2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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若新雄純氏(以下、若新):僕はマーケットまではそんなに深くは考えられていないし、得意じゃないけれど、自分を含む仲間たちに関しては、毎日平均的に出力できない生き物なんじゃないかと……。でも毎日きっちり一定の割合で出力するという生き方に憧れるのが不思議ですよね。これが僕もなんでかわからないんですよ。
坂東孝浩氏(以下、坂東):あー! いや、めっちゃ憧れるよ。
武井浩三氏(以下、武井):え、憧れるの?
若新:僕もこの前、たまたま便所入ってる時に『鴨チューブ』見ちゃって。
坂東:『鴨チューブ』!(笑)。
武井:やばい!(笑)。
若新:ついつい『鴨チューブ』を見ちゃうんですよ。でも、もう絶対見ちゃだめだと思っていて。見たら負けって思っているんですけど、押しちゃうんですよ。『鴨チューブ』。
その時も、うわ、負けだ、負けだと思って。また、その時の『鴨チューブ』がめっちゃいいこと言っていて。鴨頭さんが、明日これをすると決めたことと実際にやったことが毎日ぴったり合う人は毎日すごく充実していると言われて、めちゃめちゃずかずか刺さったんですよ。
坂東:ほら~、ぐさりぐさりくるよ。
若新:みなさん寝る前に、明日何時に起きる、ランニングする、何を何本返す、何時までにこれをすると設定しますよね。それを起きてからだいたいの人は8割かな、7割かな、6割かなとなって、この差に悶々として、僕らは充実感を失うと鴨さんが言っていて。
それを毎日100でこなせる人は、別に目標が高いか低いかじゃなくて、常にすごく充実感にあふれていると言うから、図星なこと言いやがってと思って。ちくしょう、すごい負けた感があったんですけど、やってみるかと思って。
坂東:あ、思うんだ! そういうふうに。
若新:やってみるかと思って、翌日さっそく失敗したんです(笑)。
(一同笑)
若新:できなかったんですけど、きっと僕らには自分という思いどおりにならないものを、マシンのように思いどおりにしたいという欲求があるのかもしれない。だから結論じゃないけど、今日の手放す経営ラボで手放すものは、思いどおりにしようということを手放すしかないんじゃないですかね。
ほとんどの人間は、均質な一定の出力はできない。鴨さんは毎日、100の目標を100実行するというのを全部あわせているらしいから、できているのかもしれないですよ。すごいですけど。
坂東:鴨さんは自分で実行できる人で、それを言っても説得力があるから『鴨チューブ』が人気あるのかな。
若新:あれを見た人のほとんどがそれを見て実行できたら、もう『鴨チューブ』を見る必要がないじゃないですか。昔から自己啓発本とかを出している会社の人が言っているけど、「したいけどできないこと」がずっと売れ続けるわけです。『鴨チューブ』はみんながしたいけど、どうかんばってもできないことを言い続けているから人気のはずなんです。だから見たら負けなんですよ。
坂東:(笑)。
若新:見たって僕は変わらないわけだから。でも、ついつい見ちゃうんですよね。変われるかもしれないと思って、結局変われませんでした。
やっぱり僕や多くの人間は、決めたとおりに動かないんだから、じゃあせめてどうやったらより動く日を増やせるかとか、今日は気分がいいぞという日は計画なんか度外視して、いっぱいやっちゃうとか。そういうのが必要なんじゃないですかね。
武井:わかる。人間は不完全だという前提で物事を考えたほうが自然だし。俺はDXOでも言っていますけど、完璧な人間がいなくて、逆に言うとすべての人が不完全だとしたら、完全も不完全もなく、ただいろんな人がいるだけというか。だって不完全を語ること自体がナンセンスなんです。
坂東:完璧な人がいないわけだから、不完全な人もいないと。
武井:そう、そう。
武井:『鴨チューブ』の話になっちゃいますけど、俺、鴨頭さんと10年ぐらい前に出会っていて。
坂東:へ~、そうですか。まだぜんぜん売れてないですよね。
武井:売れてないというか、彼がまだマクドナルドの社員だった頃ですよ。アチーブメントの研修で出会ったんです。
若新:そうなんですね。僕はもうちょっとその後で、アチーブメントで働いていた山川(咲)って女の子が、CRAZYという会社を立ち上げる時に、今の旦那さんと一緒に群馬の山奥で野外フェスをやったんですよ。彼女が独立する前に思い出作りにフェスをやりたいってなって。
群馬の山奥のキャンプ場でのそのフェスで、僕はCyberDAMを持ってきてカラオケを歌うという企画を担当して。しかもV系とかの90年代に流行った曲を歌うという。
武井:V系!(笑)。
若新:その時になんか鴨さんが応援に来ていました。
武井:なんでや(笑)。
若新:鴨さんが応援に。その時以来、お会いしていないんですけど。
やっぱりみんなどこかで完璧な存在になりたいという気持ちがあるんでしょうね。僕はやっぱり鴨さんの言ってた、「明日これする。できた。しかも明日これやるぞ」と言って、100達成するということが最大続いた人。みんなも1月1日に決意するらしいんですよ。
坂東:いやぁ、するわぁ。書き初めとかしてね。
若新:1月1日に設定する。今年俺は100いくぞって。この基準を100まで続けられる人が、1月17日までに8割脱落するみたいなことを言っていて。
(一同笑)
若新:もう僕、クソ悔しいと思って。また『鴨チューブ』の再生数1増やしちゃったと思って、すごく負けた気でいるんですけど。でも、1月17日までに自分で決めた100を実際に100実行できる人は、8割いなくなるらしいんですよ。2割の人しか、1月17日までできない。
だから僕が言った話は、そのとおりなんですよ。世の中のほとんどの人は、自分のことを思いどおりにできないんですよ。だったら、人数が多いんだから、思いどおりにならない前提で組んだほうが絶対いいでしょ。
坂東:でも若新さんぐらい研究もして、人は不完全だ、天気のように移り変わるみたいなことはわかっていても、鴨さんの影響を受けちゃうんですね。
若新:影響を受けるというか、あれは本当にすごい。それこそひろゆきさんが言ってて、本当納得したんですけど。
彼は、「僕はYouTubeのコンテンツは、最初から従来のテレビや新聞・雑誌と張り合えると思っていない」と言っていて。そうじゃなくて寝る前にちょっととか、便所行きながらとか電車の中でとか暇つぶしに最適なんですよね。
「良質なコンテンツというよりは、暇つぶしに最適なコンテンツということに気づいた人が勝つ」と言っていて、「さすがだな」と思って。「だから僕は最初からクオリティは上げないんだ」と言っていたんですよ。だって暇つぶしなんだからみたいな。
坂東:なるほど。
若新:やっぱりそのとおり、僕もちょっとトイレに行ってわざわざテレビも見られないし本も読めない、この5分~10分をどうしようかなという時に見ちゃうんですよ。
武井:『鴨チューブ』(笑)。
坂東:やばい。このままだと今日このトークライブで『鴨チューブ』のことしか頭に残んない。
武井:(笑)。
若新:そういうことで上手にデザインされているなという話なんですけど。やっぱり僕らはちょっとした暇な時間を埋めたいじゃないですか。みなさんも、ちょっとした電車の乗り換え時間とかあるじゃないですか。他のことはできないけど、ちょい隙間を埋めたいみたいな。
坂東:その時に濃いやつはいらないわけだよね。
若新:そう。そこに鴨さんが入ってくるんだよね(笑)。悔しいけど。でも言ってることはおもしろくて、そして実行できませんでした。
坂東:なるほど。
坂東:質問がチャットで来ているんですよ。
若新:お願いします。
坂東:若新さんが手放したいけど手放せないものって何ですか?
若新:それは若さへの執着ですね。それを手放せたら本当に楽になるんだと思うんですけど、いつまでも若者でいたいみたいなことにすごくこだわっています。ただ、手放せるものは手放していきたいと思うんですけど、手放せないものがあったら手放せないという自分を一応愛でることにはしています。
坂東:愛でることにはしているのね。若さって何歳ぐらいみたいなイメージがあるんですか。
若新:若さというか、高校生とか大学生の時って、今みたいにお金がなかったし、車も運転できないし、自由にいろんなことができなかったから、今のほうが何かを行使する力は持っていると思うんですけど。高校生・大学生の頃の何が良かったかというと、まだ将来って何も確定していなかったから、何にでもなれそうな予感が残っていたじゃないですか。
坂東:予感ね。
若新:あの何にでもなれそうな予感が、僕はすごく好きで。
坂東:なるほどね~。
若新:最後は何も残らずに死ぬだけだとわかっているから、生きている間に何かを達成しなきゃいけないとか、どこかまで到達しないといけないとか、本当にないんですよ。ちゃんと家族にも迷惑をかけず、一応生きてきたという思い出を蓄積できたらいいんです。
いいんですけど、どうせ生きているんだったら生きている間に、もう可能性はなくなったなとか、これが自分の到達する場所なのかと知ってしまうとすごく寂しい気がするんですよ。
だってこれが僕の人生だとわかったら、中高生の頃の「あぁ、俺って将来何者になるんだろう」「どんなことができるんだろう」「あんな車を買えるのかな」「こんな家に住めるのかな」とか、達成できる・できないにかかわらず、できそうな予感があったじゃないですか。
武井:あった、あった。
若新:人間ってどうしても年をとっていって、仕事が着実に積み上がっていくと得られるものとか行使する力は増えていくけど、予感は減っていっちゃうと思うんですよ。僕はとにかくがんばって何がなんでも予感を減らしたくないんですよ。
まだまだ中高生の時の、思春期の男の子が自分の人生や将来に可能性を予感しているのと同じように、予感だけしておきたいんです。別に達成しなくてもぜんぜんいいんです。
坂東:予感できることが若さなんだ。
若新:そうそう。でも予感ができていると、結果としてできることも多いじゃないですか。例えば、僕が大学生の時に、「俺は将来なんかテレビに出て偉そうにしゃべるんだ!」とか言っても、「はい、はい。そうなれるといいね」ぐらいしかみんな真に受けていなかったわけだけど。
予感があって、その予感が強ければ実現したいという気持ちも強くなるわけだから。がんばろうとするし、チャンスを得ようとするわけです。どこに行けば到達とか完成とかはないけど、その可能性があると思えることが、すごく人生にとって豊かだったと思う。
坂東:なるほど。達成できるかどうかじゃないんですよね。
若新:そうそう。予感はあるんだけど、さらに昔に比べて少々のお金と、いろんなことを発信できる立場とか仲間とかが増えてきたから、予感を終わらせたくないんです。
武井:青春だね。
若新:そう、そう。まさにそうなんです。でも周りの友だちとかさすがにこの年になってくると、みんな結婚して子どももいて。
坂東:選択肢が狭まってくる感があるよね。
若新:僕みたいに思春期感満々で予感とか語っていないわけですよ。そこにあって、僕はずっと自分の人生のありもしない可能性を予感していたいんです。別にそれが達成できることもあれば、できないこともあると思うんですけど、まだまだ何にでもなれるな、俺は若いんだからと思っていたい。
ところがある時にふと年齢を自分で自覚すると、いや、周りの人はもう予感とか言っていないなと思って。何者かになってしまっている。僕は何者かにならない、いつまでも子どもなんだと、そういう意味でも真面目に思っています。可能性を予感し続けておきたい。あとは予感を持つのは、別にしわとか取らなくてもいいんじゃないのっていう話なんだけど。
武井:しわ(笑)。
若新:でも、それは人間って結局身につけている服とか、持っているものとか、住んでいる場所に気持ちが影響されるのと一緒で。一応なんか無理していつまでも大学生っぽい感じで、年齢に逆らっていこうとは思っていて。これからもがんがん稼いでがんがん注射を打っていこうと思っています(笑)。
武井:おもしろい、おもしろい。
若新:だって予感してたじゃないですか。それはすごくね……。
坂東:だって鏡見た時に自分がしわくちゃで全部白髪とかだったら、それで予感を保つの難しいもんね。
若新:そうですね。
若新:あとは強い予感を持っているということは、僕も小さいながらに地元には会社もあるし、僕と一緒に仕事をしてくれる人もいるから、「あぁ俺はこのへんぐらいまでなんだ」って満足されるよりは、一緒にやってくれている人はいつまでも夢を見ているほうがいいと思うんですよ。ついていく側としては。
最近僕の中ですごく大事な格言があって。夢は見るものではなく叶えるものだって言葉があるけど、僕はあれにはアンチなんですよ。夢は見るものではなくて叶えるものっていうのの180度アンチになって。
坂東:逆ね。
若新:夢は叶えるものではなくて見るものだというのが僕の人生のテーマですね。叶えるかどうかは重要じゃない。僕は、夢を見てりゃいいと思います。
坂東:見てる時にわくわくして、心も若くいられて。
若新:そう。そうすると中には叶うこともあるというのが人生だし、叶わないこともあるとは思うんですけど。実際叶わないこともあるじゃないですか。
坂東:あるね。でも叶うか叶わないかが一番重要じゃなくて、見続けられるということよね。
若新:そう。だから思春期でいたいというのを。
坂東:おもしろい(笑)。
若新:今日の話につなげて気分のお天気でいうと、天気の日を増やすための心がけかもしれないですよね。
坂東:そうね。武井さんはそんな感じですか。
武井:うん。俺もずっと自分の未来にわくわくしている。
若新:(笑)。
坂東:そうなんだ。そういうふうに意識してる?
武井:意識して……。いや、わからない。意識しているわけじゃないけど、そうじゃないと生きられない。これはもう小学生ぐらいの時からミュージシャンを目指していたし、今もなんか新しい国を作りたいなぁとか思っているし。
坂東:小さい時から、自分の心の天気に敏感なんでしょうね。曇ったり雨が降ったりするとイヤだというか。その状態でずっと我慢できない。
武井:我慢できない。
坂東:なるほど、おもしろい。ということで若新さん、時間が来ちゃいました。本当におもしろかったです。ありがとうございました。それでは今月のトークライブ、これにて終了させていただきます。みなさん、どうもありがとうございました。
若新:ありがとうございました。
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