずやってみるというのは、うちの会社の大きな指針ではあるかもしれないですね。
質問者4:2年くらい前にサイトリニューアルをして、その後の運用で悩みがあります。ブランドを構築した後、それをどうキープしていくかというところが難しくて、例えば、メインビジュアルの話題、各記事のサムネイルなどにどうしてもクオリティのばらつきが出てしまうということがあります。
サイバーエージェントさんのサイトを見ると、そういったところに違和感がなくしっかりできていらっしゃるので、そのあたりのルールを言語化されてガイドラインにされているのか、もしくはそういったことを理解している者しかデザインしないのか。
佐藤:あそこのビジュアルを作っているのは渡邉ですが、あれは我々も覚悟なんですね。あれだけ大きいヒーロー画像を用意したら、下手な運用ができなくなるんです。ちゃんと考えて画像も作らなければいけないですし、撮った写真をそのまま置くだけでは見切れることもあります。そこでどうしても編集作業は入りますよね。
そこの運用を減らした分、こういった画像1つ取っても、「これくらいのメインエリアを取るなら下手なものは作れない」という我々の覚悟の部分でもあります。そういうところに妥協してしまうと、トータルブランディングは構築されないと思っていて、このリニューアルをするタイミングではそのような話をしていました。
渡邉:目につくとことはコントロールできる我々が作っているんですけれども、例えば、我々がプレスリリースを全部作れるかというと、毎日どんどん出ていますので、それは事業部に渡しています。そこはサイズなどで「こういうのはやめてね」というある程度のルールは作っています。それ以外は本当におまかせですね。
時々「うん?」と思うものが出てくるのはしょうがないかなとは思っているんですけれども、メインに出せるものと裏側にしか出てこないものというのは切り分けをしている感じです。
質問者4:メインで出てくるものは具体的にルール化をされていたり、絶対に自社のデザイナーしか使わなかったり?
山下:テンプレート化していただいているところもありつつ、最近は写真と動画も自前で担保するやり方をしています。
質問者5:サイトの中に、各プロダクトやサービスについての一覧があって、それぞれのロゴや性格が分かれてしまっていると、会社全体で擬人化するときに多重人格者みたいになったりすることがあるとしたら、どうまとめていくのかというのが1つ。
もう1つは、各プロダクトやサービスごとに「今回キャンペーンやるんだよね」「新しいことをやる」 「Webページを作りたい」というときに、必ず「ここの環境の中でやりなさい」というルールになっているのか、「何ページくらいだったらちょっと作ってもいいよ」とされているのかお伺いできればと思います。
佐藤:1個目はアンティーさんいきますか。
水野:その多重人格者問題なんですけれども(笑)、サイバーエージェントさんの場合も複数出ていたと思うのですが、なかなか「この人1人」というケースで決まることはなくて、いつも2人から3人出させてもらって、「こういう人の要素と、こういう人の要素と、こういう人の要素がくっついた感じ」となったものがはまりやすいんです。
今回は人数が多めだったかなという気はしていて、それはまさにいろいろなサービスを持っていらっしゃる企業さんならではなのかなという気がしました。
安成:その多重人格のようないろいろな側面があるものの、会社としての軸は大きいものが1つあるみたいな感じなんですか?
水野:今回はコーポレートサイトですので、コーポレートとしての人格をディスカッションの中で突き詰めていくことが必要かなと思います。
やっていくうちに、その企業さんの中にもいろいろな方がいらっしゃるので、「僕はこう思っていた」「私はこっちだと思っていた」というのが、このプロセスの中で絞られていきます。
サイトを作るということだけではなく、実はそこを自社で明確化される1つのきっかけにもなっている作業なのかなと思います。
安成:2つ目の質問は、渡邉さんにお願いできますか?
渡邉:スペシャルサイトや企画は各事業部によっていろいろとあって、それをこちらで作る場合もあり、事業部で作る場合もあるというのが答えです。
できるだけ事業部の意見も無駄にはしたくないなと思っているので、作ってもらったものを活かせるような構造にはしています。ただ、本当に事業部側で作ってきたものがコーポレートに載るべきなのかどうかということはジャッジしています。
そこに関しては、企画やデザイン案が出てきているときに一度チェックして、例えば「ゲームのユーザーとインターネット広告のお客さまと株主さま、全員が見るサイトなんですよ」という意識を持って、「こういうところをちょっと変えてください」といった指導をしながら作ってもらう方法にしています。ただ、どこかには掲載できるようにしています。
安成:最後に、今日この会場に来ていただいたみなさんの会社で、今回のセッションのテーマのように、ブランディングを意識したWebサイトリニューアルを実現していくにあたって、こういうことがポイントになるといったアドバイスをひと言ずついただければと思います。
山下:各担当が「ここからはもうこっちで責任を持たせてください」と権限移譲をしてもらって、関係者をできるだけ絞るほうがブレなくていいかなというのは1つあります。
安成:ありがとうございます。
渡邉:リニューアルという機会は何年に1回かしかないと思うので、そこでしかできないことが今回できたのかなと思っています。例えば、先ほどブランディングの面で、みんながなんとなく意識として持っていたものが言語化を経ることによって、今後サイバーエージェントの中でも資料で使われるくらい、みんなの意識がまとまって言葉になったというところですね。
それと裏側の面を一掃してプラットフォーム化していただいたことによって、今後の開発にも役に立っていくという非常に大きなメリットのためにリニューアルをやっていくことが重要ではないかなと思いました。
安成:ありがとうございます。では佐藤さん、お願いいたします。
佐藤:この先10年、今のサイバーエージェントを訪れた人たちにどう見ていただきたいか、どこを切り取ってもサイバーエージェントっぽくてその雰囲気が伝わるような、基準みたいなのを社内で持って、イメージボードを持っているとすんなりいく気はします。
安成:ありがとうございます。水野さん、お願いいたします。
水野:繰り返しになりますが、やっていることはWebサイトを作っているというより、アイデンティティデザインと呼んでいるんですけれども、企業やブランドのアイデンティティを模索していく作業をしているんです。その重要性を一番お伝えしたくて、そこをやることはまったく無駄にならないですし、サイトを作るプロセスの中でそれができるという(笑)。
その部分を考えておくと、この先に何を作られるときでも、ブレない制作をすることができると思います。外から見ると「すごくいいな」「この企業のこういう考えがすてきだな」と思うところがたくさんあって、内部の方はそこに気付かれていないパターンもあるので、ぜひ外部の力も求めていただきながら(笑)、自分たちらしさを見出していただけたらなと思います。
安成:ありがとうございます。最後に加藤さん。お願いいたします。
加藤健太氏(以下、加藤):少し長いのですが、3つあります。1つ目は、私は裏側をやっていたのでブランディング作業には関わっていないのですが、リニューアルしたデザインやサイトを見て最初に思ったのが、サイバーエージェントさんは人にフォーカスしていくんだなということが強く伝わってきました。
ブランディングや表現の課程で「削ぎ落とす」という作業をすることで、そのメッセージがより際立っているのかなということも感じました。伝えたいこともいっぱいあると思うんですけれど、そういうことをしっかりと考えて、必要なものだけ残すということをされていくといいのかなと思いました。
次に、私はエンジニアなので、デザインは今までやったことはありませんが、ブランディングという、よく聞くけれど、どのようなことをやるのかわからないものの過程をお聞きして、ほわっとしたものをどう言語化して固定化していくかということが大事なのかなと理解しました。
最後に、RCMSは元々、早稲田のラグビー部のWebサイトを作るために私が個人で開発したものが発端です。このサイトは17年くらい前にファン向けにリリースをしたのですが、ファンのみなさまにはもちろん喜ばれたのですが、それよりも部員の友達や家族、入部を考えている高校生、OB・OGの方々などにも喜ばれて、部としてもある意味、コストだと思っていたところが、部員は友達・家族に「お前の活躍をWebで見たよ!」と言われて部員のモチベーションは上がるし、高校生のリクルーティングもしやすくなるなどの想定以上の効果を発揮しました。これはRCMSを事業にして広めたいなと思ったきっかけでもあります。
コーポレートサイトも同じで、意外と想定していないようなところや身近なところに効果を出せるような利用方法もあるのではないかと思います。是非、そういったWebサイトの利用方法もお考えいただけるとよいのではないかと思います。
安成:ありがとうございます。あっという間に時間が過ぎてしまいましたが、この1時間半にブランディングを意識したWebサイトリニューアルのヒントがいろいろと詰まっていたかと思います。
ぜひみなさんの会社に今日の気づきを持ち帰って、活かしていただければなと思います。ご登壇いただいた5名の方に拍手をいただければと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
株式会社ディバータ
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