2024.10.01
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5 Inventions Showing Us the Future of Solar Energy(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:エネルギーの未来予想図には、恐らく太陽光発電が入って来ることでしょう。太陽光は信頼性が高く、強力で、地球上の多くの生命に活力を与えています。
ここ数年で世界で使われた電力のうち、太陽光発電の割合は2パーセントにも満たないものですが、新たな発明品が変革を起こそうとしています。ここでは、未来の発電を助ける太陽光発電を5つご紹介しましょう。
広大な砂漠は、太陽光発電所を設置するにはうってつけの場所のように思えます。砂漠に照り付ける太陽光は強烈で、曇天の心配もありません。さらには、莫大なスペースが得られます。
しかし、一つ問題があります。ソーラーパネルは、高温には強くありません。ソーラパネルは、光を直接、電力へと変換します。ソーラーパネルが光を吸収すると、電子が動き出します。動き出した電子は電流を起こし、これを捉えてワイヤーに送電するのです。
ここで重要なのは、ソーラーパネルが一番効率良く稼働するのは、摂氏25℃以下の温度であることです。ソーラーパネルが熱くなると、電子は周囲のエネルギーを過剰に得て、激しく動き回ります。活性化されてしまった電子には、太陽光エネルギーを十分に吸収できる余地がありません。つまり、ソーラーパネルがベストな働きをするには温暖な気候が最適なのですが、そのような地帯では、生憎なことに大規模にソーラーパネルを設置できる場所が、なかなか得られません。
ところが、2000年代以降になると、世界各国でWin―Winのソリューションが導入されるようになりました。「営農型発電設備」というシステムです。
営農型発電設備では、ソーラーパネルは農地の上に設置されます。パネルのためだけに広大な土地を確保する必要もありません。何にもまして大きな利点は、農作物が葉から水蒸気を放出し、涼しさを保つことです。これは、発汗作用によく似ています。蒸発する水蒸気は、植物から熱を放出して温度を下げ、周囲の気温も低く抑えてくれます。ソーラーパネルにとっても、適度な涼しい環境を保ってくれることになり、発電効率は飛躍的に上がります。
アリゾナ州立大学を拠点とする研究者たちが、2019年5月から7月にかけて農地の上に設置されたソーラーパネルは、同じ地域の農地以外に設置されたソーラーパネルに比較して、3パーセントも発電効率が上昇しました。
ごくわずかな差のようですが、長期間の設置では、ちりも積もれば山となります。太陽光発電で電力を得ている家屋やビルディングにとっては、この3か月間で得られたものは3日分近くの電力に相当します。
この概念を応用して、「水上太陽光発電設備」が開発されました。ここでは、ソーラーパネルは水上に浮かべて設置されます。水の上は大抵は空気中よりも涼しく、ソーラーパネルの温度が低く抑えられ、効率的に稼働できます。営農型発電設備と水上太陽光発電設備は、さらなる特典として、大規模な太陽光発電所の設置場所の確保に新たな可能性を開いてくれます。
このような設備はすでに世界中にあり、どんどん増えています。この調子で増加すれば、営農型発電設備と水上太陽光発電設備は、いずれ世界の未来の発電に大きな割合を占めることになるでしょう。
エンジニアたちは、ソーラーパネルの発電効率を上げようと常に努力しています。大切なのは、パネルの向く方向です。ソーラーパネルの発電力がもっとも高いのは、斜めではなく真上から太陽光線が当たっている時です。
従来のソーラーパネルは、設置場所の緯度に合わせ、直射日光を最大限受けられる角度に固定されていました。しかし、太陽光線は一日の時間や季節により変化するため、必ずしも最良の策とは言えません。そこで開発されたのが、光源追尾装置、別名PV (太陽光発電)トラッカーです。
PVトラッカーは、太陽の軌道に合わせた道に沿ってソーラーパネルを動かします。PVトラッカーは、太陽光が常に真上から当たり、ソーラーパネルが常時最高のパフォーマンスを出せるようにします。
PVトラッカーの稼働には、発電した電力の5パーセントから10パーセントを消費しますが、増産されるエネルギーはこのロスを補って余りあります。事実、PVトラッカーによりソーラーパネルが増産する電力量は、地理的な場所にもよりますが、45パーセントも上がります。赤道から距離があり、夏と冬の太陽光の角度が大きく変わる地域では、PVトラッカーは特に有効です。
PVトラッカーは、屋根に設置して使うには重量がありすぎて、重さに耐えられるような構造補強が必要になるため、屋根以外に設置して活用されています。
現行の多くのソーラーパネルはいささか目立つため、周囲や設置された建造物から浮いてしまいます。一般的なソーラーパネルはシリコンでできていて、かさばる上に重く、この点はどうしようもありません。
シリコンは、電子の配列が太陽光によって活性化しやすく、太陽光を電力に変換する働きに長けています。しかし、太陽光発電ができるのはシリコンだけではありません。そこで、他の選択肢の開発に挑んでいるエンジニアたちがいます。そのうちの一つが、窓の中に填め込んでしまう形のソーラーセルです。
お天気の良い日に窓辺に座っていると、お日様の光と温かさが伝わりますよね。こうした太陽光の一部を、まさにガラスの中で電力に変えてしまおうというアイデアです。
これには、シリコンよりもはるかに軽量であり、部分的に透明な物で作ったソーラーセルが必要です。科学者たちは、オーガニックな成分で作られた新たなタイプのソーラーセルを開発することで、これを実現しました。
このオーガニックなソーラーセルは、ポリマーと染料の薄い層から成り、光を吸収して電力へ変えることにより、シリコンのソーラーセルと同様の働きをします。このソーラーセルは、プラスチックのひものように細い素材や、窓であればガラスに、染料をプリントすることにより作ることができるのです。
厳密には、通常は光を吸収する素材は非常に不透明な物なのですが、オーガニックソーラーセルは主に赤外線を吸収するように設計されており、可視光線は通してくれます。そのため、今日のオーガニックソーラーセルは透明度が高く、約43パーセントの光を通します。これは、みなさんの自宅の窓に比較するとかなり暗い物ですが、オフィスビルのティントウィンドウとしてはうってつけです。
何よりも大きなメリットは、オーガニックソーラーセルはシリコンセルよりも安価で簡単に製造できることです。また、非常に軽量であるため、いずれはスマホ画面やキャンプ用品、車の屋根などにも使われるようになることでしょう。
とはいえ、多少のデメリットもあります。オーガニックセルは、シリコセルほどの効率は得られません。典型的なシリコンセルは太陽光の18パーセントから22パーセントを電力に変換できるのに対し、オーガニックセルはわずかに13パーセントです。とはいえ、設置が非常に容易であることから、通常であれば発電に使われないような場所にも、大量に設置できる可能性があります。
未来では、ソーラーパネルで飾り立てられるのは建物だけではなくなるかもしれません。なぜなら、繊維にソーラーセルが織り込まれた生地、ソーラーファブリックが開発されつつあるからです。最終目標は、ただ外を歩いているだけでできる発電です。現在、手段の一つとして試みられているのは、繊維の中に織り込める、極小ソーラーパネルの開発です。
2018年、イギリスの研究者たちは、3ミリメートル×1.5ミリメートル四方のソーラーセルを開発しました。これは、ノミのような小ささです。この極小のソーラーパネルが織り込まれた毛糸で編んだ服が作られました。服を着ている人が気が付かないほど小さなパネルを作ることが、目標とされました。
試作品には200個のセルが編みこまれ、Fitbit(注;身につけるだけで、その人の日々の健康状態を記録し続ける小さなソーシャル歩数計)を充電できるほどの発電力が得られました。それほど大きな電力にはなりませんが、セルが2000個もあれば、ワイヤーで吊るしたスマホを充電し満タンにできます。
驚くべきことに、そのデザインも非常に目立たないものです。過去にもソーラーパネルを繊維に織り込んだファッションデザイナーがいましたが、いささか悪目立ちが過ぎて受け入れられませんでした。かっこいいマスクをつけ、おしゃれなジーンズを履いて、サイバーパンクの時代のようにローラーブレードしたいのなら、話は別ですが。
すべてのソーラーファブリックがウェアラブルというわけではありません。いくつかの企業は、ソーラーセルを日よけやテントなどの重い生地に埋め込むことに成功しました。一日中日向ぼっこしていても、生産性があるのが良いですね。
太陽光発電で新たに開発されることが多いのは発電技術ですが、異なるアプローチを取る研究者たちもいます。彼らは、太陽光エネルギーを、家を温める熱エネルギーに変換することに着目しています。目的は「太陽熱燃料」という、化学薬品でできた充電式電池を作ることです。
太陽熱燃料は、太陽光エネルギーを吸収し化学結合として貯蓄し、時間を置いても熱として放出することが可能です。そしてこれを任意にできます。
太陽熱燃料が太陽光を吸収すると、分子の化学結合が変化して、新たな構造として再構築されます。分子が化学結合を形成する際にはエネルギーが取り込こまれるため、この新たな構造の形成の際にもエネルギーが取り込まれます。このような形で、太陽熱燃料は太陽から吸収したエネルギーを取り込み、貯蓄することができるのです。
スウェーデンの研究者チームは、20年近く太陽エネルギーを貯蓄できる太陽熱燃料を開発しました。貯蓄したエネルギーを利用する場合には、この分子を物理フィルターの触媒を通過させれば、分子は元の構造に戻り、貯蓄していたエネルギーを熱として放出します。
スウェーデンの研究チームは、実際にこの太陽熱燃料を使って、数分で周囲の気温を63℃上昇させることに成功しました。チームはこの記録をさらに伸ばしたいとしており、家を温められるレベルの太陽熱燃料の開発を目指しているとのことです。
このテクノロジーが実現すれば、すばらしいことになるでしょう。まず、自宅の屋根の上で、太陽熱燃料が太陽エネルギーを吸収します。暖房をつける時間になったら、太陽熱燃料はフィルターを通り、分子がため込んだ熱を放出します。このすべてのプロセスでエミッションは一切ないのです。さらに、太陽熱燃料は何度も再利用が可能です。
今日の太陽光発電テクノロジーは、ソーラーパネルだけにとどまりません。ご紹介したような技術が洗練され、生活に浸透するには時間がかかるでしょうが、太陽光発電は、素晴らしい未来を見せてくれるでしょう。
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