2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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立川健悟氏:次の例です。「期間限定を逃して損をしたくない?」です。「先着100名限定」「7日間に限り割引」「今だけ無料」、いろいろな場所でよく見る広告です。
これらの広告を見て、「なんか損をするんじゃないか」と感情を操られて、買う予定がなかったものをついつい買ってしまうこと。これは「損失回避性」と呼ばれています。
もちろん、お金持ちはこれらの影響も受けません。彼らは自発的に、自分の必要な物に対してお金を使いたいと考えています。そのため、必要のないタイミングにどんな広告を見ても、一切振り回されないのです。
これも自分たちで訓練によって習得することが可能です。広告物を見て少し心が動いた時にひと呼吸ついて、「本当にこれは、今どうしても必要なものなのかな?」と考えてみると良いでしょう。
ちなみに私も「ちょっとのどが渇いたな」と思い、自動販売機の近くに行くことがあります。そこで、「これは今、本当に必要かな?」と考え、思い直して釣り銭のレバーを引くことは、いまだに年に数回あります。
次は「お金を払ったからには元を取らなきゃ」と考えてしまうもので、「サンクコスト効果」と呼ばれています。例えば、ビュッフェに行った時に「お金を払ったからもう1品、もっと食べよう」と、ついつい余計に食べてしまいませんか?
他にも、サブスクリプションの動画視聴サービスを使っていて、「今月はあまり見ていないから、映画を何本か観よう」と、だらだらと時間を過ごしてしまうこと。自分が使ったお金以上の満足を得ようと考えるあまり、ついムダなことをしてしまう行動は、サンクコスト効果によるものです。
しかし、お金持ちはここも違います。お金持ちはお金より時間が大切と考えているため、納得すればそれ以上、そこに時間もお金も使いません。
自分でできる訓練としては、あえて昔のことは全部忘れて、これからの自分が時間やお金を投下していくのが本当にいいことなのかどうかを見極めること。お金持ちと同じように、感情を操られて無駄なところにお金や時間を使うことがなくなります。
最後は「顧客満足度90パーセントはすごい!?」です。例えば、手術の成功確率が95パーセントと、手術の失敗確率が5パーセント。実は確率で言うとまったく同じなのですが、おそらくみなさんは前者に安心感を持ち、後者には少し不安を感じたのではないでしょうか。
これは、焦点を変えることで意思決定を促す「フレーミング効果」というものが使われています。先ほどの「顧客満足度90パーセント」もそうですね。実際は不満な人が10パーセントいるものの、目に見えてるものは90パーセントの満足なので、それを受けて私たちも安心してしまうわけです。
しかし、ここでもお金持ちは違います。先ほどのケースで言うと、「顧客満足度90パーセント。では、10パーセントは何が不満なんだろう?」と、その部分を汲み取ったり。
「手術の成功率は95パーセント。では、5パーセントはなんで失敗するんだろう?」と、広告に出ている部分の数字の裏側や販売者の意図の裏を読んで、その上で見極めています。これは自分たちでもまったく同じことができるので、ぜひ試してみてください。
この他に2章では、行動経済学を無力化するお金持ちマインドについて書いています。
第3章は「お金を自由に使いたければ○○を設計せよ」です。この○○に入るのは「ライフプラン」。ライフプランは、金銭面から見た人生の設計図と言われます。もう少し具体的にお伝えすると、今後の収入と支出を見える化することで、数年後どんな資産状況になっているかを把握するためのものです。
実はこれがわかっていないと、もしくは決められていないと、お金を自由に上手に使うことはできません。みなさんは覚えていらっしゃいますでしょうか? 実はライフプランは、老後2000万円問題を提言したきっかけになった2019年の金融庁レポートの中にも記載があります。
「日本国民はライフプランをしっかり立てて、立てた計画に沿ってきちんと資産形成をしてください」と、国からの“宿題”として書かれています。ライフプランの立て方を細かく話すと長くなってしまうので、少し抜粋して話します。
ライフプランは大きく3つのステップで考えます。1つ目は、今と将来の収入の把握です。現在の収入はもちろん、将来得られるであろう収入。もっと遠い未来で言うと、会社の退職金や、公的年金などの年金。
そこに、収入以外の資産も含めていきます。貯蓄や、株や投資信託などの投資も加えましょう。ご自身もしくはご家族に入ってくる収入を、トータルで把握することが、最初のステップとなります。
そして、将来の収入を把握する上でのコツは、あまり多めに見積もらないことです。中には「もっともっと出世するから、何年後にはこのぐらい収入が増えてます」と話す人もいます。
ただ、状況は変わりますし、本当にそうなるかわからないので、なるべく手堅く見た収入、給与、賞与などを見込んでいくのが正解です。
2つ目のステップは、支出を把握すること。ここでは、将来にわたって発生する支出を把握しましょう。一生かかってくる生活費。住宅費については、持ち家の人であれば住宅ローン、賃貸にお住まいの人であれば家賃。お子さまがいて、学校に通っていれば教育費などもかかります。
そして、自分たちが自由に使えるお小遣い。その他にも、例えば「家族で旅行に行きたい」「車を買いたい」など、将来大きなお金を使う予定があれば、それらを含めて生涯の支出を把握していきます。
支出を把握する上でのポイントは、少し多めに見積もること。生活している中では、突発的にお金がかかるからです。そこで、計算する上でおススメしているのは、支出を把握した上で、「1割増し」と少し多めに支出を見込んでおくこと。
先ほどの「一生で稼ぐであろうお金」から「一生で出ていくであろうお金」を差し引きすることで、自由に使えるお金が把握できます。
もちろん、これは「一生で入るお金」と「一生で出ていくお金」なので、その都度どのくらいお金が入って、それぞれのタイミングでどのくらいお金が残ってるかは、これだけでは明確にできません。
より正確に知りたい場合、ファイナンシャルプランナーやお金の専門家の方々に相談すると、収支のわかるものを出してくれることが多いです。
例えば、今見ていただいている資料は、左から右に向かって「年齢」、下から上に向かって「金額」を示しているものになります。それぞれの年度ごとの収入と支出について示しているものです。
年度別に見ていくと、収入が支出を上回っている年度は黒字、収入を支出が超えている年度は赤字ということがわかります。また、年度ごとの収支がわかり、かつそれぞれが持っている資産状況を突き合わせていくと、金融資産の残高の推移もわかります。
その結果、冒頭でお伝えしたライフプランに合わせて、40歳、50歳、60歳の時に、おおよそいくらぐらいの資産を持っているのかがわかるのです。
ちなみにお金持ちは、このライフプランを必ず立てています。ご自身が何歳の時に、おおよそいくらぐらいの資産を持っているか。彼らの場合は相続対策が必要なので、より正確にやっているところもありますが、みなさん(ライフプランを)必ず用意されています。
「何歳の時点で、いくらまでであれば自由にお金が使えるのか」ということを、お金持ちは必ず知っているということです。
ここからは本には書いていない番外編です。これは日本人の傾向を示したものですが、実は日本人は、貯めたお金をほぼ使うことなく亡くなる人が多いというデータがあります。65歳以降、持ってる貯蓄がほとんど減らないのです。
では、貯蓄の減らない日本人たちが満足のいく人生だったのかというと、実はこれには残念なデータがあります。
こちらは、内閣府が出している「年齢による幸福度の推移」という資料です。これはけっこうビックリですね。日本人は15歳時点の幸福度が最も高く、そこからどんどん下がっていって、70歳ぐらいで底を打ちます。その後は少し上がってきますが、なんだかモヤモヤする人生を送っているのが日本人の平均だということです。
ちなみにアメリカ人はどうなってるかというと、まったく逆ですね。15歳から幸福度が下がるところまでは一緒ですが、35歳ぐらいで底を打ち、そこから先はどんどん幸福度が上がりまうす。そして「人生は最高」というところで生涯を終える人が多いそうです。
では、アメリカの方が貯蓄をすごく減らしているかというと、実はそこは日本とそんなに大きな違いはありません。ただ、アメリカの方のほうが、金融投資などで資産を増やしている傾向が強いので、差し引きで見ると、日本人よりもお金は使っているのだと思います。
つまり、お金持ちのようにライフプランをしっかりと立てて、お金を自由に使える人生を送ったほうが、幸福度が上がるということです。その他にも3章の中では、貯蓄のタイミングや、お金を貯める上での心構えの内容についても書いています。
そして第4章は「未来への投資としてのお金の活用法」です。よくYouTubeなどでも、お金の専門家から「お金を使う時には『投資』と『消費』と『浪費』の3つに分けて使いましょう」というアドバイスが見受けられます。
しかしお金持ちに言わせるとまったく違います。「いやいやお金を使う時は、『投資』と『投資』と『投資』だ」と。お金を使う限り、どんな時でも投資と考えているわけですね。さらに、お金持ちがお金を使う時には、価値を上乗せしてお金の力を最大限に引き出す能力も持っています。
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