インフルエンサーマーケティングの誤解
足立光氏(以下、足立):足立です。よろしくお願いします。簡単に自己紹介をします。P&Gのマーケティング本部でキャリアを始め、その後、経営コンサルティング会社を経て、シュワルツコフヘンケルというドイツの会社とワールドという会社ではずっと経営をやっていました。ですので、実は、16年ぶりにマーケティング復帰してマクドナルドに戻ってきたというわけです。
インフルエンサーマーケティングなのですが、今日たくさんいらっしゃっているデジタルマーケティングの方たちとお話しすると、「インフルエンサーマーケティングとは、影響力のある有名人に、インスタやYouTube等のデジタルで自社ブランドや商品について発信してもらうことだ」という誤解をされている方がけっこういます。
これが誤解だという解説をする前に、これが本当にインフルエンサーマーケティングの定義であるとすれば、マクドナルドはほとんどやっていません。Instagramはもう閉じてしまいましたし、有名なYouTuberによる発信も、あまりしていません。
どこが誤解かというと、「影響力のある有名人」「InstagramやYouTube」あとは「デジタル」の3つです。何が誤解かをお話しする前に、まずマーケティングの目的について確認したいと思います。
何かコミュニケーションをしようとする時には、誰に(WHO)、どんなメッセージを(WHAT)、それからよく忘れられがちなのですが、どのくらい(HOW MUCH)、そして最後にどうやって(HOW)ということを順番で考えます。なので、今話題にしているインフルエンサーマーケティング的な、「どういう人たちにどういうメディアで発信しようか」というのは、本来マーケティング的には一番最後に考える「HOW」のことなんです。
なので、マーケティング企画会議で「インスタでインフルエンサーマーケティングをやりましょう」というのは、根本から間違っていると思っています。
また、インフルエンサーの目的は影響力を与えることなので、実は有名人でなくてもいい。デジタルでなくてもいいということをお話ししたいと思います。
誰が言うかで信頼度は変わる
足立:例えば、私が高校で生徒会長に立候補したとしましょう。私が、私のことをよく知らない生徒に対して「足立はすごくまともな人です、ぜひ選んでください」と自分で言うことは、自分で自分のことを「良い」と言っている、まさに広告です。それだけでは、まあだいたいダメです。