2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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質問者5:ちょっと話が外れるかもしれないですけど、奥さまとの関係性と言いますか、お仕事のことをすべてシェアされているのか、どんな関係性なのかを教えていただきたいです。
若山陽一郎氏(以下、若山):いい質問をされますねぇ、気になりますよね。こんなに忙しくして、全国を飛び回って、家にぜんぜん帰ってなかったら、「奥さんいるのかな?」「奥さんとの関係はどうなのかな?」って思うじゃないですか。
うち、むちゃくちゃ(夫婦関係が)良好なんですよ。まず何が良好かというと、当然いろんなことを理解していただいているし、僕もいろんなことを理解してるからなんですが、じゃあ喧嘩がないかというと嘘になります。やっぱり、価値観が違う人間同士が結婚してるので。
生活の中でいろんなことがあると喧嘩はあるんですが、僕たちは話し合いをすごくするんですよ。問題がバーンって起きた時に、「これは誰のせいだ。どっちの責任だ」みたいに、問題を間に挟んで話し合いをするから揉めるんですね。
問題が起きた時に、問題を前に置いて2人で横並びになって、「この問題をどうやって一緒に解決する?」という話し合いをすると、必ず2人で解決していけるんですね。
若山:まず、夫婦って役割が違うじゃないですか。どういう役割を持つかはその過程で話し合うべきなんですが、男女という意味でも役割が違うし、主婦だったり、仕事に行くというポジションでも役割が違うし。
ルールはないですが、「世間一般」はあるのかもしれない。だけど、うちはおそらく、世間一般とはおもっきし外れたルールの中で夫婦が成り立ってるんですね。なので最初に、「僕たち・私たちが幸せに生きていくためには、このルールをお互いに守りましょうね」という設定を作っておかないと、仲良くやっていけないですね。
質問者4:例えば、どういうことですか?
若山:大きなトラブルや離婚の原因って、けっこうお金や子育てが原因だったりするんですが、うちはお金に対しての価値観で「貯金より貯人」というルールがあるんです。
お金を銀行にいっぱい貯めていく人生より、人という財産をいっぱい貯めていく人生のほうが豊かだし、お金に困らないという価値観を僕は持ってます。
これが正解かどうかはわからないですよ。人によっては「それは違う」って言う人もいるかもしれないんですが、妻も「そうだよね。そっちのほうがいいよね」と共感してくれてるから、じゃあそのルールでいこうって決めてるんですよ。
だから、若山家は見事に貯金がないんです。だけど、誰もそれに対して不安に思ってないし、誰か指摘する人もいないんですね。
私たちには人という財産がたくさんあって、困ったことがあったらすぐに助けてもらえるし、お金が必要な時に必要な分だけやってくるし、なんと幸せな人生なんだ、なんて思ってるんですね。それ(価値観)が一致しているから、喧嘩にならない。
若山:あとは、子育てに対してもいろいろあるんですが、僕たちは子どもに対していろんな体験をしてほしいと思ってるんです。それが合ってる・間違ってるかは置いといて、子どもがやりたいと思ったことを全力でやらせたい。結果、それがうまくいかなくてもいいと思ってるんですね。
その体験を通じて何かを学んでくれたらいいし、子どものうちにやりたいことを全力でやれる体験をすることによって、大人になってもやりたいことを全力でやれるようになると思ってるので。
とにかく、子どもには結果を求めずに、感性とか体験を身に着けるためにお金をたくさん使ってあげたいと思っています。
「ブランド物の高い服を着て着させる」という選択ではなく、「1万円を持たせて旅に行ってこい」というような子育てをしてるんですね。これが夫婦で一致していないと、1万円の使い道で喧嘩をするんですよ。
「いや、私はこの子にブランド物の服を着させたい」「いやいや。そんなん無駄だから、この1万円持って旅に行かせたい」って、どっちが正解かってないじゃないですか。
話し合いの中で「私たちがこうだよね」というルールをどこかに決めておかないと喧嘩になるので、ぜひそういった話し合いをしていただけるといいんじゃないのかなと思います。
質問者5:ありがとうございます。
若山:答えになっていましたか?
質問者5:十分です。
若山:ありがとうございます。
若山:じゃあ、次の話にいきたいなと思います。「不用品回収業で見えてきたこと」。その第一歩の話は、先ほどお話の流れでさせていただきました。
僕たちは、株式会社和愛グループという会社をやってます。平和で、愛の溢れる仲間たちを作っていきたいという思いで、1人の時からこのグループを名乗っています。
今でこそ30人ぐらいのスタッフに囲まれて一緒に仕事をしているので、和愛グループと言っても誰も疑わないんですが、当時は馬鹿にされました。「お前、1人なのにグループって何なの?」って言われたんですが、未来をイメージしてつけた名前なんですね。
何をやっているかというと、100年後の未来の子どもたちに、今と同じ、もしくは今よりいい地球環境を残してあげたいという思いで、リサイクルというアプローチで仕掛けてるんですね。
当然、100年後って僕たちは死んでるんですけど、自分がもう生きていない未来に対して今何ができるかということを、僕たちは仕事の中で考えています。
今でこそ、同じ思いに共感してくれてる仲間たちがこんなにたくさんいて、不用品回収業の中からどんどん事業を発展させてきたんですね。じゃあ、なぜ僕たちのリサイクルショップに全国から人が集まるかというと、名古屋のいい立地にあるわけではないんです。
名古屋駅から、さらに車で1時間ぐらい走らないといけないへんぴな場所。地元の人でも「そんなとこに誰も行かないよ」と思うような、すごくへんぴな場所でやってるんですが、全国から人が集まる理由があるんですね。
若山:ちょっとこれを見ていただきたいんですが、うちのリサイクルショップの扉を開けたら、まずはこの風景がどーんって出てくるんです。見ていただくと、「なんかおしゃれなヴィンテージ家具かな」「おしゃれなアンティーク家具かなぁ」なんていうふうに見えますよね。
でも、ほとんどのものが、もともと持っていた人が「もういらないから捨ててほしい」と言って、お金を払って捨てようとしたものなんです。
「はい、わかりました」と言って、お金をもらって捨てるのが一番儲かるし、一番簡単なんです。なんですが、それやっちゃうと環境に良くないし、せっかく先代から与えられてきた恩恵をこの世から消し去ることになるので。
僕たちは、いろんなものの見方をできるスタッフで運営してるので、お客さんのところでいちいち疑うんです。「いや、これはまだ捨てないほうがいいと思います。なぜお客さんはこれを捨てようと思ったんですか?」って聞くんですね。
そうすると、「本当は捨てたくないの」って言う人がけっこういるんですよ。「でも、こんなん使えないよね。もう無理よね」と、お客さんが諦めてるんですね。
でも、僕たちが「僕たちの手にかかったら新しい命が吹き込まれて、また誰かの笑顔に変えられるんです」という話をすると、お客さんが「実はこれ、死んだお父さんが使ってた椅子でね。本当は思い出がいっぱい詰まっていて、私も捨てたくなかったの。あなたたちがそんなふうに言ってくれるなんてすごくうれしい」と言って、僕たちが買い取って帰っていきます。
お客さんがお金を払って捨てようとしたものが、お金をもらって品物を引き上げてもらえるから、まずはお金をもらえたことにも喜ぶし、本当は自分が捨てたくないと思ったものを大切に扱ってくれることに対してもすごく喜んでくれるんですね。
若山:僕たちは、お客さんが本当は捨てようとしたものに新しい命を吹き込んで、また新たな価値に変えて、商品に変えて、リサイクルショップをやってるんです。
その取り組みは、当時業界ではすごく馬鹿にされて、「そんなんやったら儲からんよ」「何やってんの」「効率が悪いじゃん」「そんなん捨てちゃったほうがいいよ」なんて言われたんです。
僕たちは自分たちの理念をコツコツ積み上げて、1つのかたちにした途端、店にはたくさんのお客さんが来るようになった。そして、今ではたくさんの取材を受けるようになって、「いいことをしてますね」「すばらしい取り組みをしてますね」と、褒めてもらえるようになったんですね。
物を大切にすることは、人を大切にすることなんです。物って、人を豊かにするために作ったものなんですね。みなさんが持ってる鞄も服も携帯電話も、今お持ちのスマートフォンも全部、人が豊かになるために誰かが作ったものなんですね。なので、物には人の心が宿ってるんです。
みなさんが大切にしているものを、僕が横からひゅっと来て「何これ~」と言ってぽいって粗末にしたら、めっちゃ腹立つじゃないですか。なんでかというと、その物にみなさんの心が宿ってるからなんですね。でも、みなさんが大切にしているものを僕が大切に扱ったら、ちょっとうれしいじゃないですか。
ということで、物を大切にすることは人を大切にすることだし、人を大切にすることは物を大切にすることだということで、僕たちはリサイクルショップの中では他の店とは違う展開・違う価値観でやっているので、うまくいったんじゃないのかなと思っています。
若山:これから起業される方とか、今起業されている方もいると思うんですが、どうしても、儲かる・儲からないというところに心が行ってしまう瞬間があると思うんです。
儲かる・儲からないというのは、後の結果であると思っていて。「これをすることによって何人の人が笑顔になるか」ということを考えると、うまくいくと思うんです。
A案とB案があったとしますね。効率の良さとか、どっちが儲かるかとかを一生懸命話し合いがちなんですが、非効率で一瞬儲からなく見えたとしても、笑顔の数が多いほうを選択したほうが絶対にうまくいくと思う。なぜなら、「ありがとう」がたくさんもらえるから。
「ありがとう」にお金が乗っかってくるし、「ありがとう」で1回お金を流したところには、人は何度もお金を流したくなるんですね。そうすると、リピートする可能性があるんですよ。
じゃあ最後に、僕が今やっている環境の取り組みのお話を少しして終わりたいなと思います。僕たちは今、みんなのちきゅう株式会社という会社をやっています。何をしてるかというと、全国にいる環境活動家の人たちを応援をする事業をしてるんですね。
地球って、ものすごく昔からご先祖さんたちが守ってきた環境があるから、僕たちは気持ちよく生活ができているわけじゃないですか。これって、与えられている恩恵なんですよね。なんとなくわかりますか?
若山:この恩恵に対して価値や感謝を感じずに生きていくと、僕たちの代でこの地球を壊しちゃうわけです。例えば、木が1本育つのに50年かかるわけですよ。50年育ってきた木を大切にするか・無駄にするかによって、今後の地球の方向が変わると思ってるんですね。
普通に朝起きて、夜寝るまで、あんまり環境のことを意識せずに生活しちゃいがちなんですが、僕たちの代わりに「海でも山でも、毎日地球を良くしよう。守っていこう」と思って取り組んでいる活動家の人たちが、実は世の中にはたくさんいるんですね。
その人たちはみんな、自分の人生をかけて、お金もどんどん投資してやってくれてるんですが、うまくいっていない人たちがすごく多いんですね。
(地球保全の活動を)もっと多くの人たちに知ってもらいたいし、もっと協力してもらいたいんだけれども、なかなか賛同が得られずにうまくいってない人たちがいっぱいいるんです。
先日、石垣島に行ったんですが、石垣島のビーチに行ったらこれだけペットボトルのごみが落ちてたんです。これは人が捨てたというよりかは、海流に乗っかって行き着いてしまった。あとは、陸地から風で飛んできてしまってここに集まってるんですね。
僕の友だちが、1日も欠かすことなく1,000日続けてここでごみ拾いをしてるんだけど、毎日これだけごみが集まってくるんです。これって海の問題だけじゃなくて、陸地の問題でもあるんですね。
若山:でも、僕たちが毎日石垣島に行ってごみ拾いなんて、できないじゃないですか。
だからこそ、僕たちができることは、この現状を多くの人たちに知ってもらったり、手伝いに行きたいと思う人たちの数を多くすることだったり、もっと言うと、ここにごみが行き着かなくなるような生活をみんなにしてもらうことだと思うんですね。
なので、そういった環境活動家の人たちの思いや活動をメディアでたくさんの人に知ってもらおうということで、去年クラウドファンディングをやって、たくさんの方たちから500万円ぐらいのお金を支援していただきました。
正式にオープンするのはもうちょっと後なんですが、今は作り込んでいて、クラウドファンディングに協力していただいた方たちには見れるようにリリースさせていただいている状態なんです。
このメディアの中で、全国の環境活動家の方たちがどんな思いで・どんな活動をしてるのかを見ていただけると思いますので、よかったら、ちょっと見ていただけるとうれしいなと思います。
何が言いたいかというと、この本の中に、今日話したことがもっと詳しく書いてあるよってことです(笑)。
こんな感じで、僕の今日のお話を終わりたいと思います。みなさん、ご清聴ありがとうございました。
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