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聞き上手への第一歩は「相手を理解する姿勢」【人は聞き方が9割 - 永松茂久】(全1記事)

画面オフの“幽霊”だらけの会議で、カメラオンの人は得をする オンライン時代に重宝される「聞き上手」になるコツとは

「セミナーに参加したかったけど、時間が合わなくて行けなかった……」。株式会社イノベーションの調査によると、ビジネスパーソンの2.5人に1人はそんな経験をしているそうです。同社が運営する動画サービス「bizplay」は、オンライン配信を通して、いつでもどこでもセミナーに参加できる環境を提供しています。そんなbizplayのオンライン動画に、累計100万部越えのベストセラー『人は聞き方が9割』著者の永松茂久が登場。コミュニケーションを円滑に行う「聞き上手」になるためのポイントを解説しました。 ■動画コンテンツはこちら(※動画の閲覧には会員登録が必要です)

人間は安心すると「自分の思い」を伝えられるようになる

永松茂久氏『人は話し方が9割』という本の続編といいますか、もうちょっと突っ込んだ(内容の)『人は聞き方が9割』という本を出させていただきました。これは「聞く」というワンテーマだけにフォーカスした本です。

よく、「『人は話し方が9割』と『人は聞き方が9割』、どっちですか?」と聞かれるんですが、実は本当はこの2冊が1冊分だったんですよね。

だけど最初の本は「話し方」がテーマだったので、できれば話し方にフォーカスしていきましょうと。でも、大切なのは聞くことなんですということを、『人は話し方が9割』の最初からお伝えさせていただいています。なので、会話をしていく中で一番大切なことを書いたのは、どっちかと言うと『人は聞き方が9割』のほうです。

コロナ禍で2年以上の時間が過ぎて、他にもいろんな紛争が起きたり、コロナ禍以前の約20年間も、日本は大不況の中でずっと過ごしているじゃないですか。「ここから先どうなるんだろうな」って不安なんですよね。そして、そういう大きい問題だけではなくて、ほとんどの人が人間関係でも不安を抱えています。

じゃあ、この不安を満たすものって何なんだろう? というと、「安心感」なんですよ。なのでこの本のメインテーマとして、一番最初に人が求めているものは「安心感」ですと、この3文字を一番太く・大きく書かせていただいているんですね。

『人は話し方が9割』という本にも書かせていただいたんですが、安心することで人は自分の思いを伝えられるようになる。そしてこれは人間心理なんですが、本当は誰でも自分の思いをわかってほしいし、自分の話をしたいと思っているんです。

不安が増した世の中ほど、「聞く人」の価値が高まっていく

話をするか・しないかは別として、根底にそういう大きな心理がある。誰もが(自分の思いを)話したいけど、1人で壁に向かって話すわけにはいかない。みんなが話したいんだったら、一番必要とされるのは「聞いてくれる人」なんですよね。

これからの時代は、不安がもっともっと増えていくと予測されますので、不安が増えれば増えるほど「聞く人」の価値が大きく高まっていくんです。なので、「聞く人になりませんか?」ということをお伝えさせてもらっています。

約20年間、セミナーも含めてずっと講演をさせていただいています。その時にすごく思うことがあるんですが、「日本人は本当に聞くのが苦手な民族だな」と思うんですよね。日常のコミュニケーションというよりも、この講演をさせてもらう時にものすごく悩んだんですよ。

「朝礼で発表する」とか何でもいいんですが、人前に出て話したことがある人は絶対にわかると思うんですが、聞いてくれる人が1人でもいるだけで、自分の思いをスムーズに話すことができるようになる。

これは会議の場でも言えます。仕事でコンサルティングもさせていただいているんですが、会社のモチベーションアップをやらせていただく中で、僕はけっこう会社のミーティングをいじるんですよ。「ミーティングの姿勢を変える」とはどういうことかと言うと、特に上役の人たちに意識してもらうことがあるんですね。

リーダーに染み付いている「ジャッジ癖」

これは間違いなくあるんですが、1つ目は「聞く側の難しい顔」。どうでしょう、会議ってみんなこうやって聞いてませんか? 

「怒ってますか?」って聞きたくなる(ような表情)。「いや、真剣に聞いてます」という、「聞く側の難しい顔」が1つ目。

そして2つ目が、「いい意見はあるか? 何でも言えよ」と言いながら、「いいことを言えよ」「正解を言えよ」というジャッジ癖がリーダーに身に付いちゃっているんですね。「それ、会議のテーマに関係ないでしょ」「根拠は何なの? 数字はちゃんとあるの?」って、みんなジャッジするんですよ。

だって、「満点じゃないと絶対に正解を言ってはいけません」ということなので、ジャッジされたら嫌ですよね。クイズ番組だったら、ピンポーンと(ボタンを押して)変なことを言う人がいたほうが盛り上がるじゃないですか。

あっちのほうがずっといいんですが、「絶対に正解を言わないといけない」というジャッジ癖が身に付いちゃっている。「難しい顔」「ジャッジ癖」、これじゃあ絶対にいい会議にはなりませんよね。

そして3つ目が、今度は発言する側(の課題)なんですけど、ジャッジされるということは「正解!」と言われることを言わなきゃいけない。これを「ピンポン病」と言うんです。

この3つを取っ払うんですよ。「何を言っても笑顔で受け入れる」というのは、「そんなんじゃ会議にならないでしょう?」って、一見ばかばかしく感じるかもしれないですし、実際に言われたりもします。でも、なるかどうかはまずやってみてください。

「否定会議」から「肯定会議」に変えていく

人間のパフォーマンスって、安心感がないと上がらないんですよ。ぐっと力を入れたままではパフォーマンスが上がらないので、まずは一回力を抜く。そのために、聞く側は難しい顔じゃなくて、笑顔でうなずいて話を聞く。

そして2つ目が、ジャッジしないこと。「なんでもいいよ。このテーブルの上に、なんでも意見を出してくれ」と言うと、「出していいんですか?」と出せるようになる。

そして3つ目は、今度は否定されないので「正解ばっか言わなくていいんだな」と(思えるようになる)。リラックスして出した「これ、いいんじゃないですかね?」という提案の中に、大きなヒントやいろんな突破口が見えてくるんですよ。これはもう「数」なんですね。

「否定会議」ではなくて「肯定会議」になることによって、みんなのパフォーマンスも上がりますし、いい意見も出ますし、結果的にいい雰囲気ができる。断言しますが、それで会社の業績は必ず変わります。それぐらい、聞く側の姿勢は大事なんですよ。

すごいマーケティングシステムを会社に導入することも大事なんですが、それ以前に、いろんな人が楽しく意見を言って、楽しく考えることができることで、楽しい業績が生まれて楽しい会社になるためには、すべては「聞く側」の力にかかっています。

(自分の思いをスムーズに発言できるようにするためには)ルール化するしかないと思います。オンラインだから顔を出さなくていいとか、顔をオフにして適当に聞いときゃいいや、というマインドではオンライン(会議)が成り立たないんですよね。

実は、誰かがしゃべっている時に話を聞くリアクションって、(オンラインだと)リアルの時よりも伝わりにくいんですよね。リアルより伝わりにくいのに、顔を隠していたらなおさら伝わりにくいじゃないですか。オンラインの時は(カメラを)オンにして、絶対にいつもよりリアクションを強めにする。

オンライン時代こそ「聞き方」がコミュニケーションを左右する

僕がいろんな会社のビジネスサポートをやらせていただく中で、そこはあえてルール化しちゃうんです。「いや、オンラインに慣れてないんだよ」と言う方もいますが、そんなことを言ったって、オンライン時代は始まっちゃっているわけですよ。だから、特にオンラインこそ聞き方が9割。本当に聞き方が大事なんですね。

移動しなくていいというメリットがあるので、最初はオンラインって「いいね」と言われたんですが、実はオンラインのほうがコミュニケーション能力がものすごく必要になります。

オンラインって、ギャラリービューとかにしたら、だいたい全員の顔が出ますよね。これ、実はオンラインのほうがハードルが上がるんですよね。普通の会議だったら、社長が前に立って話している時って、みんなこっち(話し手側)を向いてますよね。だから、全員の顔が見えるのは話し手だけなんですよ。

でもオンラインになったら、誰か1人がしゃべっていても全員の顔が見えますよね。そうすると、「この人感じ悪いな」とか、画面をオフにして「僕はそれ反対です」と言っている人に対して、「お前、誰だよ」って思う。

聞く側に対してのジャッジが入るのは、実はオンラインのほうなんですね。オンラインのほうがコミュニケーション能力はすごく問われるので、ライトなようでライトじゃないなと思います。逆にオンラインのほうが、聞き方やリアクションをみんなが見ています。

周りの人が暗い画面にしていても、幽霊画面にしていても、誰かがしゃべっている時に顔を出して「ああ、なるほどですね」って聞いているだけで、その人は主導権を取れます。これをやれば絶対に得するので、ぜひやってみていただければと思います。

苦手な相手も、自分と同じ「三大心理」を持っている

人間には、大きく分けて3つの心理があると思っています。この世に生きとし生ける人のすべての人が持っている1つ目が、「みんな自分のことが一番大切である」ということです。

「いや、そんなことはない。自分はあの人のほうが大事なんだ」と言ったとしても、例えばiPhoneで集合写真を撮って、「撮れたよ」と見せられたら、一番最初に自分を探すと思うんですよ。人間はそういうふうにできていると思うので、まずは「みんな自分が一番大切である」。

そして2つ目が、みんな「自分のことをわかってほしい」「理解してほしい」と願っている。そして3つ目が、人は大切な自分のことを理解してほしいんですよね。そして理解してくれる人のことを好きになる。これが三大心理だと思っています。

これはコミュニケーションだけじゃなくて、ビジネスにおいても、すべてにおいても適合されるんです。自分のことを大事にしてくれたり、自分の求めているものをわかってくれている人のことって、そりゃあ好きになりますよね。

だから、テクニック的にどうするかというよりも、苦手な上司ややりにくい部下がいたとしても、実はその人たちも同じ三大心理を持っているんですよ。

自分のことが本当に大事で、自分のことをわかってほしいし、わかってくれる人のことを好きになる。そして、わかってくれる人にものを話すじゃないですか。だから、まずは(相手を)理解しようとすることです。

「聞き上手」になることが、結果的に一番得をする

そして、理解するために大切なことは、相手の観察であったり、相手がふだん無意識にぽんと発言している言葉の中からジャッジすること。すべては「受け」から始まるんですよね。

そこをわからずに「社会とはこうである」「君、上司に対して(なんてことを言うんだ)」と言ったって、常識が違うので。ハマればいいんですが、ハマらなかった場合は人間関係がこじれるじゃないですか。

一番安全な方法は「人の話を聞く」ことなんですね。まずは相手の話を聞いて、理解する。(他者理解は)興味から始まるのかなと思います。だって、相手に対して何の興味も持ってないのにテクニックだけで相手を動かそうとしたって、相手は絶対にそんなものは見抜きますので。

恐らくほとんどのビジネスマンが、なんらかのかたちでコミュニケーションで悩んでいると思います。人間関係って、仕事に対しての主軸ではないかもしれないじゃないですか。仕事ができるかどうかも大切かもしれないんですが、大きく考えると心理的安全性の高い場所で、安心感のある場所で働けることは、大きくパフォーマンスを上げるんですよね。

そして、その中で一番手っ取り早い方法は「聞き上手」になることなんです。「話し上手」ではないです。相手の立場に立って、相手の話を聞くことができる人が結果的に一番得をしますし、一番コストパフォーマンスが高いです。

なので、「そうだよね。『聞く』って大事だよね」だけじゃなくて、もうちょっと深く考えていただけると、あなたのコミュニケーション力は必ず飛躍的に上がると約束します。ぜひ、そのお役に立てればうれしいなと思っています。

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