なぜすべてのビジネスパーソンがリーダーシップを持つべきなのか

越川慎司氏:みなさんこんにちは。まず私の経歴について、簡単に紹介させてください。

私は大学を卒業した後にNTTというすごく古典的で伝統的な大企業に入りました。そのあと、英語ができないのにカリフォルニアに渡りまして、オンライン会議サービスの会社などを起業したりしました。

2005年には、アメリカのMicrosoftに入りました。その後、執行役員などをやらせていただいて、みなさんを苦しめているExcelとかPowerPoint等の責任者をやっておりました。

その時に気付いたことがありました。「テクノロジーが働き方を変えるのではなくて、人が働き方を変える時にテクノロジーが必要なんだ」ということです。

私は、この主従関係がわかった時に、「IT以外にもう少し企業でお手伝いができるんじゃないか」ということで、2017年に設立したのが株式会社クロスリバーという会社です。これまで605社の日本企業のお客さまの働き方改革や、リモートワークの導入支援などをやらせていただいております。

そして我々自身も働き方改革をしなきゃいけないということで、現在39名のメンバーがいるんですが、全員が完全リモートワークで3年以上やっています。そして全員週休3日です。

そしてうちの会社は「複業でしか入れない」という新しい取り組みをしていまして。そこで学んだことを企業のお客さま、クライアントのお客さまにお伝えする。そんなコンサルティングを提供しております。

そして、今回お話させて頂く書籍には、タイトルに「リーダー」という名前がついています。どうしても中間管理職やマネージャーの方々の書籍だと囚われてしまうと思いますが、実は「リーダー」というのは、働く人すべてが持つべきリーダーシップの意味です。

リーダーというのは「人を引っ張る。人を巻き込む」という力を持っています。社長だとか課長じゃなくても、必要な人を巻き込んで複雑な課題を解決していく働き方が、今は必要なんじゃないかと思っております。

そのために、すべてのビジネスパーソンが持つべきリーダーシップは何なのか? についてまとめた本になっています。

意識を変えることではなくて行動を変えること

先ほど、私の経歴でご説明しましたとおり、変化の対応力を身につけるためには、「さまざまな働き方のオプションを身につけること」だと思うんです。たまたまこの書籍の執筆を開始した2019年末から、働き方改革がいろいろと騒がれておりました。ただ残念ながら、「働き方改革で成功しているのはたった12パーセントしかいない」という事実があったんです。

そんな中でコロナの影響があって、約87パーセントの企業がリモートワーク、テレワークにトライしたんです。そしたら2020年7月時点で、「テレワークがうまくいってます」と答える企業は、なんと22パーセントしかなかった。つまり、働き方改革をやったものの、うまくいかなかったというのが、現時点での問題だと思うんです。

逆を言うと、22パーセントの企業は働き方改革に成功しています。その成功している企業がどういう取り組みをしていたのか? その取り組みを推進するリーダーはどういう人たちか。

そして、目の前にいないメンバーをどうやって巻き込んで複雑な課題を解決していくか。テレワークすることを目的にしないことを、私を始め多くのビジネスパーソンが気付いたと思います。それは、働き方改革=残業禁止ではないということです。変化に合わせて働き方を変えるためにはどうしたらいいか? を考えることがまず必要です。

そしてもう1つわかったことは、「働き方を変えなきゃいけないな」と多くの方がもう気付いていたんです。ただ、なかなか行動が変えられなかった。一方で、コロナの影響で緊急事態宣言が出て、強制的に行動を変えられた。そして6月に振り返ったら、87パーセントのビジネスパーソンが「意外と良かった」って答えたんです。

改革の大きなポイントは、「意識を変えることではなくて行動を変えること」なんですね。行動をまず変えて、振り返ったら意識が変わる。これが成功パターンだと思います。

重要度が増していく「さまざまな社内・社外の人を巻き込んでいく力」

そして、「リーダーというものは、特定の役職の方が担う役割ではない」ということです。全員がリーダーシップを持つべきだということですね。それはなぜならば、今「物消費」が「事消費」のほうに移っていまして。儲け方は、経営陣や研究開発室の方よりも、現場の方のほうがよく知っているんですね。

現場の知見と能力を組み合わせて、お客さまの複雑な課題を瞬時に解決する。これが儲け方改革なんですよ。そのためには、お客さまの要望を聞くこと。自分の能力(強み弱み)を理解すること。自分の苦手を得意としている人を巻き込むこと。こういったグループでの活動によって、より短い時間でより儲けられると。

そのためにはやっぱり、自分たちが自らリーダーシップを持って、さまざまな人を巻き込んでいく。テレワークだろうが出勤していようが、さまざまな社内・社外の人を巻き込んでいく力がすごく必要だということで、書籍にまとめさせていただきました。

そして、私が書籍を含めたコンテンツを作った目的は、「作ることではなくて伝わること」です。そしてさらに伝わって、人を思いどおりに動かすことだと思っています。

私もMicrosoftでPowerPointの責任者などもやっていたんですが、資料は作ることが目的ではなくて、資料を通じて人を動かすことだと思っています。

書籍も同じだと思っています。もう発売されていて、重版が決まるほどすごく好評をいただいているんですけども、満足で終わって欲しくないんです。この書籍の中に70を超えるテクニックを入れています。その中で1つでもいいので、読後1週間以内にアクションを起こしてもらいたいです。振り返ってみて良ければ続けていただきたいです。これが、みなさんが目指すべき働き方改革だと思います。

部下のモチベーションを下げるある言葉とは?

弊社で過去605社の対応をして、累計163,000人の働き方を変えているんですけども。正直に言うと、その中には「素晴らしいリーダー」と「駄目なマネージャー」に2極化することは明らかなんです。本当はダメなマネージャーというのも書きたかったんですけど、優秀なリーダーシップを持っている方を中心に書きました。

例えばですよ。ここだけの話ですが、駄目なマネージャーの特徴に「この言葉を言うと部下のモチベーションが下がる」という言葉が1つあるんです。その言葉は「最近どう?」です。「最近どう?」って声をかけられると、部下はモチベーションが下がるそうです。

なぜならば「どういうトピックなのかな、どういう意味なのかな」と感じてしまうそうなんですね。その言葉を振り返ると「この人は適当に聞いているな」とか「俺に関心がないな」と感じられるそうです。

モチベーションというのは、自分に興味関心を持っているかどうかで判断されるんですね。部下に興味関心を持たない管理職は、もうなくなるべきだと思っています。本当はそれを書きたかったですけど、詳しく書けませんでした(笑)。

そして、実はこれまで私は書籍を6冊出したんですが、今年はあと4冊出しますので、年間で10冊出すんですね。そして、この書籍の執筆で私がすごくこだわったのは、「みなさんに目指すべき働き方を自ら見せたかったから」です。私は、働き方改革は労働時間の削減ではなくて、再配置だと思っています。

無駄なことに時間を費やすことをやめて、浮いた時間で未来に投資をする。この時間の再配置が働き方改革だと思っていますので、私は無駄な仕事を一切やりません。週休3日で時間を生み出して、生み出した時間で執筆活動に充てる。

今までよりもより短い時間で、より多くのことをすることが、働き方改革の本質だと思います。「週30時間しか働かない」といううちの会社のルールに則って、その上で10冊の本を書くためには、やめる勇気を持たなきゃいけないんですね。

例えば、会議のための会議のための会議とかは無駄ですから、うちの会社は社内会議を禁止にしました。派手なPowerPointを作るのも禁止です。実は僕、Excelの責任者だったんですけど、Excelの使用も禁止にしているんです。今はAIやITツールがすべてやってくれますので。

そういったことは全部任せようと。人間にしかできないことをやっていこうと。やめることを絞って絞って、結果として生み出された時間で書籍を10冊出せたことは、短い時間でアウトプットを出すという意味で、ある程度の成果が出せたんじゃないかなと思います。

そして、最後まで動画をご覧いただきましてありがとうございます。みなさんに繰り返して言いたいのは、「目的と手段をはき違えない」ということです。働き方を変えることは手段です。みなさんが目指すべきは、会社が儲かること。そして、みなさん自身が「幸せ働きがい」を感じることです。

この目的に向けて、正しい働き方にぜひ変えていっていただきたいなと思います。この動画を視聴することも目的ではないです。この動画を視聴したあとに、実際にアクションを起こす。これがみなさんの目的ですので、ぜひ視聴したあとに何か行動を起こしてみてください。