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The Invisible Line in the Indian Ocean(全1記事)
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オリビア・ゴードン氏:インド洋の諸島のうち2つの島は、まったく異なる動物集団によって、分布境界線で隔てられています。この線は発見後に「ウォレス線」と言われるようになりました。それが存在している理由を知るためには、3分科が必要になります。
長い年月をかけて動植物は大陸や気候を経てゆっくりと変化していきましたが、その種の生息地は明らかに異なった境界で隔てられていることが分かりました。


境界線はたいてい山や川によって隔てられるものですが、ウォレス線に関してはそういった明確なものはありません。地球上の生物の分布や生態系について研究する学問が生物地理学ですが、動物がいかに進化しその生涯を終えるまでその地での活動に貢献してきたかについては、まさに生態学の根幹をなすものです。
しかし地理学や気候学もまた、大事な科学的専門分野となっています。生物地理学者はこうした分野を総動員し、地球を動植物群が生息する地域に分解して解釈します。
今日、生物地理学の範囲は地球全体を含んでいますが、その起源は1800年代に博物学者がインド洋の動植物が特異な行動を発見したことによります。それを発見したのはアルフレッド・ラッセル・ウォレスという学者であり、生物地理学の父と呼ばれています。
彼はまたチャールズ・ダーウィンの自然選択説の共同発見者としても有名です。ウォレスは1840年代から60年代にかけてアマゾンと東南アジアを広範囲に探索し、進化論の根拠となるものを探し求めました。そして彼は多くのものを発見しました。

発見したものの1つとしては、河川や山脈といった地物でした。そこではたとえ気候が似ていても、両大陸にはそれぞれ異なった動物が生息していました。そこには地理的障壁が関係しており、新種が生まれて2つに分かれ、さらに新たな環境に適合するようになりました。
しかしウォレスは少々変わったものを発見しました。それはインドネシア近辺の諸島に生息する種を分けるための、はっきりとした“見えない線”でした。
1つはアジアに生息するような動物がいて、もう一方はオーストラリアに生息するような動物がいました。この2つの大陸はたくさんの島々同士で繋がっていますが、そのほとんどは160キロほど離れています。
なのでトラやゾウといったアジアの動物相からカンガルーやカモノハシといったオーストラリアの動物相にいたるまで、1つの島から別の島まで移動するにつれ徐々に変化していったと考えるでしょう。しかしそうではありませんでした。
つまりボルネオ島東部にて、連なる山々のような明らかな境界などがあったというわけではなく、その変化はまさに突然発生の類のものでした。

ウォレスがつけた線引きの位置や線引きの方法についてはおおよそ間違っていないのですが、彼がその地域に対して持っていた地質学の知識は現代の私たちのそれよりも劣っていました。それがいまだにウォレス線と呼ぶ所以です。
ウォレスは島々を隔てている海のほとんどの場所の水深は浅いことを知っていましたが、アジア・オーストラリア間のような海の水深はかなり深いとされています。

当時の科学者は氷河期のことを知っていたので、ウォレスはすべての水が氷河の下で凍っていたとき水位が深くなったことを知りました。
氷河期の時代、浅瀬にある島々は海面より高い位置にあり乾燥していたため、陸続きでさらに本島に繋がっていました。しかし水深の深いところでは2つの島はそのままの位置にあり、泳いだり飛んだりできる動物を除いてそれぞれの島の生態系は分け隔てられていました。
ウォレスの貢献のおかげで、現代の科学者にとって当時何が起きていたか知るに足る十分な情報です。
しかし、私たちはそういった場所において水深が深い理由を知っています。それが構造プレート、もしくは巨大な地殻が重なり合っています。ウォレスの死後、長い間この構造プレートに関する詳細は大きな動きを見せることはありませんでしたが、その後彼の観測が始まりました。
今では構造プレートは種の境界として考えられ、巨大な大地の一部である北と南アメリカの動物がこれだけ異なっていることなど、多くの謎を解明するのに寄与しています。
これは百数万年前に、さまざまな種がすでに生息していた後、構造プレートが陸繋ぎになっていなかったことが考えられます。


現代の地図からは長い時間とともにこのような変化があったことを忘れさせるくらいです。
しかし地質学と気候学においてこのような動きが、現代の動物たちの共同性を築き上げてきたのです。そして素晴らしいところとしては、地質について知れば知るほど生態に詳しくなり、またその逆もしかりとなるわけです。
氷期や大陸プレートなどの事柄について知らなければ、異なる種がなぜ存在しどこで生息しているのかについて完璧に説明できることもありません。これほど素晴らしい自然科学の魅力なので、研究意欲は尽きることがありません。
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