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人事が悩むテレワークでの「新人教育の最適解」~withコロナ時代の教育法~(全1記事)

社員・人事・経営の「三方良し」の人材育成とは? withコロナ時代の研修で外せない“4つのポイント”

「セミナーに参加したかったけど、時間が合わなくて行けなかった……」。株式会社イノベーションの調査によると、ビジネスパーソンの2.5人に1人はそんな経験をしているそうです。同社が運営する動画サービス「Seminar Shelf」は、オンライン配信を通して、いつでもどこでもセミナーに参加できる環境を提供しています。今回のSeminarShelfのオンライン動画では、主に製造・小売・宿泊・物流などで100名以上の従業員を抱える企業の人事担当者に向けて、フルリモート環境での新人・中途育成の「最適解」について語りました。

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withコロナ時代の研修で必須となる4つのポイント

坂野亜希子氏:本日の講師を務めます、株式会社スタディストの坂野と申します。現在はフルリモート環境下で、毎月のように新人研修をやっておりますので、そこで得られた新人研修の最適解をお伝えできればと思っております。よろしくお願いいたします。

大前提として、コロナのもたらした変化は大きいです。この影響を受けながら、私たちは業務の在り方を変えていかなければならない状況にあります。抑えられるコストはできるだけ抑えつつ、何よりもこの感染リスクを抑えながら、非接触型で業務を再構築しなきゃいけない状況にあるかと思います。

そういった大きな変化の中で、私たち育成担当も、今までのやり方を大きく見直さなければならない状況になりました。もともと、なんとなくface to faceが大事ということで新人研修も集合研修でやってきたかと思うんですが、ここをまず非接触型にしていかなければならないと。

一方で、「熱量は会わないと伝わらない」と考えられていたところが、実際にオンラインの商談であったり、こういったオンラインセミナーであったり、「デジタルに置き換えてもなかなかいけるな」という気づきが世の中のあちこちで生まれている。

かつ、今まで当たり前のようにかけてしまっていたコストですね。集合研修を普通に毎年やってきて、コストの見直しが入ったことがなかったかなと思うんですが、この辺りもちゃんと見直していきましょうという流れもあって。今までのやり方を大きく変えていかなければならない状況にあるかなと思っています。

新しいwithコロナ時代の研修を考える上で、外せないポイントがこの4つと考えています。「デジタルに置き換えられるものは置き換えつつ、非接触型で教育していくことが検討できないか」ということですね。でも、これはあくまでカタチであって、これだけ変えればいいということではもちろんありません。

私たち人材育成担当にとって一番大事なことは、学んだことをいかに現場で実践して成果につなげてもらえるか。そんな育成施策をちゃんと打てているかだと思っています。なので、オンライン環境で研修を考える上でも、ここは絶対に外せないポイントかと思います。

成果につながる教育研修とは?

では、その教育を通して「成果につながっている状態とはどういう状態か」ということを紐解いて考えていきます。それぞれの組織で「この業務はこのようにやって欲しい」という標準的な業務手順があると思うんですね。これがいろんな育成の研修などを通して教わる側に正しく伝わり、教わった人が迷わず、悩まず、ミスすることなく現場で実践できる。

そういう状況を組織のあちこちに作ることによって、生産性の高い組織づくりができている。それこそが、成果につながる教育ができていると言える状態なんじゃないかなと思っています。ただ、正しく伝えて、迷わず、悩まず、ミスすることなく現場で実践できる状態を作る教育のやり方として、従来型ではなかなか難しいな、限界があるなというのが正直なところです。

いわゆるOJTですと、人によって言うことが違うというのは本当によくある話です。「Aさんに言われたとおりにやったら、Bさんに怒られちゃいました」といったことですね。

組織として「こういうやり方でやって欲しい」という手順が、教える人によって変わっていくというやり方では、なかなか再現性を担保するのは難しいので、OJTだと厳しいなと思います。

一方で研修は、OJTに比べて講師1人に対して生徒さんが複数なので、先生によって言うことが変わるといったばらつきが生まれにくいのは利点かなと思います。ただ一方で「終わったらすぐ忘れる」という、ちょっときわどい書き方をしましたが(笑)。

研修は受講直後はわりとアドレナリンが出て「やるぞ」という感じになっているんですけども、なかなか長続きしないのが悲しいところです。教えたことを業務の中にずっと活かし続けるためのやり方としては、ちょっと壁があるのが研修かなと思っています。

ではどのようにすればいいかというと、キーワードとなるのが、「業務の再現性がしっかり担保されている教育になっているか」だと思います。

会社として「この業務はこのようにやって欲しい」という標準的な作業手順を整え、それさえ見れば、誰かに聞かなくても理解できるようにする。そうしたわかりやすいビジュアルベースの手順書をコアに人材育成をしていくことで、実現可能になると思っています。

作業をしっかりと間違えることなくできるような、わかりやすい手順書をベースにして研修をする。その最大の利点は、知ることを目的にしない実践的な研修ができることです。

誰でも実践できる「手順書」をベースに育成

学習には5段階のレベルがあると言われています。「もともと知らないし、できないよ」というところから、「知っているけどできない」「考えたらできるし、考えなくてもサクサクできる」。もっと言うと「教えたり、改善できる」という、5つの学習レベルがあります。

私たち育成担当はさまざまな育成施策を通して、この階段を一人ひとり、しっかり上がってもらうように教育する必要があります。

例えば研修というスタイルですと、知らないところから先生に聞いて、知っている状態にはなったけどもできないという、1から2止まりで終わってしまっている研修もときどきあるのかなと思います。

ただ、手順書は先ほどからお伝えしているように、それさえ見れば誰にも聞かなくても作業手順がしっかりできるように作られているものなので、手順書をベースにすると、一気にこの1から3、4というレベルに持っていく実践的な育成ができることが最大の利点になります。

ですので、手順書をコアにして教育を行うことは、基本になってくるかなと思います。加えて私たちはオンラインの環境の中でも、しっかりと効果のある研修をしていかなければならないので、手順書をベースに教育をするんですけど、どのようにカリキュラム構成していくかも同じぐらい大事かなと考えています。

知識を定着させる、アウトプット中心の「反転学習」

そのカリキュラム構成を考える上で参考にしたい考え方として、「反転学習」という理論があります。これは、もう10年以上前から言われているヨーロッパ発祥の理論で、人材教育の分野で論文なども出されているので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。この議論を有効活用するのがいいなと思っています。

いわゆる学校教育型の授業を受けて、宿題で復習して定着させていくスタイルを通常学習と呼び、その反対に反転させる学習スタイルを反転学習と呼んでいます。しっかり自学自習で予習してから、教育の現場で実践しながら習得していくというものです。先にインプットをしておいて、アウトプット中心の学習を進めることによって、知識定着率が上がりますよというのが反転学習の理論になります。

この理論はすでに今、いろんな階層の教育現場で実証実験をされており、どの階層においても効果が出ているという結果が出ています。企業内研修に関しては、テストの合格率が30パーセントも上がっているという結果が出ています。いわゆる普通のやり方よりは、反転学習のスタイルのほうが定着率が高いことが証明されています。

ですので、私たちは手順書をベースに教育をしながら、この反転学習という考え方を取り入れたカリキュラム構成をしていくのが、これからの教育には有効なんじゃないかと考えています。

自学自習をしてもらうには「分かりやすさ」が重要

そして、こうした背景を踏まえて、私たちの会社ではどのような新人研修をしているか、簡単にご紹介したいと思います。

毎月中途入社の方が入ってきて、4月には当然、新卒のメンバーも入ってきます。そのメンバーに対して手順書ベースのインプットを自学自習でしてもらって、しっかりアウトプットの場を設ける。それによって、習熟度・クオリティの担保をしていくという、「ザ・反転学習スタイル」でカリキュラムを組んでいます。

インプットについては先程お伝えをしているように、さまざまなノウハウや注意事項、やるべき作業手順を全部手順書に落としていて、それを教材に学んでもらうようなスタイルを取っています。

いろんな部署の受け入れをしているんですが、例えば営業部では、営業部のメンバーが活動する上で必要なものがすべて手順書になっていて、それで自学自習をしてもらっています。

この自学自習をしてもらうためには、わかりやすいことがすごく大事なんですね。誰かに聞かなくても、それを見ればやるべきことが理解できなければならない。そのために、ビジュアルベースの手順書をベースに教育をしており、そこで活用しているのが弊社の提供している「Teachme Biz」というサービスです。

画像・動画でわかりやすい手順書を簡単に5分で作れることが大きな特徴ですが、加えてクラウドサービスですので、リモート環境下で、教育を受ける側と教育する側が離れていても常に同じものを共有できます。最新の手順書で学んでもらう体制が、ボタン1つで簡単に整えられます。

加えてマルチデバイスで、スマホなどでも学習してもらえるようなかたちになっているので、実際にこれを使ってビジュアルベースで、それこそ各自の自宅で学んでもらうという体勢で教育を行っています。そうやって、学んで欲しい内容を全部手順書にしています。

当然、営業部に配属されるメンバーに学んで欲しい手順と、マーケティング部や管理部などの他部署に配属される人や、これからマネージャ―になっていく人に習得してもらいたいことは違います。

対象に合わせて、「営業部配属の新人さん向けコース」といったかたちでコースを作って配信できるようになっているので、それを使ってしっかり事前配信したものを自学自習してもらう。

実習状況はリアルタイムで進捗確認ができるようになっているので、それを使いながらリモート環境下でも教育をうまく進めることができています。事前学習を踏まえた研修をやっているので、解説の講義がほとんど必要ないんですね。疑問点の解消だけでよくて、1から10まで全部説明する必要はありません。

その代わりアウトプットが大事なので、自学自習したものがしっかり自分の身になっているか、できるようになっているかを見るための、さまざまなアウトプットを行います。

例えば、グループワークやプレゼンテーション、ロープレなどを見て、ここはしっかり人が入って習熟度・クオリティを担保しながら教育を進めていくというスタイルでやっています。

「三方良し」の育成がもたらす効果

このスタイルになってからは、「三方良しだね」なんて話をよくするんですが、実はもう戻れないなと感じています。従来型のOJTスタイルや、講義・集合研修スタイルでもやっていたんですけど、もうそれには戻れないなと思っています。

なぜかというと、まずは手順書をベースに教育をするようになったこと、そして反転学習というスタイルを取ることによって、メンバーがすごく喜んでいることが大きなポイントです。

「この業務はこのようにやるんだな」というやり方が可視化されているので、それを見ながら、自分のペースでやれるようになるまでしっかり学べることが、新人さんにとってまずうれしい点です。

新人さんはみなさん入社する時にそれぞれ、もちろんバックボーンも違いますし、これからなりたい姿も違います。けれども、共通しているのは1日も早く活躍したいということ。活躍できるように学びたいと思っているので、(業務を)知っている自分になりたいわけじゃなくて、できる自分になりたいんですよね。できる自分になれる教材になっていることを喜んでくれています。

加えて、手順がしっかりと明確に可視化されているので、配属されて現場でいざやるという時に見返せる安心感がすごく大きかったり、いろんなことが手順になっているので、社内でもわからないことがあったら、まるでGoogleで検索するようにキーワードで検索したら、そのやり方がポンと出てくる安心感。

「そんな中で現場に配属されるのがすごくうれしいです」と言っていただいているので、学ぶ側に喜ばれていることは、私にもとってもすごくうれしいことだなと思っています。

加えて、私たち個人としても育成担当としても、やっぱり効率がすごく上がっていて、研修の運営負荷がOJTスタイルだったり、集合研修スタイルだった時よりかなり減らせています。かつ効果のある研修ができていることはうれしいポイントであり、それはまさに経営が求めている効果です。

私たち育成担当に対しては、「とにかく即戦力化」「1日も早く、かつ会社の求めるクオリティのアウトプットをできる人に育てて欲しい」というのが経営のオーダーですので、それが実際に、前のスタイルに比べてかなり再現性が高まっている。ここを喜んでもらえているので、今後コロナが収まったとしても、このスタイルはずっと推し進めていきたいなと思っています。

人材育成は、経営全体に寄与する取り組み

企業研修の未来について考えていきたいんですが、従来型のやり方を見直す、本当に大きなチャンスが来ているなと思っています。私たちも実際そうでした。このコロナの影響を受けて全社リモートになったので、逆に言えば、この手順書やオンラインを使った研修にガッと置き換えることができました。

なので、みなさんにとっても大きなチャンスなのかなと思います。今までのやり方が本当に育成にとって効果があったのか。かけるべきコストだったのか。そういう観点でしっかり見直せるチャンスが来ている、と受け止めていただけたらなぁと思います。

オンライン研修に置き換えるにあたって、外せないポイントがこの4つです。デジタルに置き換えられるものを置き換えたり、分散させるのはもちろんのこと、これはあくまで形式的なことです。

大事なことは、できるようになること。目指している内容になっているか。アウトプット中心の実践重視の内容になっているかを外さずに、この4つを全部網羅するようなスタイルで考えれば、これからの新人研修に間違いはないかなと思っています。

例えばeラーニングでデジタルだし分散だしと言っても、今日の私のように一方的に伝えるような内容ですと、実際にできるようになるのかは疑問です。そこで、そうはならないようなカリキュラムの工夫は外せないポイントかなと思っています。

このような手順書をベースにした教育体制を整えると、非常に教育に効果があるというお話をしてきました。ただそのことは、実は教育だけにとどまらず、経営全体に大きなインパクトを与えます。やって欲しい手順を見える化して、それを教材として活かすので、やるべき手順が可視化されるわけなんですよね。

手順を見ながらやれば間違いないという意味でも、もちろん生産性が上がりますし、可視化されることによって「ここは要らないね」とか「この手順は見直したほうがいいね」というかたちで、効率化も図れます。

かつ、それを見ながらやれば、誰でもできるように作っていくものになりますので、あの人しかできないという属人性も解消できます。

逆に言えば、手順さえ見れば、他の業務をやっている人にも別の業務を持たせることができ、マルチスキル化を図る下支えもできるようになります。そういった意味では生産性を上げたり、人材を安定的に使ったり、事業を拡張していくのに非常に寄与する取り組みになります。

いわゆる新人を効率的かつ効果的に研修して育成するということを超えて、経営全体にインパクトのある取り組みになる。そう思って取り組んでいただくと、私自身もそうですが、非常に楽しく取り組めると感じていますので、ぜひそのような視点も持っていただきたいと思います。

以上、本日は株式会社スタディストの坂野がお届けしました。私たち株式会社スタディストは、伝えることをもっと簡単にすることをミッションに掲げて活動しています。それを実現するサービスとして、Teachme Bizというサービスを提供しております。興味がある方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社ホームページをご覧いただければと思います。それでは、本日はどうもありがとうございました。

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