落ち込んだ時、ネガティブな感情になった時の回復方法

司会者:次の相談に移ります。落ち込んだ時の回復方法ですね。こちらは2人から質問をいただいています。お一人目ですね。「ミスや人に評価されないなどでダメな自分と落ち込んでしまった時の回復方法を教えてください」。

もう一人の方は「産休に入った方の仕事を引き継いだのですが、上司に『○○さんはもっと要領良くやっていたよ』と言われ、『要領良くやらなきゃ』と思うほど空回りし頭痛が止まらくなり、ついに休職することになってしまいました。体調は戻ったのですが、現場復帰を考えるとまた同じように頭痛がしてしまいます」。

「ただ、今年40歳なので、『ある程度安定性のある今の職場にしがみつくしかないのでは』というネガティブな感情に支配されてしまいます。F太さんはネガティブな思考のスパイラルに入った時、どうやって視点を変えて自己肯定感を高めていますか?」というご質問です。

F太氏(以下、F太):そうですね。今コメントのほうでも、「挑戦はいろいろしてきたけれども、それがダメだったという傷つきが蓄積して、挑戦するのがしんどくなってしまっている」というお話がありました。確かにそれもあるなって思いましたね。

僕はそれでアウトバウンドに手を出さなくなったんですよね。痛い思いをして、もうアウトバウンドは懲り懲りで、試さなくなりました。だから僕の中では、傷ついてそこから手を引いた分野ではあるんでしょうね。

ネガティブ思考のスパイラルに「気づく」ことが大事

F太:落ち込んでしまった時の回復方法。まずは「いや、自分はマジでダメだな」って、それこそ八方塞がりモードとか、どうしようもないんじゃないかってなった時に、「ネガティブな思考のスパイラルに入っているな」って思ったら、さっきも少しお話ししたんですけども、そこでいったん区切ってほしいんですよね。

「うわ、今やばい。ネガティブなことを考えてるな」って気づいたら、いったん「良かった。気づけた」って思ってほしいんですよ。実際その通りで、「解決しなきゃいけない」ってどうしても自分は意識の中では思ってしまうんですけれども、意外と自分で自分が考えている状態に気づくことができると、わりと感情はフラットなほうに向かうんですね。なんとなくそうできているんですよ。

ずっと考え続けてエネルギーを注いじゃっているから、なかなかその感情から抜け出せないんですけど、じーっと「今ネガティブなことを考えているな」って気づいて、「もう考えないようにしよう」って思えれば、だんだん消えていくんですね。

ただ、すぐには消えなくて。小指をぶつけると痛いじゃないですか。「いったー! 痛み消えろ!」って思っても、消えないじゃないですか。あれと同じで、痛い時は痛いんですよ。でも放っておくことができれば、いつの間にか気にならなくなる。それがたぶん感情にも当てはまるのかなって思います。

司会者:なるほど。いったん自分が傷ついている、もしくは落ち込んでいる状況を客観視して、その自分を認めてあげることなんですかね。

思考ではなく「感情」にフォーカスを当てる

F太:そうですね。ちょっとマニアックな話をすると、「自分を認めよう」とか、もちろんそれができるんであればすごくいいんですよ。ただ「認めようったってこんなダメダメな自分を......」って思考がまた起こってしまうと思うんですね。

なので、自分に優しい言葉をかけても受け入れられない、どうしたって責めてしまうようなときは、その場で考えに考え尽くしても解決しない。だったらそれ以上のエネルギーを注がないほうがいいんですよね。そのためにお勧めなのは、考え方や思考でなんとかするんじゃなくて、自分の感情にフォーカスを当ててほしいんですね。

最近ツイートした内容なんですけど、思考じゃなくて感情にフォーカスを当てるっていうのは、説明が難しいんですけど、例えば「不安だな」という感覚があります。僕は胃がきゅーってなるのが一番不安な時なんですけど、その不安の原因となっている「思考」ではなく、あと胃のあたりがきゅーってなる「身体感覚」そのものに意識を向けるんですね。

例えば肩が凝っている時に、「肩凝っているな」って、凝っているところに意識が向くじゃないですか。それと同じで「胃がきゅーってなっているな」というところに意識を向ける。ずーっと意識を向けてじっとしていると、少しずつ感情がほぐれていくんですよ。これが一番端的に、感情をなんとかしたい時にお勧めの方法ではありますね。

司会者:感情を眺める感じなんですかね?

F太:そうですね、瞑想と近いと思います。ただこれはごめんなさい、僕自身が何かカウンセラーの資格があってお勧めしているものではないので。

特にご相談いただいたように、実際に休職するような状況でしたら、おそらくカウンセラーさんとか精神科医の方にご相談いただいていると思うので、そういった専門の方に相談の上で「こんなふうに感情と向き合ってみているんですけど」って共有した上で試していただくのがいいかなと思います。

おすすめは「居れそうな場所」をたくさん持っておくこと

司会者:ありがとうございます。たくさん本当に質問をいただいていますが、本当に優しい方が多いんですね。

F太:(「水分をとってくださいね」とのコメントに対して)僕自身の体調まで気にしていただいて。

司会者:(笑)。本当ですね。

F太:大丈夫です。始まる前にたっぷり水分を採ったので(笑)。

司会者:「『○○さんのほうがもっと要領良くやっていたよ』って言うなんて、嫌な上司だなと、私は率直に思ってしまいました」なんてコメントもいただいていますね。

F太:本当ですね。同じことで課題を感じていらっしゃる方がすごくたくさんいらっしゃるんだなって思いますね。

司会者:ありがとうございます。

F太:あと1ついいですか? もうちょっとお話ししても大丈夫ですかね。

司会者:大丈夫です。

F太:落ち込んでしまった時の対処法というより、こういった落ち込み方をできるだけしないように、ぜひ日頃からしておくといいお勧めの方法なんですけど。

司会者:知りたいです。

F太:自分の居場所というか......居場所って言うとちょっと重いんですが、自分自身の居れそうな場所をできるだけたくさん持っておくのはすごくお勧めですかね。

「インターネットで仲がいい関係」はメンタルにいい

F太:今、インターネット上でコミュニティを形成しているところがたくさんあるじゃないですか。

コロナの影響ももちろんあるんですけど......でも自分がいいなって思う人、好きだなって思う人がやっているコミュニティとかサロンには、似たような感性の人が集まっているから、似たような話ができるんですよ。すごく楽しいんですよね(笑)。

あとは、本を読むのが好きな人は、例えばflierというサイトとか、経済系が好きだったらNewsPicksというサイトがあったりとか、僕たちが運営していたコミュニティの「ライフエンジン」というサイトとか。僕自身は今参加はしてないんですけど。

あとは、今僕が一緒にラジオをやっている鳥井弘文さんがやっている「Wasei Salon」とか、いろんなコミュニティがあるので、そこをちょっと覗いてみる。さらにコミュニティの中にさらにいろんなコミュニティがあるんですよね。読書会をやるグループとか、サバゲーをやるグループとか、TRPGをやるグループとかいろいろあるんで、そこからちょっと自分の趣味とかでつながっていくやり方ができると思います。

ぜひ、インターネット上のコミュニティーにちょっとだけ顔を出してみてください。実際会ったことはないけどインターネットで仲がいい関係は、めちゃくちゃメンタルにいいので、やってみてほしいなと思います。

司会者:確かに。

自分の居場所を分散させておくと、心の支えにもなる

F太:自分の居場所ことを分散しておくと、会社で挑戦して失敗した時にも、例えばインターネット上で情報発信とかいろいろやってみたけど続かないとかうまくいかないこととかがあっても、そういったコミュニティに入ればけっこうあるあるだったりするんですよね。

いやな経験が「あるあるなんだな」ってわかれば、「こんなクレームいただいちゃって」「いや、いるよね、そういう人」っていう話で、盛り上がれたりするんです。

司会者:確かに(笑)。

F太:これはすごく心の支えになると思うので、ぜひ同じような目標を持っている方同士のコミュニティも探してみるといいのかなと思いますね。

司会者:ありがとうございます。コメントにもいただいていたんですけども、「依存先をたくさん作っている人が自立した人だとも言われますよね」って。まさに。

F太:本当ですね。どうしても「僕は知らない人とのコミュニケーションは苦手だからな」って、コミュニケーション全体に苦手意識を持っちゃうと、オンラインコミュニティを試すといった選択肢はちょっと出てこなくなっちゃうんですよね。

それもやっぱりもったいないと思うので、無意識に捨てちゃっている選択肢を見直してみてほしいなとは思います。文章のコミュニケーションで本領を発揮できる人って、いっぱいいますよ。やっぱりコミュニティを運営してみて思いました。

司会者:ありがとうございます。本当にその環境だけでの自分で、自分自身を評価しないことが、すごく大事だなと思いました。

F太:いや、本当におっしゃる通りです。そういうことですね。

がんばるべきか休むべきか、「判断」のポイント

司会者:ありがとうございます。あと10分弱になりますので、次の質問に移りたいと思います。

F太:いただいた質問で答え切れなかったものは、noteとか、あらゆるかたちでお答えしたいなとは思いますね。

司会者:そうですね、ありがとうございます。次は休養のタイミングについてです。こちらも2名の方々から質問をいただいています。

1人目。「ハラスメントで抑うつ状態になり、長年勤めた会社を退職しました。退職後は食事を作ったり家事をする以外は、眠ってばかりいる日々を過ごしています。

体も大変弱いため、再び社会へ出て何らかのリスクに遭うことを思うと気が重く、何かを始めようとする気が起こりません。無能感にも苛まれます。貯金が尽きる前に仕事を始めないといけません。始動するコツがあれば教えていただけないでしょうか」。

もう1人、「私は今、適応障害の診断を受け休職中です。原因は職場での業務過多や上司からの叱責、同僚からの評価を自分の実力不足のせいだと思い込み、心身共に不調をきたしたことによります。

今なら当時の自分に必要だったのは、できないことを克服しようとするのではなく、休養だったと思うことができます。ですが、これは自分の判断というより、医者の診断や第三者からのアドバイスから『まだがんばれる』と強情を張っていた自分を納得させたかたちでした。

そこで質問です。仕事で困難な課題にぶち当たった時、自分はがんばったほうがいいのか休養したほうがいいのかという判断はどのようにするといいのでしょうか?」という質問です。

「自分以外の人を頼る」のが一番大事

F太:これはですね、すでに今、このご相談いただいた方が実践していらっしゃることがベストだって僕は思っています。つまり、自分以外の人を頼るのが一番大事かなと思います。

例えばお医者さんに今の状況を相談して、客観的に今の自分はがんばりすぎなのかどうかを自分自身で判断せずに、他の人に、信頼の置ける人に相談してジャッジしてもらうことですね。そういった「仕組み」を作っておくことで、がんばりすぎを防げると思うんですね。

一緒に本を書いた小鳥遊さんと僕は、タイプが真逆で。小鳥遊さんはこのご相談者さんのようにがんばりすぎちゃうタイプなんですね。体調がおかしくなってから気づくタイプだと仰っていました。

僕自身は、けっこう早い段階で体がもう無理ってなっちゃうんですね。仕事へ行きたくなくなっちゃうので、そういう意味では、うつになるずっと手前で動けなくなるので、過剰なセーフティーネットが働いている感じなんです。

小鳥遊さんは、パートナーさんとかお医者さんとかに常々相談しながら、「自分自身がやばそうだったらちゃんと止めてね」って、あらかじめ身近な人に伝えてある。「ちょっと大丈夫? がんばりすぎだよ」って言われたら素直に休むことを実践しているって仰ってました。

司会者:なるほど。

自分自身が発する「シグナル」を把握しておく

F太:とはいえ、やっぱり自分自身でも気づきたいということであれば、自分自身がやばい時に取る行動があるらしくて。その行動を知っておくというのを小鳥遊さんはおすすめしています。小鳥遊さんご自身はそういうときアイスを食べたくなるそうです。

目がクワッと開いていたりとか、帰るときにタクシーを使い出すとか、身だしなみが適当になるとか、いろいろシグナルが出てくるらしいんですね。そういったものを事前チェックとして自分の中に持っておくことで把握できるようです。

だから自分の感覚よりは、外側の仕組みとか周りの人の判断に頼るやり方が一番いいのかなって思いました。

司会者:どういうシグナルが出るのか、自分で把握しておくといいかもしれないですね。

F太:そうですね。

休職後のネクストステップは「働く」でなくていい

F太:あと時間がぎりぎりになってしまったんですけれども、1つ最初にいただいたご質問の方にお伝えしたいこととしては、休職中ということで、「今は休むことが優先です」ってお医者さんにも言われていると思うんですよ。

もちろんお医者さんのアドバイス優先ではあるんですけれど、とはいえどうしても「職場復帰とかできるのかな」って考えちゃうと思うんですよね。ネクストステップが「働く」っていうのは、ちょっと飛躍しすぎな可能性があるんですよね。

司会者:なるほど。

F太:例えば、働く前に貯金が尽きてしまった場合に頼れる社会保障制度はないのかなってことを探す、というのがネクストステップでもいい可能性はあるんですよね。

「社会福祉制度に頼れるかもしれない」ということが頭があるだけで、八方塞がり感が解消する可能性があって。すごくお薦めのサイトがあるので最後にご紹介したいんですけれども、「お悩みハンドブック」でググっていただければ出てくると思います。

司会者:「お悩みハンドブック」。

F太:このサイトで、いま自分が何に悩んでいるのかチェックして、次へ、次へって進んでいくと、「今あなたが受けられる可能性のある社会保障はこれですよ」というのが一覧で出てくるんです。

やっぱりしんどい時ってじっくり考えられないし、調べられないんですよね。しんどい時でも使えるツールとして、僕はけっこういろんなものを見てきましたけど、これは今までで一番よくできているサイトだなと思います。一度これを触ってみていただくのはお薦めかなと思います。「お悩みハンドブック」。ぜひ検索してみてください。

発達障害やADHDは自己判断ではなく、まず病院へ

司会者:ありがとうございます。最近のF太さんのツイートにもあったと思うので、そこから飛んでいただいてもいいのかなって思いました。もうたくさんの質問、コメントも頂戴してるんですけども、ちょうど相談タイム終了のお時間になってしまいました。

F太:そうですね。最後に一言だけいいですか? ごめんなさい。もう時間ですけど。

司会者:大丈夫です。

F太:コメントのほうでも発達障害とかADHDとかを懸念されている方が多いです。

僕は小鳥遊さんと一緒にやっている都合上、社会福祉士さんとか臨床心理士さんとか、資格を持っていらっしゃる方と相談をしながらイベントを作ったり、そういうところに気をつけてはいるんですけれども。

確かに、(発達障害やADHDが)キャッチーな用語として、よく見かけるようになってきたなと僕も感じています。

もし実際に自分もそうかもしれないと思うことがあれば、自分自身で判断するのではなく、病院にまずはご相談をしていただくのがよいと思います。その上でネット上のコンテンツに触れていくのがいいのかなって思いますね。

考え方が楽になるような情報発信を

司会者:ありがとうございます。そろそろお時間になりましたので、F太さん、最後にご覧いただいているみなさまに向けてメッセージをお願いできますでしょうか。

F太:今日はたくさんコメントをいただきながら、共感していただいたり、プラスで「こういうやり方もありますよ」みたいなコメントをいただいたり、全部の質問に答えられなかったのはちょっと申し訳なかったです。

僕はTwitterやnoteがメインになると思うんですけれども、考え方が楽になるような情報発信を引き続きしていきます。僕もこのような今回のような機会を個人的にも設けられたらいいなと思っているので、ぜひインターネット上で引き続きお付き合いいただければうれしいです。

司会者:ありがとうございます。F太さん、本日は本当にありがとうございました。

F太:ありがとうございました。