2024.10.10
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コロナ禍における社員コミュニケーションの在り方 曽山哲人氏 講演(全1記事)
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司会者:まず最初にお迎えいたしますのは、株式会社サイバーエージェント常務執行役員 CHO曽山哲人さまです。曽山さま、どうぞよろしくお願いいたします。
曽山哲人氏:今日はみなさま、お忙しい中ご参加いただいて本当にありがとうございます。サイバーエージェントで人事責任者をしている曽山と申します。
企業事例ということで、私からはサイバーエージェントの事例についてお話を紹介させていただきたいと思います。それぞれ後で出てくるパネリストのみなさん、とても豪華なので、非常に楽しみにしております。
まず私自身の簡単な自己紹介ですが、(スライドの)右側に経歴が書いてあります。高校時代はストリートダンスを踊ってましたとか、大学時代はラクロスをやってました。
1999年に当時20名、設立2年目だったサイバーエージェントに入りました。雑誌で(求人を)見つけて入ったんですが、そこからインターネット広告の営業を6年。その後、2005年から人事16年やっています。
1つだけ宣伝させていただきたいのですが、YouTubeを始めておりまして。キャリアアップやビジネスのレベルアップのための情報発信をしております。左のサムネイル画像のように、職場におけるアンコンシャスバイアスをテーマとして扱ったりもしています。
もし「チャンネル登録してるよ」という人がいたら、チャットに書いていただいたりとか、「(チャンネル登録)したよ」って書いていただいたら、この10分間曽山はとても喜びますので、ぜひ。ソヤマンというキャラでやっております。よろしくお願いします。
曽山:まず、今日はいくつか話をするんですが、社内コミュニケーションの変化で一番重要な結論がこの5つになっております。……たくさんの方が「登録してます」「登録しました」、いただきました。ものすごくモチベーション上がりました。ありがとうございます。
リモート時代のすごいチームの特徴は、この5つがコロナによって価値が上がったということを示しています。元からあったキーワードですが、価値が上がったというところです。右側に書いてある通り、オンラインでこの5つができることが非常に求められるようになってきました。
この5つの中でも、今日はいくつかの事例をご紹介したいと思ってるんですが、一番重要なものは何かというと「組織目標」です。チーム目標を持っているのかということが、強いチーム・強いコミュニケーションを分ける分岐点になると考えています。
個人目標だけを追いかけているチームなのか、チーム目標を個人がみんな追いかけているのかによって、協力関係が変わります。
みなさん、容易に想像がつくと思うんですよね。個人目標だけ持っている場合は、自分の目標だけに集中して達成できれば終わりというのが、原則的な考えです。一方、組織目標がある場合は、もちろん個人目標も持っていますが、自分の目標が達成したとしても、チーム目標の達成を協力し合う形になります。
曽山:会社によって状況は異なると思いますが、コロナ以降、みなさんオンラインの仕事が増えてると思います。そうすると、隣の人、前の人、斜めの人の仕事ぶりが見えなくなっているわけです。困っているかどうかすら、情報が入らなくなってくるので。
これを私は「受け身の情報が入らなくなる」と、よく言っています。リモートワークによる変化です。受け身情報が入らなくなることによって、協力しようにもできない状態になってますから、メンバー同士が協力できるようにするために、高いチーム目標を掲げましょうと伝えています。
ちなみにこれは私がアメーバブログで、できるヤツ探求ということでカタカナでデキタンというブログを書いてますので、「リモート時代のすごいチーム」と検索していただくと出てきます。
組織目標の浸透事例としてサイバーエージェントがやっていることが、「プロレポ」という取り組みです。一番上に赤文字で書いてありますけれども。チーム全員で組織目標を考える取り組みを、サイバーエージェントですとだいたい5〜6年前くらいから行っています。
全員でチーム目標を考えるということに、ものすごく意味があります。手順としてはこの1、2、3です。半年に1回、自分たちの組織目標を議論します。その議論をしたうえで、ポスターや冊子にまとめます。それを役員会に提出させて審査し、表彰していく。サイバーエージェントでは、良い目標はどんどん褒めましょうということで、全社員に対して共有しています。
曽山:こういった形でプロジェクトレポートを作ると、さっきお話した通り、組織目標の文脈を全員が知っている状態になります。組織目標を分かったうえで自分の目標を持つと、「この組織目標があるから私はこういう目標なんだな」という、目標の意味付けも非常にやりやすくなりますし、他者に対する協力もやりやすくなります。
これは実際にある一部門のポスターで、「新R25」というメディアを運用しているグループ会社のCyberNowのものです。
これ、一人ひとりが写真を撮って手書きで目標を書いて、「この半期は仕事も人生ももっと楽しむ」ということを伝えようと。そのうえで、自分は何をやるかを上に書いているということです。顔写真と個人の目標が全員付いているのがポイントになります。みんな楽しそうですよね、そういう雰囲気が伝わってくれば良いなと思います。
プロレポの他にやっていることというと、オンライン研修です。コロナ以前は社員と食事に行く機会が非常に多くて、ランチでも飲み会でもしょっちゅう行ってたんです。週に4回ぐらいは行ってましたかね。
(一日当たり)5人と行けば(一週間で)20人。20人×4週間で、だいたい(月に)80人ぐらい。それを1年間やると、ざっくり1,000人弱の社員と話ができる。それがコロナの影響で完全にストップしてしまったんですね。
そういった状況下で、社員と話すにはどうすれば良いかなと。面談も良いけど、ビデオ会議の面談もちょっと緊張するだろうということで、新たに始めたのが「LOT(リーダーズ・オンライントレーニング)」という研修です。リーダー向け、といっても結局は1年目向けにもやりましたが、自分たちでオンラインの研修を作って、私や人事が講師になってシェアをしています。
曽山:先ほど申し上げた5つの重要なリモートのチームの中で、「言葉の開発」が重要だと言ってます。言葉の開発とは、社長の藤田(晋)の造語なんですが、オンラインによって言葉の価値が非常に上がったということです。
オンラインの画面だと聴覚と視覚でしかほとんど会話ができない。嗅覚も使わないし、味覚も使わないということで、非常に耳と目の情報集中度が上がってるんですね。また、人って長い話が嫌いじゃないですか。短い話でどれだけストレートに伝えられるか、つまり言葉の開発をすることが大事なんです。
サイバーエージェントでやっているのは1番です。目標や面談ノウハウを共通言語化し、その共通言語をフレームにしてワークショップを行っています。1回あたり5人から、多い時だと200人ぐらい参加するのですが、1年間で1,000人ぐらいの社員が参加しました。また研修を通じて、私も社員のいろんな声を聞くことができました。
研修自体は60分で、これまさに左上から右下まで、「目標力」というワークショップをやったスライドそのままなんです。
左上にP&Pという文字が見えるかと思います。研修では、パッション(Passion)とパーパス(Purpose)を掛け合わせると良い目標になりますよ、というフレームを伝えたうえで、真ん中にあるワークシートをみんなに入れてもらいます。
Zoomのチャットで投稿しあったり、ブレイクアウトセッションを活用しながらやる。共通言語をもとに実際に議論をすると、みんなお互いに「一緒に話したね」という安心感が高まります。そういったところがすごく良いとなって、いろんな事業部やチームでワークをやりました。
曽山:また研修をやるだけではなくて、私たちはオンラインでもリアルでもコミュニケーションを多面的にやっています。例えば、サイバーエージェントは年に一回、社長をはじめとする経営陣と社員が一緒になって議論をし、サイバーエージェントの未来を議論する経営会議があります。サイバーエージェントの明日を作る会議ということから、「あした会議」と呼んでいます。
1人の役員が社員4名自分のチームに招聘して、例えば「曽山チーム」みたいなのを作って、社長の藤田に対して直接、新規事業や新しい制度の提案を行っています。毎回だいたい10件から15件くらい提案がその場で決議されます。役職や部門、年次などなく、サイバーエージェント全体で取り組んでいる大きな施策のひとつですね。
さらに経営陣も入れ替わりをしています。8人がトップの本体役員室では「次世代抜擢枠」という枠を設けまして、石田裕子と飯塚勇太の2人が昨年より参画しました。次世代経営者の育成とともに、若手の視点やダイバーシティの観点を会社経営に活かしながらコミュニケーションの活性化を図っています。
特にリモートワークが続くと、非常に近しい人にしか仕事を渡さない傾向になります。オンラインだと、知らない人は知らないままになっちゃうため、そういう意味ではどんどん抜擢を意図的にすることが非常に重要だなと思っています。
女性活躍やダイバーシティ推進に関しても有志の社内プロジェクトがありまして、相互理解の促進やコミュニケーションを図っています。
ということで、簡単ではありますが、私からの事例紹介をさせていただきました。こちらの「次世代リーダー3つのスタイル」というのもソヤマンにありますので、ぜひ見ていただければと思います。またパネルディスカッションでもよろしくお願いします。どうもありがとうございました。
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