2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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河野奈保氏(以下、河野):本日は「佐藤可士和展」を記念して、特別対談の場をご用意させていただきました。まず最初にご紹介させていただきたいと思います。弊社のチーフクリエイティブディレクターもされていらっしゃいます、佐藤可士和さんです。
佐藤可士和氏(以下、佐藤):よろしくお願いします。
河野:よろしくお願いします。そして弊社・楽天の三木谷です。私は楽天でチーフマーケティングオフィサーをさせていただいている、河野と申します。本日はぜひ、お二人の日頃の掛け合いを引き出したいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
さっそくですが、2つのパートに分けてお話をしたいなと思っています。前半は、今までの楽天と可士和さんのお仕事を振り返るパート。そして後半は、これからの未来について、少しお話をお聞きしたいと思います。
それではまず、対談パート1の「佐藤可士和と楽天」というところで。可士和さんと三木谷さんはもう18年来のご友人でいらっしゃることから、2003年からは楽天のお仕事もいろいろやっていただきました。ぜひその辺も含めて、お話させていただければなと思っております。それではここからは可士和さん、よろしくお願いします。
佐藤:もうミッキー(三木谷氏)とも17年でしょう。
三木谷浩史氏(以下、三木谷):17年、18年目?
佐藤:18年目? 長いよね。
三木谷:長すぎるね(笑)。
佐藤:長すぎる(笑)。だって、その時に生まれた子どもが高校を卒業しちゃうぐらいだよ。
三木谷:それ、本当にやばいね(笑)。
佐藤:それこそ、2003年に六本木ヒルズに移った時に……。
三木谷:あ、こういうの(年表)出るんだ。
河野:(コンテンツが)いくつかありますので、気になるところから少しお話を。
佐藤:一番左の写真は篠山紀信さんに撮っていただいた。
三木谷:そうそう、僕が坊主にしてた頃ね(笑)。
佐藤:(笑)。ヒゲ生えてたしね。
三木谷:ヒゲ、ハゲ、坊主(笑)。
佐藤:最初に楽天の漢字のロゴを作りましたね。
三木谷:いきなりアルファベットにするかどうかで揉めたんですよね。
佐藤:そうそう(笑)。
河野:英語と日本語がいくつか、すぐに変わったというエピソードがあるとお聞きしてます(笑)。
佐藤:そうそう、いろいろ。ここにヴィッセル神戸も楽天イーグルスもありますけど、やっぱり僕がすごく驚いたのは「可士和くん。野球やろうと思うんだけど、どう?」っていう……(笑)。
三木谷:(笑)。
佐藤:「野球やるの⁉」って。その後、本当に楽天は1年で日本中に知れ渡ったし、それで「こういうマーケティングの仕方があるんだな」と思いましたね。
三木谷:そうですね。いやぁ、あれも急でしたよね。
佐藤:急ですよ(笑)。
三木谷:いきなり、1ヶ月ぐらいで決まっちゃいましたね。
佐藤:1ヶ月ぐらいだった。それで「じゃあ、やっぱり野球やろう」と言ったその日から、ミッキーの携帯がしばらく通じなくなってさ(笑)。
三木谷:(笑)。
佐藤:そうしたら、ある日突然またかかってきて「ロゴ、こういうのにしようと思うんだけどどう?」って。
三木谷:ね(笑)。ロゴもあるけど、やっぱり全体的なマーケットに対するインパクトとか、さざ波が大きな波になる仕組みを一緒に作ってきたというか。
佐藤:あとはそれこそ「『楽天スーパーSALE』をやったらどうだ」とか。当時はeコマースでのセールは、まだほとんどなかったと思うんですけど。
三木谷:そうだよね。
佐藤:リアルでは百貨店やファッションビルが(セールを)やっていたから、僕はそれがeコマースに置き換わっていくんだろうなと思ったので。スーパーSALEのマーケティングとか、やっぱり「楽天カードマン」も良かったですね。
三木谷:カードマンね(笑)。でも、基本的にスーパーSALEのコマーシャルも、カードマンもそのままずっと継続していますもんね。カードマンはどうやって作ったんだっけ(笑)。
佐藤:もっと真面目なアイデアもいっぱいあったんですけど、広告代理店にいろいろ提案していただいた中にカードマンがあって。僕は「カードマン……これはいいな」と思って。それでもう、その1案だけ持ってミッキーに「カードマンでやるの、どう?」って(笑)。
三木谷:(笑)。そう。カードマンのあれはなんて言うの?
佐藤:メガネね。メガネがカードになっているという。
三木谷:子どもがDIYでいっぱい(メガネを)作って、完全にバズってましたね。
佐藤:バズってた。でも、カードの広告でこういうアプローチってほとんどなかったですよね。
三木谷:うん。カード以外のほかのコマーシャルでも、あんまりこういうのないじゃないですか(笑)。
佐藤:(笑)。あまりにもというか(笑)。でも、みんなにすぐ覚えてもらったと思うし、今やもう楽天カードは本当に(普及しましたね)。
三木谷:あとは「お買いものパンダ」ですよね。
佐藤:パンダね。
三木谷:パンダダンス(楽天ポイントダンス)が、TikTokで世界でバズって。あれはどうなんですか。
佐藤:TikTokでのあれは驚きですね(笑)。でもパンダも、最初はミッキーが「LINEのスタンプで何かやりたいから考えて」と言うから「じゃあとりあえずパンダかな」と思ったんです(笑)。
三木谷:(笑)。
佐藤:「とりあえずパンダかな」というのは「みんなが好きなものって何かな」と考えていて、パンダにしようと。それで、楽天の中でいろいろイラストを描いてもらって。パンダも大人気になりましたね。
三木谷:今、5,000万人ぐらいが(LINEでお買いものパンダスタンプを)使ってるんですよね。楽天より(パンダが)有名じゃないかって。
(一同笑)
佐藤:FCバルセロナとかも、ミッキーに話を聞いた時ビックリしましたけどね。
三木谷:バルセロナね。「どう思う?」みたいに、だいたい相談するんですよね。それで、否定したことがないという(笑)。
佐藤:いや、否定もなにも(笑)。でも毎回けっこう驚いていますよ。野球に始まって、FCバルセロナもそうだし。
佐藤:あと、楽天デザインラボも作りましたね。
河野:デザインラボがちょうど2018年なので、もう3年ぐらい経ちますけども。
佐藤:クライアントと一緒にやらせていただいてきて、僕も組織を立ち上げたのはさすがに初めてですよ。
三木谷:なるほど。それでけっこういろんなデザイナーやクリエイターの人がたくさん入ってくるようになって、いわゆる量産体制に入ったんですよね。
佐藤:楽天のデザインシステムは、それこそさっきのロゴのほとんどがデザインラボで作ったものです。監修したものもあるし、映像もデザインラボで作っています。あと、ミッキーが立ち上げた技研は何年前ぐらいでしたっけ。
河野:ちょうど2005年の12月ですね。
三木谷:楽天技術研究所。
佐藤:そういう技術研究やデザインのラボ的なものが会社にあるって、いいですよね。
河野:あとやっぱり大きいかなと思ったのが、去年はフォントも作られたじゃないですか。楽天デザインラボと一緒に作られたフォントも、かなり話題にはなっていたと思います。
佐藤:そうですね、フォントも。だいぶ前から2書体ぐらい作っていましたけれども、楽天もこれだけグローバルでやっていれば、もっと本格的にやってもいいかなということで。ロンドンのDalton Maagというところと一緒に開発させていただいて、かなり良いものができたかなと思ってるんですけどね。
三木谷:いろんなブランドの話もしましたよね。どのブランドとは言わないけど、海外のブランドで「名前しか書いてないのに、なんでこんなに売れるの?」みたいな(笑)。
佐藤:(笑)。あと、楽天モバイル(のロゴ)を何色にするかとかね。その辺も相当いろいろやりましたよね。
国立新美術館では、日本を代表するクリエイティブディレクター、佐藤可士和氏の過去最大規模となる個展が開催されています。株式会社博報堂でアートディレクターとして広告プロジェクトを手がけてきた佐藤氏は、独立後も幅広い業種・業界のブランド戦略で注目を集めてきました。今回の展示構成は佐藤氏が自らキュレーションを行い、約30年に及ぶ活動を紹介する内容となっています。
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