2024.11.26
セキュリティ担当者への「現状把握」と「積極的諦め」のススメ “サイバーリスク=経営リスク”の時代の処方箋
リンクをコピー
記事をブックマーク
安達徹也氏(以下、安達):これ、おもしろい話があって。みんなビデオ会議を使うんですけど、「顔出しをする・しない」は、会社や組織単位で違いがありますよね。絶対に顔出しをしたほうがいいんですよ。だって笑顔が見えたほうが安心するし、今箕浦さんにおっしゃっていただいたのもそういう話だと思うんです。
一気にテレワークが始まって、けっこう顔出しをしないでやっていらっしゃる方も多いですよね。これは最初にWeb会議を使い始めた時に越えるべき壁だなと思っているんですよ。
箕浦龍一氏(以下、箕浦):女性の方はどうすればいいんでしょうか。すっぴんだと出にくいという声もあるかもしれませんが。
(一同笑)
安達:いい質問ですね(笑)。とりあえず……すいません、今回は男ばっかりなので、男寄りの発言になっちゃいますけど(笑)。「すいませんけど化粧をしてください」という感じでしょうか。
松本国一氏(以下、松本):あっ、でも先行している中国などだと、Web会議の仕組みの中に化粧モードが追加されたんですよね。すっぴんの状態でも、カメラの前に座ったらバシッと化粧されている状態になる。
たぶん、さらにこの先は服装とかもね。背景が変わるのはもう当たり前になりつつあるので、そうなってくると次に起きてくるのは、私は「出社したくない人たち」「対面で話したくない人たち」が大量に出てくるんじゃないかなと思うんですよね。
要はネカマじゃないんだけど、ネットワーク上の人格とリアルな人格があまりにも違いすぎるとか、そういう問題が会社の中でも出てくるんじゃないかなと思っていて。
安達:「Snap Camera」というアプリを使うと化粧もできたりしますし、あと資生堂さんだったかな、そういうのを出していましたよね。
松本:出してる。
安達:あと「ベルフェイス」という営業用のツールは、営業の方が自分の顔の細さをパーセンテージ指定して変えられるような機能があって。けっこういろいろあったりしますよね。
松本:でも確かに「リアルで会わない」ことが前提になるんだったら、整形アプリとかそういうのは絶対使い始めますよね。
安達:倉貫さんのところはどうしているんですか? 女性社員もいらっしゃいますよね。
倉貫義人氏(以下、倉貫):はい、いますね。みんな普通に顔出しして打ち合わせをしているというか、Web会議をしています。お化粧ももちろんみなさんされているとは思いますけど、別に男性も恐らく髭を剃って、寝癖を整えて、普通に人に見せて大丈夫な格好でテレビ会議をすると思うので。
これは女性に限らず、身だしなみは普通の話だなとは思っています。テレビ会議だからじゃなくて、会議に出る時や人に会う時は身だしなみを整えるのと同じです。それを「嫌です」と言うのは、逆に「なぜその場に来ているんだ」という話だと思うんですよね。
安達:なるほど。
倉貫:なので基本的に、在宅勤務というのは「家だから家の格好でそのまま、好きなようにやっていい」ではなくて。「勤務」と書いているので、勤務すべきなんですよね。勤務中は普通のお仕事の格好をするはずなので。
勤務だから打ち合わせもしなきゃいけないので、打ち合わせをするなら人に会うので、身だしなみを整えなきゃいけないと思ってそうする。これは男性も女性も関係ないので、「ちゃんとしましょう」というだけかな、という気がしますね。
西舘聖哉氏(以下、西舘):確かにそのとおりですね、なんでこんなことに気がつかなかったんだろう(笑)。
安達:(笑)。
倉貫:なんだか非常に当たり前のことを、新入社員に言うようなことを言ってしまいまして(笑)。
安達:あぁ、確かになぁ……。
松本:たぶん今まではプライベートと勤務時間が、9時~17時とかできっちり分けられていたから。そのために「家にいる」ということが、なんとなくオフィスの勤務と違ってきているんじゃないかという気がしていて。
だから「家の中に勤務を取り込んだ」というのは、例えば対面で、Web会議みたいなものでちゃんと会話をしなきゃいけないという想定シーンから見ると「やっぱりそれなりの格好をしなきゃいけないのが当然でしょ」と。だって、会社に行く時にはそういう格好をしているわけですよね。
逆に「じゃあ会わない時はどうなんだ」となると、仕事時間ではあるんだけど、プライベートな空間じゃないですか。そこは私は逆に「効率が上がるんだったらどんな格好をしていてもいいんじゃない?」と思うんですよね。
つまり「会社の時間だから仕事」ばっかりになるわけじゃなくて。むしろテレワークに切り替えたんだったら、使い方を自由にして、その中で自分のパフォーマンスが最大に発揮できるようにしたほうがいい。
でも、やっぱり相手と会話をしなきゃいけないとか顔を出さなきゃいけないときは、これは「マナーでしょ」という話だと思うんですよね。だから、その切り替えがきっちりできているんだったらいいかな、と思うんですよ。
安達:確かに。
松本:実際に今日、調査結果が出ているんですけど、「Web会議に参加する際にどうしていますか」という話だったかな、そういったアンケートの結果があって。4割か3割ぐらいだったか忘れましたけど、「会議の前に着替える」という人がいたんですよね。
そして「そのままきっちりした格好に着替えておく」という人が4割ぐらいだったかな。残りの人たちが私服の、普通の……場合によってはパジャマみたいな格好をしているとかね。そういった結果が出ていたので、やっぱりみなさんの考え方やモチベーションなんだと思いますけど、でもまぁ、マナーですよね。
倉貫:そうですね。お話ししている時に身なりをちゃんとするというのは、まぁマナーというか、自分のためだと思うんですよね。相手に良くない印象を与えるなら、損をするじゃないですか。
西舘:本当にそのとおりだと思います。
倉貫:普通に、なにかしら第一印象を良くしたいなと思ったら、(身なりを)良くするというのと一緒なので。それは相手のためでもあるけど、自分のためなので。自分のためにちゃんとしたほうがいいなと思います。
「昼間の間、ダラダラした格好をしていてもいいじゃないか」という話に関しては、ちょっと僕は反対で。つまり「コミュニケーションをいつ取るのか」の話だと思うんですね。
みなさんのお仕事が、会議時間が決まっていて、「今日は13時と15時にだけあるので、その時間で着替えればいいや」という仕事だとしたら、ふだんのチームの中でのコミュニケーションが取れないですよね。
会議の時間しかコミュニケーションを取れないとなると、非常にやりにくいんですよね。一緒に仕事をしていると、途中で「ちょっといいですか」と話をして、テレビ会議をすることはよくある話だし。
例えば、先輩が横にいて「ちょっとわからないので教えてください」とか、部長がいて「これ、できあがったので見てもらえますか」とチャットをした時に、「わかりました。じゃあ次、15時から打ち合わせをセットしましょう」とか。5分で終わる話が、打ち合わせの時間をセットしないとできない。
安達:(笑)。
倉貫:部長に「ちょっと確認したいんだけど」と言って「じゃあ来週の月曜日に」と言われたらもう萎えるし、仕事ができないですよね。だってこちらとしては3分、5分でいいから話をしたい。
3分、5分の話が仕事場ではいっぱいあったのに、それができなくなる。そうなるとよくない。じゃあそれをするためにはどうするかというと、いつ何時でもテレビ会議が始まるということなんですよね。
いつ何時でもテレビ会議が始まるのに、「いや、今ちょっとパジャマなのでムリです」となると……。「いやいや、どうしたんですか」という話だと思うんですよね。
松本:今の倉貫さんの話って、ものすごくいい話だと思います。何かと言うと、今、テレワーク慣れしていない人たちに何が起きているかと言ったら、オフィスでやっていた会議時間とか、オフィスでやっていた対応のやり方みたいなものを、そのままテレワークに持ち込もうとするんですよ。例えば「(ちょっと)相談いいですか」と言っても、「(まずは)時間を決めよう」というような話。
さっき言った「先送り」みたいな話だったり、あとは、倉貫さん的には反対だと思いますけど「○時から×時までは会議でみんな集まろう」という報告会や連絡会を、いまだにWeb会議でそのままやりたいという人たちがいたりするんですよね。
これって結局のところ、要は仕事のやり方がぜんぜん変わっていない。たぶん「パジャマでもいいや」という人たちがいるんだと思うんですよ。一方で、今日集まっている登壇者の方々って、ふだんテレワークの際にどういう格好をしています? 意外に普通にビデオに出られる格好をしていません?
安達:まあ、いつでも大丈夫ですね。
松本:大丈夫ですよね? 私もそういう格好ですもん。結局やっぱりテレワークができる人とか、あちこちでいろいろなことをやっている人たちって、実はいつでも構えつつも、そのままくつろぐこともできるわけじゃないですか。
(そういう人たちは)オン/オフの切り替えって、実は格好だけじゃなくて、しっかりと自分の中でリズムを作ってできているのかなということなんですよね。
やっぱりそのリズムの感覚が(身に)つかないとか、オフィスのリズムをそのまま引っ張っちゃおうという人たちが結果的にはやっぱりテレワークが難しい、相談もしづらいとなってきているのかなと思うんですよね。
西舘:ちょっと気になったんですけど、倉貫さんのところって確か、新入社員の方も入るじゃないですか。
倉貫:そうですね。
西舘:その場合って、最初にどう……。ソニックガーデン的な働き方って、何かお話しされたりするんですかね?
倉貫:そうですね。普通の会社もそうだと思いますけど、新入社員に研修というか、どういう働き方をしましょうと説明はすると思います。僕らも同じことをしています。それがただ、物理オフィスがないというだけですね(笑)。
安達:なるほどね。
松本:特に倉貫さんのところって、コロナ前と後でぜんぜん変わってないんですよね?
倉貫:業務のオペレーションは、まったく変わってないですね。
松本:お客様対応とかその辺がちょっと違うのかなという気がします。
倉貫:お客様側も、僕らは基本的にお客様とはリモートでお仕事をさせていただいているので、ほぼ変わっていないです。ここ数週間で変わったことは、緊急事態宣言によって、保育園とか小学校に行けなくなったので……。
安達:あー、なるほど。
倉貫:お子さんが家にいるので、やっぱりこれまでお子さんを保育園に預けて在宅勤務していた方は、一定の生産性が落ちるということは、起きているという感じですね。それは、日本全体の話なのですが。
安達:でも、倉貫さん。そういうのって、会社としては「当然そういうことは起きるよね」というだけの話で、別に今までとは基本的に変わらないわけですよね?
倉貫:まあ、そうですね。基本的には変わらないですね。「業務のパフォーマンスが多少落ちるね」ということは加味しなきゃいけないですし、小さいお子さんがいる家庭をみんなでサポートしていこうということはしています。
松本:みんなでサポート。大事ですね。
安達:Boxもその手の話は本社の人事部からアナウンスが出ています。ファミリーケアに一定の時間が割かれるのはしょうがないことなので、「マネージャーの方はみなさん必ずそれを認識してメンバーの方と接しましょうね」というアナウンスが人事部から出たりするんですよね。その辺は似た発想かなと思いました。
西舘:そのあたりというのはやはり、会社でそれが前提だという認識の共有とか、文化作りみたいなところが最初に必要ということですか? 僕のイメージで申し訳ないですけど、日本の会社ってそうなっていない感じがしています。
松本:そこは相談としてやっぱり多いですよ。というのは、テレワーキング制度の中でも、やはり「9時17時の就業時間のうちは、仕事に集中しなさい」となっていて、「仕事以外のことをやっちゃいけない」というルールって、けっこう多いんですよね。
テレワークが最初に流行ったときは、「子どもが少なくなってきたので、『育児テレワーク』みたいなものをしっかりやろう」と言われて日本中でいろいろとブームになりました。だけど、あのタイミングでテレワーク制度を築いた人たちって実は「育児をしながら仕事をしちゃいけないよ」という人たちで、そういうルールが多かったんですよ。いまだにそれを引きずっている会社も多いんですよね。
だから、「自宅にいようが何をしようが、子どもは預けてきなさい」「自宅で集中して仕事をしなさい」と言うんです。なんとなく子育てに向かないじゃないですか。
西舘:そうですね。
松本:介護問題なんかも今後出てくると思うんですけど、そこも向かないんですよね。やっぱり今後はそういった制度をきっちりと作る必要があります。片手間という意味じゃないけど、「平行して何かと一緒にやっていく」というのが当たり前になっていく前提の上で、「じゃあ、制度をどう作りましょう?」という話になると思うんですよね。
富士通の場合は今、9時17時の中で、例えばプライベートで何かをしなければいけないというときは、実はWebOTRというタイムレコーダーのパソコン版みたいなものを使って、ポーズがかけられるんですよ。
つまり、5分以上(あるいは)10分以上、何かしらの作業をやりたいという場合は「一時停止ボタン」を押して、「今はプライベートです」(とポーズをかけます)。それで、戻ったら「再開ボタン」を押す。そうすれば10分抜けたとしたら、その10分は別のところで埋めてくれればいいよと(いうことなんです)。要は「時間勤務制の話をうまくテレワークに適用するためにはどうすればいいか」という方向でやっていたんですよね。
このやり方だったら別に、(自宅の中で働く場所を)固定してオフィスみたいな環境を作ってテレワークをやらなくても、どこでもいいじゃないですか。やりたいときに「今、開始だ」と言ってやればいい。
どこの企業さんもそうですけど、こういうときに困るのが、やっぱり安いパソコンを買いたくて、めちゃくちゃ重いパソコンを買うんですよね。2キロか3キロぐらいありそうなパソコン。あれだと家の中でどこでもというのは、なかなか難しい。なのでうちとかは700グラムぐらいの薄軽PCを使っています。本当に私は書斎でもダイニングでも、ベランダでも車の中でも、どこでもテレワークができる状態なんです。
そういうふうに、スタイルを決めないテレワークができるようにするための制度をちゃんと作っていったほうがいいかなと思いますね。
西舘:時間も区切れるし、場所もけっこうフレキシブルに変えられるというところがすごく大事。そういうところですよね。
松本:そうでないとたぶん、テレワークではなく在宅勤務で終わっちゃうと思うんですよ。
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.21
初対面の相手から本音を引き出す「核心質問」のやり方 営業のプロが教える、商談成功のカギを握る質問力アップのコツ
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.22
40歳以降の「つみたてNISA」と「iDeCo」運用の優先順位 老後のための資産形成のポイント