2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:では、門傳(もんでん)さんをご紹介したいと思います。
門傳智彦氏(以下、門傳):よろしくお願いします。
司会者:よろしくお願いいたします。今もお忙しいと思うんですけれども、その中でお時間をいただきまして、本日はどうもありがとうございます。いろいろとお話をおうかがいできたらなと思っていますが。門傳さんはこの「J Career School」の一部の講座も持っていただいていますよね。
門傳:そうですね。先日撮影しまして、販売されてると思います。
司会者:もうオープンになってますね。講座を受けることもできますので、ぜひとも今日のお話を聞いて、もっともっと深くいろんなことを知りたいなと思ったら、そちらもご活用いただけたらと思っております。まずはそのきっかけとして、いろんなお話を聞いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
門傳:お願いします。
司会者:さっそくお話をうかがっていきたいんですが。これがすべてではないと思いますが、代表とされるYouTubeの動画を2つほど見ていただきたいと思います。その動画を見ながらですね、また少し門傳さんにもお話をうかがっていきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。
さて、門傳さん。こちらはたしか相当な回数を再生されていますよね。
門傳:そうですね、なぜか見られてます。2000万回を狙えるぐらいまでいってるんですけど。
司会者:2000万回届くかなっていうぐらい、YouTubeにしてみるとかなり驚異的な伸びを示していますけれども。こちらは何を作られているものなんですかね?
門傳:これは「フォレノワール」といいまして、チェリーのチョコレートケーキを作ったものなんですけど。
司会者:これはお店では通常売られてるものなんですか?
門傳:これは当時季節限定商品として、秋に1ヶ月か2ヶ月ぐらいだけ販売したケーキですね。
司会者:期間限定にしたのは、チェリーとかなんかそういう理由があるんですか?
門傳:そうですね。シーズンごとに新商品は出すようにしてるんですけど、その1つですね。
司会者:なるほど。もうすぐ秋になりますが、今年もなにか考えてらっしゃるんですか?
門傳:これとは違うケーキを作る予定です。またYouTubeの動画で公開しますので、見てほしいです。
司会者:ちょっと楽しみですね。やはり、こういった作る過程をメインでYouTubeを撮られてるわけですよね?
門傳:そうですね。いわゆる、0から完成するところまでを見せるっていう動画(プロセスエコノミー)になるんですけど。YouTubeでそういうのがけっこう流行っているんです。絵をキャンバスから完成まで描く動画とかあると思うんですけど、そういう類の動画ですね。
司会者:最近はいろんな種類のそれぞれの好みが動画化されていて、例えば極端な例ですけど「咀嚼」をする様子を撮る動画ね。そういうのもあったりとかしますけれども。
司会者:今ケーキがカットされていますね。この上に乗っているチョコの輝きがすごくいいんですけど、こういうのってやっぱり特殊な配合とかあるんですか?
門傳:グラサージュショコラという鏡面状になるチョコレートなんですけど。江原さん(司会者)も今おっしゃっていただいたように、たぶん心がちょっと動く場面だと思うんです。コメントによく来ますね。
司会者:そうですか。コメントはなるべく見るようにされていますか?
門傳:ぜんぶ見ています。コメントに対する返信は見られない時があるんですけど、コメントは通知が来るので全部見てます。
司会者:なるほど。コメントから得られるものも多いですかね?
門傳:大きいですね。観ている人の感情が動いて「おもしろい」と思ったポイントがコメントでわかるので、次の動画はそういうところをちょっと増やしながら、参考にしながら作っています。
司会者:なかなかお忙しくて、そのコメントをじっくり読む時間もないと思いますが、どこかで時間を取られてるんですか?
門傳:忙しいというよりは、もうルーティンとして見ています。朝出勤してパソコンを開いたら、まずはコメントに対する返信をしたりとか。「読みましたよ」「見ましたよ」という意味でハートマークをつけたりとか、そういうのをまず最初にやりますね。
司会者:ルーティンの1つとして捉えることも大切なんですかね。ありがとうございます。
司会者:こちらが2000万回に届く動画ということだったんですが、今のお店の看板商品といえば、なんでしょう?
門傳:もちろん、店名が「ビルソンローラーズ」っていうぐらいなんで、ロールケーキですね。
司会者:その看板商品であるロールケーキを作っているところの動画もございまして。こちらも470万回いきましたね。かなりの再生回数を誇っている動画をこれからちょっと見ていただこうかなと思います。
門傳:ここなんかは、いわゆる咀嚼音みたいな「ASMR」っていうんですけど。
司会者:卵を割る音ですね。
門傳:ここにけっこうコメント来ますね。「卵を割る音が気持ちいい」とか。
司会者:ポチャンと落ちる音もいいですよね。だから後ろの音楽が(ないんですね)。
門傳:はい、音楽は消すようにしてます。これもコメントで、「BGMないほうがいい」とか「BGMうるさい」とかそういうコメントが来るので、なるべく前半は入れずに、後半はちょっと入れるように工夫しています。
司会者:そういったことで、もちろん作ってる方もそうなのかもしれないですけれども、やっぱり「どこで人が惹かれていくか」という新たな発見ってあるんですね。
私この(生地を)こねるところ(4:42〜)が大好きで。手を突っ込んでこのガーッとやるのがとても気持ちよさそうで。
門傳:ケーキ屋さんじゃないと見られないシーンですよね。「手をミキサーのように使うのか」みたいなコメントも来たりします。
司会者:自分で作ってる時は小さなボウルでこねるだけなので、ここまでダイナミックにこねるっていうのがおもしろいです。だって肘近くまで入れますもんね。生地から空気が出てきてポコポコっていう、またこれも音の1つになるんですかね。
門傳:そうですね。ロールケーキは常に販売してる商品ですし、オンラインショップでも販売してるものなので。この動画を公開してから、このロールケーキのオンラインショップでの売上も増えましたし、店舗に「YouTubeを見て買いに来ました」というのもいただくようになりましたね。
司会者:ということは、やっぱりYouTubeとオンラインであるとかそういったものは、どこかでつながっていたりするんですかね。
門傳:そうですね。これは、いわゆるYouTubeで楽しめる動画であるとともに、テレビショピング的な要素もあるんだと思うんですけど。
司会者:それは意識をして作られているのか、結果的にそういうかたちになるのか、どんな感じですか?
門傳:私たちビルソンローラーズが一番大事にしているのが常連のお客さまであって。あと、興味がある人はメルマガの会員さんになってもらっているんですけど、そのメルマガ会員さんによりいっぱいお店の情報を届ける目的も兼ねています。
お客さまってできあがった商品だけを見るじゃないですか。「こうやって作ってます」「これだけ手間がかかって、一生懸命作ってます」っていうのを知らずに食べるのと、「こんなに時間かかっているんだ」「大変な重労働だね」って思った上で食べるのでは味が変わるかなと思うので。常連のファンのお客さまに対して見てほしいと思って撮影している部分もあります。
司会者:そういう意味では、この1つの商品に付加価値がつくんですかね?
門傳:そうですね。
司会者:商品に付加価値がつくっていうのは、今もそうですけれども、これからの時代とても大切ですよね。ただそこに物があるだけでは売れないですよね。
門傳:ケーキ屋さんだったら、似たような商品はどこでも手に入ると思うんです。でもうちで買いたいって思う理由の1つに、この動画が役立っているのかなと思います。
司会者:この動画をきっかけにしてお話を進めていきたいと思います。ロールケーキがビルソンローラーズの看板商品ということなんですが、ロールケーキにこだわった経緯がありましたら教えていただきたいです。
門傳:最初は「ロールケーキ専門店」を謳っていました。今でもそういう発信はするんですけど、当時オープンをする前に、物件が決まって店舗が決まって、「じゃあここでどんなケーキ屋さんを始めるか」ってなったんですが。
やはりライバルとなりうる競合のケーキ屋さんは東京都内だといっぱいあるので、近所のお店の特徴を踏まえながら、やってないところはどこかなっていうのを考えました。
あと2009年にオープンしてるんですけど、そのちょっと前からロールケーキブームがあって、そのブームに乗ろうという。ロールケーキはブームではあるんですけど、定番商品にもなりつつあったので、ロールケーキというアイテムに可能性を感じて選択しました。
司会者:でもどうでしょう。このロールケーキがブームになって、それをお店のいわゆる看板商品にする。だけども、それが例えば廃れていってしまうとか、流行りが過ぎていってしまうとか、そのことに対しての恐れとかって考えられませんでした?
門傳:そうですね、ブームは必ず下火になるんです。その前にもあったと思うんですけど、当時私たちがオープンした後にもロールケーキ専門店って何軒かあったんですよ。同じカテゴリなんでチェックはしてるんですけど、倒産したお店もありました。
ただし定番化さえしていれば、市場っていうかマーケットで「ロールケーキがほしい」っていうお客さまは、多少減るとは思うんですけど、ぜんぶなくなるわけじゃないんですよね。なので、ロールケーキがほしいという残ったお客さまのために、提供し続ける。
その先の「残存者利益」っていう、残った人たちに対してのメリット。ブームが去った直後は苦しくはなると思うんですけど、その後に定番化さえしていれば、利益は取っていける。感覚的なものなんですけど、そういう考えでやってました。
門傳:あと、ロールケーキだけではちょっと危ないなとは思っていたので。第2のヒット商品ということで、うちのお店だと「半熟カステラ」があります。これはロールケーキに勝るとも劣らない売れ行きを今でも続けてるんですけど。
これも「半熟カステラブーム」があって。今は完全にブームはなくなってますけど、やはりその当時のブームで「半熟カステラおいしいな」って思った市場、マーケットっていうか、ファンがいるわけですよね。
なのでマーケット自体はすんごいしぼんでますけど、半熟カステラを求めてうちで買ってくれるっていう人たちは一定数いるんです。今でも人気の商品ですね。
司会者:なるほど。廃れていくというネガティブな、マイナスの部分ばっかり見ないで、その中で必ず残っていくところに目を付けてやっているんですかね。
門傳:その上ではがんばって集客をして、自分たちをアピールして、売上を確保していくのは必要なんですけど。その先にはファンの人たちが残っているので、確保できるわけですよね。
司会者:そのファンをしっかりと見てあげれば、っていう感じですかね。ということは、けっこう視野を「広く」もそうかもしれないんですけど、時間的にわりと「長く」、しっかりと捉えることを意識してやってらっしゃるんですか?
門傳:そうですね。スイーツ業界って、昔からティラミスブームがあったりとか、パンナコッタとか、最近だとタピオカとかパンケーキとかあったと思うんですけど。
ブームの時っていっぱい専門店ができて、なくなると倒産すると思うんですけど、絶対に残っている人気店ってあるんですよね。そういう人たちはたぶん、残存者利益を得てるんだと思うんです。しっかりとファンさえつかんでおけば、残った先には常連のお客さんとか確保した状態が維持できるんじゃないかなとは思ってます。
司会者:ありがとうございます。今ちょっとキーワード的に「残存者利益」という言葉が出てきました。意味としては先ほど詳しく門傳さんがお話しをしていただいたので、そのとおりなんですけれども。例えば、門傳さんはこの「残存者利益」の存在は、なにか自分で学んでご存知だったんですか?
門傳:感覚でやってましたね(笑)。テレビ「ブームが盛り下がっても利益は残るんだよ」っていう説明を見て、「あっ、そんな言葉あるんだ」って思ったんですけど、当時は感覚でやっていました。
どんな感覚かっていうと、「それだけブームになるってことはファンが多い、おいしいんだ。であれば、廃れたとしても一定のお客さまって確保できるんじゃないかな」っていう感覚なんですけど。
司会者:その感覚が、あとから学びの言葉としてポンッと入ってきたっていう感じですか?
門傳:そうですね、「自分がやってたことだ」みたいな。
司会者:「これって自分がやってたことじゃん。別にここであらためて言われなくてもやってたよ」って感じですかね。でも、学びってけっこうそういうところがあるかもしれないですね。
特に社会人の学びは、実は過去から言われ続けてきたことをちゃんと自分で実践してた、っていう。そういう時って、ちょっとうれしかったり「自分のやってきたことって間違いじゃなかったんだな」っていうのがありますよね。
そういう意味では、新しいことを覚えることも学びですけど、自分がやってきたことの確証を得るとか、自分で自信を与えるって意味でも、役割の1つでありますよね。
みなさんもぜひ、特に経営をすでにされている方とかいらっしゃいましたら、この「残存者利益」。知ってる方もいらっしゃるとは思うんですけれども、私はごめんなさい、マーケティングを教えていながら、初めて知った言葉です。ですので、もしここで初めて聞いたという方いらっしゃったら、ぜひ自分の業界とかで活用していただけるといいのかなと思いました。
本当に勉強になりました、ありがとうございます。
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