2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Top 5 Deadliest Substances on Earth(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:1978年9月7日、共産党離反者でBBCに勤めていたブルガリア人ジャーナリストGeorgi Marcov(ゲオルギー・マルコフ)がロンドンのウォータールー橋を渡っていたとき、右側がちくっとするのを感じました。振り返ると彼の背後には、地面に落ちた傘を拾う男が。その日の夕方から熱が上がり、4日後、彼は亡くなりました。死因は毒殺。
マルコフは世界で最も強力な天然毒素リシン入りの弾丸が装てんされた傘で、暗殺されたのです。リシンは恐ろしい天然物質のひとつで、動物界には存在しません。トウゴマの種から採取され、人を1人殺すのに、500マイクログラム、つまりペーパークリップの5/10000ほどの量があれば充分なのです。
リシンは地球上最も有毒な天然毒素です。そういった毒性のバクテリア、植物や菌はエキゾチックでトロピカルな地域のみならず、1970年代のロンドンなどどこにでもあったのです。毒性はその化学組成によるものなのですが、その毒はどうやってこれほどまで効率的かつ致命的に人体に働きかけるのでしょう? そしてなぜ私はちくっと感じたのでしょう? 傘だ!
毒性のある植物、キノコ、バクテリアは、吸引したり注入されたりすることで人々に死をもたらします。また変化しやすい性質上、どれがどれほどの毒性を持つのかを定量化するのが難しいのです。被害者の年齢を問わず、人間には身体を守る物質による抗体があります。
ただし、ひとつだけ例外があります。議論の余地はないと思いますが、自然界で生成される人体に対する致死的毒性物質としてよく知られているのは極小のバクテリア、クロストリジウム、ボツリヌス菌です。
みなさんも病気を引き起こすことからボツリヌス菌はご存知かもしれません。
毒にどれだけの致死性があるのかを測る方法として、専門家が用いているのが致死量50パーセントと呼ばれるもので、母集団の半数を死に至らしめる量がそれにあたります。もちろん、毒物学者は人間でこの試験を行なうことはできないので、通常LD50と呼ばれるこの数値を得るのにどこまでも不運な生き物、実験用マウスを使います。
LD50は体重1キログラムあたり、何ミリグラムの毒物が必要かという具合に導き出します。ボツリヌス菌の場合、1キログラムあたり約1ナノグラムということになります。つまりボツリヌス菌を含む一握の砂で9600人もの人を殺すことができるということです。
バクテリアは本当にありふれていて、胞子は土や水、世界中のどこにでもあります。しかしながら問題は、活性細胞の中で発芽したときに発生します。7つの異なる毒を生成し、中でもその4つは人を死に至らしめる類のものです。
低酸素環境におけるボツリヌス菌毒素に関して、米国では不適切に缶詰めされた食品についてのレポートが毎年30件も報告されています。缶詰めされる際、保存のために食品から酸素が抜かれるためです。食品がしっかり加熱されていないと、胞子があちこちに付着してしまいます。
胞子ははちみつの中にもあって、子供や大人は胞子が発芽する前に排出することができるのですが、幼児はできません。なぜ12カ月未満の赤ちゃんははちみつを食べてはいけないのでしょうか。胞子には毒性があって筋収縮をコントロールしているアセチルコリンと呼ばれる伝達物資の除去をブロックし、人体の全身の筋肉が弛緩してしまうのです。抗毒素を摂取しなければ、数日のうちに呼吸ができず、窒息してしまいます。
毒素の標的は人間そのものよりもむしろバクテリアです。毒素は良性のバクテリアが生存できず、悪性バクテリアが拡散するような状況を作り出します。
シアン化物は絶対に食べてはいけません。最速で死に至る毒のひとつなのです。タバコや燃えたプラスチック、そしてアーモンド、アプリコットやりんごの種など驚くほど多くの自然食品に含まれています。
一般的なシアン化ナトリウムのLD50は体重1キログラムあたり6.4ミリグラム、これはボツリヌス菌の600万倍にあたります。しかしこれは、死への効果的なツールとして大変有名で、ネロ皇帝からアガサ・クリスティーまで誰もが知るところです。
炭素原子の横に窒素原子が3つ結合するため、これだけ速い殺傷力があり、自身のミトコンドリアの中にあるたんぱく質を閉じ込めるのです。そして、酸素を使うことによって、基本的には細胞レベルまで届きます。
シアンを含むフルーツやナッツがあるのは事実で、例えばりんごの種のシアンは消化酵素と結びつきます。ただしフルーツを食べても、私たちを殺すほどの毒ではありません。ボウルいっぱいのりんごの種を食べたとしたら、話は別ですが。
グッドニュースです。もしあなたがシアン化物の毒に瀕しているとしたら、ビタミン12がありますよ。V12はシアン化物を含んではいるのですが、素晴らしく複雑な分子構造をしています。
ビタミンに対する前駆体の投与がミトコンドリアからシアンの毒を排除してくれるのです。そしてV12の型にして毒素を尿として排出します。
さあ、ブルガリア人の友人に話を戻しましょう。彼を殺したトウゴマについてです。東アフリカ原産で、米国南西部を含む温暖な地域ならどこにでもありふれています。トウゴマの種子に含まれるたんぱく質に含まれるリシンに毒性があり、種子を砕いてオイルを絞った残留物から毒が作られます。オイルは熱するとリシンのたんぱく質が変質し、無害になります。オイルは広く便秘薬として使われています。
未処理のリシンを吸いこんだり、注入したりするとただちに体内の細胞に吸収されます。存続し再生するために必要なタンパク質を生成するリボソームを不活性化します。タンパク質がストップすると、命もストップするのです。
たったひとつのリシン分子は1分あたり1500ものリボソームを不活性化させることが可能で、それにより細胞も死にます。リシンは一般的にゆっくり作用する毒なので、1日から3日のうちに死に至ります。それゆえ、犯罪から距離をおきたい暗殺者たちにとって、長年にわたり人気のある毒でした。
マルコフが小さなパックと手袋を持っていたのが見つかりました。1/5ミリグラムの毒を持つ鍵だったのです。それは、マルコフやそのほかの人間を殺すのに、十分すぎる量でした。
経口で摂取する場合のLD50は体重1キログラムあたり約20ミリグラムでだいたいトウゴマの種子8個分の毒にあたります。しかしそれがマルコフのように注射するなら、たったの1マイクログラムのリシンで十分なのです。残念ながら、リシンは死に至るまで数日を要するため、解毒剤はまだ開発の初期段階にあります。体内の新しい細胞にリボソームが届くのをブロックする化合物が研究されています。
そして奇妙なことに、リシンによる癌治療の可能性についても研究がすすめられています。リシンのもつ細胞内のタンパク質の自爆を誘発するメカニズムを癌細胞に活用しようという試みです。
さあもしあなたがストリキニーネの木やガスがあるような場所を通りかかったら、私のアドバイスは、「とにかくできるかぎり遠くへ逃げろ」です。インドやアジア南東部起源の植物で、ブルシンと呼ばれる毒を持っています。その致死性はアルカロイドストリキニーネを含むグリーンからオレンジ色に変わる実にあります。
かわいそうな鳩とネズミでテストした結果、経口摂取した場合のLD50は3〜4ミリグラム/キログラムでリシンと同様のカテゴリーに属する弱さでした。その毒は筋収縮をコントロールする脊髄神経に作用します。基本的には、筋肉に対する神経信号をコントロールする化学物質をブロックします。
ストリキニーネ化合物は筋肉を引き留め、コンスタントな刺激が発病を促し、消耗すると30分ほどで徐々に呼吸不全に陥ります。とてもとても、幸せな死に方とは言えませんよね。
そして最後に、キノコの王国を訪ねずに自然界の毒をコンプリートすることはできませんよ。そこには数千種もの毒キノコがあるんですから。
アマニチンと呼ばれる致死性の毒をもつ2つの最も危険なキノコには「死のキャップ」や「破壊の天使」というもったいぶった名前が付けられています。キノコに含まれるアマニチンのLD50は0.1〜0.2ミリグラム/キログラムです。つまり、ストリキニーネの少なくとも30倍は強力で、その毒はアミノ酸が細胞内でたんぱく質を生成するのを邪魔するのです。
特に、肝臓と腎臓がそのターゲットになります。それはすごく危険で、摂取から6〜24時間で発症します。犠牲者は嘔吐や下痢が始まった時、自分の肝臓や腎臓がなんか調子悪いなと思うだけなのです。救急処置室ではインフルエンザと間違えられることもあります。
中毒がしばしば致命的なもうひとつの理由は、米国内におけるそういった死の多くは、アジアからの外来種キノコを外見上そっくりな食用キノコと誤認してしまうことにあります。
早いうちにアザミの樹液を摂取すれば、最悪のダメージは防ぐことができます。アザミのエキスに含まれる化合物には肝細胞が毒を摂取するのを防ぐ効果があるのです。最悪の場合、犠牲者が助かるためには肝移植しか道がありません。
私はもう傘を持った怪しい男や世界中のすごく美しいキノコに対する被害妄想を抱くのはやめるべきかもしれません。朗報です。科学者や研究用マウスたちは自然界に存在する毒に対する抗毒素を構築するために日々、熱心に研究を進めています。
ですから、そのうち私たちは死なずにすむかもしれませんし、またごくわずかなケースにおいて、毒が私たちを癌細胞から救ってくれるかもしれません。
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