ブロックチェーンを味方にできる企業とは?

瀧俊雄氏(以下、瀧):みなさま、おはようございます。マネーフォワードの瀧でございます。本日最初のセッションはブロックチェーンです。非常にいまどきのテーマになりますが、内容としても、いろいろ考え始めると難しいものでもあるかもしれませんね。

今後5年、10年間という期間で、みなさまのお仕事にどのように役に立っていくのかという観点で、今日はTRENDE株式会社代表取締役の妹尾さんをお迎えしながら、まずはいろんな使い方やビジョンをお話ししていければと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

まず、当社メンバーを紹介させていただきます。私はマネーフォワードの取締役の瀧と申します。この3、4年間ぐらい、ブロックチェーンを含めてフィンテック(Fintech)と呼ばれるさまざまな金融に関連する技術が、社会のどういう役に立つのかを見てきた人間でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

続きまして、マネーフォワードのグループのマネーフォワードフィナンシャル株式会社代表取締役の神田の自己紹介に入ります。

神田潤一氏(以下、神田):みなさん、おはようございます。神田と申します。私は、元々日銀に23年ほど勤めておりました。最後の2年ぐらいは金融庁に出向して、フィンテックの企画を担当しておりました。

その中で、仮想通貨ですとか、あるいはオープンAPIですとか、世界でも非常に先進的な取り組みが、日本からどんどん出てくる、というところに携わっていました。これからは民間がどんどん引っ張っていく、金融がどんどん変わっていくという流れを実感したところで、日銀も金融庁も辞めまして、去年マネーフォワードに参画して、グループ会社のマネーフォワードフィナンシャルを立ち上げて、仮想通貨交換所の開設の準備をしています。

マネーフォワードグループの仮想通貨事業構想

神田:(スクリーンを指して)こちらにありますように、仮想通貨あるいはブロックチェーンにはみなさんいろいろな疑問を持っていたり、あるいはネガティブな報道が出ていたりもしていますよね。

まずはどういうものかを知っていただくために、メディア、それから仮想通貨を持っていただくための交換所、実際に仮想通貨を使っていくための決済・送金のような機能もゆくゆくは提供していきたいと思っております。

マネーフォワードグループとしても、仮想通貨を新しいアセットクラスとして管理する自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」(現:マネーフォワード ME)で資産管理のホスト・機能を提供しております。

そういうところで、仮想通貨が管理できる。あるいは、仮想通貨の売買をして出てくる税金の申告も、ビジネス向けクラウドサービス『MFクラウドシリーズ』(現:マネーフォワード クラウド)を通じて確定申告のサポートができる。

そういうかたちで、マネーフォワードグループ全体としてブロックチェーンや仮想通貨の事業をこれから展開していくための準備をしているところです。

その第1弾として、先週9月28日、ちょうど先週末ですね。「Onbit(オンビット)」という名前のメディアを開設しております。ビットコインのbitにon、そこに触って参加していくという意味で「Onbit(オンビット)」です。ぜひ、ご覧いただければと思います。

また、仮想通貨の交換所は、やはり日本では、金融庁に仮想通貨の交換業者として登録をして、その上で法定通貨・円と仮想通貨を交換していくという制度になっております。今、仮想通貨の交換所の開設に対して、システム的にも、金融庁への申請という手続き的にも、準備をしています。年明けぐらいからサービスを提供できればと考えております。

その先の話ですが、私共は「マネーフォワード」というアプリで、いろんな金融サービス、金融資産を見える化をして、一元的に管理できるようなかたちで提供しております。見える化をした先には、そういった価値をどんどん交換をしていく、あるいは「ここに貯まっている価値をこっち側に移したい」「もっと効率的に運用したい」というニーズが出てくるわけです。

そういういろんな価値をやり取りするプラットフォームとして、仮想通貨やブロックチェーンで価値の交換の機能を提供できないかと考えております。これは少し先になるかと思いますが、そういう構想を持って仮想通貨・ブロックチェーンの事業に入っていこうとしているところです。

:ありがとうございます。

神田:よろしくお願いします。

「ブロックチェーンとは何か」を説明できますか?

:はい、よろしくお願いします。妹尾さんの自己紹介の少し前に、そもそもブロックチェーンとはなにか? を5分ほどお時間をいただいてご説明できればと思っております。

ブロックチェーンとはなにかを、ざっとでも構いませんので説明できますよという方はどれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

:意外と、手を挙げる勇気のある方がいらっしゃるのですね(笑)。私は、この度のパネルをやるにあたって「教科書を何回か読み直したみたいな」というレベルだったりします。

(ブロックチェーンは)「いやいや、ちょっと難しいもの!」とか、体感的に「なんだ、これ?」とかよく言われるものでもあります。それを5分で説明するというのはなかなか難題だとは思いますが、ちょっとトライできればと思っております。

(スクリーンを指して)まず、これは理解できなくてもいいですよ、という定義が載っています。最近になって『徹底理解ブロックチェーン』という、インプレスさんの本を借りたんですよ。読み上げるのもためらわれるぐらい、しっかりした言葉で書かれています。

Peer to Peerのシステムとか、分散型の仕組みとか、アルゴリズムに暗号化のセキュリティの技術を組み合わせたものだ、とかいう……。わかる人にはわかるけれども、たぶん国民の99パーセントが置いていかれる表現があるなと感じるのが、このブロックチェーンです。

実は経済産業省さんがこの数年間、ブロックチェーンとはなにかとか、産業データの活用とかをかなりかみ砕いてしっかり説明をすることを、ずっとされてきています。

「猫の群れ」で例えるブロックチェーン

:(スクリーンを指して)よく引用される絵がこれです。なにかわかるような気がしますよね。

例えば、左側には、たぶん真ん中でなにか決めている先生のような人がいます。右側は、どうも先生が真ん中にいない状態で、どちらかと言うと学級崩壊をしているような状態かもしれませんね。いろんな人たちが情報をやり取りしていて、信頼を担保している。これがよく行われる説明です。

なぜこれがブロックチェーンというものの説明なのかというと、すごくかいつまんで言うと、みんなの間で合意したことをその時点で箱に詰めていくのですね。その箱を開けることがとても難しいから、中身を改ざんすることが難しい。過去の約束を、そうやってしっかりと記録していこうというのが、主だったブロックチェーンの説明なのだと思います。

ただ、もう1個ちゃんとかみ砕くべきかなと思っていまして、私なりの定義を今日、不真面目にお持ちいたしました。(スクリーンを指して)ブロックチェーン界隈の人にこれを見せると、すごく怒られるかもしれません。

インプレスさんの本にも書いてあるのですが「猫の群れ」という表現がございます。「これ、なんだ?」という話がありますが、猫が象徴するものは、中央の権威などを必要としないことです。

飼い犬と飼い猫の違いを考えていただくと、猫は基本的に言うこときかないからかわいい、みたいなところがあるわけですよね。ただ、猫の群れが野生には存在するわけでして、例えば猫の群れからすごく逸脱してなにかをしようとしちゃう子がいると、連れ戻したりすることもあります。

そういう個別のプレーヤーさんはいろんなものを考えます。いろんな自身の都合で動いたりするけれど、全体としてはなにか秩序が保たれるような、そういうデータの仕組みをブロックチェーンと呼んでもいいのではないかなと思っています。

固い表現で言うと、中央の権威を必要とせずに相互に会話をします。その中で、本来であれば信用や権威が必要な仕組みと同じような関係性、ちょっと難しい言葉になるかもしれませんが、それを提供しているものなのだ、ということがもう1つの言い方になるのかなと思っています。

ブロックチェーンを活用するための2つのキーワード

:どうしてこれを使うのかというと、私もキーワードとしては2つだと思っています。信用と調整をするコストが高い時に、これは便利なんじゃないかなぁと思っています。信用ですと、よく「ブロックチェーンの使い道の最たるものは、仮想通貨だ」という表現がありますよね。仮想通貨というか、実際の法定通貨は、神田さんの前職である日本銀行などが信用をすごく守ってきているものですよね。

そういう人たちを維持するコストよりも、例えば周りでそういう信頼のネットワークを作ったほうが安いケースの場合に、ブロックチェーンが使えるのではないかな? というのが1つの説明になります。

もう1つは、いろんな人たちの間で情報とか権利の関係とかを調整しなきゃいけない、という時ですね。よく音楽の著作権で、「誰がギター弾いていたのか? その人の確認が取れないと音楽流通できないよ」みたいな話がありますが、そういう時にこういったシステムはとても便利なのだという説明がされる次第でございます。

ですが、当然万能ではございません。ブロックチェーンは、(スライドを指して)ここにもありますように、いろんな人たちが通信をする仕組みでもあるので、通信の量がかなり増えます。あと、計算力も非常に必要になりますし、プログラムも決して簡単ではありません。ビットコインの世界もそうですが、セキュリティがものすごく大事になってくるという点で、従来のソフトウェアよりも万能ではない。

ただ、今後の社会の中で、一部の運用や調整のコストが高い領域に対しては非常に便利になってくるのではないだろうかという期待値を持って話しています。なので、こういったことに使えます、という事例は本当に多様になります。ただ、少しずつ足元で稼働し始めている部分があります。

そんな中、本日トレンディの妹尾さんをお招きしたのは、まさに「そういう用途があるのではないか?」ということを体現されているためです。そのお話をきっかけに、みなさまの理解を深めていければと思っている次第でございます。

では、遅くなりましたが、妹尾さんよろしくお願いいたします。