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こころの知性対談シリーズ#1【EI(心の知能)×ビジネス】なぜ感情を上手に扱うチームが、高い能力を発揮するのか?(全4記事)

日本人は「自分自身を思いやること」が苦手 他人とうまく付き合うための「心の知性教育」のススメ

「EIを高める物語の力で日本を笑顔に!」クラウドファンディングの一環として行われた、こころの教育グローバル研究所代表オズとも子氏と、スイスでの勤務経験を持つデジタルビジネスイノベーションセンター鹿嶋康由氏による対談の模様をお届けします。生産性・主体性・自律性を高める鍵となる「EI(感情的知性・心の知能)」。最終回の本記事では、自分自身の感情と向き合う重要性、 EI教育の重要性について語られました。

自分の感情をうまく扱えるメリット

鹿嶋:では、この感情知能(EI)はどんなことを教えるのか、みなさんに興味を持っていただくために、少しだけ教えます。こんな感じでみなさんにお伝えしていますよ。

「私たちはどのように他人とつながることができるのでしょうか。自分が思っていることを上手に明確に表現できるにはどうしたらいいんでしょうか。私たちは感情をどのようにコントロールしていますか」みたいなことを聞いていただきます。

仕事ができるというより、ふだんから感情を扱える人はすごく頼りがいがあったり、何かあった時に助けてくれる縁の下の力持ちだったり、心の支えだったりする。そういう人材になるといいよね、と話しています。

EQとはダニエル・ゴールマン先生が作ったと言われています。心の定義よりはもっと大事なものがあって、要するに「これを作る、育む、EQ、感情を扱える力を育むとどんな効果が得られるんですか」と。

自分の周囲と関係をよく築けてより成功に導くことができたり、感情にとらわれてしまうのではなくて、自分の感情をうまく取り扱って対処できたり、自分を前に進めることができるということですよ。

感情にとらわれないリーダーは、チームの成功を育める

鹿嶋:「なぜ重要なんですか」。他人とうまく仕事ができるリーダーは、チーム組織の成功を育むことができますよ、ということです。感情を認識できれば、感情を選べて、感情にとらわれることなく、感情と行動を取り扱うことができるので、困った局面でもうまく切り抜けられます。

実は、自分の感情に気づくトレーニングをしませんかというのが、先ほどあったダライラマのやっている「Action for Happiness」のアプリケーションにも、カレンダーにも入っています。これはすごく大事なことです。「今、自分はどう感じているんだろう」「なんだこのモヤモヤは」みたいなことがとても大事になってくる。

初見の時は1日5回ぐらいやってみてください。私たちがやっているマネジメント3.0の2にも、ニコニコカレンダーというものがあって、これをつけていく。

そうすると自分のバイオリズムだったり、この時何があったんだっけ、とかがわかる。それをみんなで共有すると、お互いに感情が交換できる。そんなことも、今マネジメントをしていく上でとても大切です。リモートワークですから、お互いに見えなくなっているんですね。

ビジネスにも共通する「感情をコントロールする6つの方法」

オズ:今の話だと、例えばリモートワークでも、最近この人なんだか落ち込んでいるんだな、みたいなことがわかるだけでもいいということですよね。

鹿嶋:見える化できますよね。

オズ:確かに。

鹿嶋:実際は本当にこんなことをやっているんです。

オズ:そうですよね。でも自分の感情にも気づいていなければ、リモートワークをしていたら、より相手の感情にも気づかなくなっていく。そうするとやり取りしづらいという方、多いですよね。

鹿嶋:そうですよ。

オズ:そういう状況では、人間関係にちょっと不安を感じるという方も、すごく多いと思います。

鹿嶋:これらを使って、チームの健全性を保ったり、幸福度指数みたいものをもって楽しい方法で測定して、幸福自体を作り出していく。何かあったら飲み会しようよ。ちょっと落ち込んでいたら助けにいこうよとか、そんなこともできるチームの運営の仕方を、ビジネス側はやっています。

なので、(「感情をコントロールする6つの方法」というスライドを出して)この「感情のリストを作る」とか「ルールを決めておく」とか、「マイナスイメージをポジティブに変換する」とか。「そんなことないよ」という元気づける話を入れてあげたりして、お互いに気遣ってあげるチーム作りが、ビジネスで求められています。

自分の気持ちを言語化する、感情のラベリング

鹿嶋:この感情の輪(The Emotion Wheel)、今(オンラインの)ホワイトボードの、MiroとかMURALのテンプレートにも実はこれがあります。今日も参加してくださっているクミコさんに訳していただいたんです。

感情って言葉にするとなかなか難しいじゃないですか。なのでこの輪っかに、実はみなさん、ちょっと自分で選んでみていただきたいんですけど、今の気分はどうですかという真ん中の輪っかがありますよね。6つだけです。悲しみ。ちょっと激しい感じ。

オズ:Madはちょっと激しい感じですね。

鹿嶋:恐れ、喜び。パワフル。あとは安らぎという領域があるじゃないですか。私がさっき言っていた、怒りみたいな項目があったかなと思っていたんですけど、激しさですね。それに対してちょっと落ち着いて、安らいでいるという、この複雑に入り組む感情を、円の図のどのへんにあるかなと探してみる。今6個から選んだんですけど第2層目はまた項目が6個ありますから、そのうち1個を選んでください。

オズ:6つからどんどん選んでいくんですね

鹿嶋:自分の感情はなかなか言葉にできてないんだけど、実はさっき言ったようにチームでこれを選び続けていくことで、これ(当てはまる言葉)を見つける作業と同時に、感情に言葉をつけていくトレーニングになっているんですね。

オズ:そうですよね。感情にラベリングしていくんですよね。これ、イギリスだと低学年でやるんです。どんな感情があるのかを低学年で知ってから、高学年に上がってもっと先にいく感じなので。やっぱりその分、表現力も絶対つきますしね。人間って「あ、自分はこうなんだ」と言語化できるだけでちょっとほっとするじゃないですか。

鹿嶋:そう、そう。だから優しくなれたり、自分にちょっと安心感が生まれる。

オズ:周りに伝えられるという要素もありますもんね。なんだかわからないものが(自分の中に)渦巻いているとイライラしたり、ギャーとなるけど、それを言葉でうまく伝えられるといいですよね。だからまず大人がこれを知っているのは本当にいいことだと思う。

感情を表現することでの変化

鹿嶋:なのでみなさん、よければもう1回ブレイクして、自分の感情や、「この感情を言葉にするのはどんなことなんだろうね」と話してみていただいけますか。組織の中でこうやって感情を扱えるようになることで、もっと豊かになれることを経験してもらうために、ちょっとブレイクをしてみたらどうでしょうか。

オズ:なるほど。じゃあみなさん、今から1分ぐらいで、最近の感情は、まず真ん中の6個から選び、その中からまた6個から選びという感じで、これかなぁとを覚えていただいて。何個かあってもいいですけどね。

1個だけではなくて2個あってもいいと思うんですけど、選んでいただけますか。そして、こういう感情を言語化して、「自分は今日こうなんだよね」と周りの人……家族とか組織のメンバーとかにそれを表現できるようになっていったら、どんなことが起こるんだろうとか、感じたことをいろいろ話していただくということでどうでしょう、みなさん。

1つか2つ、何か選びましたかね。これ、けっこう選択肢があるから悩むかもですがまずは1つ選んで頂いて。

鹿嶋:そうですね。なんとなくこのへんかな。端っこから選ぶ人が、けっこういる。私も端っこから選んでいたんです。

オズ:端っこから選んでもいいんですね。

鹿嶋:はい。あんまり決めごとはないみたいなので。

オズ:確かに、真ん中はよくわかんなかったら、端っこからいってもいいそうですので、選んだものを1個か2個覚えていただいて。

鹿嶋:言葉にしてみていただければと思います。8分ぐらいですかね。では、いってらっしゃい。何か疑問とか感想とかございましたか。気になったらチャットに書いてみてください。

オズ:そうですね。何か感じたこととか、これは聞いておきたいなということがもしあれば、ぜひチャットに書いていただければと思います。

(ブレイクアウトルーム)

人の評価ではなく、「自分が自分をどう思うか」が大事

鹿嶋:書いていただいていますが、この後も進めていければと思います。ここからはとも子さんにこれからの話をしていただければと思います。お戻しします。

オズ:はい。みなさん今日はありがとうございました。今回のエモーショナル・インテリジェンス(EI)ですけれども。さっきも言いましたように、子どもがしっかりこの階段を理解して上がっていけるように、イギリスとかだと小学校ぐらいからEIを教育に入れていて、そういう国がだいぶ増えてきています。けれども、日本はそれがないんですよね。

自分とどう向き合うか、付き合うか。そして自分が自分をどう思うかが、結果的に今度は他の人とつながっていくということになります。ひとりの人間がひとりの王国だとすると、自分王国の中をまずはしっかりと見て、国民の声を聞いて、自分の国の方針はこうしたいんだと知ることが重要です。

自分王国がこの状況だから、これはできて、これは難しい、とわかったうえで、周りの人とやり取りをしていくということです。

私は今小学校でも、あとこの前は中高の先生たちにもEI授業をしにいったんですけれども、やはりまだぜんぜんその視点がないそうなんですね。

お互いに褒めあう授業はあったりするんですよ。ただそれって結局、例えば人間を1つの国だと思ったら、日本が他の国から褒められたらいいんだと。じゃあ褒められなかったらどうするんだ、というところがあって。わかりやすく褒められる子もいれば、学校生活ではいいところがわかりづらい子もいるじゃないですか。

そうすると、「あれ自分ってだめなのかな」となってしまったりする。そういう意味では、やはり「人がどう思うか=自分の評価とか価値」ではなくて、やっぱり「自分が自分をどう思うか」が、生きていく上ですごく大事なことだと思っているんですね。それを今伝えにもいっているんです。

自分の気持ちを動かしながらEIを学ぶ

オズ:ただこれを真面目に学ぶとどういう言葉になるかといったら、自己認知、自己理解、自己受容という堅苦しい言葉になってしまったり、感情コントロールみたいな書き方になってしまう。

感情コントロールとは、押さえつける事じゃなくて、自分の内側での調和をとることだったり、自分を動機付けていくことだったりするわけですが、単語で聞くとわかりづらいですよね。

だからといって「自分を大切にする」だと漠然としているし、「自分を信じる」って、いったい何がどうなればできているかわからない。それを誰にでも、子どもでも大人でもわかるように、物語で学べる本を今回作ろうと思ったわけなんです。

『チーズはどこへ消えた?』という本よりは分厚く『夢をかなえるゾウ』よりは薄いイメージの本です。

物語を読むと何がいいかというと、例えば、みなさん歴史を教科書で学ぶと忘れるじゃないですか。いっぱい学んだのに。だけど物語、歴史小説をがーって読んだり、歴史ドラマとか漫画で見ると、忘れないじゃないですか。

それってなんでだろうと思うと、自分の気持ちを動かしながら学ぶから。「どうなるんだろう?」とか思いながら、その世界に入ってるからなんですね。それと同様にEI、EQは気持ちを動かしながら学んでいくことが、一番自分の中に落ちていくことになります。物語はその中に気持ちがすっと入っていきますので。自分を重ね合わせながら学んでいってもらえたらいいなと思います。

物語を読むだけで、こころの知性(EI)のコアの部分、自己受容とか自己信頼とかが高まっていくということは、自分の心の中でいったい何が起こることなのか?が、よくわかります。

「心の知性教育」を広めるために

オズ:世の中の物語は、誰かに言われたから勇気を持って何かしたとか、誰かに背中を押されたからやったとかになっているけど、本当はそうではないんですよね。

だって人は、誰かに言われてもやりたくない時はやりませんよ。言われなくてもやる時はやるし。だから結局、「自己信頼とはその人の心の中に何が起こることなのか」という部分をぐーっと引き延ばして書いた物語になります。

この3年ほど活動してきて、こういう心の知性教育が日本の学校教育とかに入るのはまだまだ難しいと分かりまして、まずはできるところから広められたらとおもいまして、本という形にしました。

なので、もしみなさんが「そういう本があったらぜひ見てみたいな」と思ったら、7月から「もっと自分を大切にしてもいい!」 日本らしい新たなこころ教育を、物語の力で届けたい!のクラファンが始まりまして、そこで手に入れることができます。

読んでみたい方は、私のNOTE「オズの心理童話」のほうで途中まで読んでいただけます。

今日来てくれたかっしーも、そちらのクラファン応援グループに入ってくれていた中で、ぜひお話ししてほしいなと思って今日来ていただきました。

4週連続でこのようなEI×食べる、EI×社会的インパクト、EI×夫婦と、続々EI関連イベントをやっておりまして。この本のクラファン応援グループに入ってくださっている方々がゲストで来てくださいます。

EIが高まるとなぜ食べ方まで変わるのかとかね。食べることとEI、ぜんぜん関係なさそうですよね。いや、そんなことはないんですね。食べ方が変わってしまいます。

タイモブCEOの菊地さんと、京都芸術大学教授の本間正人先生が応援にかけつけて来てくださる「自己信頼がなぜ社会的インパクトを生み出すのか」も面白い内容になると思います。

豊かな社会は「心を整えていく社会」

オズ:今後またそういうのも興味あるなという方は(こころの知性(EI)教育を誰でも楽しく学べる物語の力で、日本をもっと笑顔に!応援グループに)入っていただけたらなと思います。

というわけで、では最後に、今日来て下さったかっしーから、何か一言あれば、ぜひいただきたいと思います。

鹿嶋:みなさん今日はありがとうございました。『夢みる小学校』(2022年2月公開のドキュメンタリー映画)もう終わってしまっていますけど、見ていただいた方はご存知だと思いますが、きのくに子どもの村の堀真一郎先生がご出演ですね。

これからは企業に入ってからも教育が必要になってきてますけど、まずは自分たちを幸せにする、まず日本全体が心を整えていく社会になっていくことが重要です。豊かな社会、さっきのハッピー度合いを1ポイント上げよう運動で言うと、そういう世界になります。

やっぱり1日1日の日めくりカレンダーで、自分たちの中にある心を整えていくことで、豊かに子どもたちを見守れたり、かみさんと喧嘩しないで生きていけたり、ハッピーになると思うので。だから、会社でも家庭でもそういう社会になることは、お子さんと家庭を築く上でも大事になっていくと思います。

ぜひぜひこの物語がみなさんのお子さんだったり、社会に届くようになったらいいなぁなんて思って、今日参加していただいたみなさんとも、これからもいい社会を作っていきたいなと感じております。ありがとうございました。

「自分自身を思いやる」ことの大切さ

オズ:ありがとうございました。本当に今日はみなさんと素敵な時間を過ごすことができました。あとたぶん今日ここに来てくださったみなさんは、きっとそういうことがこれからの社会にとって大切だと思ってくださっている方かなと思うんですよね。

本当に一人ひとりが自分に対して思いやりを持って、そして慈悲の心で大切に自分を思うようになったら、もちろんそれって結局自分を幸せにしたら泉のようにどんどん湧き出てきて、それが周りにだんだん自然と出ていくようになると思います。

相手がもし自分と同じような感情で悩んでいたり怒っていても、「あぁでも自分もそういう感情あるなぁ」と自然に共感できる部分は出てくると思うので。そういう意味では、自分を整えたり、自分への思いやりが世界の平和につながるとおもいます。

今は戦争とかありますけど、自国民に対して、ぐっと力で押さえつける国は、外に対しても力でガッと押さえつけにいこうとします。自国民を本当に尊重している国は、他の国に対しても同じような態度を持ちます。そういう意味では本質的に人間も国も一緒なんですよね。

一人ひとりが変わっていくことが、きっと世界をよくしていくことです。日本は他人を思いやることができるんですけど、自分自身を思いやるのがものすごく苦手なので。それができたら最強に幸せな国になれると思っています。

そんな笑顔あふれる日本を生きているうちにみたいです。今回のクラファンは、そんな未来にはしごをかける一歩で、ぜひみなさんと一緒に、そんな未来を創っていけたらと思います

ではみなさん今日は本当に来てくださってどうもありがとうございました。

鹿嶋:ありがとうございました。

オズ:ありがとうございました。よかったらまた、ぜひどこかでお会いしましょう。

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