初のオンラインライブを大成功させた、長渕剛氏

舛田淳氏(以下、舛田):「New Normal×Entertainment」。ここまで「DX、DX」と繰り返しておりますが、忘れてはいけないことは、決してオフラインの体験の価値が下がるということではありません。また一方で「コロナが終わればオフラインの体験がまた戻ってくるから、すべてOK」ということでもありません。

大事なことは、DXが進む世界、ニューノーマルな世界では、オフラインであろうがオンラインであろうが、VRであろうがARであろうが「ユーザー体験のすべてがリアルである」という認識に立つことが大事です。これがまさに、新しい当たり前になっていくことだと思います。オフラインのリアルな体験、オンラインのリアルな体験をどう作っていくかを考えていくことが、大事なんじゃないでしょうか。

「New Normal×Entertainment」。本日私からのお話は以上となりますが、最後にもう1つ、エンターテインメントの主役はクリエイターでありアーティストです。お待たせいたしました。それでは本日「LINE DAY」最後の最後のプログラムとなります。先日、ご自身初のオンラインライブを大成功で終えられた、長渕剛さんです。剛さん、どうぞおいでください。

どうぞ、おかけください。まさか本当に来ていただけるとは思っておりませんでした(笑)。

長渕剛氏(以下、長渕):いえ、今日はお招きいただきまして、ありがとうございます。

舛田:長渕さん、LINE DAYはこういったビジネスカンファレンスです。

長渕:はい(笑)。

舛田:こういったビジネスカンファレンスに、長渕さんがご出演・ご登壇されたことってあるんですか?

長渕:初めてです。

舛田:ですよね。今回なんでまた、出ていただけることに?

長渕:ご縁を作っていただいて、やっぱり僕も新しいことが好きでしてね。「なにやらおもしろいことやってるな」って今まで傍観していたんですけど、いっちょ自分もちょっと飛び込んでね。舛田さんたちの世界に入ってやってみようっていう気持ちがすごくありましてね。それで、この前(オンラインライブを)やらせていただきました。

舛田:はい、ありがとうございます。実は私と長渕さんの出会いをもともと作られたのは、あの方ですよね。

長渕:(笑)。(言って)いいんですか?

舛田:いいそうですよ(笑)。

長渕:僕の旧知の仲でもありまして、この業界での盟友でもあり同期でもあります、秋元康。彼がきっかけでですね。僕もこのコロナ期にどんな歌を歌おうかと思案していた時に、秋元と久々に連絡をとって。それで『しゃくなげ色の空』という曲の輪郭を描けたんですけどもね。その時にいろんなことを話して。

彼とはもともと、ニッポン放送の『オールナイトニッポン』の2部で会ったんですよ。そのころ、お互い売れないもの同士じゃないですか。

舛田:(笑)。

長渕:彼は売れない放送作家、僕は売れないシンガーソングライター。その2人がブースの中に入って、明日を夢見ながら一生懸命に戦っていった。盟友という仲でした。

舛田:私はある日、秋元さんからLINEが来て、いつものようにいろんな雑談なのかなと思ったら「長渕さんと会ってみないか」と。「舛田君と剛が会ったら何かが生まれる気がするんだよね」という。

長渕:(笑)。

舛田:特に詳細はなく、「とりあえず会ってみてくれ」ということで、お会いさせていただいたわけですけれども。いろんなお話をさせていただいた中で、オンラインライブをご一緒しましょうということになりまして。

なぜ長渕氏は、オンラインライブ開催を決断したか

舛田:もう長渕さんほど、まさにリアル・オフラインにこだわった、そしてファンとのつながりにこだわったアーティストはいらっしゃらないと思うんですが。今回、なぜオンラインライブをやるという決断をされたんでしょうか?

長渕:言ってみれば「だから」なんですね。今まで自分が生業としてきたものは「観客の心に着火する」ということ。ここはいつも念頭に置いてやってきましたし。「声援と拳」とか、あるいは一時期は日本の国旗にこだわったりして、やってまいりましたけれども。

僕らのやっていることは「クリエイト」というものなんですけども、非常に刹那的なんです。言ってみれば祭典というのは「祈りの儀」なわけですね。その「祈りの儀」が終わった瞬間に、チベットの砂のマンダラと一緒でサーっと一瞬にして終わってしまうんですね。だから、やってきたこと、作り上げたものは一瞬で風化してしまう。

そしてまた次を狙っていかなきゃいけないと。「作り続ける」というテーマがあるわけですから。つまりは作った瞬間に、もうすでに次のことを考えるわけですね。壊しては作り、壊しては作りということを考えますと、この時代においての順応性とか、この時代において音楽を必要としている人間の心には何が必要かと。常にやっぱり考えるわけですね。

そういった意味では新しい技術の中に、自分の心とか、音楽を聞いてる人たちの心をどういうふうに取り入れて表現するのかを考えることは、またこれおもしろいわけですよ。そういった意味で今回、関わらせていただきました。

舛田:実際に「じゃあ何かご一緒できたらいいですよね」というお話の中で、すぐにオンラインライブの話になって。実は私がその時に驚いたのは、私どもの立場からすると「例えばこういう技術があって、オンラインではこういうのがあって」というお話を、まず最初にインプットさせていただくところからスタートかなと思っていたんですが。すでに最初から「例えばこの間、Beyond LIVEがあったよね」というお話が長渕さんの口からあってですね。

長渕:(笑)。

舛田:Beyond LIVE。V LIVEがやっている、まさに新しいかたちのオンラインライブで、私もリアルタイムで見ていたんですが、それが開催されたのはおそらく(長渕氏と話をした日の)数週間前ぐらいですよね。

長渕:そうですね。

舛田:それで「Beyond LIVE見てたんだよ」「あれ、こうでこうでさ、でもあれはさ」という話ができたのが本当に驚きでして。そういったところは、やっぱりご覧になられているんですか。

長渕:やっぱり気になりますね。その時代、その時代の中での先進的なことをやっている人たちというのは、僕はやっぱりある種の狂気性を秘めてて、時代を牽引していく戦士みたいな感じがするんですよ。そこに心が伴っていて、何を表現していくか。人々の寂しさとか苦しみといったものを共有して。それで、技術躍進の作り手やアーティストは、ある種の狂気性を秘めているところに、非常に魅力があると。

狂気性というのは、人を懲らしめることではなくて、何かを生み出すために自分が狂気のごとく、阿修羅のような顔になって日々、陰で努力してるわけですね。戦っている感じがして、そういうのがやっぱりたまらなく大好きですね。

舛田:私、リハにご一緒していたんですが。まさにそれでしたね。

長渕:いや、舛田さんにも僕と同じTシャツを着ていただいてですね。一緒に客席の中でものを作っていただいて。本当に僕、うれしかった。

長渕氏「オンラインライブは、正直、やりにくかった」

舛田:ライブが終わったあと、最初にお話をさせていただいたときに「疲れたよ」という一言をいただきましたけれども。

長渕:(笑)。

舛田:実際、終えられてどうでしたか?

長渕:本当のことを言っていいですか?

舛田:もう、本当のことを言っていただければ。

長渕:あのね、ものすごくやりにくかったの。

舛田:(笑)。

長渕:えぇー、って。だって、例えばここでギターでダーンと歌ったあとに、必ず拍手や声援がありますよね。そのボルテージを受けて、自分らが次に何を発言するかとか、どういう音を醸し出すかということを常に考えてきたわけでしょ。ところがコール&レスポンスがないわけですよ。

舛田:そうですよね、シーンとしていましたもんね。

長渕:そう。だから、打っても返ってこないんですよ。直球で投げても返ってこないわけですよ。でも、みんなはなんだかレスポンスをすごい量で、ダダダダっと。

舛田:コメント欄ですね。

長渕:うん。コメント欄が来たって僕らも馴染みないから。「だから?」って感じでね。

舛田:(笑)。

長渕:とってもやりにくかった。何を目標に、何を見つめて、そして何の声を期待して自分が進行していったらいいのかというのは、とても困りましたね。だから、結果を見てですよ。「あぁ、こういうことだったのか」と思いました。

舛田:でもコメント欄は本当にすごかったですし、例えば今回うしろ側で300人のファンの方とつながせていただいて。開演が少し遅れた時にですね、そのつないでいる300人たちが、みんなずっと「剛」コールをしているわけですよ。

長渕:(笑)。

舛田:コメント欄もずっと「剛」コールなわけですよ。ただ会場はシーンとしてる(笑)。

長渕:「シーン……」ですよね。だから、僕ら表現者にとっては、新しい表現を求められてるんだ、というふうに途中から考え方を切り替えたんですね。それまではどこを見ていいんだかわかんないですよ。でも、この静まり返った中で人々が日本津々浦々、耳・目をすまして「何を語ってくれるんだ、何を歌ってくれるんだ」というふうに見てるんだなって想像しながらですね。そして、やるという。そういった意味で新しい表現を期待されているというと、またこれは燃えてきますね。

舛田:先ほど私のほうでずっと「DX、DX」と、デジタル化というお話をさせていただいた時に、実は「ユーザーに対してどうあるか」というのをずっとお話ししてたんです。本当は今のお話を聞くと、まさにアーティスト側にも「体験」ですよね。実際のライブと同じような体験、オフラインのライブと同じような体験。例えばコール&レスポンスがしたいですよね。

長渕:したいですね。

舛田:聞こえてきてほしいですよね。

長渕:聞こえてきてほしい。切ないんですよ。

アーティストとファンが、バーチャルで接する未来

舛田:そうですよね。だから、そこらへんはまだ技術的に改善していく部分として、我々が環境として整えていく部分なんじゃないかなとは思います。実際、ライブを終えられて1~2週間経ちましたけれども、その時点でどうですか。「こういったことをもっとしたいんだ」とか「ここを改善できるんじゃないか」とか。

長渕:いろんなアイデアが浮かびましたね。僕らの制作スタッフチームも、最初はなんとなく達成感をどこに持っていいのか、非常に迷ったりしてましたけれども。でもやり終えた結果、「次はこうしたい」というふうに、すぐ考え方が切り替わってきましたね。「あぁ、こういうテイストでやるんだな」と。そうすると「もう少しの音の改良・改善点を、こういう体でやるにはどうしたらいいんだ」とか。あとは映像の改良点。

もう1つはね、これは僕のお願いなんだけど。今はバーチャルがあるじゃないですか。普通のファンの子たちのお家に僕がやって来て、例えば舛田さんがファンだとしましょう。そうすると僕が、ここに来るはずないのにトコトコっとギターケースを抱えて来てね、ギターケースからギターをおもむろに出して、この距離でバーチャルで歌うっていう。

舛田:例えば『スターウォーズ』のレイア姫のホログラムのようにですよね。

長渕:そうそう(笑)。できないかなぁと思いました。逆も真なりで、お客さんも選ばれた人がドアを開けて、例えば僕のお家にやって来て。バーチャルなんだけど、そこでその人を目の前にして語り合える。そして歌を歌っていくということができたら、これはまた今までにない強烈なシーンが作れるなと思いましたね。

舛田:例えば、その時の剛さんのホログラムというかバーチャルは、剛さんの意思とつながっているものなのか、それはある種のAIなのかで言うと、どちらをイメージされていますか?

長渕:意思をつなげたいのよ、やっぱり。切ないけどね。別離していかなきゃいけない、離れていることの切なさは、実は心の浄化みたいなものがあるんですよ。会いたいけど会えない、つながりたいけどつながれない。だけど、「キミはそこにいるよね」って。バーチャルでも確かに生きていてくれるよね、と。でも、死んだ者たちもバーチャルで帰ってくるということは、もしかしたら人間の心で一番大事なものを、逆に教わってるんじゃないかなという感じはしますね。

舛田:例えば別のアプローチとして、それこそ秋元さんがやられた「AI美空ひばり」がありましたけれども。

長渕:やってましたね。

舛田:あれについてはどういうご意見ですか?

長渕:僕は生きてる時にやりたいですね。

舛田:(笑)。

長渕:切ない。死んでからやられるのもいいんだけど、やっぱり命あるうちにそういったものを体験して、あらゆる所に僕が出かけて行ってね。今までコンサート会場をずっとやってきたように、その人の所に行って歌ってみたいなという感じはします。作ってください!。

舛田:わかりました、宿題として承りました(笑)。

「人間と人間が化学反応を起こして、良い音楽ができる」

舛田:今、テクノロジーのお話を少しさせていただいたんですが、例えばまさに今までもCDからMDになって、ダウンロードになって、今ストリーミングになってますけれども。技術と音楽って、ずっと並走してきたんだと思うんです。

今後のライブビジネス、エンターテインメントビジネス全般でもいいと思うんですが、長渕さんの目線から見てどういうふうに変わっていくものだと思いますか? 今回のソーシャルディスタンスなども含めてですけれども。

長渕:僕は、ビジネスのこととか技術躍進のことは、期待をするだけであんまりよくわかんないんですけれども。ただ我々には、非常に「正しい」ことを求められると思います。つまり「くだらないものは必要ない」ということですね。だから、ちゃんとしたものでないと受け入れることができない。あるいは本物だけが勝ち上がる世界である、ということですね。

その組に自分が入るためにどう精進していくか、どんな歌を書くべきかということを、アーティスト自身がやっぱり切り詰めて切り詰めて、もっともっとストイックになって歌を作るべきだという感じはします。

どんな時代になっても音楽は消えません。人間の心には血が流れているように、メロディは必ず、詞も必ず流れて来なきゃいけないものです。じゃあアーティストが何を感じて、この人に何を伝えたいかということは、もっともっと苦しみもがきながら書く必要があるんじゃないかなと、改めて僕は思いますね。だからやりがいはありますね。

舛田:例えば長渕さんも、昭和・平成・令和と、ずっと第一線で走られていますけれども。その中で音楽の作り方は、例えばスタジオもどんどん変わっていますし、機材も変わってますし。そこのあたりって、どのように対応されてきたんでしょう。

長渕:僕はね、変えちゃいけないことが1つだけあって。やっぱり人間と人間が化学反応を起こして、良い音楽ができるんですよ。ただただ一人の世界の中で多重録音していって、一人の世界観の中で機械と向き合ってやることも、1つの手法かもわかりません。だけれども、本来は人間と人間が、価値観の違う者同士が1つの目標を目指してやるからこそ、そこに新しい血が生まれる感じがします。音楽づくりの醍醐味は、そこをないがしろにしてはできないと思いますね。

舛田:まさにリハの時に「総合演出・長渕剛」としてカメラ割りなども全部やられていましたけれども、非常に記憶に残っているのは、そのカット割り。「これをそのままやるんじゃない」と。「良い音が鳴っていたら、当然、カメラは撮りたくなるだろう」と。

長渕:そうです。

舛田:「悲しい声が聞こえたら、そこは悲しい寄りになるだろう」という話をずっとされてましたよね。

長渕:舛田さん、よく覚えてくれてますね。うれしいですねぇ。

舛田:いやもう、すごく「そうだな」と思っていたんです。神経を通わすということは、きっとそうなんだろうなと思って聞いてたんですけど。

長渕:そうなんですよ。台割どおりにそれを見ながらカット割りなんてしても、1つもおもしろくないですから。「あなたの感性がそこにあるだろう」ということはだいぶこの前、熱弁させてもらいましたね。

舛田:そうですね。「みんなはプロなんだから、スペシャリストなんだから、だからできるだろう」とおっしゃっていましたもんね。

長渕:そう。だから見事にあの時間軸の中で、みなさん大変でしたけれども、一生懸命に汗を流してやってくれましたね。

舛田:そうですね。うちの社員でアサノというのがいるんですが。

長渕:アサノ君はもう(笑)。

舛田:LINEライブのそこそこ偉い人間なんですけども。もう長渕さんのそばにずっといましたもんね。

長渕:ずっといてくれましたよ。でもね、後半戦はもうボロボロになってましたよ(笑)。

舛田:なっていましたね(笑)。

長渕:「アサノ君、大丈夫か」「大丈夫です!」って。ずっとそばにいてくれましたね。

舛田:あれも人と人とのぶつかり合いなんだな、と思いまして。勝負なんだろうなと思って。

長渕:そうなんですよ、ええ。僕は今回、LINEのチームの方々とお会いして思ったのは、まず「若い」ということです。もう人間はね、誤解を恐れずに言いますけど、50過ぎたらダメ(笑)。いろいろなものが染み付いていて、言うことを聞かない。自分の価値観の中でずーっと埋没して終わってしまう。頑固です。

だけれども若い世代は臨機応変ですから、おもしろいことはガーッとみんなで担いでいこうぜ、ヤバいことは関係ない、みんなで乗り越えていこうぜ、というエネルギーがありますね。無謀なものが若さの特権ですから、そういう人間たちと徒党を組むの、僕は大好き。だからLINEのスタッフたちは、狂気迫るこの時代の戦士であると(笑)。こういうふうに結びましたよ。

舛田:(笑)。ありがとうございます、長渕さんの狂気に負けないように(笑)。

長渕:(笑)。

“挑戦者・長渕剛”としての今後

舛田:“挑戦者・長渕剛”として、今後どういう挑戦をされていきますか。

長渕:舛田さんたちがお考えになられるその技術を、ちゃんとお借りして、理解をして。そして僕がどちらかというとずっとアナログ派でやってきた人間ですから、どうやってその技術と心を掛け合わせて大きな作品になるかということだけを、今ただただ夢想してます。

舛田:ぜひ我々も先ほどまさに技術的な課題としていただいた「アーティスト側の体験」をどうオフライン、リアルなものに合わせていくのかということもそうですし。あとは「バーチャル剛」ですね。

長渕:そうなんですよ。

舛田:「バーチャル剛」をどうしようと、今考えてるんですが。

長渕:できるんですか?

舛田:技術的にはできなくはないですが、それを組むのが大変だという。そこに来年一緒になるヤフーのメンバーもいるんですが、一緒にやれるものがあればやりたいと思います。

長渕:作ってほしいですねぇ。画期的だと思いますよ。だって好きな人に会えるんですもん。そこに触れることができないんですけどね。触れることができないという尊さを知ることが大事だと、僕は今回すごく痛感している。触れられないんだけどそこにいるという、その存在、命の証明みたいなものですね。

だから、逆に言ったらAIやバーチャルによって、僕ら人間は命の価値というものに気づかされるみたいなね。そういう感じはすごくしていますね。だからすごく期待しています。

舛田:わかりました、そこはまた考えておきます!

長渕:絶対お願いしますよ(笑)。

舛田:いろいろとお話しさせていただいたんですが。本来は長渕さん、こういった場所に出てきていただける方ではないと思いますので。最後に、会場には誰もいないんですが、このライブ配信を見ているファンの方、そしてLINEのユーザーに、今後のエンターテインメント、今後の長渕剛について、一言いただけたら。

長渕:そういうの不得意なんですけどね。怖いな(笑)。どこを見ればいいんですか? ここ? こっち?

舛田:真正面で大丈夫です。あちらですね。

長渕:あぁ、あそこでいいんですね。僕、初めてやらせてもらいました。なんでも初めてということは困難や苦難がつきまとうんですけれども、それを一緒に感じました。イマジカのチームとLINEチームを合わせて、総勢で約100名以上いました。360度の大きなビジョンに、LEDに映されたものは圧巻でした。

今すぐにあなたのもとに行って、あなたと一緒に夕焼けを見たいと思ったときに「ああ、こういうふうにして2人で夕焼けが見れるんだな」ということを感じました。思わず泣きたくなる時もありました。切なくなりました。今すぐに大切な人のもとに行って、抱きしめたいという感情が出てきました。

バーチャルは偽物です。だけれども我々はその疑似体験をすることによって、人間の本質みたいなものに近づくことができるんだなと。やっぱり技術の躍進って、人間の心があるんだなということを、本当に痛感しました。そして生きていることに、これから生きていくことに、とても希望を持てました。

みなさんも、同じように感じた方もいらっしゃると思います。これからも舛田さんたちが作られている技術、それから我々が醸し出すクリエイトの世界に、期待していただきたいと思います。がんばります、よろしくお願いします。

舛田:ありがとうございました。本日、本当にお忙しいところ駆けつけてくださいました。

長渕:とんでもないです。

舛田:長渕剛さん、本当にありがとうございました。みなさま、ちょっと見えないかも知れませんが、拍手とコメントでお送りください。ありがとうございました。

長渕:ありがとうございました。

舛田:本当に長渕さん、来てくださいました。非常に胸に来るお言葉をいただいたと思います。

今も昔もこれからも変わらない“LINEの芯の部分”

舛田:さて、こちらで今年のLINEカンファレンス、LINE DAYの発表のすべてが終了となります。オンラインでの初の開催となりました。みなさま、いかがでしたでしょうか。

本日のLINE DAYは、さまざまなセッションでお話をさせていただきました。私どもLINEがみなさまにお伝えしたかったことは、プラットフォームとして、インフラとして私どもがあるべき姿というのは、台湾のオードリー大臣もおっしゃっていましたし、(「COVID-19×LINE」で登壇した)稲垣あゆみ氏のところでも出てきましたが「公共性の中でどういう責任を負っていくのか」。そして「社会の中でどういう役割を果たしていくのか」。

そういったことをきちんと真正面から見据えながら、新しい時代に向けて私どもが進んでいく。これはLINEを作った時から、今もこの先も変わらない、私どもの芯の部分でございます。

この先、時代はどんどん変わっていくと思います。ノーマルからニューノーマル、そしてまたそのニューノーマルは、きっとノーマルと言われるでしょう。これを繰り返しながら社会や生活はアップデートされていきます。私どもLINEは、その変化の中で、いつでもみなさんの一番そばで寄り添っていきたいと考えております。

DX、DXと言っておりますが、おそらくこのDXという言葉は、2年後、3年後にはなくなっているかもしれません。なぜなら「変化」の話です。「状態」の話です。変化した先には、この変化の言葉はもういらなくなるでしょう。きっとDX自体が当たり前になるはずです。そんな新しい当たり前を、みなさまとご一緒に作っていければと思っております。

みなさま、長丁場にご参加くださり、ご覧いただき、誠にありがとうございました。これでLINE DAY 2020、終了となります。みなさま、ありがとうございました。