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2025.02.18
AIが「嘘のデータ」を返してしまう アルペンが生成AI導入で味わった失敗と、その教訓
The Mystery of the Black Diamond(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:黒ダイヤの名でも知られるカーボナードは、1841年の発見以降、地質学者の注目の的でした。まず見た目が美しく、産業利用でも優れた性能を誇ります。しかし、独特の魅力を放つこの輝く石について、我々が知らないことはたくさんあるのです。
まず、カーボナードは、地球のどこで生成されるかがわかっていません。そもそも、地球上で作られた物質であるかすら、不明なのです。
名前の通り、カーボナードは黒色、もしくは暗い色味を帯びています。その色彩は多岐に渡り、灰色、ピンク、グリーンなど様々で、宝飾品として取り扱われることもあります。しかし、カーボナードはダイヤモンドよりも希少であり、市場に出回る黒いダイヤモンドは、ほとんどが天然のダイヤモンドや人工的に彩色されたダイヤモンドなのです。
カーボナードは、ほぼダイヤモンドと同じ物ですが、みなさんが想像するものとは少々異なります。炭素の結晶としてはダイヤモンドの部類に分類されますが、結晶の並進対称性の高い、通常のダイヤモンドと異なり、多数の微小な微結晶から構成されています。このような炭素の集合体は、地質学者のいうところの「他形(注; 鉱物の形で、他の鉱物に妨げられて、その鉱物固有の結晶面をもてないもの)」です。カーボナードが、ダイヤモンドのような単結晶よりも多孔性であることなどは、そのためです。
このような特異な結晶構造——「地球外的」とでも言いましょうか——であるため、カーボナードは産業利用にうってつけです。ダイヤモンドは硬度が非常に高く、その特性を活かしてカッターやドリルなどに活用されます。しかし、そんなダイヤモンドも、ひび割れたり壊れたりするため、新しいダイヤモンドに付け替える必要があります。
ところが、カーボナードの場合はその点で優位です。単結晶体ではなく多結晶体であるため、ひび割れる箇所は部分に留まり、全体にまで広がることはありません。つまり、カーボナードは、ダイヤモンドと同等の硬度を誇り、なおかつダイヤモンドよりも長持ちするのです。
物質の「硬度」とは、摩耗への耐久性を意味します。カーボナードの「硬度」は、通常のダイヤモンドのそれに匹敵します。
一方で「靱性」とは、外力によって破壊されにくい性質を示します。カーボナードの「靱性(じんせい)」は、トップクラスを誇ります。つまり、カーボナード製のカッターやドリルは、長持ちすると同時に、長期間メンテナンスは少なく済むのです。
しかし、科学者がカーボナードに興味を示すのは、その審美性や用途についてではなく、その誕生についてです。そして、カーボナードの誕生は、謎に包まれています。
通常のダイヤモンドは、そのほとんどが地球のマントルの、非常に高温高圧な環境で生成された後に、火山の噴火などにより地表に表出され、マントル鉱物と一緒に岩盤に閉じ込められた形で見つかります。
カーボナードの場合は、少々勝手が異なります。まず、マントル由来の岩盤では発見されません。さらに、その構成に含まれる成分も、マントルで生成されるとすれば多くの矛盾が生じます。
カーボナードの生成については、隕石衝突による高温高圧力説や、放射線によるマントル内の炭素の変質説がありますが、いずれの説も、現存のカーボナードの大きさや数を説明するには見合っていません。
もう一つの候補は、プレートがぶつかり合ってマントルに沈み込む「沈み込み帯」です。
「沈み込み帯」の高温高圧は、カーボナードを生成するには十分なものですが、前述したように、カーボナードとマントルの鉱物が一緒に見つからないのは不自然です。
このような根拠から、科学者たちは、カーボナードが誕生したのは星間空間ではないかと考えています。
炭素が豊富にある遠い宇宙であれば、地球のマントルの鉱物がなくとも、カーボナードの結晶が生成され、隕石に乗って地球にやって来る可能性は十二分にあります。その上、宇宙由来説であれば、カーボナードの成分にまつわる謎にも説明がつきます。
また、カーボナードが見つかるのが中央アフリカ共和国とブラジルだけであることも、アフリカ大陸とアメリカ大陸が同じ超大陸の一部であった時代に、大量の隕石が降って来たと考えれば、納得がいきます。
こういった証拠はすべて、カーボナードが、宇宙から来たことを示す、数少ない地質学的現象であることを示しています。不可能を考えなければの話ではありますが。
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