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片付けパパ対談【特別編】モノを売れる人が共通して持っている「考え方」&「トーク」(全3記事)

良かれと思って商品の説明をしたのに売れない… 本音を隠す顧客と販売員のすれ違い

同じ商材なのに、売れる人と売れない人に大きな差が出るのはなぜか。『モノを売れる人が共通して持っている「考え方」&「トーク」』と題して、体型別お悩み解決のプロ/販促・販売員教育の豊岡舞子氏、営業コンサルタントの大岩俊之氏、片付けパパ(R)の大村信夫氏が語り合いました。本記事では、販売員がつい商品の話ばかりしてしまう心理や、顧客とのすれ違いについてお伝えします。

聞いてもいないのに商品の説明をしてくる人

大村信夫氏(以下、大村):けっこうコメントにもいっぱい書いてあります。傾聴について「相手の話を聴くのも大切だね」と、それを営業で学んだ方が、今、キャリアコンサルタントをされていると。

セールストークがうまくて売れる方もいるけど、逆に物静かなんだけど売れていく方もいらっしゃる。豊岡さんの本にも書いてあって、3パターンぐらいある中の2番目がそういう方だったかなと思うんですけど。

豊岡舞子氏(以下、豊岡):よく覚えていらっしゃいますね(笑)。

大岩俊之氏(以下、大岩):本に「販売は聴かなきゃいけない」と書いてありましたね。

豊岡:はい。聞いてもいないのに商品の説明をしてくる人が多いんですよね。お買い物に行った時に、そういう経験はないですか? 

大村:スマホを見に行ったら、「これは最新のCPUで何グラム軽くなって……」と延々とスペックを話す人とか正直うざいと思いますね。そこは、どうでもいいしって。そもそもなんで買い替えようと思ったのかとかを聞いてほしいのに……。商品を買いに来たわけじゃなくて解決手段を買いに来ているので、そこをヒアリングしない人からは、僕は絶対に買わない。

豊岡:もうおっしゃるとおりですね。そもそも最初に「何をしに来たのか」に興味を持っていただかないと、かみ合わないんですよ。しかもお客さまが我慢して言えない場合もあるんです。

大村:僕も一応優しい風なので言えなくて、最後までちゃんと聞いちゃうんですけど。

大岩:(笑)。

豊岡:言い出しにくくなっちゃって、「あっ、わかりました、わかりました」となったりするんですね。ぴんと来る販売員さんだと、そこをちゃんと汲んで「何か困っていらっしゃるんですか?」と最初にお悩みを引き出してくれて。「実はこういう理由だったんだけど」と本当のことを話せるんですけど、話しにくい雰囲気だとお客さまは嘘をついたり。

大村:はい、わかります(笑)。

豊岡:そうすると余計に売上にはならないんですよ。お互いに本当のことを言っていないから、本当にお客さまに合ったものも薦められなくなりますし。だから最初にかみ合う会話をしなくちゃいけないんですね。

つい商品の話ばかりしてしまう心理

豊岡:ただ販売員さんの中には「お客さまが怖い」という人もいっぱいいて。

大村:そうなんですか?

豊岡:怖すぎて自分の心が開けないんですよ。販売員さん自身が心を開けなくて、ついお客さまに対する質問じゃなくて商品の話ばかりしちゃうケースもあります。例えば自分と同世代で話しかけやすそうな同性のお客さまなら、気軽に声をかけられるかもしれないんですけど、すごく怖そうな男性が来たら、怖くて声をかけられないという(笑)。

大村:確かに。

豊岡:別に怖い人じゃないかもしれないんだけど、怒っているのかなとか。怖くて声をかけにくいと、本来であれば心を開いて言わなくちゃいけないところを、「こちらの商品は……このようになっております」とバーッてしゃべっちゃったり。はたから見ると「あっ、きっと怖いんだろうな」と(笑)。

大村:なるほど。そう考えると、豊岡さんも大岩さんも笑顔がいいですよね(笑)。こう、ふっとした安心感がありますよね。

大岩:昔から、トークは別として「笑顔だけはいい」と言われていましたね。

豊岡:私は本屋にいると、よくお客さまから「新刊はどこですか?」「今年のカレンダーは?」と声をかけられて、「いや、私は本屋さんじゃないです」という(笑)。

大岩:東京にいると外国人に話しかけられるみたいな。英語がしゃべれると思うみたいで英語でしゃべってくるんですけど、もう何を言っているのかさっぱりわからないから(笑)。

大村:(笑)。人から話しかけられるオーラがあるんですかね?

大岩:そうか、話しやすいんですね。書店員さんはいつも忙しそうにしているから、豊岡さんの笑顔で「あっ、ちょっと聞いてみよう」となるのかもしれないですね。

豊岡:本屋じゃないのにね(笑)。

(一同笑)

大村:実は僕もけっこう海外からの旅行者とかいろいろな人に話しかけられることが多くて、「ここに行くにはどう行けばいいんですか?」と。地元じゃないからわからないのに……ということはありますね。

「三角ビルは、どこ?」「いやいや、わからない」。でもそういう時に「わからない」とは言えなくて、「わからないので、ちょっと一緒にスマホで探しましょうか」と言ってね。もう面倒くさいから「あそこまで一緒に行きますよ」と一緒に行っちゃって、遅刻したことが何度か……。

他社と比較されない商品なら値引きせずに売れる

大岩:僕も家電を買いに行く時、「あの人が来たら嫌だな」という販売員さんがいるんですよ。「あの笑顔のいい人が来てくれないかな」とかね。なんか表情がない人が来ると怖いんですよね(笑)。

大村:そうですよね。あとは、いかにも月末の売上を取りに来そうな人とか、ちょっと「うっ」となりますよね。

豊岡:買わされるという気持ちですかね。

大岩:強引な人ね。でも「聴く」というのは一緒ですね。今のBtoBの営業の世界、「私たちはこれをやりますから、買ってください」では競合がいるから、結局値段勝負になっちゃう。

だからまずは優位性のあるものが売れるかどうかをヒアリングして、「あっ、なるほど」というものが見つかると早く情報が聞けるので、値引きを要求されずに売れるんです。

誰もが持っている商品だと「これはA社さんもB社さんもあるじゃん。いくらになる?」という。こんな簡単ではないですけど、結局あまり利益が出ない。だから業界初のものを一緒に開発すれば、1年ぐらいはすごく利益が取れます。

1年経つと、なぜか他社が作ってくるんですよ。大手さんは絶対に1社購買は困るので、図面を相手さんに出しちゃうんです。2社や3社になるともう駄目なんですけどね。でも新しいものを開発していくためにヒアリングを繰り返していると、けっこういい利益が取れたりしましたね。

大村:なるほどね。ありがとうございます。

豊岡:すごく参考になりますね。確かに業界初のものを一緒に開発していくのはいいですし、どんなジャンルでもできますよね。研修の内容もそうですし、(ほかに)ない研修を作ればいいんですからね(笑)。

大岩:そうですよね。比較されるとその時点で、購買や調達が探して見積もりをかける。そうすると絶対に値段を叩かれてしまうので、やはり他社にはないものがいいですよね。

大村:競合がないものでやったほうがいいわけですもんね。

ブルーオーシャン×こじんまりしたビジネスの難しさ

大岩:ただ、あまりブルーオーシャンすぎても相手の興味がなさすぎるから駄目なんですけど(笑)。

豊岡:そうですね。最初にファッションの本を出した時、コンサルティングや研修をやり始めたんですけど、初めは本当に誰も骨格診断自体を知らなくて。コロナ前だったので7年とか8年くらい前の話なんですけど、(当時は)ぜんぜんはやっていなかったんです。だから「人の骨格なんか触って、どうするつもりなんですか?」と言われたりして(笑)。

「人前で人の体を触るなんて、何を考えているんですか?」と怒られたり(笑)。ブルーオーシャンはそれはそれで厳しいんですけど。

大岩:そうそう。こじんまりしたビジネスでブルーオーシャンはちょっときついですよね。

豊岡:きつかったですね。この良さをどう説明するのか、熱弁を振るう感じになってしまって。それがコロナが始まってから、ちょっとずつ流行してきたんです。みなさんがネットで服を買うようになり、若い方が「TikTok」で「私の骨格は?」と流行らせてくれて。

コロナが始まってから一気に骨格診断やカラー診断が流行したんですよ。「自分に何が似合うのか」というタイプを決めるパーソナル診断のコンテンツが、すごく人気になりました。そこから急にお仕事が増えたんです。それまで準備をしてきたからこそ、「これをやれる人はいる?」という時に「はい、できます」と言えたんですね。

急にその時から始めても実績がないですけど、私はそれまでにいっぱい試してきていたので研修も監修もできた。「こんなコンテンツも作れますよ」と手を挙げることができたんですよね。

大村:なるほど。僕もそういう意味では似ているかもしれない。コロナになる前の2018年くらいから「Zoom」のオンラインセミナーをけっこうやっていたんですよ。だからZoomのやり方には慣れていたんですね。コロナになった瞬間にリアルなセミナーは全部なくなったけど、その代わり「Zoomで運営からブレイクアウトまで全部できます」というセミナーに年間100回も登壇しました。

それはまさに自分が準備してきたからバッと活かすことができた。だから(豊岡さんと)似ているなと思って。常にそういう準備は重要なんだなと思いました。

気づいたら、あと10分ちょっとになってしまいました。ごめんなさい。まったく本の内容を探れないまま来ちゃったんですけど、軽くご著書の内容や「ここを読んでほしい」というポイントを、ぜひ教えていただけるとうれしいなと思います。

高額商品は「人に相談する前に契約させる」

大村:じゃあ、大岩さん、お願いします。

大岩:はい。僕はさっきから営業のスタイルの話をしていますが、BtoBの中でもトヨタ系、ソニーさん、パナソニックさんに形のあるものを売るのが僕の専門なんですね。

確かに愛知県は製造業が多いので、今までの本も「良かったです」と言われるんですけど、これが別のところに行くと「ちょっと違うんだけど」とよく言われていたんです。今までの営業本は「これは一部の偏ったテーマだ」とコメントで書かれたりして……。

でも今回の本はBtoC、BtoB、有形商材、無形商材など分けていて、みんなが読めるように仕上げています。BtoBだけじゃなくて、BtoC的にちょっと早めにクロージングをする場合、やり方が汚いんですけど、人に相談する前に契約させる場合とか(笑)。

大村:人に相談する前に契約させる(笑)?

大岩:行動経済学でもあるように、高額商品は相談すると、ふとわれに返ってやめちゃうんですよね。詐欺師と一緒で「人に相談する前にはんこを押せ」という。「今日限りだ」という手法も取り入れているので、いろいろな人が読める本に仕上げたつもりです。

ただ最終的には「人と会わなきゃいけないんだよね」ということは、みなさんがおっしゃっているとおりです。あと僕は営業成績は本当に良かったんですけど、各章の後ろには僕の失敗談も入っています。

大村:これが、ぶっちゃけおもしろい。

大岩:これを見た7、8年来の取引先から「先生、これはひどいね。営業でこんなことをやったの?」「これを知っていたら、依頼しなかったけど」と言われたんですけど。「こういう失敗もありますよ」というのがわかりますし、字もすごく大きくて読みやすいので、ぜひ手に取っていただくと……。

大村:そうなんですよ。本当に営業だけに限らず、交渉にも使えるので。

大岩:そうです。交渉も、ある種心理学的な要素があるし。

大村:そうですよね。ブーメラン話法や切り返しとか。

大岩:ヒアリングもあるしね。僕も小さい字が読めないので、編集さんには「字は小さくしないでくれ」と、そこだけはお願いしました。よろしくお願いします。

営業力・販売力は誰にも奪われない宝

大村:じゃあ、次に豊岡さん。まさに発売して10日ばかりではございますが、反応を含めて。

豊岡:ありがとうございます。基本は電子書籍なので、Amazonはもちろん「楽天ブックス」「紀伊國屋書店ウェブストア」などいろいろなところから購入できます。もし紙のものをお求めの場合には、Amazonのペーパーバックで発注すると1日ですぐ届きます。

(この本は)いろいろな思いを込めて書いたので、書きたかったこと、伝えたかったことが全部入っている感じです。営業力もそうだと思うんですけど、販売力は誰にも奪われない宝なんですよね。すごく価値があるものなんです。商品のノウハウは(誰かに)取られちゃうかもしれないけど、自分自身の販売力は絶対に奪われない。死ぬまで持っていられるかなと。

売るものが変わっても大丈夫だし、どこに住んでも使えるんです。例えば大災害があってここに住めなくなっちゃった、命からがら逃げていかなくちゃいけない場合でも、生き延びた先で生きていくすべになると思うんです。

大村:なるほどね、確かに。

豊岡:(私にとって)人生において一番大事にしたい宝でもあるし、それは人と出会うことによって活かされたり、新しく能力が積み上がったりしていくイメージです。さっきお話したように、私は新入社員の頃にノウハウ本をいっぱい読んで実践したので、自分自身の経験になりました。でも、いろいろな人にお会いすることによって、それが宝になったんです。

あとみなさんがチャットに書かれているみたいに、「こんなお客さまはいるの?」というような人からも、すごく勉強になることがいっぱいありました(笑)。それが自分の身に、血肉になったので。

すごくつらい経験も、結局それが全部宝になる。だから(販売力は)「すごくいいものですよ」ということを伝えたくて、「本を出したい」とずっと思っていたんです。

大村:まさにその本が今回出たということですよね。ぜひみなさんに、読んでいただきたいですね。

豊岡:あと大村さんも本の中で書かれていたんですけど、私も最初から本を全部きっちり読まなくてもいいと思っていて。私の本も興味のない方が読んだら飽きちゃうかなと思うので、読みやすいところから読んでほしいなと思います。

AIDMAの法則は興味がない方にとっては長いかもしれないけど、知りたい方は知りたい知識だと思うし。本当にリラックスして「ふーん、こういう人がいるんだ」という気持ちで、読んでいただきたいと思います。

大村:なるほど。ありがとうございます。

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