2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会:今日は記念すべき日になりましたね!
レディ・ガガ氏(以下、ガガ):まさに記念すべき日よ。とってもわくわくしている。ハッシュタグのインプレッションが、わずか4時間で、500万を超えたわ!
司会:その調子でどんどん行ってください! ここで少し話が戻りますが、「ボーン・ディス・ウェイ・ファンデーション」についてお聞かせください。財団が始まった時は何が起きていたのでしょうか。何がきっかけなのですか。
ガガ:私は、アルバム「ボーン・ディス・ウェイ」の楽曲を書き始めていたの。このアルバムの曲を書く作業は、私にとって大変な癒しで、これまで自分で認めたくなかったもの全てを、自分にあらわにする作業だった。
今日、みんなに参加してもらって、会場から持ち帰ってもらいたいのは、自分を被害者のように感じる必要はないし、感じてはいけないということ。
自分を救えるのは、自分以外いないの。私が「ボーン・ディス・ウェイ」の楽曲を書いていた時、自分が本当は何を感じているのか、自分自身に問い続けた。人生を統合し、過去を統合したの。
見つけたのは、何年も向き合おうとして来なかった、抑圧された怒り・憤怒・悲しみだったの。
毎晩、すばらしいファンのみんなの海をのぞき込んで見たの。すると見えたのは、ディスコのミラーボールのように、たくさんの細かな鏡が映し出す、私の姿。そこには、いろんなバージョンの小さな私があったわ。抱えているストレス、不安はみんな共通のものだった。
だから、私たちはここに集まっているのよ。ストレスを感じるのは、脳の仕業。身体の痛みや、エモーション(心・感情の意)の痛みを抱えるのも、脳の仕業なの。出所は全部、同じなわけ。
だから、私たちはここに来た。私たちを受け入れ、共に作業してくれた、「エモーショナル・インテリジェンス・センター」の皆さんに感謝するわ。私たちの願いは、世界中の人に、より気持ちよく生きられるには、ちゃんとしたやり方があることを知らせることだからよ。
さっき学長がおっしゃっていたように、若者に「ああしろ、こうしろ」と命令することをやめて、何をしてあげたらよいか、耳を傾けるようにするには、どうしたらいいのかしら。
司会:普通、世界規模のスターは、長くキャリアを積んで引退を考え始めてようやく、「財団でも設立してみようか」などと考えるものですが、ガガさん、あなたの場合は違いますよね。
ガガ:私は自由人だからね。
司会:わかります。
ガガ:ものごとを逆からやるの。それでいろいろと、ごちゃまぜにしてしまうんだけど。私はアーティストとしての仕事と、「ボーン・ディス・ウェイ財団」のスタッフとしての仕事に境界を設けていないの。背中に「スタッフ」と書いてあるでしょ? 私はアーティストでもあり、ロマンティックなのよ。どちらも同じ仕事だと認識しているの。
私の音楽やショーのファンにはわかると思うんだけど、私が発信するメッセージと私本人は同じなの。私の一部であり、ステファニーとしての一部でもあるの。
以前に話したこともあるけど、また言うわ。「レディ・ガガ」は私自身のために創り出した、私の感じたつらさを表現してくれる、人生のキュレーターなのね。このように私は、自分より強いと感じる人物を創作してうつを克服したの。
でも、突然売れ出したり、孤立したり、いろんな変化があったけど、もともと遺伝的にそうできている私自身を変えられるものは、何もなかった。私はこういう風に生まれついているの。
だから、どんなに成功しても、どんなにチャンスがあって、有名になって、お金持ちになっても、どんなに大勢に認められても、誠心誠意、自分を認めてあげなくてはいけないのは、自分自身なの。
今日この会場では、自分を受け入れること、自分に力を与えること、エモーショナル・インテリジェンス、つまり心の知能を真剣に考えることが、どれほど大切かについて、話しましょう。
学長がさきほどおっしゃったことはとてもすばらしいと思うわ。「学科だけでなく、エモーションの規範や、社会の規範を設けなくてはいけない」。
司会:そういったことを上手に行なっているとガガさんが考える、若い人たちについて語ってください。私は、スマホでずっとガガさんをフォローしていたのですが、ガガさんは、リプライする全ての人々に、ハッシュタグをつけてツイートしていましたね。
ガガ:私は、「私はただの○○ではない(#I’m not just)」というハッシュタグで「#私は単なるソーシャルメディアの中だけの人間じゃない」と書いたツイートをリツイートしていただけよ。私はソーシャルメディアの中だけではなくて、何層にも何層にも渡る深みがある人間なの。ソーシャルメディアだけでは私のことはわからない。皆さんだってそうよ。
さっきまで舞台裏で、学長や母、父や妹と話していたの。「私はサンドイッチの片方のパンになれるだろうか?」って。学長が、学内のカリキュラムや大学運営、教育プログラムを活用して、社会規範や人の心を変革していくのに対して、私たち財団はどうやって、日々を勇敢に過ごしている若者たちに光を当てていけばいいのかしらってね。
哲学、行動、文化を変えて行くことを、啓蒙し、訴えていきたいと思っているの。財団がうまく機能する限り、この先何百年だって、パートナーたちと活動していきたいわ。
私たちの活動内容が、それほど難しいものではないことを、どうしたら訴えて行けるか、いつも考えているの。私たちの財団の活動は、病気の子供たちを世話してその治療費を負担するようなものではなくて、エモーションの問題はとても大切だ、と訴えること。エモーショナル・インテリジェンスは、みなさんの将来や、未来の可能性、幸せな人生を送る能力にも影響する、と訴えたいの。私自身も、幸せな人生を送る能力に影響を受け続けているわ。
こういったことを上手に行なっている若者とは、ちゃんと自分自身の哲学を持っている人たちよ。1日だけ愛想よくするとか、今日だけツイートするだけで済まさないで、日々の生活で、学生や教師として、自分をちゃんと具現している人たちよね。自分のエモーションを、自分や周りの人に対して、きちんと出している人たちなの。この会場にいる大人の人たちに対してもね。
皆さんがお話しを聞いている、お話しをしてくれる人たちは、全員その道のエキスパートよ。私たちは、こんな風に会話を研究しているの。
つまり、この会場には2つの世代がいるわけよね。「私たちは、こうして大きくなった」と言う人たちと、「私たちは、こうして大きくなりつつある」という人たち。
変革し進化して、より平和な社会を築くには、こうやって、共に生きていく必要があるの。
司会:他者に優しくて勇敢な世界を作るには、エモーショナル・インテリジェンス、つまり心の知性と、社会的知性を、どのように活用しようと思っていますか。いつからそう考えるようになったのですか。
だんだんとそう考えるようになったのでしょうか。それとも、そう考えるに至った瞬間があったのでしょうか。
ガガ:他者に優しい、勇敢な世界への道。私たちは、まだ道半ばだわ。とても素敵な表現ね。……申し訳ないけど、もう1度、質問してもらえるかしら?
司会:目標を遂げるために、心の知性ないし社会的知性をどのように使うつもりですか。どうしてそれを使おうと思ったのですか。これらの知性が、物の見方の要だ、ということですか。
ガガ:オーケイ。ではどう使うかをお話しするわね。
私には不安障害の一種が起こって、それですっかり人生が変わってしまったの。抗うつ剤を飲んだけど、そんなものを飲むのは止めたかったの。お医者さんは、飲むように言ったけどね。私が服用を止めようとするたび、止めるのは危険だと言われたわ。神経過敏、躁状態。とても気分が悪かったわ。
そこで、いろいろな治療方法を調べたの。でも、健康を取り戻すためなのに、なんでこんなに、ありとあらゆる分野を掘り返さなくちゃならないのかしらと思っていたわ。身近なところに見つからないの。ご存知のとおり、私は有名人。他の若者が持っているような手段を、私は持ちようがなかったの。不公平よね。
アーユルヴェーダ医学、マインドフルネス、瞑想、マントラ、鍼、吸い玉放血法、お祈りをする時もあったわ。作曲したり、詩を書いたり。女優をやってみたりもしたわ。演技にはずいぶん救われたわ。要するに、こういったことをいろいろと始めてみたの。
ガガ:でも、皆さんによく聞いてほしいことは、やりたくないことに対して「ノー」を言う自分に気がつけたことが、一番役に立ったということなの。
皆さんは学校で、先生方や周りのいろいろな人から、しょっちゅう「何々をしなさい」と言われるでしょう。でも、何をやって何をやらないかを選ぶ権利が、皆さんにはあるはずよ。何が大切で、何がそうでないかも、自分で決める権利があるわ。自分の人生は自分で決めるし、どういう考え方をするかも、自分で決める権利がある。
皆さんは、イェール大学の操り人形ではないし、大学側だってそんなことは望んではいないはずよ。そうでしょう? 大学側だって、そんなつもりはないの。大学側が皆さんに望んでいるのは、一流の情熱であるはず。そのような情熱は、高い人格と、自分が何者であるかをちゃんと把握していなくちゃ持てないわ。
私はこんな風に決断するの。まず「なぜ私は幸せに感じないのかしら?」と考えるの。「オーケイ、ステファニー・ガガ。ハイブリッドな人。なぜあなたは不幸せなの? なぜ音楽を辞めたいと思ったの?」これは2年ほど前の話よ。
私はフラグランス、香水なんて売りたくない。ひたすら握手して、笑顔でセルフィを撮るだけの無意味な時間を過ごすのはいや。自分の存在を浅く感じるから。写真以外に提供できるものを、私は他に持っている。他人のカネ儲けに使われるのは、もういやなの。
オーバーワークになったり、単なる金儲けマシンと化すと、悲しいし、私の情熱やクリエイティビティが後回しにされても悲しく感じるわ。
そこでどうしたと思う? ただ「ノー」と言い始めたの。「いやです。私はそんなことはしたくはありません。そんな写真は撮りたくないです。そのイベントには出ません。そんなことは支援しません。私は支援していないから」
すると徐々に、でも着実に、自分が何者かを思い出せたの。家に帰って鏡を見ると、思ったわ。「私はこの人となら、毎晩ベッドに行ける。なぜなら、私はこの人をよく知っているから。この人はガッツがあるし、ちゃんとした良識も、自分の意見も持っている。簡単に『イエス』とは言わないし、誰かからメールをもらっても、『ああ、どうしよう。こんなことを書いて来たわ! 絵文字もついている。どうしよう。私も絵文字を使うべきかしら。どう思う? こんなこと書いて大丈夫かしら。書けば、気に入ってもらえるかしら。それとももっと別のことを書くべきかしら』なんてことは言わないわ」
でも、これが私たちが生きている時代なの。お互いきちんと向き合ってコミュニケーションをとらない。気付かないうちに、単に生活をやりとりしているだけ。
だから今日、それを爆破してしまって、皆さんと一緒に、できる限り壊していきたいの。
ガガ:だから、この質問に対する私の答えは、長くなるわね。四六時中「私は、本当にこれをやりたいのかしら?」と自分に問いかけて、答えが「ノー」であればやらないということ。皆さんもそうしてほしいわ。
司会:財団が達成した業績で、もっとも誇りに思っていることは何ですか。
ガガ:今日やりとげたことよ。
(会場拍手)
今日この日について、私はとても誇りにおもうわ。今日までは、ずっとインテリの人たちに話をしてきたけど、こんな風に言われるの。「それで、結局のところ、あなたがたは何をする財団なのですか。なぜ、感情が大切なのですか。説明してください。具体的で明白な、どんな変化を期待できるというのでしょうか」
でも今日、ここイェール大学では、皆さんの才覚のおかげか、理解力か、学識のおかげかはわからないけれど、急に問題が少しシンプルなものに思えてきたわ。それにみんなが「そのとおり! 感じることや感情は大切だ」と言ってくれた。
こんな時代に生きてはいるけど、私は単なる絵文字じゃないの。そして感情について真剣に考えてもらえるように、母と私がとても長い時間をかけてがんばってきたことを、誇りに思うわ。
そして、若者たちの言うことに、もっと真剣に耳を傾けるべきだと思うわ。彼らが「自分は悲しい」と言ったら、単に「強くなれ」とか「頑張れ」とか「向き合え」と言うだけではいけないの。こう言ってあげるの。「私はここにいて、ちゃんと聞いているから、ありのままの自分を出してみて」
司会:なぜイェール大学とのコラボレーションをしようと思ったのでしょうか。
ガガ:しない理由がある?
(会場笑)
ガガ:素晴らしいチームだし、たくさんのコンピュータが私たちの力になってくれたわ。すばらしい研究やリソースをたくさん提供してくれた。今日、これから皆さんとコラボレーションを始めることにわくわくしているわ。皆さんと共に、最先端の研究を行なうことができる。
財団のいろいろな考え方を、この新しい場に持って来て、統合できる。そのうち私自身が、実験台になるつもりよ。
なぜなら私は、皆さん自身だからよ。私たちは、皆一緒なの。
(会場拍手)
司会:あなたは「#私は単なる○○ではない」というハッシュタグのツイートを、ずっと続けていましたね。このハッシュタグを知らない人のために、それが何かを説明してください。
ガガ:「#私は単なる○○ではない」というハッシュタグは、このカンファレンスをフォローする手段の1つよ。いろんな人とつながる手段なの。見ている人が行動できるよう、いろいろな場にきっかけを作ってあって、これはそのうちの1つの型ね。世界中の若者に見てもらいたいと思ったから。そして、実際に見てもらえたみたいね。今日は少なくとも、500万人が、このツイートを見てくれたから。
この人たちに、「感じる」ことを変えるパワーは、自分たちにあることを、思い出してもらいたかったの。心の中身を癒す方法は、外へ探しに行く必要はなくて、中を探せばいいの。
「私は単なる」ポップスターではないし、「私は単なる」有名人でもないの。「私は単なる」ドレスでもないし、「私は単なる」不安な人でも、不安に乗っ取られたうつ状態の人でもない。私は、みなさん自身だから。
でも、私たちが皆で、ありのままの自分を表に出せば、そして自分たちの物語をシェアすれば、上の世代の人たちは、ちゃんと聞いてくれる。サンドイッチ効果の変革ができるの。大学の運営や、学校の先生方のカリキュラム訓練だけでは手に入らないような効果がね。
学長は、学生との対話に保健・医学的なアプローチを導入するために、ガイダンス・カウンセラーたちを研修中だと話していたわ。これはとても興味深いわ。
こういう試みをいろんな所で始めて、アメリカ中の若者が目覚めて反乱を起こし、「自分たちの話を聞いて! 自分は悲しい」と話し始めたらいいわ。
私は自分の声に耳を傾けているわ。みんなは、どう?
私は、自分が悲しくなることはしないわ。絶対しない。私の夢は、皆さんが毎朝目を覚ましては、お互いの話を聞くギフトを贈り合うことよ。すると、それはドミノ効果で波及するわ。
司会:ガガさんの今日の目標とは何でしょうか。
また、これから何人かの若い人たちとパネルディスカッションをしようと思います。ガガさん、何が起こればこれが「ウィン」になると思いますか?
ガガ:もうすでに「ウィン」だわ。皆さんがこの会場に集まってくれたから。
(会場拍手)
私の友人のエマが今日ここで、大人たちに向けたすてきなスピーチをしてくれたの。事前には予定していなくて、エマは「車いすで転がり込んで」スピーチをしてくれたのよ。彼女はきっとどこかで笑っているわ。私たち、さっき「車いすで転がり込む」ことについて冗談を言っていたから。
エマは私の友達なの。ずっと車いす生活をしている。彼女が来た時に私が言ったの。「エマ、会場の皆に何か話してくれない?」って。ああ、会場のあそこにエマがいるわ。エマはマイクを取って、何年も抱えていた深い思いを、表現してくれたわ。
私がエマに会ったのは、何年も前、「勇敢に生まれた人々のバス」の中でなの。エマは私に言ったの。「ガガ、あなたは苦しんでいるの? 何だか苦しそうに感じるわ」エマはその時、汗びっしょりで背中を丸めて車いすに座っていて、とても苦しそうだった。
でも彼女は、わざわざ時間を割いて、私を気にかけてくれた。これが優しさというものなの。これが真の勇気なの。彼女なら、みんなに何かを伝えられるにちがいないと思った。だから今日、とっさにエマにマイクを渡したのよ。
エマは私を見て、「私に何を話せと言うの? 困ったわ!」といった顔をしたけれど、ちゃんと話し始めた。「私は、誕生時の脳の出血で、小さい頃から脳性まひを患っています」彼女は言ったの。「成長するにつれ、とても悲しく、うつ状態になり、自殺願望を抱きました。両親には何と言ったらよいかわからず、両親も私にかける言葉が見つかりませんでした。だから、私たちは何も言わなかったのです」
私たちがここにいるのは、まさにこういう事態に対処するためなの。エマは、「両親は何も言いませんでした」と言ったわね。
子供が「私は悲しい」と言う時には、耳を傾けなければならないの。なぜなら、信頼してもらえないことは、若者にとって、とてもつらいことだから。ここに、真実があるの。まさにここにね。だから、私たちはこの会場に集まったの。これが、自分たちのハートや心をオープンにしなくてはならない理由。
私たちは、時間をかけて、知的でアカデミックで、心のこもった場を作っていかなくてはならない。そして問題をシンプルにするの。そうすれば共に、本当の変革を作っていくことができるの。
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