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DMMの「CASH」買収、仮想通貨乱立、ICO…金融業界を揺るがす“3大テーマ”は来年どう動く?

DMMの「CASH」買収、仮想通貨乱立、ICO…金融業界を揺るがす“3大テーマ”は来年どう動く?

2017年12月22日に、株式会社マネーフォワードが「Fintech 2017年ふりかえりと2018年の予想」と題して、メディア向け勉強会を行いました。「2017年はFintechの実証期に入った1年」だと言われ、さまざまな新サービス・取り組みが展開されました。勉強会の前半では、株式会社マネーフォワード取締役・Fintech研究所長の瀧俊雄氏が登壇。仮想通貨、キャッシュレス決済、即金経済圏などを解説しました。

シリーズ
Fintech 2017年ふりかえりと2018年予想 > Fintech 2017年ふりかえり
2017年12月22日のログ
スピーカー
株式会社マネーフォワード 取締役 Fintech 研究所長 瀧俊雄 氏

「今年の3大テーマ」は、1にも2にも仮想通貨

fintech (7) 瀧俊雄氏 どんどん時間がなくなってきているので、飛ばし気味に行きます。「今年の制度面での大きな変化は、なんだろうか?」と考えると、実務家レベルの話で(運用基準のアップデートがあり)、FISC(金融情報システムセンター)における安対基準の改定作業が進んでいます。私がFintech協会の者として、専門委員を務めているものでもあるのですが。 今年で言うとこの(実務家レベルでの運用基準アップデートの)中で一番のテーマは、銀行本体ではないのですが、周辺的なシステム……例えば、AmazonのAWSや、MicrosoftのAzureなどに上げることができるというものです。 そもそも、銀行システムのクラウド化ができているところが(運用基準アップデートの動きとしては)大きいです。もちろん、「基幹系をどうするんだ」というところに対して、今後はいろいろな基準が作られないといけません。 あと、実際に三菱さんとかが「(運用基準を)上げる」と宣言をしてから、諸々が動いていくところもあるのですけれども。多くの人が納得する基準になり、FISCレベルで物が動くのは、単に「先端層としてのFintech」というものよりも、もう少しちゃんと「サイバー面での高度化が進んだよね」という印象を持つものです。 全銀協さんも、先ほど申し上げた銀行法改正の文脈において、「API(の契約)をどうやって結ぶか?」「どういうひな形で契約をするか?」みたいな案について、盛り上がりながら、ちゃんと両者(銀行・API接続企業)が落ち着けるものを模索する動きができています。 これって、従来はけっこう、徒手空拳なものだったんです。我々の法務部と、ある銀行の法務部がせっかくコンセンサスを作っても、それをものすごく組み合わせなくてはいけませんでした。今では、もうちょっとコミュニティコストが下がるかたちで、APIを結ぶことが可能になっているんです。なので、両方ともすごく実用期の理論になってきています。 たぶん、「今年の3大テーマを挙げろ」と言われれば、1にも2にも「仮想通貨」だと思います。仮想通貨が交換業として、ちゃんと金融庁の登録を受け始めたフェーズにあるのは、すごく大事なことかなと思っています。 (仮想通貨に関して)今は、値動きの問題もそうですし、「ちゃんと資産が保管されているのか?」という問題があります。一昨日(2017年12月20日)とかも(ニュースが)あったように、(12月6日に約76億円分のビットコインが)盗まれるということ。 なかなか資産って盗まれないものだと思うんですけど、仮想通貨ではこういう状況が起きるので、そのようなことに対するアウェアネスも、ちゃんと議論に上がってきています。 これは従来であれば、もっと「こういう問題があるかもしれない」みたいな、仮説ベースの話が多かったんです。しかし(仮想通貨に関しては)けっこう実務的な問題・課題として、がんばって解決しようとしているのが、非常に大事なのかなと思っています。

進展期を迎えた、「銀行とはなにか?」論

制度の再検討について、ここではキーワードだけを述べます。APIを利用する人たちのことを「電子決済等代行事業者」と呼ぶのですが、我々のような金融庁登録を受ける業者が出てきます。 また、Fintechの今一番大きな制度的課題に、本人確認制度があります。銀行口座・資金移動業の口座・証券業の口座等を開くときには、転送不要郵便が必要です。あれを受け取らないと、そのまま郵便局に戻されて、1週間後にどこかへ行ってしまうというものです。あれを解決しない限り、(例えば)せっかくロボアドバイザーの会社が顧客を獲得しても、7割ぐらいロスしてしまうんです。 7割ロスしているものを、例えば2割のロスぐらいにできれば、政策効果を2倍から2.5倍にできるので、非常に即効性のある内容です。なので、それ(転送不要郵便)をなんとかしていきたいと考えています。「なぜ本人確認をしているのか?」というと、その人がテロリストではないことなどを、証明する必要があるからです。 2019年には、FATF(金融活動作業部会)の第4次審査があります。これの見通しが、けっこう厳しいと言われています。そのため、ちゃんと今のオンライン型の経済圏のあり方や、転送不要郵便(による本人確認)ではない、「今らしい本人確認のあり方」をどうやって担保できるかが、とても重要な話です。 あと、5年かかる説・10年かかる説もあるのですが、横断的法制における「機能」の議論が始まりました。これは重い話なんです。例えば、「銀行とはなにか?」をちゃんと考え直そうという議論です。「証券とはなにか?」は、金融商品取引法で(すでに)議論されたので、「銀行とはなにか?」「融資とはなにか?」「保険とはなにか?」みたいなところに、立ち返った議論があるのかなと思っています。 もともとそういう議論は、いつかやるはずのものだったと思います。私見では、この2年間ぐらいでFintech企業がバッと出てきたことで、「(横断的法制における)『機能』とはなにか?」という側面が、少なくとも決済については、非常に浮き彫りにされたと思っています。 1、2年ぐらい、その議論を早めることができたと思っているのですが、いかんせんその議論をより速く進展させていく必要があります。そこは来年に向けて非常に、お勉強が必要なタイミングなのかなと思っています。

世界も「マジでFintechやろうとしてるな」

3つ目のトピックとして、推進的なイニシアチブがあります。 fintech (13) なによりも、「未来投資戦略2017」……参考資料の13ページがそれに当たるので、ご覧ください。キャッシュレスに(関する事項に)赤枠を入れています。けっこう攻めた目標値が、(KPIの)内容に入っています。 よく、「キャッシュレス比率は、(もともとの)2割から(今後10年間で)4割にしかならないのか?」という話もあります。ただ、(キャッシュレス決済比率を)4割とか6割にしていくためには、相当なレベルでクレジットカード・デビットカード・電子マネーの利用率を上げていく必要があります。 Alipayも来年には(キャッシュレス決済領域に)出てくると言われています。そういう、従来とは非連続の変化が求められているんです。なので、こういう(KPIの)数字がしっかり上げられてきたことは、多くの人たちがちゃんと、それを考え始めるところにきたということです。 fintech (7) (スライド7ページに戻って)ちょっとあまり細かくは触れられないんですけど、FSB(Financial Stability Board)・バーゼル銀行監督委員会で、Fintechのあり方について丁寧なレポートが、今年の夏ごろに出ています。これを読み込むと、世界もちゃんと……軽い表現をすると、「マジでFintechやろうとしてるな」というところが、あるんだと思います。 その結果として、「システミック・リスクが変容する部分はありますよ」というのを解釈した上で、金融庁・日本銀行といった銀行界は、それに順応するかたちで動きます。これは、我々のような小さい事業者から見ると、すごく大事なメルクマールです。 アメリカでやや頓挫しているのが、Fintech型銀行をめぐる議論です。これは、行政訴訟等が起きているため、やや(議論が)立ち止まっています。「Fintechじゃなくて、普通に中小企業に向けて、金融を緩和すればいいんじゃないか?」という(アメリカの)トランプ政権の意見があります。(それを受けて)「別にFintech企業をがんばらせる必要は、ないかもしれない」というところがあり、やや米国では(議論が)停滞しているんですが。 来年……もう1ヶ月後(2018年1月)には、PSD2(欧州の決済サービス指令)が施行レベルに入っていきます。ちょっと専門用語ばかりで恐縮ですが、欧州では、オープンバンクAPIを強制する指令があるんです。来年には本番(施行レベル)に入っていくのですが、いろいろな国でそれが「間に合わない」という話が進んでいます。 (例えば)イギリスの銀行でも先週、Barclaysが「(施行レベルには)もう間に合わないので、ちょっと延長をお願いします」と、実用期にあるものの、白旗を揚げているんです。 日本では、APIを公開している銀行がすでに12、3行ありますし、今後公開する意向のあるところが、100行を超えていると言われています。そういったところは、今後とも考えていくべきかなと思っております。

“安心して買えて、安定して使える”ための整備

fintech (8) 「今年の記憶されるべき3大テーマはなんだ?」と言うと、あまりマネーフォワードが絡んでいないトピックが、3つ並ぶんですけれども。 1つは、仮想通貨です。この中で、仮想通貨を持ってる方ってどれぐらいおられますか? (手を挙げた参加者を見て)億ってます(1億円規模の利益が出ていますか)? 億ってないですか? 私、ビットコインが3万円のときに買って……4万円になってから「やった!」と思って売り抜けて……今は160万円とかになってますけど。こういう値動きをするものって、我々は見たことがないわけですよね。 いろいろなチャーチストの人たち曰く、(イギリスの)南海泡沫事件を超えて、(オランダの)チューリップバブルを超えて……もう(日本の)ウサギバブルも超えたそうです。だから、もう比べられるバブルがないというくらい、(仮想通貨は)非常に激しい変動を見せているものなんです。 トピックとしては、「先物取引市場ができた」「分裂騒動があった」などがあります。我々がいつも思っているのは、(仮想通貨は)上がる・下がるのトピックとしてはふさわしくないのですが、「ボラティリティが高い資産としては、ちゃんとやれることがあるはずだ」という思いを持っています。 なので端的に言うと、この前『週刊 金融財政事情』にも書いたんですが、「『安心して買える』『安定して使える』ための整備を本気で考えないといけない。今はほとんどの人が、貯蓄から投機してるだけだよね」という思いがあります。 その整備を、本丸のビットコインなどで進めていければ、たぶん……少額決済は、周辺産業で進んでいくので、「そちらの整備が、より高度化するはずだよね」という思いを持っています。 (次に)世間的には、ICO(新規仮想通貨公開)なんですよね。「ICOってすごい」「ICOってやばい」「なんかわからないけど、100億円集まっている!」というロジックが、よく言われています。日本国内でも、100億円を集めるプラットフォームが存在しています。(例えば)Omise Paymentさんとかも、20億円以上を集めています。 世界的に今(ICOは)4,000億円と言われています。その価値を簡単に説明することは、難しいという前提はあるのですが。インパクトとして、「去年の日本のFintechの投資が200億円だったよね」という話を考えると、(4,000億円の規模は)相対的に、お金が非常に動くものなんです。 そういうところが、トピックとして非常に大きいものです。また、これまでに動いたことのないタイプのお金が動いています。その結果として、人材もそこに集まっています。例えばCOMSAには……(私は)すぐ人の名前を忘れちゃうんですけど、けっこう有名なベンチャー界隈の調査をしていた人が、行っているんです。 お金の動きは主役ではないのですが、なんらかの期待感を持って物事が動くときには、後から結果が付いてくることがあります。負の側面でも、これはすごく取り上げられがちですが……必ず、残るものはありますよね。今は、これらを改めて論理的に考える、いい機会になっています。

DMMが「CASH」を買った影響

3つ目が、多くの(即金経済圏の)中の人たちが、今驚いているものがあります。それはやはり、DMMさんがCASHを70億円で買ったことです。しかも、本当に「キャッシュ」で買っています。 これは、すごく大きい話です。例えば、VALUさんやタイムバンクさんとかでも、似たような文脈があると思います。これまでなかなか生まれなかった商いが、(今は)生まれていく経済圏が出てきています。 私は今日(2017年12月22日)、別のブログでも述べているんですが……これがなにを意味しているかというと、10年前になくなった貸金業の世界の、ある種のバッファを埋めているところがあるのかなと考えています。 具体的にどういうことかと言うと、(例えば)手元にはお金がないけれど、修学旅行の(費用の)10万円を出さないといけない親子がいるとします。そういう人の経済圏は、今までも必要だったんです。「(手元にお金がないから)修学旅行に行けません」という答えではなく、10万円を借りてでも、行かせてあげるべきタイミングが、人間にはいっぱいあるはずです。 その経済圏だと、目の前のものをキャッシュ化できるとか、お金にすぐ換算できるなにかを持っているケース(が活きてくる)。従来は消費者信用として借りていたところが、今はあまりマーケットが大きくなくなってしまっています。だから、なんとかそれをドラえもん(のひみつ道具)のように、「目の前にある物をお金に変える」方法があれば、それを使うという部分があるのかなと思っています。 なので、ちょっと表現はあれですけど……「即金型」の経済圏(が増えてきている)。とくに、平均的な家計の貧困や、お金に困っている人たちがどんどん増えているのは、事実としてあります。それをちゃんと反映した経済圏が出てきているんだろうなという解釈を、するべきなのかなと思っています。

「新星」プレーヤーが少なくなってきた?

fintech (9) ベンチャープレーヤーの潮流で、1つ大きなトピックとしては、WealthNavi(の預かり資産)が400億円を超えたことは、ものすごく大きなニュースだと思っています。私が初めて辻(庸介氏)に声をかけたとき、「日本でロボアドバイザーをやりたい」という話をしていたときに、(辻氏は)「いや、日本でこういう会社をやっても、100億円も集まらないよ」と言ってたんです。 (その面から言うと、ロボアドバイザーのWealthNaviの預かり資産が)400億円というのは、やはりすごい数字です。SBI証券さんとしっかりタッグを組んだモデルとして、成立しているわけです。もちろん、WealthNaviさんが「(預かり資産で)1兆円を超えていく」という強い目標を掲げられてる中では、まだ初めの1歩的なところです。ただ、WealthNaviさんの残高はけっこう増えましたし、とくに今年の前半は、CAMPFIREさんもものすごく勢いがありましたよね。 1つだけステマをすると……MFクラウドファイナンスも、福岡銀行さんとかのローンが、ものすごく伸びています。(これが)「協調モデル」と、ずっと言われてきましたけれども。そういう事例がいくつか出るようになって、よかったなと思っています。 単純に、「Fintechブームに乗じて、システムを渡しました」という話ではなく、商いがちゃんと生まれるようになってきていることが、すごく重要なポイントだと思っています。 また、Origami PayさんやCoineyさんとかも、加盟店の開拓を、ものすごく増やされています。だから、来年は(例えば)地方で、もっとカードを使える場所が増えてくるはずなんです。(動きとしては)非常に地味ですが、この加盟店に対する開拓網が増えることは、日本のキャッシュレス化の要点です。そこは、すごく大事だよねという思いです。 なので、2、3年ぐらい前から出てきたプレーヤーやモデルが実質化してきたことが、良いニュースです。(一方で)あんまり(良くない)かなと思っているのは、「新星」プレーヤーが少なくなっていることです。 今年は、いろいろなベンチャーや資金調達統計を見てきました。去年に比べて、明らかに今年は、「シードでバンと出てきた(新星の)人が、それほど多くないな」という印象を受けています。 (その中で)One Financialの山内(奏人)くんって……今は16歳か17歳。彼は数ヶ月に1回、いろいろなピボットを遂げながら(進めています)。今(彼が)やっているONE PAYという、「誰でもカード店舗になれる(いつでもだれでもカード決済を受け付けられる)ソフト」って、すごく良くできてるんですよね。 今日の(ブログの)記事に書いているんですけど、やはりああいうタイプの……「(今年)忘年会をやったら、来年(の忘年会では)半分ぐらい、同じ人が来ない」みたいなダイナミズムが、ちょっと今年は少なかったかなと。FINOVATORS(一般社団法人金融革新同友会)としては、やや反省しているところです。そういう、「新星」が少ないよねという思いがあります。 もう1つは、「結局、『Fintech』というジャンルは要らないんじゃないか?」と感じています。教科書的なFintechだと、P2Pファイナンスや、ロボアドバイザーなどの話があります。ただ、そうではなく、普通のテクノロジー企業とか……それこそメルカリさんみたいなプレーヤーが、ドンと金融領域に出てくるとか。そういうニュアンスが、意外と実質的かもしれないということが、見えてきたかもしれません。 3回目の「Fintechは、来年終わる」を、本日唱えるのかなと思っております(笑)。 (2017年のFintechの)振り返りのトピックとしては、以上です。もちろん、後ほどご質問を頂ければと思います。 この後は、私と神田(潤一)さんでショートコント(笑)。……ではなく、かけあいをやる予定です。(神田氏を見て)こちらにお座りいただければ。

  
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