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古川武士さん×なつみっくす対談/ほんとうにやりたい ことを言語化する方法(全4記事)

給料をもらいながら自社でのキャリアにむなしさを感じるのはわがまま? 自分を突き動かす「やる気の源泉」を見つける方法

『I型(内向型)さんのための100のスキル』の著者・鈴木奈津美(なつみっくす)氏が代表理事を務める一般社団法人母親アップデート主催のイベントに、『ディープドライバー ほんとうにやりたいことを言語化する方法』を出版した古川武士氏が登壇。やりたいことを見つけて挑戦しても続かない“やりたいことジプシー”に陥る理由や、自分の特性を理解する「マップ」づくりなどを語り合いました。

自分を突き動かす「ディープドライバー」とは

鈴木奈津美氏(以下、鈴木):まず私から進行役として自己紹介させていただきます。一般社団法人母親アップデートを運営しております「なつみっくす」と申します。よろしくお願いいたします。

4月に初めての著書『I型(内向型)さんのための100のスキル』という本を出版しました。本日はゲストに古川さんがいらっしゃっています。古川さん、よろしくお願いいたします。

古川武士氏(以下、古川):よろしくお願いいたします。

鈴木:『ディープドライバー』の出版はつい先日、11月の頭ですよね?

古川:そうですね、1日です。

鈴木:おめでとうございます。今日は、古川さんと直接お話しできるのを本当に楽しみにしていました。

今日の進め方ですが、まず目的についてお話しします。本日のテーマは『ディープドライバー』の表紙にもある「ほんとうにやりたいことを言語化する方法」、つまり「ディープドライバー(あなたを突き動かす『やる気』の源泉)」をみなさんと一緒に考える機会にしたいと思っています。

日々さまざまなことが起きる時代において、自分自身と向き合うことはとても大切なテーマだと思います。そうした時間をみなさんと共有できればと考えています。

今日は特別に、古川さんからこの『ディープドライバー』のイントロをお話しいただけるとのことです。ここからは古川さんにバトンタッチして、10分ほどお話しいただきます。その後、みなさまからの質問を交えながらトークセッションを進めていきたいと思います。それでは、古川さん、さっそくお願いいたします。

古川:みなさま、こんにちは。お昼のランチタイムにお時間をいただき、本当にありがとうございます。なつみっくすさんとは、実は著者育成の会というか、干場(弓子)さんという編集者の方がいらっしゃいまして、その編集者の方の講座を受けている時の同期生という関係なんです。

なつみっくすさんの本を読ませていただいて、本当に「ああ、自分と一緒だな」と思うことがたくさんありました。特に、このI型、内向型の人こそディープドライバーが必要だと感じます。

なぜかというと、外向型の人は他人との交流やきっかけからエネルギーを得られますが、内向型の人は完全に自家発電的にモチベーションを生み出さないと、どうしても不安定になることが多いんじゃないかなと思います。私自身もI型、つまり思いっきり内向型なので(笑)、ディープドライバーを掘り下げて、それをみなさんと一緒に感じていく、そんなことをやっています。

15年間「習慣化」をテーマに取り組む古川武士氏

古川:今日は、なつみっくすさんと対談しながら進めていきますが、ディープドライバーの概念や内容が少しリッチなので、まずは概要をご紹介したほうが、トークの内容がわかりやすくなるかと思います。少しお話させてください。



まず、ディープドライバーという言葉についてですが、実は造語って危険なんですね。「造語は外れる」とよく言われます(笑)。最後の最後まで、このディープドライバーという名称で伝わるかどうか迷いました。「ゴルフのドライバーか?」とか、英語の専門家にもいろいろ指摘されつつ(笑)、最終的にはこれしかないと思って決めました。

ドライバーというのは、ドライブ、人間の動機という意味です。つまり、自分を深く動機付けるものが何か、ということについて探究した内容です。簡単に言えば、私は習慣化コンサルティングという会社を経営しています。



15年間、ずっと「習慣化」というテーマに取り組んでいます。人がよりよく生きるためには、何かを知るだけではなく、それを実行し続けて変化を起こせるかが大切です。しかし、「続ける」ということは非常に難しいのが現実です。世の中には、続けるためのメソッドや方法が意外と少なかったため、その開発に取り組んできました。

正直、1冊本を書いたら終わるかなと思ったんですね。1冊ぐらい書けば、習慣化について体系的にメソッドがまとまるだろうと考えていました。それで実際にまとまったんですが、習慣というのは本当に奥が深いんです。

例えば、良い習慣の続け方を書いたら、次に「良い習慣ってそもそも何でしょうか?」と聞かれます。「自分にとって良い習慣がわからないんです」と言われるんですね。それで、「それは何をしたいか、どう生きたいかによって変わりますよね」と答えると、さらに「そのやりたいこと自体がわからないんです」という流れになるんです。そうして2冊目に『「やりたいこと」が見つかる3つの習慣』という本を書きました。



こうして山を登るようにテーマを深めていくと、今度は「挫折しそうになる時や批判された時にどう考えればいいのか?」という問いが出てきます。それって「思考の習慣」や「考え方の習慣」なんですね。「それをどうやって変えればいいのか?」というところに話が進んでいきます。このように習慣化のテーマは尽きることがなく、15年間、ずっと開発やコーチングを続けています。

給料をもらいながら自社でのキャリアにむなしさを感じるのはわがまま?

古川:本を書くことだけでなく、人が変わっていくプロセスに半年から1年というスパンで深く関わりながら、講座形式で支援をしています。常に生身の人の課題と向き合いながら取り組んできました。また、テレビでも『性格4タイプ別 習慣術』などのテーマで出演させていただくことがあります。

私の本の中で、最近特に読まれているのが『書く瞑想』という本です。これは内向型の方に特に合うと思います。日々のモヤモヤを言葉で整理し、例えば「今日はこれがエネルギーを消耗させた(放電)」「これは充電になった」といったかたちで書き分ける。さらに、未来日記として「こんなふうに過ごせたら最高だな」と理想を書いて心を整える。こうすることで、心がとても落ち着くんです。



もし『書く瞑想』がルイボスティーだとしたら、今回の『ディープドライバー』は完全に「レッドブル」です。心のスイッチをガチッと入れて熱くさせるようなもの。自分を突き動かす動機とは何なのか、ということを追究しています。

ただ、そのスタートラインは、「それを見つけたい」というより、もっと漠然とした悩みから始まります。「私の人生、このままで本当にいいんだろうか?」という悩みですね。どうでしょう? みなさん、そう言われて「いや、今のままで十分幸せだ」と言える方は、それだけで幸せだと思います。

でも一方で、私自身も「自分はこのままでいいのだろうか?」という悩みを抱えていました。組織の中で主任、課長、部長とキャリアを積んでいく未来を想像した時に、自分の先には何もなさそうだと感じる瞬間があったんです。とはいえ、給与も責任もある中で、そう感じるのはわがままなのかな、といった葛藤が頭をぐるぐる巡ることがありました。

生き方や方向性に迷うのは、私だけでなく多くの方が経験することだと思います。例えば、ある時は順調に進んでいても、組織の都合で役割が変わったり、母親という役割を担っていた方が子育てが一段落し、子どもが自立した時に、自分自身の新たな役割について考える機会が訪れることもあります。それは決して不幸ではなく、新しいステージに進むためのサインなのだと思います。

「自分らしい生き方をしたい」「人生の目的を見つけたい」「今の仕事が自分に合っているのかわからない」「人の役に立つ仕事をしたいが、それが何かわからない」といった悩みを抱えている方も多いでしょう。仕事の天職やライフワークとは何か、といった問いに答えを見つけるのは本当に難しいことです。この本は、そうした問いを探るために書いた本です。

「やりたいこと」を試しても続かず、だんだん下がる自己肯定感…

古川:「やりたいことジプシー」という言葉を、うちの「習慣化の学校」という講座の生徒さんがうまく表現してくれたのですが、まさにそれがぴったりだと思います。



例えば、ある時は「英会話を勉強しています」と言っていた方が、次には別のことに走り、また次のことに変わる。こうしたかたちで「やりたいことって何だろう?」と探し続けてしまうのです。

私自身もMBAを取得したり、趣味でロッククライミングを始めたり、自分の人生を変えようといろいろ挑戦しました。しかし、どれも続かず、気がつけば「やりたいことジプシー」になっていました。こうした状態が続くと、自己肯定感がだんだんと下がってしまいます。

そこで、私が今回提案したいのは、「やりたいこと」ではなく、「やる気の源泉」を見つけるということです。それを「ディープドライバー」と名付けました。



あなたを突き動かす動機の源泉です。「やりたいこと」というのは時とともに変わっていくものです。今の組織の中でやりたいことがたくさんある場合もありますし、私自身も、組織に所属していた時期もあれば、そこを出て個人事業主のようにひとりでガーッとやっていた時期もありました。また、チームを作って今のようなかたちで活動している時期もあります。

その時々で自分をバージョンアップしてきたので、固定化するのではなく、どんどん変化していっていいと思います。それに、偶然の人との出会いによっても方向性は変わっていくものですよね。

ただ、変わらない指針があるとすれば、それは「やる気の源泉」だと思います。例えば、挑戦するとか、研究するとか、人に影響を与えるとか、こうしたディープドライバーを自分の中に持っておくことが大切です。地図とコンパスで例えるならば、やりたいことは地図のようなもので、行き先はいろいろ変わってもかまいません。

一方で、コンパスは変わりません。自分の心がどちらに向かっているのか、真北を指し示すもの。それは自分の内側にしかなく、自分自身で探っていく必要があります。このコンパスを見つけることで、就職や転職、起業、副業に関する迷いを解決することができる。そんな内容を今回の本に書きました。

私が目指しているのは、「人生が変わった」という感動をみなさんと一緒に味わうことです。そのために「習慣化」というテーマに取り組んでいます。そして、「私の人生、このままでいいのだろうか?」という問いに答えるために、この本を書きました。

人生の転機で迷わないための最初のステップは「自分を知ること」

古川:ここからはハウツーというか、方法論の概要をお話しします。この内容は、「何がしたい?」「どうなりたい?」「どう動く?」という3つのフェーズで構成されています。



これらは循環していくプロセスですが、出発点となる一丁目一番地は「自分を知ること」だと思っています。

やりたいことやビジョンをいきなり見つけようとするのではなく、まずは自己理解を深めることが大切です。自己理解ができていれば、その上に描かれるビジョンは自分と一致します。そうして行動を始めると、新たな気づきや発展がどんどん生まれてくるんです。

しかし、自己理解が浅いまま描いたビジョンでは、自分にしっくりこないことも多いです。「本当にこれでいいのかな?」と悩むこともあるでしょう。それでも、行動してみることで初めてわかることもあります。その行動を通じて新しい出会いや発見があり、さらに自分を深く知ることができるんです。

なので、私がお勧めしたいのは、まず自分の内側をしっかりと知ることです。「自分が何に突き動かされるのか」「何をしている時に熱くなれるのか」を明確にする。これは1つや2つではなく、「ディープドライバーマップ」のように、自分の内側を可視化するかたちで深く理解していくことが重要です。そうすると、自然に自分らしいビジョンが見えてきます。

そして、行動していく中で気づきには大きな差が出ます。例えば、1動いて10を知れる人と、10動いて1気づける人では、その後の行動の成果や発見がぜんぜん違ってきます。

だからこそ、最初にやるべきなのは、自分の中にアンテナを立てることです。自分がどういう人間で、どのような動機を持っているのかを知ること。これができると、その後のステップが非常にスムーズに進み、好循環が生まれます。これを「ディープドライバーワーク」と呼び、本の中では一丁目一番地として紹介しています。

自分の特性を理解する「マップ」づくり

古川:具体的には、「冒険する」「知らない世界に出会う」「刺激を受ける」「創造する」といったものがあります。



学ぶのが好きな人であれば、本をたくさん買ったり、講座を受けたりして、常に新しい知識を追い求めますよね。これ自体がその人のディープドライバーなんです。

また、お世話するのが好きな人もいれば、知ること、体系化することが好きな人、話を聞くのが好きな人、そして、人に影響を与えるために話すのが好きな人もいます。これらは、まさにマグマのような欲求であり、人それぞれ違うものです。

こうしたエネルギーをそのまま寝かせておくのは非常にもったいない。これらの欲求とつながりながら生きることで、モチベーションを高く保ちながら生きることができるんです。

本の中では、これらのディープドライバーを探るための方法をいくつも紹介しています。体験から探る、好きなことから探る、嫌いなことから探る、リストから探る、問いから探るなど、さまざまなアプローチを用意しています。

最終的には、自分の内側のマップを作り上げることが目標です。

「カタチを創り出す」「カタチあるものにさらなる価値をプラス」といった自分の内側の特性をしっかりと理解することで、大きく変わることができるんです。



今日は、この探究がなぜ意味があるのか、そしてその背景を、なつみっくすさんとの対談を通じてさらに掘り下げていきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。

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