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「後悔しない」基幹システム刷新の走り出し方~これからの基幹システム刷新~(全2記事)

2025.02.27

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こんなはずでは……と後悔しない 基幹システム刷新に効く、人材確保のための2つの具体策

提供:ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社

基幹システムの刷新は「ERPを単に新しいものに置き換えるだけ」では終わりません。実現性の高いロードマップをいかに見積もるか、キーパーソンとなる人材をどのように確保・育成するか……多くの課題が山積しています。ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズによるセミナー「『後悔しない』基幹システム刷新の走り出し方~これからの基幹システム刷新~」で行われたセッションの後半を紹介する当記事では、現行パートナーについての数々の“誤解”や人材確保のための具体策などをプロフェッショナルが詳細に解説します。

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実現性のあるロードマップをどう見積もるか

阪田祐介氏(以下、阪田):ありがとうございます。では先ほどのお話を踏まえて、構想がある程度、整理できた状態を想定して、また実例ベースでお話ができればと思います。


その前提だとすると、おおよそ経営層や上層部から「じゃあいつできそうだ?」と、いつまでに、何ができて、リリースはどのくらいを見ておけばいいのかという、大枠でも実現性のあるロードマップを求められるんじゃないかなと。

もちろん見積もりしないとわからないんですけれども、そうは言ってもという話があります。ある程度はプロジェクト側で用意しなければいけない材料だと思います。

考え方としてありそうなのが、それこそ売り手市場の話につながってきますが、現行パートナーに声かけをすれば、おおよその時期が掴めるんじゃないのか。

あとは経営層からすると、メジャーなERPをもともと使っていて、載せ替えるのであれば、どこを選んでも大方は低コスト、短期間でできるのでは、という考えもあると思います。

このような複数の視点や思惑の中で、ソリューション、あるいはどこのパートナーとお付き合いするかの検証、検討が始まっていくと思います。

次のスライドにいくと、そういう走りだしをした時に、また「あれ、こんなはずじゃなかったのに」という場面もあるのかなと想定しています。

例えば、現行も含めた複数のパートナーに声をかけたとしても、結局「想定しているシステム構成は?」「クラウド化の範囲はどこまで?」と聞かれるのではないかなと。つまり、ゼロベースで答えてくれるわけではなくて、ある程度の前提条件を教えてくださいとなるのでは。

そうすると、「じゃあ、もう少し考えてみます……」となったりして、その間にパートナーもほかの客の仕事でいっぱいになっちゃう、ということがある。


パートナーはいつでも応えてくれるという「誤解」

阪田:もう1つ、現行パートナーはお付き合いしてくれるだろうとの思惑があったとしても、リソース不足でなかなか検討に入ってくれないという事象もあったりします。つまり、その現行パートナーですら、本格的に先の話を一緒に検討してくれるための空きができるのは1~2年後、ということもザラにあります。

前回の基幹システムを刷新するタイミングからすると、正直、そこまでの変化は想定していなかった方もいらっしゃると思います。

次のスライドにいっていただいて。そうすると、このタイミングで、この落とし穴をよくよく考えながら解決策の話に入りたいと思います。

言わずもがななのですが、ここに書いてあるように、パートナーはいつ声をかけても応えてくれる存在だと誤解をしていたという点。先ほどの話ではありませんが、パートナーはゼロベースでもシステム構成やクラウド化の範囲の最適解を提案してくれる、という誤解もあるかもしれない。


言葉的にはアレですが、よくあるのは、いわゆるパートナーは業者ではもうないので、どういうスタンスでお付き合いをしていくかを考え直さなければいけない時期に来ているのかな、と思います。

次に、この落とし穴を踏まえて、具体的な打ち手の話に入っていきたいと思います。具体策を2つ書いています。先ほど滝川が話してくれましたが、やはり構想段階、ステップの中で盛り込んでおかなければいけないこともあったのでは、ということをこの中で話せればと思っています。

では滝川さん、またバトンタッチいたします。

滝川佑次氏(以下、滝川):ここで挙げている具体例の、1つ目の「構想まで検討しておく」については、先ほど1つ前のテーマで話した内容なので、軽くいきたいと思います。それをしておくことで、「RFPを用いたソリューション選定を前提としない」という2つ目に続ける、と捉えていただければと思います。



1つ目の「システム構成までゴール検討時に想定しておく」は、前述のとおり経営層からの要求を言語化しただけでは足りません。システム側や運用側、企画側でも、どのようなシステムになるか、ある程度の構成を今の段階で考えて、どういうメリット・デメリットがあるのかをQCDの観点でも評価しゴールを決め直すところまでやっておくのが、上流段階での大切な肝になってきます。

なぜクラウドにするのか踏み込んで考える

滝川:クラウドが主流と言われていますけども、それって何さ? というので、言われたからクラウド版のERPを導入するのではなく、「なぜクラウドにしなければいけないのか」といったところまで踏み込んで考えてから、再度ゴールを練り直すというところを見直してもよいフェーズだと思っています。



みなさんもよくクラウド化と言っているかと思うのですが、メリット・デメリットはだいぶ変わってきます。コストの付き方や発生の仕方が変わってきますし、パートナーからのロックインは回避できるの? サービス停止しないなんて本当ですか?

このあたりのデメリットも踏まえて、経営層と合意したゴールを考えて、それでもクラウドにいくのかをこの時点で考えておくのが、パートナー選定をするためにも非常に重要なポイントになっていると思います。



今回、ゴールを作るためにクラウド化などの議論をすると思います。しかし、現行の課題や原因を把握して施策を作るだけではなくて、その施策を作る時の壁の高さや、乗り越えたあとに発生する副作用、障害のデメリットも含めて取り組みの施策、ゴールが良いのかを検証いただきたいです。

この整理は非常に難しいので、ぜひ我々にご相談いただけるとお力になれると思っています。

課題についても、単純に今困っていることだけではなくて、その困りごとは何なのか。その原因が本当はどこにあって、それらを解決する施策になるのか、施策に対して実際に乗り越えなきゃいけない障害は何か? それぞれ階段ごとにみなさんが考えておられることを言語化する。



それを入れてしまうと、どういう副作用、デメリットが発生するのかを統合的に考えて、それでもやるのかを、このタイミングで、ある程度議論しておくのがポイントだ思います。

だいたいゴールを作って、こういう構想、システムになりそうといった内容について、改めてQCDの観点でもいいので、自分たちで整理してみる。すると、改めて文書化することで「こんなことがあった」と気づけることがあります。



難しいフレームワークなどは不要です。まずはQCDの観点で、今みなさんが考えている構成やゴールがどういう状態なのか、いくつか比較できると思うので、こういう時にはこういう観点で、パッと考えて言語化して、何が良いのかを整理しておく。そうすると、関係者との認識が揃えやすくなります。

大きく比較せずともパートナーを選びやすい環境

滝川:という前提を置いた上で、2つ目の具体策です。そこまでシステム構成の想定ができていれば、相談するパートナーをかなり絞り込めると思います。ゴールだけを作って、一生懸命にRFPを作って、いろいろな大規模ベンダーにバーンと出しても回答いただけない、というパターンが非常に多くなっています。

なので、我々が作りたいシステムは何かを整理して、それを得意なパートナーを、Webで、あるいは関係しているパートナーがいらっしゃると思うので、そこで当たりをつける。そのタイミングで巻き込む動き方をぜひしていただきたいと思っています。



前回の基幹システムの時代は、10年前、20年前の刷新だったかと思います。そのタイミングでは各パートナーの技術や知見も変わっていましたし、開発、運用を任せてもらえれば儲けられるというので、どのような戦略的な価格にするのかで比較することにメリットがありました。

ところが今回は、人がいなかったり、ソリューションがある程度特定していたりすることを考えると、より明確に適切なものを……大きく比較しなくても選びやすい環境になってきていると思いますので。

そのために、前段階でシステム構成やゴールをどうするかを自分たちで考えていくと、パートナーを狙い撃ちしやすくなります。このあたりの準備をした上で、効率的な進め方をしていただきたいです。というのが2つ目でした。

では3つ目は、業務の語り手不足です。先ほど質問に挙げられていましたが、どのようなメンバーにしたらいいのか、といった内容に答えられるパートです。ではここで、また阪田さんにお願いします。


阪田:ありがとうございます。ここは何度か話に出てきましたが、現行のシステム、すでにERPを使いこなすことから、業務経験、あるいは社員のみなさんが増えてきている実情がありますので、業務の語り手はどうするんだ? という問題ははなかなか難しいと思っております。そこで、このパートでもう少しお話できればと思っています。

渡すべきバトンがありながら……

阪田:この事例もそのものなんですけれども、業務を標準化するというお題目があった時に、「業務のあるべき姿は何か?」は必ず聞かれる会話ではないかとここに書いてあります。

システム部門からすると、「あの人だったらよく知っていたんじゃないか?」となんとなく思い当たる、要件を出す側の人間の顔が浮かんだり。

ユーザー側としては思い当たらなくても、「システム側でそういう話をしているだろうから、むしろ情シス側の事情をよく知っている人がいるのでは?」という話があったり。やはり、ボールはどっちにあるのか? という話になりがちです。

経営層はまた別の視点で、「業務要求はやはりユーザー側として育んでいくものだから、若く意欲的なメンバーが担うべき」という話もあって、じゃあどうするのかと。結局のところ、ToBe業務の検討メンバーもいろいろな思惑があって集まってくるのかなと。


次のスライドにいっていただいて。そうなると悩ましいのが、ここに書いてあるように、現行システムには習熟しているけれども、若手ユーザーが業務がどうあるべきかを語れない、ということに直面する。あとは、いわゆる業務系のキーマンを前回に担っていた方々に、慌てて声をかけて語り部として再登板いただく。そうすると、現業が忙しいという話になることもある。

先ほどチャットのコメントにもいただいておりましたが、結局のところ、業務の話とシステムの話を切り分けて要求を語れるのって、毎回同じ人ばかりになるんじゃないかと。


ただ、ここまでくると「想定どおりだったかもしれない」という話もあります。これはどういうことかというと、次のスライドです。基幹システムの刷新のような経営として大きなプロジェクトをすると、だいたいプロジェクトレビューで振り返りをする場面があると、落とし穴があって。

目的はいろいろありますが、次は若い人へとか、あるいはキーマンが結局一極集中したから次に備えると高齢化が心配とか書かれている。私たちも何度かプロジェクトのふりかえりやレビューで仕事をしたことがあるのですが、まぁまぁ書かれます。

ところが、渡すべきバトンがありながら、実は誰もバトンを受け取っていなかった、誰が受け取るのかという話にまでなってなかった。ということがけっこうあります。

言ってみれば、10年後にはなんとかなっているだろう、というところでレビューが終わってしまっているんです。


人材確保のための2つの具体策

阪田:なので、次のお話では、なるべく回避をしていくために、具体策2点を話できたらと思っています。

1点目は、ここに書いてあります、「語れる、抑え込める人材の早期確保」です。これは、どちらかというと短期的な話ですので、中長期には、2点目である、できることならば「恒久的な組織の立ち上げ」について話させていただきます。


まずは、具体策の1つ目です。ここまでくると言わずもがななんですけれども、とにかく大ベテランの年齢層にビッグバンの経験者がおられたり、あるいはそれも希少価値のすごく高い人材であったりします。やれることとすると、短期的にはその人の再雇用を見据えて、早めに事前に調整しておく。そういう人材が限られれば限られるほど、ターゲットを絞ってアクションしていくということが1つ。


もう1つは、これもプロジェクトメンバーを集める時に声かけされていると思いますが、その人たちがどう評価されるか、キャリアがどうなるか。次世代の自社を変える、支える人材として認識していく。以後登用していくことをちゃんと明確に打ち出すのが、まず短期的にはあると思います。

具体策の2つ目は、次のスライドです。もうちょっと中期的な話になってきます。業務設計や最適化を担う恒久的な組織を立ち上げる。簡単な話ではないと思いますが、私たちも、組織を担う役割を作るべきという話を経営会議に上程する仕事をさせていただくこともあります。



そのあと、組成された組織のみなさんとDXを進めていくことも日々やっています。都度、式年遷宮のたびに人を集めるのは、なかなか安定確保にならないという背景がありますので。

さらに言うと、新しい組織を作った中でも、今のシステムベースの話ではなくて、業務の語り手を育成するというミッションをちゃんと盛り込んでいくことが必要だと思います。結局のところ、今までのプロジェクト形式だと時限的ですし、人材育成への向き合い方も、達成された困難に対する副産物だったりもしますし。

それによって、良い働きをしたかどうかが評価されます。それを右側のDXの専任組織といったもので、組織のミッション、または確たる指標を定義、仕組み化していくことを継続するのが重要という話です。

3つのポイントについてまとめ

阪田:実例として、私たちがふだんからご支援させていただいているような話や、またご興味がありましたら一緒に話をさせていただけたらと思っております。今日は概略レベルですけれども、ここまでが具体策の話でございます。

では滝川さんにバトンをお返しします。

滝川:わりといい時間になってきたので、締めの内容にいきたいと思います。本日3つのポイントについてお話させていただきました。

昨今の状況から得られる気づきについておさらいしますと、ERPからERPへの刷新といっても業務の巻き込みは必要です。甘く考えずに、ここでしっかりとした体制づくりを心がけていただけるとありがたいです。



パートナーは、方向性が決まっていて、何がやりたいんだというすぐに走り出せる顧客に対して人を割く状況です。先読みをしてパートナーの確保をしていただけるとうれしいと思います。

今申し上げたとおり、業務の語り手は希少化しています。安定的な確保や人事異動を考えると、組織の立ち上げに時間がかかると思いますので、長期的なスパンで育成をしつつプロジェクトアサインできるような調整を進めていただければ。

走り出しの具体策を取りまとめました。構想時の段階で準備しておく事項が以前よりも増えています。このあたりを参考にしながら、上流フェーズで考えなければいけない点を、チェックリストにしていただければと思います。



短い時間でいろいろなことをお話していますので、後ほどご質問などがありましたら、アンケートに答えていただければと思います。

最後に、途中でお見せしたシステム構成の遷移に、今回のセミナーでお話したポイントがどこに関連するのかをマップしました。無理くりマップしているので、若干わかりにくいかと思いますが、こういう点を我々はイメージして話をさせていただいた、という補足になっています。



今日のセミナーは以上にしたいと思います。みなさんからご質問があればお答えする時間にしたいと思います。

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