全体

田中裕輔氏:それでは今から、2018年2月期第2四半期の決算説明をさせていただきます。まず、今お手元に(資料が)あるかと思いますが、今回から機関投資家さま・株主さまからのご要望にお答えすることが、ひいては企業価値の向上につながるだろうという考えのもと、こちらのデータシートを開示させていただきました。

こちらは単純なKPIだけではなくて、固定費・変動費・損益分岐点等の分析ができる、十分な数字になっているだろうと思っております。今後、こういったかたちを通じて、IRの強化も進めてまいる予定でございます。

GOOD NEWS①

早速、まずは2018年2月期第2四半期の、いくつかのハイライトを申し上げたいと思います。

1点目が、配送革命です。いくつか、配送サービスをガラッと変えさせていただきました。大きなポイントは2つあります。

その1つ目は、これまで5,400円以上(商品を)ご購入いただいた場合は送料無料という、通販サイトでは当たり前と言いますか、普通のサービスをやっておりました。今回からは、5,400円以上で「全額ポイントで還元」に変えさせていただきました。

2つ目は、これまで当社は、基本的に14時までにご注文いただいた場合は、当日中に出荷して翌日にお届けするということをやっておりました。しかし、お客さまによっては、早く欲しいお客さまもいれば、逆に急がないというお客さまもいらっしゃいます。「当日夜間お届け便」という、急ぐ方向けのサービスがございます。

あとは、急がないという場合は「急ぎません。便」というかたちで、少し遅らせていただくことで送料を下げるというものがございます。配送オプションを増やすことによってさまざまなお客さまのニーズに応えるという、大きな2つの変更をさせていただきました。

結果として、その中でも新しいサービスの「急ぎません。便」が数々のメディアでも取り上げられまして、配送革命としては良かったのかなと。そのあとの売上も、堅調に推移をしています。

GOOD NEWS②

2点目が、昨今、今年(2017年)の春ぐらいから、いわゆる「送料問題」が、通販サイトで騒がれておりました。今回配送会社さまとはお話を続けておりまして、結果としてはWIN-WINで合意いたしました。

配送革命をすることによって、お客さまからいただく配送収入は少し増えていくことを見込んでおります。もう一方で、配送会社さまに対しては、物流料金をお支払いするということで、当社にとっては値上げを解消しております。

これを相殺することによって、結果としましては、まず今後も当社は「サイズ交換」「返品無料サービス」を継続していきます。あとは、収益性を含める観点では、当社が(2017年)4月に発表した業績予想の背景となる、限界利益率。

こちらに関しましては、(当初計画値で)14パーセントを見込んでおりましたが、こちらは変わらずということで、現状を見込んでおります。

GOOD NEWS③

3点目が、倉庫移転を今年(2017年)の3月にいたしましたが、そこからさらにこの8月、増床が完了いたしました。

結果としまして、8月末時点の経過の検証を踏まえましたところ、現状のキャパシティに対して、使用率は49パーセント。これはつまり、全体のキャパシティのうち約半分しか使っていなくて、その半分はまだまだ増加余地は大きいというところでございます。

今後は、当然その在庫回転率も向上していく。また、弊社の倉庫でお預かりしている在庫だけではなくて、(メーカーさまから)在庫データを頂いて、それでご注文が入ったら、当社からメーカーさまに注文をさせていただき、お客さまにお届けする。

こういった在庫データ連携による販売等々の効果を加味し、現状の新しい倉庫で、現状の総取扱高の3倍までは、十分カバーできる。

そういった意味では、そこ(現状の総取扱高の3倍)に至るまでは、8月以降の賃料から変わらず固定費を維持できるということを、見込んでおります。

GOOD NEWS④

4点目が、新しいカテゴリーといたしまして、「LOCONDO HOME」というものを始めました。第1弾のパートナーとしてIDC大塚家具さまを迎えまして、現状、さまざまな家具の販売をしております。

こちらは、弊社の倉庫で家具をお預かりするというかたちではなくて、ご注文が入ったら、大塚家具さまから直接お客さまにお送りいただく「メーカー直送便」という新しいサービスを、スタートいたしました。

結果として、新しいカテゴリーが増えただけではなくて、新しい供給パターンに対応できるというところも、大きな変更点でございます。

予算(BASE LINE)における進捗率

こういったことを踏まえまして、まだ送料問題等があったのですけれども、計画値は据え置きとなっております。

あと売上から利益まで、現状の進捗率を表にしております。四半期別の営業利益はデータシートの17行目をご覧いただければと思います。

当社はファッションECでございますので、どちらかというと上期よりは下期の方が値段・売上も上がりますし、収益性も高まるという傾向もございます。この営業利益の進捗率等に関しても、現状は順調に推移していると当社としては考えております。

投資完了後の現倉庫キャパシティに基づく「理想値」

今回、そういった意味で言いますと、経営という観点では今後、どうなるかわからない。送料の部分など、あらゆるKPIの数字は固まっている部分がありまして、そして今回新しく「理想値」というものも掲げさせていただきました。

これはどういったものかと言いますと、現状の倉庫でどこまでカバーできるかは、先ほど申し上げましたとおりです。現状100億円という取扱高に対して、3倍までは現状の倉庫でカバーできるということです。つまり、現状の倉庫における理想値としましては、300億円。

限界利益率という観点では、14パーセント。今年はこちらは固定です。ここで14パーセントいけるだろうということを見込んでおりますが、「今後はどこまでこれが上がっていくのか?」というご質問も賜りました。

広告宣伝費の部分は当然ながら、規模が大きくなればなるほど、比率が徐々に高まっていくという面があります。そのため、理想値としましては16パーセントまでは上がっていくだろうと、現状思っております。

固定費率は申し上げましたとおり、倉庫も(理想値は)300億円というところまでは、今後も固定できるというところまで検証が出ております。ここまでの結果としては、(固定費率は)10パーセントから(理想値の)4パーセントまで下落させることができるだろうと思っております。

その結果、営業利益率は(今年度計画値の)4パーセントが(理想値の)12パーセントというところまでは、高められるだろうと見込んでおりました。

したがいまして、先行投資が完了いたしましたし、限界利益率に関しましても、かなり蓋然性も高く見えてきましたので、今後は先行投資の結果をちゃんと実現するようにしていく。倉庫が埋まるほどの取扱高に近づけていくということが、非常に重要な課題だと考えております。

世界のEC化率 試算結果

あとはマーケットのお話で、こちらは成長可能性市場でも触れさせていただきましたが、靴のECというところは、まだまだ今後、可能性が伸びてくる市場でございます。

こちら、日本と欧米(の比較)になりますとファッション全体。資料の濃いオレンジ色の部分です。こちらのEC化率も当然ながら、まだ日本は欧米に比べると遅れている。これは言い換えれば、まだまだEC化率の余地が大きいということです。

とくに靴(薄いオレンジ色の部分)に関しましては、欧米では30パーセント前後と言われているのが、日本ではまだまだそこに至っていないと我々は見立てております。

そういった意味では、このポテンシャル(を活かしていく)。マーケット・靴のECが、まだまだできていく。ここをちゃんと、我々としては押さえていくことによって、先ほどご説明した現状の倉庫でもカバーできる取扱高になるかと思います。ここを実現していこうということを、考えております。

EC事業 取扱高(返品差引後; 百万円) 実績

続きまして、今回はデータシートを公開いたしましたので、さまざまなKPIに関しましては、こちらのデータシートをご覧いただければわかるかと思いますが、まずはECの取扱高。これがいちばん重要な数字でございますので、ここだけご説明いたします。

この第2四半期に関しましては、昨年と比べましてプラス37パーセント。約40パーセント弱という成長率を達成いたしました。

そういった意味では、足元の成長性に関しましても、100パーセントではないかもしれませんが、合格点の水準ではないかなと思います。

その他のポイント ~株主様・機関投資家様のご質問の回答~

他の数字は、ここの資料に1ページでまるっと、紹介させていただきました。それぞれ申し上げますと、当社に3つの事業がございます。EC・Eコマースのインフラを活用したプラットフォーム・そのプラットフォームを通じて始めた「MANGO」という自主ブランド事業。

この3つがございますが、プラットフォーム事業はどうなっているのかということに関して申し上げますと、こちらもデータシートでご覧いただきますとおわかりになるとおり、まずは自社ECの「BOEM」は、現状17社まで増えております。

あとは公式型、いわゆる公式ECとして当社が開設して、運営させていただいたものに関しましては、こちらはデータシートの70・71行目にございます。こちらもご覧いただきますとおわかりのとおり、順調に成長しておりまして、第2四半期はプラス41パーセントとなっております。

続きまして、自主ブランド事業MANGOに関してですが、MANGOのロコンドでの売上は、ロコンド(に組み込んでおります)。それ以外のものに関しましては、プラットフォームに組み込んでおります。

MANGOという1事業として見ましても、MANGOのロコンド売上が非常に順調に伸びてきております。ロコンドのブランドランキングでは、上期を通じて1,878ブランド中14位で、非常に高い売上をもっております。

あとMANGO事業としましても、店舗も含めて上期を通じて黒字を実現しております。そういった意味では、利益に関しての貢献もMANGO事業がしてくれているというのが、現状でございます。

あと3つ目が、「RAOS計画」(Real As Online Store)です。これは(2018年2月期)第1四半期に申し上げたと思うんですが、リアル店舗をオンラインストアのように、マネージしていこうという計画です。

こちらの進捗状況ですが、現状は順調に推移しております。RAOS計画の柱となっているのが、当社が今回内製で開発いたしました「LOCOPOS」というPOSのシステムでございます。

これを使って、売上情報・顧客情報・在庫情報を店舗とEコマースを一元的に管理をするという仕組みでございますが、これを現状MANGOの店舗で使っております。

売上・在庫を一元で管理できているだけではなくて、POSとして必要な機能でいきますと、例えばお店からお店へ移動する、店間移動。こういった新しい機能を追加しています。

あとは、店舗の在庫。これまで当社は、インベントリーシェアリングといいまして、当社がお預かりしているEC用の在庫を店舗でもお使いいただく。

あとは「LOCOCHOC(ロコチョク)」というかたちで、店舗の欠品フォローに使っておりました。今回、ネットの在庫を店舗で売るのではなくて、店舗の在庫をネットで売るといった店舗タイプのものをリアルタイムで管理して、それをECで売るという仕組みを稼働いたしました。

こういったPOSシステムおよび、そこから作っていくRAOS計画。これを、まずはMANGOで作り上げて、今後は年内に、他のブランドさまにも使っていただける予定になっております。

4つ目が、当社の成長戦略としまして、EC・プラットフォーム・MANGOの3つの事業を、それぞれ相互間的に作り上げて、そのトライアングルを大きくしていくということ。

そのことにプラスして、そのオーガニックな成長だけではなくて、そこからさらにトライアングルを大きくするためのM&Aも、当社の重要戦略の1個として掲げております。そちらに関しても、現状まだ決まったものはございませんが、いくつか検討はしている状況でございます。

条件としましては、大きく2つ。1つ目が、ロコンドの「ITと物流インフラ」を活用して、大きくバリューアップができるという観点が、まず1つ。

2つ目が、買収先の会社さまが、例えばロコンドに売り出していただく、もしくは自社ECを出していただく。こういったことをやらせていただくことで、ロコンドの売上増にもつながる。

こういった「相互補完性のある」会社さまに、ぜひ当社のグループにご参画いただいて、もっと大きな事業にしていきたいと思っています。

最後です。これもまたよくと言うか、たまにご質問していただくのが、当社は3つ事業を運営していて、RAOS計画もやっていて、さらにM&Aもやっている。「ロコンドは何を目指しているんだ?」ということを気にされている方もいらっしゃいますが、シンプルな当社の主力事業は、ロコンド(LOCONDO.jp)であることは変わりません。

靴とファッションの通販サイト、LOCONDO.jpを主力としまして、その売上を補完すると言う観点で「LOCOMALL」、楽天さまとかヤフーさまとかの公式ストアがあります。あとは、LOCONDO.jpの売上を上げていくための武器としまして、プラットフォーム事業・自主ブランド事業というものがあります。

あくまで、ロコンドのための補完・ロコンドのための武器というもので他の事業をやっていると、ご理解いただければと思っております。

今回俯瞰して考えたときに、今ロコンドでは、(資料の)GOOD NEWSにも書かせていただいていますが、成長性・収益性という観点。そして、成長性と収益性に関わってくる経営のリスクの対象という観点。

この3つの観点では、(2018年2月期)第2四半期に関しては、合格点という部分を、我々としては取れたのかなと思っております。正直株式市場からも、かなりポジティブな反応があるのかな? と思っていたんですけども。

蓋を開けてみると、これはいろいろお話を聞くに、やっぱり利益の進捗率がちょっと足りなかったんじゃないかというところで、今日(2017年10月12日)に関しては、株価を下げたというふうに認識しております。

これは言い換えると、「中長期的には(計画は)わかっています。ただ、足元の結果を出してくれ」というご叱咤だと理解をしておりまして、そちらに関しましては、すでにこの第3四半期が中間地点に入っております。

ここで利益の進捗を大きく伸ばさせていただいて、当社の計画の蓋然性も確認いただければと思います。そこから(取扱高の理想値の)300億円のところに向けて、短期・中長期で考えて、経営を進めていくというところでございます。

短いのですが、以上でご説明を終わらせていただきたいと思います。