人間はダイエットに失敗するようにできている
痩せようとすると反抗する、厄介な身体のメカニズム

The Real Reason It's So Hard to Lose Weight

私がいつもダイエットに失敗するのは、空腹時に食べるピザがあまりに美味しいことを知っているから? いえいえ、原因はピザではありません。実は人間の身体は、痩せようとすると反抗するようにつくられているのです。とはいえ「なんだ、じゃあしょうがないや」と簡単に諦められることではないのがネックですが……。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、 人がダイエットに失敗してしまうメカニズムについて解明します。

スピーカー

私たちの身体は、痩せようとすると反抗するようにできている

ステファン・チン氏:体重を落とすのは容易ではありません。それどころか、とても難しいとさえ言えるでしょう。ダイエットに励んだものの、リバウンドして元の体重に戻ってしまったり、する前より太ってしまう人もたくさんいます。原因は「ピザがあまりにも美味しいから」というだけではありません。実は私たちの体は、痩せようとすると反抗するようにできているのです。

体内の脂肪組織に蓄えられた脂肪は非常に高エネルギーの物質なので、ひとつまみほどで細胞にエネルギーを与えることができるのです。

人がなんらかの理由で食べられなくなったり、成長や出産のためにより多くのエネルギーを必要とする時、体は蓄えられた脂肪に頼ることになります。ですから、生き残ることを考えれば、いくらかの脂肪を蓄えていることは良いことなのです。

それでも体重を減らしたいなら、体が必要とするより少なく食べて脂肪を消費させ、目標体型になったら普通の食事量に戻せば良いのではと考えるかもしれません。しかし体側は、脂肪が多かろうと少なかろうと、そう簡単に無くしたいとは思いません。ですから、摂取カロリーを少なくすると結果的に痩せにくくなってしまうのです。

ダイエット中は、なくしたい脂肪ではなく、食べ物からエネルギーを奪う

体の反抗はホルモンによるものです。最も重要なのは「レプチン」という、脂肪細胞から分泌されるホルモンです。脂肪細胞が大きいほど、より多くのレプチンが分泌されます。

体重が落ちるとレプチンの量も少なくなります。すると、視床下部などの脳の一部が、レプチンが少なくなったという状態を「体が飢餓状態にある」と認識し、体に向かってエネルギーを守って蓄えを増やすようにという指令を出します。

他の臓器も、ホルモンを通して「燃料が少ない」という不平を脳へ伝えます。胃は「グレリン」というホルモン量を増やすことにより、脳に食物が足りないという信号を送ります。それと同時に、膵臓は血糖値を調整するインシュリンの分泌を減らし、お腹がいっぱいであるという信号を出す「アミリン」の分泌量も減らします。

つまり、カロリー摂取量を減らすと「グレリン」の量が増え、インシュリンと「アミリン」の量が急降下するので、もっとお腹を空かせるようにと脳に指令が行き、体は飢餓状態になります。

一連の研究によれば、どれだけ空腹を感じるかに加えて、脳はホルモンの変化に合わせて、食べていない食事が何なのかに過敏に反応するようになります。もし食欲に負けて食べてしまった時には、その快感をさらに感じられるようにしてしまいます。その間、体の他の部分はさらに省エネモードになってしまいます。

例えば、筋肉は燃料を得る場所を変えてしまいます。筋肉のエネルギーが必要となると、いつもは貯蓄している脂肪と循環しているグルコースの混ざった物質を使いますが、体がカロリー量を抑えたダイエット中の時は、脂肪よりグルコースを多く使います。ですから、結果的に、無くしたい脂肪ではなく、食べるものから多くのエネルギーを使うようになってしまいます。

リバウンドが起こるメカニズム

さらに省エネにするため、他にも小さな変化が生じます。体の他の部位も同様です。とくに悩ましいのは、ダイエットによって発生する「ホルモンが飢餓状態にある」という信号は、ダイエットを終えても、なお続いてしまうという点です。

「レプチン」は脂肪の量により分泌されるので、それは道理にかなっています。しかし、通常の食物摂取に反応するような他のホルモンは、ダイエットを終えて通常の食事量に戻しても、分泌量が少ないサイクルのままになってしまうのです。しかも、そのままの状態で何年も変わらないのです

だから、カロリー摂取量を元に戻しても体は飢餓状態のままになってしまうので、よく見られる「リバウンド」が生じてしまうのです。さらに都合の悪いことに、体重が元に戻っても、省エネモードが続いてしまいます。

通常は、体格が小さければ、何をするにも燃料は少なくて済むのですが、ダイエットとホルモンはそんなに簡単な関係にはありません。体重1キロ当たりに必要なエネルギーは、その人が以前に太っていたか痩せていたかにより変化します。

ダイエットを妨げる省エネモードの効果

この現象は2016年に行われた研究結果ではっきりと確認されました。その実験では、テレビ番組のダイエット競争の参加者を対象に、6年間にわたって観察が行われました。とりわけ研究者は、参加者の休息時の代謝率に注目しました。

休息時の代謝率とは、その人の細胞が活動し続けるために必要なエネルギーの最低量を指します。ダイエットコンテストの30週間後、14人の参加者は平均で58キロの減量に成功しましたが、彼らの休息時の代謝率は1日あたり610キロカロリーほど減少したのです。コンテストが終わって何年かすると、平均で41キロほどのリバウンドがありましたが、代謝率がそれと比例して増加することはありませんでした。

彼らの最終的な体重で考えられるカロリーより、1日あたり500キロカロリーも代謝が少なくなっていたのです。つまり、もしまた将来的に減量をしたくなったとしたら、最初の頃よりさらに厳しく減量しないと痩せなくなってしまうのです。

他の多くの研究結果も似たような結論を出しています。人が体重を減らすと、またリバウンドで元に戻ったとしても、ダイエットをしていない同じ体重の人より、1キロあたりの消費カロリーが少なくなってしまうのです。そうなると、ダイエットをしたことのない同じ体重の人よりも少なくカロリーを摂取しなければ、その体重を維持できなくなってしまうのです。それに、食べすぎれば同じ体重の人よりも簡単に太ってしまいます。

このような省エネモードがどれくらい続くのか、省エネモードがなくなる日が来るのかについては、はっきりとわかっていません。しかし、体がダイエットに反応をする程度は人により異なります。科学者は体がダイエットに反応する方法が、遺伝により、また食べるものなど他の影響によりどう異なるのかについてまだ研究を重ねています。しかし、体が減量に対して反抗するということを理解すれば、これほど多くの人がダイエットで苦労する理由が理解できますね。

Occurred on , Published at

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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