2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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牛久祥孝氏(以下、牛久):こんにちは。私たち株式会社Ridge-iからは、キャリアセッションという枠組みで「Ridge-iで働くエンジニアの多様なキャリア」という内容でお話しします。私は株式会社Ridge-iでCRO(チーフ・リサーチ・オフィサー)を務めている牛久祥孝です。どうぞよろしくお願いいたします。
今日の内容は3部構成になっています。まず、このRidge-iを知っている人ははまだ少ないと思うので、Ridge-iの紹介からします。その後、キャリアをテーマにしたセッションということで、今回6名来ている社員のうち、5名のキャリアを紹介しながら、多様なキャリアの事例を話したいと思います。
そして最後に、今いるみなさま、20~30人ぐらいですかね、その中から質問をもらえれば。何でもいいです。例えば「給料はいくらですか?」とか「何か副業できますか?」とか、いろいろな質問を忌憚なくもらえればと思います。
さっそくなんですけど、Ridge-iの紹介をします。Ridge-iがどういう会社かを簡単に言うと、最高峰の先端技術、例えば機械学習とか深層学習、コンピュータビジョンみたいな、今持っている領域の先端技術を活用して、ビジネスの最高地点をクライアントとともに目指しています、ってことかと。
クライアントや顧客の「こういうことが困っているんだよね」に対し、私たちが機械学習やコンピュータビジョンに注目して、それぞれを融合して困難を解決していくような企業です。
事業領域について紹介すると、1つ目はAIコンサルティングで、2つ目はそれに伴ったソリューション開発です。今日は「AI搭載ゴミクレーン」のコアの部分だけを紹介しますが、他にもNHKで白黒の映像に対して彩色したものを提供したことがあります。
今の会社は、大手町ビルヂングという大手町駅前のビルにあります。Preferred Networksさんとか、Liquidさんとか、似たような深層学習やコンピュータビジョンの領域をやっているいろいろなベンチャー企業さんも同居しているビルです。最近引っ越ししたばかりでこの変化に一番とまどっているのは我々社員だと思うんですが、新しいオフィスは面積的にも3倍ぐらいになりました。
現在の従業員数は「30名+α」と書いてありますけど、ちょっと前までは20名前後でした。今は新しい観点から、このRidge-iを一緒に盛り上げていこうと思っている人と合流し続けて、増えている状況です。
就労スタイルは裁量労働制を敷いています。機械学習を何かに適用したいという人や、ここの技術を使って他の顧客の困りごとに答えていきたいという、コンサルティングファームから来る人もいます。
私たちの会社では、例えばNVIDIAやMicrosoftと、Deep Learning Labで一緒に共用したり、資本関係としてRICOH、荏原製作所、INCJ、あとはTellusというデータのアライアンスと一緒に、宇宙関連データに取り組んでいます。
1個だけ事業の紹介をさせてください。あまりRidge-iの事業の話ばかりすると、たぶんそれで30分が終わってしまうので1個だけ。ごみの焼却炉でセグメンテーションと呼ばれるコンピュータビジョンの技術を使いましたというお話。
まず、背景から説明します。ごみ焼却炉はどこにでもありますよね。このごみ焼却炉って、実はその中で働いている人のノウハウがすごく要求されるところです。(スライドを指して)どういうことかというと、ごみピットというものが、今出している図の左側にありますね。ごみピットの中にはありとあらゆるごみが入っています。
その中のごみを手当たり次第掴んで焼却炉に入れればいいのかというと、まったくそんなことはなくて、ごみの中には、火が強くなるごみと、逆に火を弱くするごみがあります。要するにごみが濡れていたら火は弱まり、乾いていたら火は強くなります。一旦火が消えてしまうと、燃料をバッと入れて、もう一度点火しないといけません。
燃料は石油ですが、みなさんご存知のように石油はとても高いですよね。一旦火が消えてしまうと、現金をそこにバッと入れてそれに火を付けるぐらいコストが掛かってしまうんです。なので、ごみを入れていく順番というのを適切に選んでいかないといけない。
焼却場のクレーン操作室で実際にクレーンの操作をしている方は、けっこう遠くから見下ろしているんですけど、どこにどういう種類のごみがあるかを見た目で判断しています。「次にこのごみを入れれば今のこの焼却炉の炎がいい感じに保てるだろう」と判断しながら操作しているわけです。
この作業をできる熟練オペレータのノウハウを自動化したいという荏原製作所の目的意識に、我々がどうやってお手伝いできるかという話でます。
(スライドを指して)ここが実際に一つの焼却場で見えているごみの様子です。上から撮った画像なんですけど、よく近づいて見るとたしかに「なんか、枝っぽいのがあるなぁ」とか「ビニール袋っぽいのがあるな」とわかります。ただ、それ以上の情報はなかなかわかりにくかったりします。ところが、画像のなかで例えばどこが道路で、どこが道で、どこが人で、というのをピクセルごとに色塗りをする「セグメンテーション」という技術を使ってあげると、このようになります。
(スライド)「枝がここにあります」「泥がここら辺にあります」「泥なのでここを掴んで火に入れちゃうと火が弱まりますね」「ごみ袋がここにあります」という、どこにどういったものがあるのかをピクセル単位の色塗りで見分けられます。これができるようになると次のステップとして、これを使ってどうやれば自動的に炎を維持しながらごみを捨てていけるか、ということに発展していきます。
こういったことをやっているのがRidge-iという会社です。「ridge」とは英語で山にある峰のことを言います。会社の中でAI技術やコンサルティング技術を磨いてきた私たちと、それぞれのビジネス領域でそれぞれの技術を磨いてきた人が出会って峰を作る、というのが社名の「一つの峰を作る」という要素になっています。
ビジネスの現場でインパクトを実現するためには、PoCで終わらない何か、実際に事業の現場に投入されるようなサービスを一緒に作っていきたいと考えています。そこで今、私たちが一番注目しているのが画像処理技術。画像の解析技術ですね。
最新の論文を実際にエンジニアとサーベイしながら、顧客の状態に合わせて考えています。例えば場合によっては必ずしも深層学習を使う必要はないわけです。機械学習とコンピュータビジョンの割と枯れた技術の組み合わせで、困っていることを解決できる可能性もあり、柔軟な提案をしています。
(スライドを指して)さらに、それぞれのこのridgeというのは社内にもありますという話が、一番右側に出ているところで、申し上げたいことでもあります。どういうことかと言うと、ベンチャー企業として私たちは、全員が「コンサルティングで入ってきた人がそのままコンサルティングのマネージャーになる」とか、「エンジニアで入ってきた人がそのままエンジニアのマネージャーになる」というキャリアしかないわけではないだろうと考えています。
よく偉くなって管理職になっていくと、最初技術者で入った人が、何かをコーディングすることがなくなってしまう。代わりに事務的な仕事が増えていくと言ったことが、あらゆるスペシャリストの場において発生していると思います。そこで我々としては、まずそれぞれのスペシャリストの領域を許容した上で、それぞれが必ずしもマネージャーにならなくても、それぞれのキャリアを構築できる場を作っていきたいという目的を持っています。
それぞれがいろいろな目的意識を持っているなかで、ある方向に一緒に向いて顧客の困りごとを解決していければいいと考えています。
若干、手前味噌感があり、自分で「尖った」というのはちょっと恥ずかしいんですけど、「ridge」では尖っている感じをワーディングとして使っています。このような4名の経営陣と、私は末席を汚していますが、やらせてもらっています。いろいろとバックグラウンドがユニークな経営陣であると自負しています。
例えば社長の柳原は、金融業界でエンジニアとして、実際に自分自身がコーディングをしてきました。社外取締役としてマイクロソフトから参画している田丸は、いろいろな技術に大変明るいだけではなく、日本の技術や科学に対して、大学の教授や先生方と一緒に取り組みをしているような、コアとなる人物です。コンサルティングファーム出身の小松や杉山が、顧客のところで問題定義をしながら考えていくことをやっています。
さて「10分ぐらい永遠とバンバン喋ってきたお前は誰だ」という話をここですると、私は牛久と言いまして、私のバックグラウンドは技術、あるいは研究といった分野の人間です。2014年に博士号を取って学生をようやく卒業して、そのあと実はNTT……ご存じの通り電話の会社ですね。そのNTTに研究所というものがあって、厚木の山奥で大自然と触れ合いながら研究ができる施設なんですが、そこで2年ぐらい研究をしておりました。
どういう研究をしていたかというと、スライドに3つだけ例を出しましたが、正に画像の認識や解析をやっている人間です。例えば「顔がここにあります」とか、「人がここに立っています」という識別や検出をするのが、今までの画像認識でした。今は、例えばごみ処理のところでも話しましたが、この技術は、自動運転などに搭載されています。
また、オフィスの監視システムなどにも搭載されている領域では、より人間らしく人の言葉で画像の内容を説明できるかということを2011年ごろからやっています。例えば(スライドの)一番左側の画像を与えたときに、「ここに電車があるという四角い箱を出します」ではなくて、「人がこの画像を見たときにどういう説明をしますか?」などの説明の言葉をAIに出力させる、画像キャプション生成という研究をしていました。
ここからいろいろ発展していくんですね。例えば、人間が付けるような主観的な表現、「汚い砂場」なのか「キレイな砂場」なのかを入れながら、キャプションを生成する。あとは「これ何に使うの?」と言ったときに一番真っ先に考えつくであろう、大量のメディアから探したいものを検索する技術などを開発しています。
例えば今、YouTubeで見たい動画を検索しようとすると、基本的に単語ベースでヒットしたものだけが出てくる感じなんですね。例えば「上半身裸の男性がスノーボードしている」というワードを全部入れていったとしても、YouTubeでは基本的にこれらのワードの関係性を考えないので、うまく動画が検索できません。
そういったときに「文の意味を理解しながら正にそういう行動をしている人を探す」という研究をしていました。
実は一瞬東京大学で教員をやっていたこともあるんですけど、今は2つの会社で働いています。1つは血圧計とかで有名で、実際は工場の自動化などをやっているオムロンの子会社で、研究所の研究員をやっています。
あとはもう1つ、この株式会社Ridge-iで、社内のChief Research Officerとして、お手伝いしています。
この会社では、本当にいろいろなバックグラウンドの人たちが働いています。
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