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GO技術書執筆者が考えた「2064年もITで仕事をし続ける」ためのキャリアプラン(全3記事)

「知識が資産になる」ITコンサルの世界 経営×ITで切り開く、新時代のエンジニアキャリア

フューチャー株式会社(フューチャーアーキテクト株式会社)の講演では、シニアアーキテクト渋川氏とコンサルタント大岩氏が、IT業界における多様なドメイン知識の重要性について語りました。アパレル、生活インフラ、流通小売りなど幅広い分野での実績を持つ渋川氏は、グランドデザイン、要件定義、システム開発、運用まで一気通貫で担うITコンサルの視点から、AIや市場の変化に対応するキャリア戦略を解説。技術書執筆や組織での成長など、40年先を見据えたITエンジニアの生存戦略について具体的に示唆しました。

アパレルから生活インフラまで、多様なドメイン知識

渋川よしき氏(以下、渋川):あとは右側はフューチャーの実際の売上比率がどんなところかとか、どういうドメインに関わっているかみたいなところを書いているものなんですけれども。例えばアパレルのお客さまといっても自分で商品を作って販売まで行っているお客さまだと、製造の機能も持っているし、作ったものを船で運ぶための流通の知識も必要になります。物流とかもですね。それを自社店舗で売る。そうなると流通小売りだったりとか、いろいろな機能をまたいでいるので、いろいろなドメインの知識を持っているのが重要だと感じています。

僕自身がフューチャーに入ってやったのは、アパレルのお客さまと、あとはここでいうと生活インフラですね。エネルギー系のお客さま。あとは製造業の社内DXもです。技術コンサルみたいなことをやったり、あとは今は流通小売りの大規模刷新に関わっています。大岩さんは、どんな案件に関わってきましたか?

大岩潤矢氏(以下、大岩):私は過去には某鉄道系の会社や、新聞社のプロジェクト、今は飲食チェーンですね。

渋川:ありがとうございます。飲食チェーンって、ちょうどプレスで出していましたね?

大岩:はい。いろいろな会社のお客さまがいることがわかりますので、いろいろとプレスリリースも見てほしいなと思います。

渋川:はい。CMで知っている方もいるかもしれませんが、フューチャーみたいな仕事は、どんな仕事をしているのかのイメージが付きにくいかもしれません。でも、実際に中に入ってみると、お客さまはみんなが知っているような会社ばかりなので、実は見えないところでいろいろと活躍している会社みたいな感じはあります。

今、大岩さんがプレスリリースの話をだしましたが、就活テクニックとして受ける会社のプレスリリースは目をとおしておくといいですね。僕も採用担当として新卒採用の面接を行いますが、その会社が何をやっているかわかっているのは大事です。

そうするとどういう技術力を持っている人を求めているのかが見えてくる。プレスも含めた情報をしっかり読んでから受けていただくと、別にフューチャーに限らず他の会社でも、けっこういいインプットになるんじゃないかなと思います。

プログラミング知識と物理世界の変化の違い

渋川:ドメイン知識に比べプログラミング知識というのはレッドオーシャンかなと思っています。昔やったことが糧になり、それの再発明みたいなところも多いので、ひととおり学ぶとキャッチアップがどんどん楽になっていきます。やはり新しい技術が出てきた時とか、あとは生成AIとか。そういう時は、やはり若い人のほうが強いですね。

ただ、わざと学びにくくして若い人を邪魔しようという気はぜんぜんなくて。今の若い人が学ばなきゃいけないものは増えているので、僕自身は、10年間かけて学んだことを1ヶ月で学べるように本を出しました。みなさんも大変だと思うので、そういうのは応援していきたいなと思っています。

変化への耐性でいうと、ソフトウェアの世界というのは、ここ1年ですごく変わっているんですけど、物理世界というのは逆にぜんぜん変わっていなくて。例えば電気自動車の形って10年前から仕組みとかって、ほとんど変わっていないですよね。全固体電池みたいな話とかも、10年前から未来の技術とされたままで実際にまだ販売はされていないわけです。

結局、研究室レベルの技術が実用化されて、それが量産化されて、工場ができて、製造されて、みなさんの手元に届くというのは、20年とか30年とかかります。やはり物理世界とまじめに向き合っておくというのが、安定して仕事をするには大事かなと思っています。

だいぶ時間が押してきたので、早めにいきますけれども。今までの話をまとめると、ITの力というと、物差しで測れるスキルが重視されがちですけれども、ドメイン知識を自分の中で育てていくのが大事かなと思っています。

僕自身も最初の企業としてホンダに行ったのは、やはり最初はB to Cで目に見える仕事がしたいなと思ったからです。

ただ、世の中を支えている仕事はB to Bの仕事のほうが大きかったりするし、社会的なインパクトも大きいです。事業会社とか、おもしろいことをやっている会社もいっぱいあって、しかもITに力を入れている事業会社も増えてきている。みなさんの選択肢というのはどんどん増えていると思います。

僕自身はITコンサルのほうが、いろいろな会社を横断的に見れて、幅広い知識が手に入っていいのかなと、こっちを選んでいます。ただ、ITコンサルもいろいろあって、僕自身はお客さまと直接対面して仕事をするというのにこだわって、一次受けで仕事をしている会社でフューチャーを選びました。

ITコンサルの特徴「ビジネスとシステムの融合」

渋川:「ITコンサルって何?」というところなんですが。ビジネスを設計する+システムを作る。その2つが組み合わさったところです。事業会社のIT部門というのは、経験があるんですけど、たくさんのシステムの面倒を見ないといけないので、けっこう小粒なシステムがたくさんみたいな仕事になりがちです。

そういうところだと、やはり基幹システムみたいな、100人必要ですみたいな経営の根幹に携わる大規模なシステム開発はやりきれなかったりするので、そういうところはやはりITコンサルとかが入ってお手伝いすることが多いです。SIerとかITコンサル不要説みたいなことがよく話題になるんですけど、ぜんぜんそんなことなくて、人はぜんぜん足りないです。

コンサル専業の会社もありますが、うちはシステムも作れるし、全員がシステムについて語れるみたいな感じでやっています。大岩さんはあれですよね? なんか、学生時代に起業されたと書いていましたけど、フューチャーを選ぶにあたって、コンサル方面になる不安はなかったですか?

大岩:はい。ちょうど先ほどチャットにも書いたところで、自分はもともと某Webメガベンチャー志望で、B to Cに行きたいなと。やはり自分が使っているものというのはB to Cの企業がだいたい作っていて、自分が身近なものを作りたいという思いがありました。

ただ、技育祭でフューチャーに触れて、お客さまのシステムを作るというところ。お客さまが大きければ大きいほど、もっとそれ以上に使ってもらえる。自分の力で会社を支えることに魅力を感じて、B to Bもおもしろいんじゃないかなと思って、フューチャーに入りました。

不安だと、やはりB to Bだと、お客さまとお話しするというのがけっこう機会としては多いと思うんですけど。自分はあまりコミュニケーション力が高くないので、ちょっと怖いなと思っていましたね。でも実際にお客さまと話してみる経験をしていくと、やはり慣れていって、どんどんうまく話せるようになってきました。

今思ってみれば、B to Bじゃないとできない経験というのもいっぱいあって。例えば交渉力だったり。そういった部分でB to Bに入って良かったなと思うところが多いです。

渋川:ありがとうございます。なので、今は会話が苦手な方でも大丈夫ですよ。

大岩:(笑)。

渋川:まぁ、実際に答えは1つではないです。先ほどのパーソルキャリアの岡本(邦宏)さんの話もありましたけれども、僕自身は、これがいいかなと思っているだけで、みなさんの好き嫌いとか、得意不得意とかもあるので、いろいろなところに答えがあるかなというふうに思っています。

未来のキャリア戦略「技術書執筆と組織での成長」

渋川:僕自身ができること。今回のタイトルで、なんか「GO技術書執筆者が考えた」みたいな、なんか人事の人が勝手に追加したサブタイトルがありますが。僕自身しかできないこととして今やっているのは、「社員で本を書いているよ」みたいな人を増やそうとしています。やはりただ「経営とITがデザインできますよ」だけだと他のITコンサルと差がつかないので。

社員にも積極的に声をかけて一緒に(本を書く)というのを今やっています。ちょうど2冊終わりそうなんですけど、また2冊ぐらい始まりそうな感じですね。

あともう1つ、みなさんにお伝えしたいのは、転職をいっぱいすると給料が上がるよみたいな風潮ではあるんですけれども。20代のうちは、それでいいかなと思いますが、やはり40代、50代になると、それなりに組織を動かしてきた実績が求められてくるんですね。

そうじゃないと、なかなかキャリア採用で面接をしても僕のところに来る前にけっこう書類審査で落とされているんだろうと感じることがあるので。ある程度アウトプットを出していくことも、キャリアプランを考える上では大事です。どこの会社へ行くというだけでなくて、そこで何をするかというところも意識して考えるといいのかなと思っています。

社内の横のつながりというのも、会社の中で大きい仕事をしていくには大事なので、僕自身は長くいるほうがそのへんはお得かなというところでやっています。

ITコンサルから見たAIの影響

渋川:ITコンサルとしてAIは脅威なのか? というところですけれども。(AIは)基本、一般論は語ってくれるけれども、きちんとしたアウトプットを出すためには情報をきちんと入れなきゃいけなくて。今はEmbeddingとかFine-Tuningとかもあるんですけど、ちょっと試したところでは、そこまですごく賢いということはなく、自分がいらなくなるということはないなと思います。

ビジネスコンサル力というか、ドキュメントをきちんと作ってインプットというのは、どうしても必要になるかなと思います。コードを書くという楽しい仕事が減っていって、つまらなくなりそうだなというのは、ちょっと思っていますね。

40年先を見据えたITキャリアの展望

渋川:まとめとしては、あと40年ITの仕事をし続けるために僕自身も、オープンソースはチョコチョコ作っているんですけれども。僕自身は今回の基調講演とかをするような感じのスタープレイヤーではないと思っています。そうではなくても、やはり仕事はし続けなきゃいけないので、キャリアパスとしてITコンサルを選びました。

今のところ、いろいろ言われているほどAIの脅威は、僕は感じていないです。ここに来てくださっているみなさんに感じる脅威と同じぐらいかなと感じています。

ITコンサルってどんな仕事をしているの? とか、ちょっとチャット欄とかをサッと横目で見たら、技術の話とかもあったんですけど。そういうところは過去の技育祭で他のメンバーが語っているのもあったりもするので、もし興味がある方は検索していただけるといいかなと思っています。

あとは、うちの会社はテックブログとかをやっていたり、あとは人事系のほうだとオウンドメディア「未来報」というメディアもあったりするので、見ていただけるといいと思います。あとは就活テクニックで、他の会社でもきっと技術ブログとかをやっていると思うので、そのへんに目を通してから面接に行って、質問をするとたぶんきっと印象が良くなりますね。僕も学生さんに質問されたら、うれしくなっちゃうので。

(次回につづく)

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