2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
「EARTH MALL with Rakuten」グランドオープン記念会見:パネルディスカッション(全1記事)
提供:楽天株式会社
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司会者:ここで、「EARTH MALL with Rakuten」に関わっていただいているみなさまをお呼びしたいと思います。アドバイザーを務めていただいています、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の蟹江憲史教授。そして、消費者を代表して一般社団法人エシカル協会代表理事、末吉里花さまにお越しいただいています。どうぞみなさま、拍手でお迎えくださいませ。
(会場拍手)
小林正忠氏(以下、小林):よろしくお願いします。
司会者:蟹江先生、そして末吉さま。よろしくお願いいたします。では、ここからの進行は小林さん、お願いいたします。
小林:お忙しい中、本当にありがとうございます。「EARTH MALL with Rakuten」を支える、強力なアドバイザーである蟹江先生と、キュレーターとしてご指南いただく、末吉里花さんにお越しいただきまして、楽天の外から見た客観的なご意見も伺えたらと考えています。
まずは蟹江さんから、簡単な自己紹介と「EARTH MALL with Rakuten」に期待するところを、一言いただけたらと思います。よろしくお願いします。
蟹江:よろしくお願いします。(スライドを指して)こちらが私の簡単な自己紹介です。「SDGs」(持続可能な開発目標)が2015年に国連で採択されたんですが、それを作るところからSDGsのプロセスにずっと関係していまして、2011年くらいからSDGsの研究者としてやってきました。その前は、環境ガバナンスや国際的なガバナンスを見ていました。
何よりもSDGsが一番すごいなと思うのは、こういった(EARTH MALL with Rakutenのような)「動き」につながっていることです。本当にこう、人々の動き、アクションにつながるという点が、今までの国連がやってきたこととはまったく違います。私の専門はマクロなレベルのガバナンスなのですが、SDGsはそのガバナンスを変えることだなと思っています。
この「EARTH MALL with Rakuten」は、まさにそれを牽引する動きだと思っています。
先ほど博報堂と一緒にやられているというお話をしましたが、もともと博報堂が作っていた「OPEN 2030 PROJECT」という、人々の消費行動から世の中を変えていこうという動きを2015年からやっていたんですけれども、なかなか大きな動きにつながっていかなかった。
それをいち早く取り上げていただいたのが、この楽天の「EARTH MALL with Rakuten」なんです。本当に、アクションに移すところや、そのアクションの速さがすばらしいと思いますし、ぜひ世の中を牽引していっていただきたいと思います。
小林:ありがとうございます。
小林:では(末吉)里花さん、お願いします。
末吉里花氏(以下、末吉):みなさま、こんにちは。今日は貴重な場にお招きいただきまして、とても光栄に思います。エシカル協会で代表をやっています、末吉里花と申します。
私は今、もう1つ肩書きがありまして、日本ユネスコ国内委員会広報大使を務めております。教育を通じて、エシカル(環境保全や地域・社会を考慮すること)の考え方を伝えていくという役割も持っています。
エシカル協会は、ちょうどSDGsができた2015年に立ち上がりました。まだ3年しか経っていない小さな団体ではありますが、我々が今何をやっているのかと言いますと、みなさまのような一般の方々に向けて、「エシカルな考え方」「エシカル消費」とはどういったもので、どうやったら暮らしの中で取り入れられるのかをお伝えしている団体です。
消費者・生活者の方が、エシカルな考え方が高まったとき、あるいは「エシカルな商品が欲しいわ」となったときに、そういったものやサービスにアクセスできないと困りますので、我々は同時に事業者サイド、つまり企業やブランドに向けても、「エシカルなものづくりをしてください」、あるいは「エシカルな経営をしていってください」という働きかけをしています。従って、事業者と消費者をつなぐような役割をしています。
我々が今、最も着目して行っていることが、学校教育を通じて、エシカル消費の考え方を普及していくことです。今回、楽天さんが「EARTH MALL with Rakuten」という、すばらしいサイトを立ち上げてくださいました。本当に、一言で言うと、私は、「とても、うれしい」ということです。
なぜなら、私たちがこの3年間ずっと、エシカル消費あるいは持続可能な消費についていろいろな方々に伝えてきた中で、「私たち消費者は、どうしたらそういうものが買えるんですか?」「どこで買えるんですか?私の家の周りにはそういうものがないです」、といった人たちがたくさん出てきたんですね。
その受け皿となる買える場所、アクセスできるところがないと、この活動も広がっていきません。そのような受け皿を作ってくださった楽天さん、そして博報堂さんには、すごくすごく、心から感謝しております。
先ほどビジョンにも書かれていましたが、今後、このエシカルな消費、あるいは持続可能な消費が当たり前になるような社会をともに、みんなで築いていけたらという気持ちでおります。
末吉:ひとつだけ申し上げたいのが、いま私たち協会としても、このエシカル消費を盛んに伝えているのですが、例えば、ビジョン(「サステナブルな消費が当たり前の社会を実現する」)にあったような社会が来たとします。みんながエシカルな商品を手にできる世の中になったとします。
でも、今の社会システム、資本主義の世界の中で、私たちが今までと同じように大量に消費をして、それを捨てていってしまったとしたら、例えそれがエシカルだったとしても、私は本末転倒であると考えています。大事なことは、生産と消費のあり方をもう一度最初から見つめ直すことだと考えています。
資本主義で我々が受けてきたいろいろな恩恵がありますが、そこで生まれたさまざまな問題もありますので、ちょっと暴力的な言葉かもしれませんが、社会がこれまで作ってきたこのシステムの創造的破壊をしていきたいと考えているわけですね。
破壊と言うと、ちょっとネガティブに聞こえるかもしれないんですが、「EARTH MALL with Rakuten」ようなサイトがあるおかげで、ポジティブな行動に変えていくことができると思っています。楽天さんにはぜひ、このサイトを通じて、エシカルな社会の文化を作っていっていただきたいと、心から期待しております。
小林:ありがとうございます。今まさに末吉さんがおっしゃったように、楽天が目指すところは、まず売り場を作ることが大事だと思っているんですけれども。
例えば、10回に1回の買い物でもいいから、今までとはちょっと違う商品、未来を変える商品を買ってみようという行動を「楽天市場」でしていただくと、「楽天市場」ではすでに何兆円という売り場ができあがっているので、10回に1回であったとしても、数千億円の市場ができあがるわけです。
ただ、この規模ももちろん大事なのですが、あえてビジョンに「消費スタイルを変えていく」と申し上げたのは、今まさに末吉さんに触れていただいたように、「物を買う」だけではなくて、その買い物の仕方、消費の仕方も変えていく必要があると思っています。
例えば消費者が1,000円のものを3回買う代わりに、認証を受けている、あるいは正しい生産過程を経て消費者に届く1500円の商品を2回買えば、事業側の売り上げは同じ3,000円になります。今の経済を停滞させるのではなく、そういった創造的な破壊をしていければと考えております。
小林:なんと今日お越しの蟹江さんは今、チャレンジされている壮大な買い物があります。そこについて一言いただけますか?
蟹江:それを先に言っちゃいますか。僕は今、大きな買い物をしようと思っていまして、家を買おうと思っています。
小林:「SDGsでできあがる家」という、とんでもないことを。
末吉:それは(SDGsの17の目標にちなんで)17色になるんですかね。
小林:(笑)。
末吉:そういうわけではない?(笑)。
蟹江:それもいいかもしれないですね(笑)。同僚に建築家がいるので、その人と一緒に相談しながら、どうすればSDGsをかなえる「2030年モデル」の家を作れるか考えています。
楽天さんで家が売っていればいいんですが、不動産はやっていないんですね。なので、すべてをかなえるのは難しいかもしれないですが、いろいろな部品を集めてきてできるだけSDGsの目標にかなったものを作っていきたいと考えています。
小林:家全体を考えたときに、その家で必要になる多くの商品があると思います。ゆくゆくはそれだけ多くの商品を取り扱える売り場に成長させていくことで、人々の生活を変えていくことができるんじゃないかなと考えております。
短いお時間でしたが、お二人のお話を通じて、みなさまに「EARTH MALL with Rakuten」、ならびにこのサステナブルな消費のあり方をお伝えできたのではないかと思います。ご清聴ありがとうございました。
司会者:ありがとうございます。
楽天株式会社
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