音楽の再生だけではないバリューを提供していきたい

岩本俊介氏(以下、岩本):せっかくいろいろとトピックを出していてもったいないので、次のトピックに移ろうかなと思います。

続いて「ライバルとの差別化」。競合とどう戦っているかについて話していきたいなと思っています。たぶんLINE MUSICが一番初期に話をしてそのあとしゃべっていないので、口寂しくなっているかなと思うので、壱岐さん、よろしければお願いします。

壱岐岬氏(以下、壱岐):わかりました。そうですね。音楽の楽しみ方はすごく人それぞれだと思っていて。今は競合のグローバルサービスでいうと、基本的にはトレンドがオーディオファーストというか、いかにコアなユーザーに対してリッチな音楽体験を提供するかみたいなところをやられていて、それはすごくすばらしいことだなと思っています。

LINE MUSICに関しては、新参者ですし、サービスインしてわずか数年しか経っていないというところもあって、そこを強みとして伸ばしていくよりは、サービス自体を音楽の再生だけではないバリューを提供していきたいなと思って、いろいろしています。

例えば単純に音楽が再生できますよというだけではなく、音楽を使って自分のフィーリングを表現できる機能として、この一番左にLINEアプリのプロフィールBGM機能みたいなものがあります。あとは自分の好きな楽曲をLINEのプロフィールに設定できるという価値を提供していたり、音楽を再生するだけではなくて、音楽を使って遊べるというバリューの1つとして、自分の好きな楽曲がカラオケで歌える機能だったり。

直近だと採点もできるみたいな機能も提供させてもらったり、これも直近なんですけれども、LINE MUSICのお客さまであれば、LINEスタンプ プレミアムが使い放題みたいな。要は自社のバリューというか自社のアセットを使って、よりお客さんが音楽を使って楽しめるようなものをどんどんやっていこうかなと思っています。なので、その一例です。

ちょっと(スライドの)左のほうに行くと、先ほども軽く話しましたが、我々はパートナーが2021年ぐらいから一気に増えました。もともとLINEというプラットフォームと連携しているので、LINEからの独自流通網もあります。直近でいうと、ヤフーさんやソフトバンクさんとも連携がありました。ヤフーさんでいうとポータルとか検索、ソフトバンクさんでいうとオフラインチャネルからの流入みたいなところです。

NAVERに関しても、同じく韓国の事務所と強いパイプがあるので、コンテンツの連携も今は実現していて、独自で自分たちのお客さんをそれぞれのパートナーから連れてきて、コンテンツをその中で回す流れをやっている1つの例がこちらです。

2021年の7月ですかね、BTSの独占ライブ配信、生配信みたいなものをやって、先ほどのNAVERの韓国でやっている音楽アプリとLINE MUSICアプリで配信した時の一例として、LINEアプリ、ヤフーさんのポータルでそれぞれプロモーションをしました。そこからNAVERの部分でいうと、独自に我々がNAVER経由でこういったコンテンツを仕入れてきて、配信をしました。

最後に、見終わったお客さんに対しても、LINE MUSICだと3ヶ月無料でBTSの楽曲も聞き放題ですよみたいな、LINE公式アカウントを使ったCRMみたいなものも含めて、全部ホールパッケージで我々のユーザーに価値を提供できる部分は、競合にはもちろんできない部分ですし、このあたりのいろいろなパートナーを使ったコンテンツの流通やプロモーションの最大化みたいなところは、今後もやっていければなと思っています。

岩本:なんかすごくいろいろと幅広い話が聞けて楽しかったのですが、せっかくなので他のサービスのほうにも移りたいと思います。

LINEスタンプは競合がいない?

岩本:続いて、先ほどの順番でいきましょうか。LINEスタンプ、お願いします。

小内喜文氏(以下、小内):はい。ちょっとここは難しかったのですが、LINEスタンプはけっこう競合がないと思われていて、実際ないなと思っています。例えばカカオトークのスタンプが競合かというと、そうではないと思っていて。

Instagramのメッセンジャーや、その他DMができるアプリの中でも、いくつかそういうスタンプに近いものがありますが、このへんは実はそんなに競合として意識していなくて。私たちは、類似するプラットフォームとの差別化はしていないというのが、結論としてあります。

それよりもどちらかと言えば、世の中のインターネットを介したコミュニケーションをユーザーは今どうやっているんだろうというのを見ながら、そのコミュニケーションそのものが競合と思っています。中でも特にビジュアルコミュニケーションというところで、テキスト以外でみんな今はどうやり取りしているんだろうというのを見ながら、それを分析したりしています。

スタンプに関する競合は以上なのですが、あとは先ほどのクリエイター目線の競合ですね。今はクリエイターエコノミーとすごく言われてますが、表現ができるプラットフォームが本当にたくさん増えているので、それこそLINE MUSICやLINE LIVEも、実はもしかしたら競合かもしれなくて、そういったところでスタンプを作ってもらえるように努力をしているかなと思います。

あとは差別化というところでいうと、一番手っ取り早く稼げる、というのがあるかなと思っています。もちろんライブでの投げ銭も同じだと思うのですが、ちょっと有名になったインフルエンサーの方、YouTuberの方がマネタイズをする時の選択肢の1つとして、LINEスタンプをちょっと出せば必ずある程度儲かるという仕組みを提供できているので、そういう意味ではプラットフォームと稼ぎやすさでの差別化が、もしかしたらできているんじゃないかなという期待もあります。

岩本:ありがとうございます。独特な市場すぎてライバルなどはあまりパッと出てこなそうなので、間接的にどこと戦っているのか、この部分においてはどこかと戦っているのは、けっこうあるのかなと思いながら聞いていました。

「LINE公式アカウントによる配信」で差別化

岩本:ではこのまま、LINE LIVEのほうをお願いします。

上田優太氏(以下、上田):先ほども申し上げたようなソーシャルライブアプリ、配信アプリみたいなところで、競合が非常にいっぱいあるなと思っていて、その中でのLINE LIVEでの独自性でいうと、一般の方やインフルエンサーなどの配信があるところに加えて、LINEならではというところでいくと、LINE公式アカウントによる配信もあります。

有名人のライブ配信や、今はマンスリーでイベントをやっていて、そのLINE公式アカウントの方の中でのランキングみたいなイベントもやっています。

あとは、けっこう多いのはスポーツ系ですかね。僕はJリーグが好きなのですが、その中で僕の好きなチームや選手が配信してくれたりしています。あとはファッションショーのイベントとかですね。そういったところが、LINE公式アカウントを通して配信をすることで、そこでメチャクチャ多くの方が見てくれて、(数字が)跳ねるみたいなことは、けっこうあったりしますね。

そういう有名な方やスポーツ選手、スポーツチームみたいなところのLINE公式アカウントの配信があるのが、1つの差別化としてあるかなと思っています。

岩本:なるほど。配信される方とおそらくそのイベントがわりと差別化要素だなと思ったので、そこをもっと深く聞けたらと思っています。

NFTアートとスタンプの連携

岩本:では質問に移りましょう。。せっかくなのでけっこうホットな話題に移っちゃおうかなと思うのですが、「スタンプとNFTは相性が良さそうですけど、現時点でディスカッションとかされていますか?」これは検討中のステータスですか?

小内:はい。メチャクチャしています。LINEもNFTをローンチしたばかりで、いろいろなところから「スタンプでNFTをやらないんですか?」という声をもらっていて絶賛検討していますが、スタンプそのものをNFTにするというところが、LINEアプリの仕様上なかなか難しいなと思っています。ただ、NFTアートとスタンプの連携はいろいろと相性が良さそうなので、考えて実装しようとしているところなので、楽しみにしてもらえればと思います。

岩本:ありがとうございます。なんか個人的に「(検討を)しています」ぐらいのところは公開OKかもしれないんですけど、「実装しています」は怪しいな、と思いましたが大丈夫ですか?

(一同笑)

小内:NFTは発表していたはずです。なので、大丈夫なはずです。

岩本:そうですね。相性は良いところですし、まさにクリエイターがエコシステムの中に大量にいるところなので、とても相性が良いだろうなというところは、おそらくみなさんもお察しのとおりかもしれないですね。

社内・社外連携はメチャクチャしやすい

岩本:では続いてLINE MUSICの質問にいきたいなと思っていますが、「お聞きすると社内連携が活発そうですが……?」というもの。これは社内がどこを指しているのかなと気になったんですが、いったんLINE内と他のグループ会社の両方についての連携具合というかコミュニケーションのしやすさとかを教えてもらってもいいですか?

壱岐:そうですね。メチャクチャしやすい雰囲気だと思います。先ほどのLINEだけではなくて、ヤフーさんだったりソフトバンクさんだったりNAVERさんも、ぜんぜんウェルカムというかオープンなディスカッションをしていて、本当に社内か社外かはあまり関係ないようなかたちでコミュニケーションができたりしているので、これはけっこうレアかなと思いますね。

なので、今回のBTSが決定した瞬間に、ヤフーの人やLINEの人、ソフトバンクの人などにも、「こんなことはできない?」みたいに相談をさせてもらいました。けっこうすぐに相談をして、zoomのミーティングとかをして、「これをするためにはどうしたらいいの?」みたいなのを一緒に考えてもらって、このサービスを成立させたので、雰囲気としては本当にオープンですし、連携しやすい雰囲気だと思います。それがLINEの強みかなと思っています!

岩本:いいですね。、利用した広告枠は広告枠としてはかなり高いと思いますが、これを出せているところがわりと風通しの良さを感じることですね。

壱岐:これは内情を話すとすごく大変でした。

(一同笑)

いろいろなレイヤーでOKを取らないといけないという部分があったり通常じゃないことだったりもするので、そこを「お願いします!」と通していくためのハードルが5個ぐらいありましたね。

岩本:(笑)。でもそのハードルを乗り越えられるのが風通しの良さかもしれないですね。

壱岐:そう思います。

岩本:それではあともう1個LINE MUSIC。たぶんどちらかというとこれはBTSのファンの方からの質問かもですが「BTSを採用した経緯とかを教えてもらうことはできますでしょうか。」

壱岐:それはちょっと……。

(一同笑)

それはちょっといろいろな内情があるので、ここでは控えたいと思います。すみません!

岩本:そうですよね。やはり芸能系は難しいところがありますからね。そういうところですかね。

即時性が高い通知が届けられる

岩本:せっかくなので、僕がLINE LIVEについて質問します。たぶんこのあと競合との差別化がないと思うので、1点教えてください。ここの出ている方の中で、LINE LIVEが他の競合と比較して特にここを推そうとしているであったり、ここが強みになっているところでいうと、どういうところがポイントになってきているんですか。

これはたぶんLINE LIVEのLINE公式アカウントを開設されているかとかですかね。

上田:そうですね。「〇〇さんが配信をしました」みたいなところが、そのLINE公式アカウントでも通知がされるので、そこでリアルタイムに参加できます。また、例えば僕は(Jリーグでは)横浜F・マリノスというチームが好きなのですが、そのチームのサポーターはLINE公式アカウントをフォローしていたりするので、そうするとその「ライブが始まりましたよ」というのがLINE公式アカウントでも通知されるので気づきやすいし、見に行きやすい。

あとはLINEのトークルーム上で見れるので、わざわざアプリをダウンロードしなくても見れるようなところは、1つあるかもしれないですね。

岩本:確かにそうですよね。よくLINEの他のサービスなどとも一緒に話をしている中でも出ますけど、接点としてはLINEは大きいので、ユーザーが多く触れやすいそのメッセージによっても、即時性が高い通知が届けられるというのが、けっこう重要なポイントかもしれないですね。

上田:そうですね。そのあたりは差別化の要因かなと思います。

LINE MUSICのグロースは、けっこううまくワークしている

岩本:では次のトピックに移っちゃおうかなと思っています。

では、お金をどうマネタイズをやっているかというところと、ちゃんと有料ユーザー、ロイヤルユーザーというか利用ユーザーに対して、どのようなかたちでうまく囲い込む、というと言い方が悪いかもしれないですが、どうやって長く使ってもらうかみたいなところをやっているかを教えてほしいなと思います。では壱岐さんからお願いしてもいいでしょうか。

壱岐:では私からクイックに。先ほどのお得意さまというわけではなくて、熱量が高いお客さまをどういうかたちでLINE MUSICに訪問してもらうかという1つの例として、定期的にというか1週間に1回アーティストの方々とキャンペーンを行っています。

そのキャンペーンの内容は、LINE MUSICでそのアーティストさんの楽曲を保存したり再生したりすると何か特典をあげますよ、というのをしていて、そうするとそのファンの方がLINE MUSICに訪れて、その特定の行動をして特典をもらうことができます。

そのファンが1回動いたら、SNS上でその新たな自分の好きなアーティストの他のファンの方に伝えて、さらにはアーティストの公式からも「LINE MUSICでこういうことをやっているよ」というような情報発信をしてもらって、毎週そのファンの間では「LINE MUSICでこういうことをやっているよ」みたいなところが言及されていて、このファンダムを利用したLINE MUSICのグロースは、けっこううまくワークしているなと思っています。

簡単に一例を書いています。単純に特典自体をお客さんに対して渡しているだけではなく、例えばLINE MUSICが新しく出す機能やまだ認知されていない機能で使ってほしい機能だったり、先ほどのNSMに直結するような機能利用を促すことで、結果LINE MUSICのためにもなると。

なので、ファンもうれしい、アーティストもうれしい、サービス側もうれしいみたいな関係を、このウィークリーのキャンペーンでやっているというのが一例ですかね。

岩本:ありがとうございます。

壱岐:フリーのほうもいきますかね。

岩本:いっちゃいましょう。

壱岐:わかりました。フリーに関していうと、LINE MUSICしかできないことは先ほどのLINEアプリのプロフィールBGM機能が象徴的かなと思っていて、今は無料でこのLINE MUSICと連携したBGMを設定できます。今は1,000万人以上のお客さんがプロフィールのBGMを設定してもらっているというところもあって、ここを経由してLINE MUSICにどんどん流入ができているところもあるので、BGMが1つのプレミアムの役割をしています。

一方で当初有料だった機能として、LINEの着うたがありましたが、それまでは完全に有料で閉ざしていました。そこから一部無料で回数制限みたいなものを設けて、1回だったら着うたを設定できるように制限を解放して一気にグロースしたというところもあるので、このあたりの無料・有料みたいなところは、うまく抑揚を付けながら見込み客を増やしていけて、これはLINE MUSICにしかできないようなフリーミアムというかグロース戦略かなと思っています。

「友だちが送っているスタンプ」だから価値がある

岩本:では次にいっちゃいましょうか。LINEスタンプのほうをお願いします。

小内:特典付きスタンプという機能を2021年に作りました。1個のスタンプを買うともう1個パッケージがもらえるところで、某有名芸能グループのスタンプを出した時に、初めて使った機能です。

その有名グループさんのもので、あるパッケージを買うと通常のスタンプパッケージに加えて、そこでしかもらえないボイス付きの特典スタンプがもらえるといった、ちょっとプレミアム感のあるコンテンツを提供することでARPUを上げられたというのがありました。

あとはお試し機能というものをたまに提供していて、「試着」と呼んでいたりするんですが、着せかえで一時的に使ってもらって気に入ったら買ってもらうという取り組みなどをしています。あとはAnimation化というのが資料に書いてありますが、静止画スタンプが120円でアニメーションのスタンプが250円なんですね。

当然アニメーションスタンプのほうがARPUが上がるので、過去に静止画で好評だったスタンプを「こっちが作るのでアニメーション化しませんか?」とクリエイターさんにお声がけして、LINE側でアニメーション制作して、ARPUを上げていく取り組みもしています。

あとは、LINE MUSICさんもやっていますが、プレミアムの無料体験をキャンペーンで期間延長して無料ユーザーを獲得して、どんどん有料転換してもらっています。

ですが、今のはけっこう枝の部分で、そもそも論LINEが、友だちが送ってきたスタンプで、友だちが送っているところに価値があるし、かつそれがおもしろかったらさらに価値があるわけです。そこでタップするとすぐにスタンプショップに行って買えるというUXをそもそもLINEが持っているので、実はスタンプというよりもLINEのトークがPU転換しやすいUXになっているな、と私は思っています。

という感じで、そこで多重課金者の独自施策はむしろないな、というところが数年やっている結論で、前は例えば年賀スタンプなどで1人のユーザーさんに何個もスタンプを買ってもらおうという施策をしたこともあったんですが、もちろんそれで2個、3個と買ってくれる方もいるんですが、やはり大多数のユーザーは1個のスタンプを大事に使う方が多いので、あんまりARPUを上げるというよりも、とりあえず1つ手に取って買ってもらえたらいいなという思いでやっているのが最近です。

まずは「投げる体験」を

岩本:では続いてLINE LIVEのほう、よろしくお願いします。

上田:まずはギフティングという応援するところを体験してもらおうね、というところで。僕も含めて企画まわりはゲーム出身のメンバーが多かったりするので、よくゲームアプリとかであるログインボーナスみたいな、フリーでアイテムをプレゼントして、まずはギフティングを体験してもらうところがあるかなと思っています。

それによって配信者が喜んでくれてコメントをしてくれたりとか、「〇〇さんありがとう」のようなことを言ってもらえると、双方向のコミュニケーションも生まれますし、やはりそこはライブ配信ならではだなと思っているので、まずはフリーでもギフティングを体験できますよという入り口を作っています。

あともう1点、けっこうコメントで入れてもらう方も非常に多いんですが、バラのアイテムがあって、それをいきなり送るのはけっこうハードルとして高かったりするので、例えば低額のポイントで「おはよう」とか「今日もステキだね」とか、そういうコミュニケーションで比較的使いやすい、まさにLINEにおけるスタンプみたいな、コミュニケーションに使えそうな低価格アイテムも2021年から新しくカテゴリとして作っています。

そういったところで、高額なポイントを使わずに楽しくコミュニケーションが取れるようなところもやっていきたいなと思い、実装しています。

最後のところは、これは囲い込みというところではないですが、やはり熱量が高いお客さまというのはいらっしゃって、特にLINE公式アカウントにおいてはアーティストだったりとかその方を応援する熱量がすごく強いので、例えば何ポイント以上応援してくれた方には何か限定でプレゼントしますよであったり、熱量に応じた付加価値をリアルなアイテムとしてプレゼントするみたいなところも実施しています。

LINEスタンプは「トレンドを追う」のが大事

岩本:ではせっかく質問をいただいていので、そのままいっちゃおうかなと思っていますが、各サービスで聞きましょうか。「グロース施策で、良い施策はどう考えることが多いですか。」ではちょっと順番を変えちゃいましょうか。小内さん、スタンプではどうでしょうか。

小内:施策でいうと、別の質問とも重なるんですが、「スリムなスタンプが好き」と言ってくださっている方がいて、すごく縦幅を短くするスタンプが流行ったんですね。

場所を取らないスタンプというのをカナヘイさんか誰かが最初に出したんですが、それが売れているというトレンドを発掘して、トレンドはどんどん変わっていくので、「今これが流行っているんだったらこういうキャンペーンをやったほうがよくない?」というところで、施策というかキャンペーンになっちゃうんですけど、やってみようと思ったり。

先ほどの特典付きスタンプもそうなんですが、こういうユーザー層でこのような買い方をしてくれるよねというところで、データなどを見ながら分析をして、トークでこういう機能を作ったら売れるよねというところを、施策をしながら進めていくのが、一般的にスタンプ事業では多いかなと思っています。

岩本:けっこうトレンドにキャッチアップして、そこに対してスタンプでできる表現などをやる感じですかね。

小内:そうですね。トレンド把握はだいぶ重要だなと思っています。スタンプの送り方やクリエイターがどう捉えているかですね。

岩本:確かにそうですよね。スタンプ自体はわりと幅広く使われているものだと思うので、それ自体で表現力も高いですし。そのトレンドに乗っかるというのは、わりとカジュアルにできる戦略と言えるかもしれないですね。

小内:そうですね。けっこう移り変わっていくので。

LINE LIVEは「推し」を作るのが重要

岩本:ちょっといったん切る時間になっているんですが、せっかくここまできているので、残りの2サービスについても質問してからいったん休憩にしようかなと思っています。では上田さんにグロースの施策についてどう考えているかをお願いいたします。

上田:そうですね。LIVEに関わっている方はわりと推している人がいること、推している何かがあることがすごく重要だなと思っていて。

結局リスナーとして配信している方を見たり応援したりするというところは、「推し」そのものだったりするわけですよね。なので自分が何かを推している、それは趣味だったり何でもいいのですが、何か推しているものがあるとか、推している人がいるということを経験していないと、見せ方も含めて、どういうことだったら推したくなるよね、応援したくなるよねなどがわからない。やはり経験に紐づいたものじゃないとなかなか。

やはり打率を上げるというところでいうと、自分自身が何かを推している経験は必要かなと思っています。

岩本:先ほどのここの話でも出たんですが、熱量とか推しとか、わりと独特の用語だなと思いながら聞いていたのですが、やはり業界全体として、推しを作るのが重要というのがポイントだと思うんですけど。

上田:そうなんですよね。例えばメンバーの面接とかで「入社までにまわりに何をやっておいたらいいですか」みたいな質問をもらうと、推しがもし今いないんだったら推しを作ってくださいみたいな話は、半分冗談ですけど半分本気でしていたりしています。

岩本:なるほど。自分自身も熱量が上がる経験を作ってもらうと。確かに。

上田:逆に言うと熱量が下がったタイミングがもしあるんだったら「なんでなんだっけ?」というのも活かせると思うので、それも含めて何か推しなどの経験は非常に重要だなとは思いますね。

岩本:確かにそうですよね。なんかわりとライブは触れない方にとっては絶対に触れない業界だったりするので、そこをちゃんとユーザーとして体験していくというのはすごく大事ですね。おもしろいです。確かに初めて推しを作ってもらうというのがメチャクチャおもしろいなと聞いて思いました。

LINE MUSICは「データドリブン」で進める

岩本:では最後に壱岐さんの考え方やプロセスみたいなところをお願いします。

壱岐:はい。ちょっと2人とは違うかなと思ったんですけれども、LINE MUSICは音楽を扱っているので、けっこう派手なことをやりがちだと思われるかもしれないですが、我々はけっこうデータドリブンのマインドがすごく強いなと思っていて、実際にお客さんがどこでどのようにして音楽を聞いていて、どこで悩んでいるんだというところを常日頃からモニタリングをしています。

そこで困っていることとか助けてほしいこととか、そのあたりをきっちりデータから分析をしてそれをアプリのアップデートに反映していくところを基本ラインとして、なので一番正解率が高いところからやっていくことで、先ほどの膨大なデータからユーザーの不満な点を導き出して、それを1つの改善策にしていくというのが、やはり一番重要かなと思うんですよね。

我々も会員さまから月額980円のお金をいただいているというのは、相当なことだと思うんですよね。今のこのご時世で、保険料や何なら携帯代金とかより高い可能性もあって、けっこう困っていることや、助けてほしいことというのはすごく感じていて、きっちりそこはデータから分析をして常日頃からお客さんが困っていないかはモニタリングをしていて。施策の精度というんですかね、その精度を上げていくというようなところをやっています。

岩本:どちらかというとユーザーなど利用されている方のペインポイントがベースなんですかね。利用していない方も含めたペインポイントみたいなところもあると思いますけど。

壱岐:そうですね。利用されていないお客様であれば、どこでドロップしているんだろうとか、我々がちゃんとバリューを提供できていないんじゃないかというところの仮説を立てて、本当にそうなのかみたいなところをデータサイエンティストの方と見て、ここがポイントだねみたいなところを早めに見つけて早めに解決するところが、やはり我々として一番重要視している部分ではありますね。

岩本:メチャクチャ良い議論をされている雰囲気ですね。時間が回ってきてあれなんですが、せっかくなので追加で1個だけ聞きたいんですけど。壱岐さんの今の話を聞いていておもしろかったのですが、直近とかで最近の事例でもいいのですが、ユーザーや利用されていない方も含めて、実際の課題とかに対して新しい施策を作った事例があったら教えていただいてもいいですか?

壱岐:新しいお客さんが来た際に、やはり先ほど言った音楽コアリスナーであれば、すぐに自分が好きな音楽を見つけられて、見つけた上で会員登録という流れはもう見えているんですが、そうじゃないお客さんというのが圧倒的に多くて。そのお客さんがなぜ登録しないのかというところを分析で洗い出して、やはりお客さんが来た初日に自分が好きな音楽が見つかる、それも複数見つかる必要がある。

見つかれば会員登録がされるところがデータ上見えて、実は実装をしていないんですが、そういったデータを踏まえて、それはいったいどういう体験なんだっけみたいなところをUXに落として、それをアップデートに反映していくみたいな流れをやっていたりするので。

今の話は非会員の方のユーザーのシナリオですけど、有料ユーザーやあとは無料体験中の方、それぞれのユーザーステータス別にどういった行動をしていて、どこで悩んでいるんだろうみたいなところを日々モニタリングしています。

岩本:なるほど。おもしろいですし、先ほどの自分の好きな音楽を見つける、しかも複数見つけるというのは、実はけっこうな定量化もできそうなので、メチャクチャ良いグロース指標にもできそうですね。

ちょっと時間になったので、宴もたけなわではございますが、いったんここで終了しようかなと思っています。ありがとうございました。