メルカリアッテはどのように生まれたのか?

田辺めぐみ氏(以下、田辺):では、私からは「ソウゾウだからこそできた『メルカリ アッテ』」という内容で説明させていただきます。

「お前、誰だ?」という感じだと思うのですが……ソウゾウのメンバーは(2016年)3月時点では15人くらいでした。代表の松本を中心として、私は、役職的にはプロデューサーになるんですけれども、メインはディレクションとプランナーというかたちで仕事をしていました。

簡単に自己紹介をさせていただくと、私はもともとSlerのNTTデータというすごくかたい会社からDeNAに行って、「農園ホッコリーナ」というソーシャルゲームをやっていました。

そのあと、アプリをやりたいなと思って、知育アプリの「おかあさんといっしょ」のアプリ(注:おかあさんといっしょ・みいつけた!子供向けのリズム遊びアプリ)をやって、Googleのベストアプリをいただいて(注:ベストアプリ2013、ベストコラボアプリ受賞)、今も多分1位のはずです(笑)。

そのあと、ちょっと人生に迷ったりして、いろいろとフリーランスをやって、最後、メルカリに、2015年2月にジョインして、1年くらいメルカリをやったあと、ソウゾウの立ち上げから一緒に担当させていただいております。

私はどちらかと言うと、自分がターゲットになるようなアプリのプロデュースをしたいなと思って、そういうアプリを選んできました。

先ほどの松本は男性なんですけれど、女性向けの「DECOPIC」という写真アプリを作って、女装したりもしていたんですけれど(笑)、私はどちらかと言うと、自分がターゲットになるようなアプリがいいなと思って、そういうところを選んでおります。

コンセプト共有はどうやってしていますか?

今日の内容は3本で「コンセプトからアプリ仕様へ」「アプリ開発の体制」「これから」というのを、私から簡単に説明させていただきます。

こんな質問がありました。「プロデューサーの松本と、私、ほかのメンバーとの間で、どんなコンセプトの共有、仕様の共有をしていましたか」と。

結論からいうと、だんだんとコンセプトと、自分の思う「こういうものだ」というものを合わせていくという感じで、最初から完全に一致していたというわけではありません。

具体的には、立ち上げのときに「次はクラシファイドにしようと思うんだ」ということを松本から言われ、「C2Cで」「将来的はこうなる。すごく夢のあるサービスなんだ」ということを語られたんですけれど、多分みなさんも最初「アッテ」というアプリ見て、「えっ、手渡し?」「メルカリがあるじゃん」というようなことを思われたと思うんですけど、もちろん私も、一般的にはそう思われるだろうなと思いました。

「ちょっとピンとこない。でもこの感覚は……」

ちょっとピンとこない。説明を聞くと、わかる。でも「どうなのかな」と、そんな感じだったんですね。

それで、思ったんです。「この感覚、あのときと似ている」と。

2012年のある日。「今、フリマアプリがいける」「スマホに特化させて、デザインをちょっとダサくして」「すでにUSも見据えている。絶対勝ちたいんだ」って言っていた人がいるんです。それが、メルカリ社長の山田(進太郎)だったんですよね。

私は、「なんで今さらフリマアプリなんだ」と。「ヤフオクもある。いろいろ女性向けのフリマ(アプリ)もある。デザインもちょっとダサいな」と思っていたんです。でも「それはわざと投稿のハードルを下げるためだ」とか、そういうことを聞いて、今では納得できるんですけど。

当時は「なんでだろう」と思いながら、気がついたら、メルカリが大成功していた。

「そうだ。思い出した」と。

メルカリヒットの答え合わせをしたかった

1年前、進太郎さんがあんなことを言っていたけれど、「なんで成功したんだっけ」ということを思いながら。メルカリにジョインしたのは「その答えを知りたいな」と思ったことが、理由の1つになっています。

あのとき、まさに自分は「フリマじゃないんじゃないかな」と思っちゃったんですよね。そこに、進太郎さんにはいろいろ見えていて、私には見えていなかったものがあったと。「そこってなんだったのだろう」と思って。

そこの答え合わせをしたいなと思ったのが、メルカリに入った理由の1つです。

1年間、自分が、メルカリで働くなかで、当時のタイミングとか、やはりコンセプトはすごくいいと思っていますし、UIとかちょっとしたところにすごくこだわりを持っていて、競合とかもあったんですけれど、タイムラインの表示順であるとか、どこから投稿できるとか、そういうちょっとしたアプリのこだわりでメルカリが勝てたと思っています。

そういう本当にちょっとした違いでもに、こんなに、結果が変わってしまうんだと、会社に入って、改めて感じました。メルカリ、ソウゾウもそうなんですけれど、メンバーが本当にプロダクトが好きな人で、エンジニアも、単に仕様書を作るというだけではなくて、自分たちでこういうものにしたいというような思いを持ったエンジニアやデザイナーさんがすごい多いです。

技術力もありますし、C2Cなので、やはりカスタマーサポートもすごく重要だと思っていて、そこに注力していることも、すごくいいなあと思っています。

メルカリアッテの成功を確信

そこで、松本に(アッテの立ち上げの際に)そう言われたとき、この「メルカリアッテ」というクラシファイドサービスで、自分が「これだからメルカリが成功した」と思うところの答え合わせをしていきたいと、私は思いました。

なので毎日、代表の松本も、プロデューサーと一緒に、サンドバックのように、仕様を話し合いながら、みんなで議論して、そうするといろんな視点から、「こういうコンセプトならこうあるべきだ」という話がもらえるので、そうしながら、ユーザーインタビューもして、ブラッシュアップをしてきました。

いろいろリリースするまでに思うところもあったんですけれど。

リリースをして、「メルカリアッテ」は成功できるということを、今は確信しています。先ほども「手渡しってどうなんだろう?」という声もあったんですけれど、昔メルカリもやっぱり「知らない人に住所を教えたりするのは嫌だ」という声もあったんですよね。

でもそういう、考え方から変えることをできる会社とできない会社があると思っていて、ソウゾウならできるんじゃないかなと思っています。

パズルのパーツがパチっとはまる瞬間がある

ただ、最初からずっといけると思っていたわけではなくて、開発するうちに、これはいけるんじゃないかと思えてきたという感じです。

質問にあったとおり、プロデューサーやみんなのなかで、どうやって仕様を合わせていくかというのがあったんですけれど、最初は、ばくっとした「地域」「チャット感」「募集」「メルカリ」とか、そういう雰囲気があって。そこに対して、キーワードを段々「地域」というところから「自分起点の情報がでる」のが大事だとか。

最初に県を選ぶとかじゃなくて、「まずは自分の位置情報をもとに情報が見られる」という点が今までにないサービスなので、そこをわかってもらうことが大事だというところ。いろいろと詰めていくなかで、全体のコンセプトが明確になって、それが明確になることで、細かい仕様が明確になっていく。そうして全体の整合性もとれていく、というかたちで、仕様を作っていきました。

そうしていくと、頭の中でパズルがぱちっと全部はまった感じになるんですね。ちょっともやもやしたり、「なんかここ、部分最適だけど、全体最適じゃない」というようなところとかあったんですけれども、そこがだんだん明確になっていくという感じです。

ペルソナは作りません!

あと、今回質問いただいたなかで「ペルソナってどうしたんですか」という話が、けっこう多かったです。

私はあまり、ペルソナはサービス作るときに考えません。なぜかというと、最終的に、数千万のユーザーに使ってもらおうと思っているので、あえてターゲットを設定して絞ることをしませんでした。

あえてターゲットを言うのであれば、マスのユーザー、みんな、です。

ベルソナというのはなんだろうという私の解釈なんですけれど、特定の一人をイメージすることで、ニーズを具現化しやすい、その具現化したニーズだからこそターゲットを外しにくいというところが、ペルソナなのかなと思っています。

アッテで言うと、誰にでもあるニーズ、家電がいらなくなったというニーズからターゲットを広げていく、仲間が欲しいというニーズからターゲットを広げていくということをすると、結局ペルソナを細かく設定するよりも、これはみんなに共通するニーズなので、マスのユーザーがターゲットというかたちで考えております。

ただ、ユーザビリティとかを具体的にどうしようかという話になるんですが、そこはみんなが共通的な会話でやりやすいように、メルカリの一般的なユーザーがいいんじゃないかというかたちで、話をすることが多いです。

アッテの企画のコンセプトについては、詳しくは次のセッションでデザイナーの井上からあると思うんですが、「気軽に募集、だれでも募集」「チャット感」「位置起点」「メルカリID連携」などの具体的なコンセプトのなかに、メルカリでうまくいった仕組みを入れている感じです。

質問としては、結局、プロデューサーの意図をどう伝えるのか、というものがあったんですけれども、軸を中心に、みんなでどんどんブラッシュアップしていきながら、「私たちはこういうことしたいよね」「アッテのいいところってここだよね」という共通の認識を作るということで、合わせています。