2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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佐宗邦威氏(以下、佐宗):みなさん、こんばんは。……といっても、(オンラインイベントなので)とくに反応はないと思うんですけれども(笑)。はじめまして。ビオトープ代表の佐宗と申します。
今回、阿部一也さん(VUCA labo事務局/Institution for a Global Society株式会社 上席研究員)にお誘いいただいて、あの図表を見て、これはすごいなと思いまして(笑)。今回はVUCAというテーマで……あ、ありがとうございます。拍手だったり、いいねだったり、ちゃんと見えております。
こういう激動の時代の中で、どう生きていくのかというテーマで少し考える場所ということで。ある種の前座ですね。こういうお題に関して自分が考えることを15分くらいお話したいと思います。
最初に自己紹介をしますと、今ビオトープという戦略デザインファームの代表をやっています。もともとはP&Gでマーケティングをやっていたり、ソニーに転職して新規事業創出のプログラムを立ち上げたり、現在は戦略デザインファームのビオトープ代表というかたちで、いろんな分野の企業のイノベーション支援に関わっています。
先ほどご紹介いただきました『直感と論理をつなぐ思考法』や『ひとりの妄想で未来は変わる』、『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』。このあたりはいずれも作って生きる生き方ですね。自分自身で作りながら生きていくことをテーマにしているのが共通点としてあります。
僕自身のビジョン、僕自身が持っている未来は「あらゆる大人が創造的に生きることで、すべての子どもが持っている創造性を阻害しない社会を作れたら?」という問いです。
僕はいろんな企業現場で創造という、いわゆる新規事業を作るとか、今までにないプロジェクトをやってみることをずっと支援していく中で感じていたことがあります。
いわゆる大人というのは常識を持ったもので、それに対して子どもというのは常識のない、ある種偏見なく生まれたもの。これらの常識とそうでないものが、ぶつかり合うということが起こるんですね。
常識を持っている側の大人が常識を壊せれば、より若い世代や子ども、これからの世代が持っているものがより世に出ていきやすくなると思っています。これを少しでも多くの人が、ある種自分が作って生きることを学びとることで、よりエコにたくさんの資源を使わずに、自己効力感を持って生きられる社会になるんじゃないかと思っています。
今回コロナの話もありますけど、そもそも気候変動などのすごく大きな問題に対して、ある種、大量生産・大量消費をしながら生きていくことにはもはや限界があります。そうした世の中で、僕らは自分の身の回りにあるものをちょっと工夫して作っていく。
そうやって作っていくことはすごく楽しいことで、それ自体に対して、自分自身が自分を認めて生きていける。それは最高にエコな生き方じゃないかという意味で、これからの時代の創造性というものを誰もが使えるようにすることが、最終的には全体としていい世の中になる。そういうことを考えている人間です。
今回のコロナは社会にものすごいインパクトを出していると思います。歴史の転換点で僕らはどう生きるか? という問いをここに出させていただいたのですが、実際に僕の見立てでは100年に一度の動きだと思っています。
基本的には、第一次大戦から昭和大恐慌のタイミングにかけて起こっていたようなこと。当時はイギリスからアメリカへの覇権の移行がありましたけど、今回はアメリカから〇〇への覇権の移行みたいなものがある中での、構造的な変化が起こっているんだと思っています。
そういう意味では、1945年に第二次大戦が終わって、アメリカが作ったグローバルスタンダードの中に作られたシステムが、今までの僕らの常識でした。その中で僕らは資本主義をベースにして、いろんな価値創造をしてきたわけですけれども、その常識が覆る可能性もあると。
そうなったときに、いわゆる正解となるものがないのはもちろんですが、その土台となるものすらちょっとよくわからなくなっている。そうした時代を僕らはどう生き抜けばいいのか。そういうお題じゃないかなと思っています。
僕自身、昨年の末に出した『ひとりの妄想で未来は変わる』という本で、こういう言葉を書いています。これはあとがきなんですけども。
これから団塊の世代が退場し、社会の世代交代が起こったとき、あらゆる問題……ここで言っているのは高齢化の問題であったり、資源や必要以上の資本主義による過度なスピードという話ですけれども。それが深刻化して、大きな変革を迫られるときがくる。天の時が訪れるまでの猶予はおそらくあと5年だろう、というふうに書いていまして。
こういうタイミングで今までにないものを考えて生きる人は、基本的には体制においてはアウトローなんですよね。平時においては変わり者。そういう人が、例えば環境の持続の可能性というような、システムでは解決し得ない問題を大義にしていくことによって、次の時代を作る。そういう動きをあと5年準備してやっていきませんか、という本を書いたんです。
ここで起こっている天の時が、まさか本を出して数ヶ月で起こってしまうとは思いませんでした。実際にこれがどのタイミングで起こるかはさておき、このくらいのマグニチュードの変化が起こると、社会が1回ガラガラポンされるので、そこに対してもう1回システムを作りなおしていくという動きは、否が応にも起こっていくと思います。
そういう意味で、2010年から日本はけっこうイノベーターブームというか、イノベーションがブームでしたけど、いよいよこういうスキルを持っていた人、そういうスキルを磨いていた人、準備をしていた人が、本格的に活躍しなければいけない状況が来るんじゃないか、と思っています。
まず、メッセージを最初にシンプルにまとめます。1つ目ですね。不確実なVUCAという状況においては、とにかく変化が起こり続けるストレスに人間が耐えていくのは非常に大変です。
それに対して一番いいストレスのコーピング、対処の仕方は、小さくてもいいから自ら何かしらを作って社会に提示してみるという、このサイクルを小さく回すスキルを学ぶことです。
変化が激しくても、何もできないでただ我慢しているのと、ちょっと自分が何か行動してみようという、0と0.1ってすさまじい違いが出ます。それは人間が環境に対して自分が何かをしていると思えば、そこで自分はコントロールしているという感覚になれるからなんですね。
そういう創造というスキルがすごく重要で、それが今回の『直感と論理をつなぐ思考法』という本で書いている内容なので、そこをちょっと最初に紹介します。
2つ目。その先、創造って何のためにするねん、という話なんですけれども。基本的には、コロナはいったん今まで速く回っていた経済も含めて止まります。これによって起こってくる変化は、僕はキーワードとしては、循環型で地方分散の社会を作り直す膨大な創造の余白、ニーズが生まれると思っています。
3つ目ですね。今はソーシャル・ディスタンシング(感染予防戦略を示す言葉で、感染拡大を防ぐために物理的な距離をとること)という時代になっているわけですけれども。実際には1人の妄想から始まって、それをいろいろな地域・場面で、仲間を作りながらかたちにしていくというコミュニティ型の社会実装、イノベーション社会実装のアプローチがより濃く必要になってくるんじゃないかと思っています。
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