中学2年生でつくった「なんとかなるロボット」

元木一喜氏(以下、元木):それでは、次のプレゼンターにいきましょうか。LITALICOワンダー 川崎所属、クリエイターネーム「cola」のプレゼンテーションですね。

cola氏(以下、cola):(ペットボトルのコーラを持ってきて)大事なものを忘れそうでした。僕のお守りです。

元木:(笑)。

cola:では、僕のプレゼンを始めていきたいと思います。ゲーム&アプリプログラミングコースみたいな派手な演出はできないので、ちょっと背景をがんばったんですけど。僕のクリエイターネームは「cola」といいます。LITALICOワンダーに入ってから、ざっくり今年で3年目ぐらいになります。高校1年生です。

(会場笑)

「LITALICOワンダーでの歴史と今後の目標について」という紙を、1ヶ月前ぐらいに渡されました。ここに立っているから、みなさんからしたら、「いままで、この人はどんなことをやってきたんだろう?」とか、すごそうに見えると思うんですけど、今回はそのイメージをちょっと壊そうかなと思って、僕のことについて話そうと思います。

僕は小学校から中学校ぐらいまで不登校でした。そのときに、親がすすめてくれたのが、LITALICOワンダーのロボットテクニカルコースでした。もともとものづくりが好きだったので、すぐにのめり込んでロボットを作っていました。お小遣いを貯めまくって、自分のお金で3Dプリンターを買ったこともあります。

そんなこんなでロボットを作っているうちに、自分に自信がついた僕は学校に復帰。2016年のワンダーメイクフェスでプレゼンで発表をして、審査員賞もいただきました。

これがそのときのロボットで、「なんとかなるロボット」というものです。段差を登れるロボットですね。

この当時は「災害救助ロボット」なんて大きなことを言っていましたけど、実際は僕が作りたかっただけで、ぜんぜんそんな意図はなかったです(笑)。

その次の年、2017年のフェスで発表したのが、「なんとかなるロボット」をパワーアップさせた「なんとかするロボット」です。このときも一応、審査員賞をもらいました。

(スライド左下の画像を指して)この白いトゲトゲしたタイヤが、僕が買った3Dプリンターで作った特注のパーツです。これを段差のデコボコしたところに引っかけて登る。右上が、後輪付近です。(重心を)どれだけ下げたら、どこまで後輪が上がるかという画像ですね。

不登校の日々を後悔していない

このように、僕はいろいろとロボットを作ってきて、いま、ここに立っています。2017年のフェスの最後に、僕はこんなことを言ったんですね、「軸が壊れてしまった」と。レゴのプラスチックでできた軸です。それで「いつかアルミで作りたい」と思っていたんです。そんなことがあって、いま僕が何をしているかということを、今後の目標とともに発表していこうと思います。

「もっと本格的にロボットを作っていきたいな」と思って、いまはロボットのハードを作るために、金属加工する方法を勉強しています。(スライドを指して)これはLITALICOワンダーではなかなか使えない機械なので、僕の学校のほうで勉強していることなんですが、LITALICOワンダーで学んだことの興味がここまで発展したんですね。

今後の目標として、金属の加工方法以外に、3DCADを使ったロボットの設計もやり始めています。いつか自分で設計したロボットを、材料の加工から組み立て、プログラミングまですべて自分の手でできるようになりたいと思っています。(スライドを指して)この2つとも、自分が設計して、立体化した、その動画になります。

最後に、僕はあのときに学校に行けていなかったことを、ぜんぜん後悔していないです。なぜなら、もし行けていたら、親からLITALICOワンダーをすすめられることはなかったからです。あのときに学校に行っていれば、僕はこの場にすらいないと思います。

この経験から僕が言えることとしては、いま、なにか困っていることがあっても前向きに生きてください。「それが、自分にとってなくてはならないことだった」と思うときが、いつかきっと来るからです。僕の発表は以上です。

(会場拍手)

元木:ありがとうございます。では、(会場から)フィードバックをもらおうかなと思います。それではみなさん、手元にある4つの(感想の)中から、1つ選んでいただけたらなと思います。

それでは、観客フィードバックいきたいと思います。では、「せーの」でいきましょう。せーの、ドン!

どうですか? 「ナイスストーリー」が、赤が多いですかね。あと、「テクニック」も多いですね。「ユーモア」もある。ありがとうございました。

(会場拍手)

一番楽しかった瞬間は?

元木:では、もんりぃ先生からもコメントをいただこうかなと思います。

森哲哉氏(以下、森):発表ありがとうございました。とくに最後のセリフにいたく感動しました。僕も大学を中退していて、辞めたことを前向きに捉えられるのはすごく大事なことだなと思うので、すごく共感しました。ところで、ロボットを作っていて一番楽しかった瞬間は、どこですか?

cola:楽しかった瞬間ですか? いつもロボットを作っていて思うことですが、「どういうふうに作ったらいいか?」「どうしたら成功するのか?」をいっぱい考えたうえで、やっとの思いで成功したときが、一番楽しい瞬間だと思います。

:本当によくわかります。

cola:クリエイターだったら絶対わかりますよね。

:完全に同じ感じです。今後は、金属加工などもやるという話ですけど、たぶんまた次のハードルがいろいろと出てくるんだろうなと思います。それを乗り越えて、またその楽しい瞬間……「動いた!」という瞬間を見せてもらえたらなと思うので、今後も期待しております。

cola:ありがとうございます。

(会場拍手)

元木:私から言うのもあれですけど、リハーサル1週間前に見させてもらいました。2回見ても、やっぱりいいですね。あの昔作ったロボットから、「お前は金属加工までいったのか!」という、ワクワク感がすごくあります。

また来年、ここに立っているかはわからないですけど、みなさんもcolaの作品が見たくなったら(会場に来てください)。また新しい作品を楽しみにしています。あと、胸にかかっているこれも用意したんですね?

cola:そうなんですよ。

元木:それ、もしあれだったら(紹介してもらってもいいかな)と思って(笑)。

cola:いま「コーラが飲みたい」と出ていますね。

元木:(笑)。それ、去年付けていた子がいたんですよね? 「それを見て、自分もやってみようと思って、今日準備してきた」と言っていましたね。colaの発表でした、ありがとうございました。

(会場拍手)