【3行要約】 ・リーダーシップに関する知識は豊富にあるものの、実際の行動の「順序」と「スケジュール感」が明確でなく、多くの管理職が実践で躓いています。
・書籍『エグゼクティブ・リーダーのための100日間アクションプラン』では、新任リーダーの最初の100日間を3ステージに分け、具体的なアクションを時系列で提示しています。
・ ビジネスパーソンは「何を」だけでなく「いつ」「どの順序で」という視点を磨くことで、組織内外での自身の付加価値を高められると示唆されています。
音声コンテンツはこちら 書籍『エグゼクティブ・リーダーのための100日間アクションプラン』
高橋浩一氏:今日のテーマは、「『順序』と『スケジュール』に大きな付加価値がある」というテーマでお話をしたいと思います。
今日はわりと真正面から仕事の話なんですけれども、例えば、私は会社の外からお客さまの会社に対してご支援をする立場で仕事をしています。
それ以外にも、社内で人とか組織を動かす時に、順序とかスケジュールって大きなポイントじゃないかということを、1冊の本をもとにお話をしていきたいと思います。
今日取り扱う本は、『エグゼクティブ・リーダーのための100日間アクションプラン』という本です。これは海外の方が書かれた本ですね。中原孝子さんという方が和訳をされています。「新しい役割に就くリーダーにとって大切な100日間に必要なこと」ということです。
表紙にけっこういろいろ書いてあるんですけれども、例えば新任取締役とか執行役員とか事業部長のような組織のトップに立つ方にとって、「18ヶ月以内に40パーセント失敗すると言われる新任エグゼクティブ・リーダーが成功するために必要なことは」と書いてあります。
エグゼクティブって書いてあるんですけど、例えば課長とか係長とか主任みたいな、何かしらのチームを持っている方が読んでいただいてもいいと思いますし、あるいは個人の方であったとしても、お客さまを動かす側の仕事をされる方にとってもいい本じゃないかなと思います。
この本がわりとおもしろい仕立てだなと思ったので、それをご紹介したいと思います。
リーダーに就任してからの100日間のステップ
この本では100日間というところに焦点が当たっていて。「リーダーに就任してから最初の100日間にこういうふうに進めていったらいいですよ」というステップになっているんですね。
まず大まかに100日間を「収斂」「転換」「発展」の3つのステージに分けてあります。収斂っていうのは、物事がシューッと収束していくというような意味での収斂で、そして転換、さらに発展。
最初の30日間までの間に収斂させて、最初の30日が終わった後に転換。そしてそこから100日目に向けて発展をさせていくということで、いわゆるチームビルディングとかチームを作っていくみたいな話でしょうか。
ただこれは「これからチームを作りますよ」「さぁ、間もなく何かの役職に就きますよ」っていう人だけでなく、「あっ、こういうふうに物を考えていくんだ」ということを理解するのにけっこうおもしろい本じゃないかなと思います。
順序・スケジュールが書かれている点がポイント
というのが、日付が区切ってあると、アクションプランが非常に明確になるじゃないですか。「いつまでに何をやる」みたいな。
まず初日までの間に「成功のためのポジショニング」「準備期間の最大活用」というステップが2つありまして、3つ目のステップが「初日をコントロールする」、そして「自身のリーダーシップ基盤を築く」と続きます。
そして30日目のところで、「心を燃やす命題の共創」。「共創」っていうのはコンペティティブなほうの「競争」ではなくて、クリエーションのほうの「共創」、「共に創る」ほうです。そして45日目で「マイルストーン管理を組み込む」。60日目で「早期の成功に投資する」。70日目で「チームの再編成」。そして100日目で「調整と前進」となっています。
確かにこれを読むと、「まぁ、そうだな」という感じなんですけども、僕はやはり順序が書いてある点、そしてスケジュールが振ってある点に大きなポイントがあるんじゃないかなと思っております。
というのが、リーダーの心得みたいな本っていっぱいあると思うんですよ。やるべきこととか心掛けておくべきことなんかが書いてあって、どれも大事なことであると。
ただ、どんな順番でやっていったらいいのかとか、どのぐらいのペースでやっていったらいいのかって、なかなかわからなかったりしますよね。そこで、この本の中にある順序とスケジュールっていう観点がおもしろいなと感じた次第です。
お客さまからの意見で気づいたこと
そして、この順序とスケジュールという意味合いについてもう少し深掘りしてみたいと思うんですけども、例えば僕はやっている会社がコンサルティングの会社なので、お客さまを社外の立場からご支援します。
「こういうことをやったらいいですよ」というようなことは、外からいくらでも言えるわけですよ。ただ、「この順序でやりましょう」とか「スケジュール感としてはこのペースでやりましょう」っていうことって、ちゃんとフィットしたものを出すのって難しいんですよね。
ただ、あるお客さまから言われたのが、「例えば自分たちでもそれなりにやろうと思えばできるんです」「ただ、もしかしたら無駄な回り道をしているかもしれないし、成功確率が高くないことをやってしまっているかもしれない」と。「その時に外部のプロの方がきちんとリードしてくれるというのは、それはすごく心強いです」と。こういうコメントをいただいたことがあります。
僕はその話を聞いて「こういうのって付加価値があることなんだな」と感じたわけなんですけれども。
順序とスケジュールは焦点が当たりにくい
別の本で、楠木建さんの『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』。言わずもがな非常に有名な本ですが、その中の一節に「順序がポジショニングを作る」みたいなことが書いてある一節がありまして。
どんな順番でやるかっていうことには、価値観とか哲学とかも表れるし、順序は無限の組み合わせがあるわけですから、その中から最適な順序を選ぶのはものすごく難しいわけですよね。
ということで僕は、順序とスケジュール感は多くの人が知りたいと思っているけど、なかなか知らないことってあるし、ビジネスの場面で言うと、成功、失敗を分けるポイントであるにもかかわらず、こういうことってなかなか焦点が当たりにくいなと思ったわけなんですね。
自分なりの価値を出したい人には良い着眼点
それで「100日間アクションプラン」というタイトルに引かれて、本を読んでみたんですが、「100日間でこういうふうにやるんだ」ってなった時に、ちゃんと順番が並んでいることがやはりポイントだなと思った次第なんです。
これは例えば社外からお客さまを動かすだけでなく、社内で自分の組織を動かす場合も、どんな順番でやっていったらいいのかとか、どんな時間軸でやっていったらいいのかって、すごく知恵の絞りどころだと思うんですよ。
これがある程度ちゃんと作れる人というのは、間違いなくやはり必要とされる度合いが高まるなと思うんですね。
それはなぜかというと、得てしてうまくいかない、スタックしがちであることがある中で、本来あるべき順序ってどうなんだろうかとか、どのくらいのペースで進むのが順調なんだろうかって、やはりみんなわからないわけです。
ということで、仕事の中で自分なりの価値を出そうみたいなことをお考えの方にとって、順序とスケジュールっていうところはすごく良い着眼点なんじゃないかなと思った次第です。