資産曲線で見る、投資家の実力差

中原良太氏(以下、中原):では、この8割のトレーダーが頭でっかちタイプになってしまった場合と、チャート分析をして着実にスキルアップした場合、定期的にフィードバックを手に入れて、早めに実践して、トレードを始めたとします。どちらがいいのか、グラフで示すとこのようになると考えています。

左側が、流行に左右されてばかりで、なんのスキルも身につかないトレーダーの運用成績。先ほど言った、頭でっかちタイプとノウハウコレクタータイプですね。

結果的に、ぜんぜん実力が伴わない。ぜんぜんスキルアップできないタイプの投資家は、このような資産曲線になります。

増えたり減ったりを繰り返すのですが、結果的に増えない。もうギャンブルをやっているのと同じ。いつまでも利益が安定しなくて、なんの実力にもなりません。

利益を出せる理由があるとすれば、なんとなく相場や運が良かったからで、実力が伴っていたわけではありません。なので、例えばバブルが崩壊するとか、そういうことがあれば一瞬で利益が吹き飛んで、もう元の状態に戻ってしまうと。「今までがんばってきたのは何だったんだ!?」と考えてしまう可能性があります。

一方、流行に左右されず、チャート分析をして、着々とスキルの向上に努めた方はどうなるかというと、あくまで私の身近にいる投資家の例なんですけれども、着実に利益が増大していくことが期待できます。

チャートをより深く読めるようになって、投資家の考え方が理解できて、1トレードあたりの精度が高まっていく、利益を増やして損を減らすことができるようになっていくと。資産曲線がギザギザしていますが、増えたり減ったりを繰り返しながらも着実に増えていくことができると期待できます。

私たちはこの左側には絶対になってはいけません。私たちトレーダーが目指すべきは右側です。

右側になるためには、着実にスキルアップして、定期的に短い期間でPDCAサイクルを高効率で回して、グイグイ実力を身につけていく必要があります。それで、トレードノウハウを一つひとつ習得していく必要があります。

私は、そのために肝になるのがチャート分析だと思っています。すべての利益の根源である投資家について理解を深めることが非常に大事だと考えています。

トレーダー初心者がまずすべきこと

右側のタイプのトレーダーになるためには、4つのステージがあると考えているんですけど、「着実にスキルアップしたいけれども、そもそも何を始めればいいかわからない」と考えている方がほとんどだと思います。

そういうトレーダーになりたての入門者が何をすればいいかというと、こういうことをすればいいんじゃないかなと思います。

トレードを始めたての投資家を、ステージ1に該当するトレーダーだと定義しました。

このトレーダーは、年に利益を50万円までしか出せない投資家を示しています。なので、50万円以上の利益を出している方は、もう、ステージ2・3に行っているかもしれません。

ただ、これは安定的に50万円の利益を出しているという意味ですので、ギャンブルチックなことをしている方は、まだステージ1の段階にいると思います。

それで、ステージ1にいるトレーダーの主な問題点は何かというと、そもそも利益の出し方がわかっていないことが問題になります。どうすれば利益を出せるのか、どうすれば年間でプラスにできるのかがわからない。

なんとなく良さそうな株もわかるし、なんとなく株を買ういいタイミングはわかるし、なんとなく「あの人の言ってることは信用できるな」とか、そういうことは考えつくんですけれども。

具体的に、いつ、どこで、何を、どれくらい、いくらで、どこの証券会社から買えばいいのか、売ればいいのかわからない方は、このステージ1に属しています。

こういう方は何をしなければいけないかというと、まず最初にトレード法を開発する、トレードノウハウを1つ習得する必要があります。あとはもう1つ、そのトレードノウハウを使って、利益を出せるようになる必要があります。

ステージ1にいるトレーダーに必要なスキルは、まずトレード法を開発できるようになりましょう。しかも、それを実践できるようになりましょうというのが、非常に大事なポイントです。

この開発力と実践力、どちらも非常に大事なんですが、たいていのトレーダーの方はどちらも持っていません。

トレードを始めたばかりで利益の出し方がわからない、ぜんぜん安定的な利益が出せないという方は、開発力も実践力も持ち合わせていないという問題があります。ですので、まずはこの2つから解決していくのが大事なんじゃないかなと思っています。

なぜチャート分析が重要なのか

それで、その肝になるのがチャート分析です。チャートを読んで、どういうタイミングで株を買えばいいのか、どういうタイミングで株を売ればいいのか、どういう要領で株を買えばいいのか、どういう注文方法で株を買えばいいのか、どういう値動きをしている株が狙い時なのかを、チャートを見ながら学習していくのが非常に大事なポイントだと思います。

そして、チャートで値動きを深く読んで、「投資家が、今何を考えているのか?」を知りましょう。それがわかれば、利益も自ずと手に入ると考えられます。

悲しいことに、この「なぜチャートが重要なのか?」を教えてくれる人はほとんどいません。

でも、チャートは非常に大事で、投資家の意思決定のすべてを反映しているのがチャートです。すべてのニュースとか、すべての決算とか、すべての政治的な背景とか、ありとあらゆる情報を総合して、投資家が決めた結果が反映されるのがチャートです。

チャートの中には、すべての情報が織り込まれているはずです。ですので、このチャートの値動きを深く読んで分析することで、「投資家が、今何を考えているのか?」が読み解けるはずです。それを分析するのがチャート分析の本質的なものです。

チャートを読んで、「この値動きの裏に、投資家たちはどういう思いを秘めているのか?」「なぜ今買い時なのか?」「なぜ今売り時なのか?」を考察していくのがチャート分析のすべてです。非常に奥が深くて、何年やっても、「こんなに奥が深かったんだな」「自分は投資家に対する理解と読みが浅かったな」と思わされる分野でもあります。

チャート分析は心理学?

私は初め、チャート分析が非常に胡散臭いと思っていて、「会社について調べないと、投資なんてできないじゃないか」と思っていました。でも、それと同時に「株価を動かしている投資家に対する理解も深めないと、利益は出せないんだ」と気づきました。

なぜなら、どんなにいい決算や悪い決算、いいニュースや悪いニュースが発表されたとしても、投資家がその決算やニュースをどう判断するかによって、値動きが決まるからなんです。

たとえ客観的に見て、「これはどう考えても悪材料だ」「これは株価が下がるしかないだろう」と思う材料があったとしても、投資家がそれをよしとして、「これはいいぞ」と思ってしまえば、株価は上がるんです。ですので、投資家の分析はなによりも重要なポジションにあると考えています。

そのためにはチャート分析をして、「投資家が、今何を考えているのか?」と。チャートにはすべての情報が織り込まれています。その中で、「投資家が、その瞬間何を考えているのか?」っていうのを想像できるようになる、分析できるようになるというのが、非常に大事なポイントだと考えています。

ということで、チャートの分析が大事だということがおわかりいただけたかなと思います。最初は、チャートの数字ばかり読む、ということが多いと思うんですね。

例えば、移動平均線を計算するとか、ここからここまでで何パーセント下がったとか、そういうことが大事だと勘違いされる方が非常に多いんですが、大事なのはそこじゃないんです。

その時、投資家は何を考えているのか? その数字の裏にいる人間たちは何を意図して、そういう動きをしたのか? どうしてそういう動きを取ったのか? その後、どういう動きを取ったのか?

何を考えてどのように行動する特性があったのか、人間について理解をすることが一番大事なポイントだと思います。つまり、チャートは突き詰めていくと、心理学になっていきます。

実際に、アメリカの精神分析医、アレキサンダー・エルダー博士という方もチャート分析に非常に長けてらっしゃいます。心理学者はチャート分析が非常に得意だとも考えられています。

精神分析医や心理学者は、チャートから投資家のどのような心理を読み取るのか? 心理学を駆使して、チャート上で一番の買い時はいつなのかを考えていくと、統計的にも利益を出しやすいタイミングが見えてきます。

ですので、ぜひこのチャート分析をやってみていただいて、利益を出しやすいトレードノウハウを身につけていただければと思います。

本日のまとめ

今回のまとめは、以下のとおりになっております。

「チャート分析をすることで、流行に振り回されず着実にスキルアップできる」とお話ししました。ニュースでは変化が激しすぎて、せっかく身につけた知識もすぐに使えなくなってしまうので、ノウハウ、スキルと言うにはちょっと浅すぎると考えています。

逆に、企業分析のような、職人芸のもノウハウとして身につけるのは難しいです。1企業の分析に、最低でも数時間、長くて数十時間かけることになると思うので、スキルを身につけるのに数年、長くて10年かかると考えています。ですので、非常に難易度が高いと思います。

一方で、チャート分析は誰にでもできますし、タダの情報源があるので、比較的楽にスキルアップできると考えています。

もちろん、高度なことをやるには、心理学や統計学を学ばなければいけないんですけれども敷居が低いんです。

そういう知識がなくても、着実に利益を出す仕組みを作ることができるのがチャート分析だと思っていますので、ぜひチャート分析をしていただければと思います。

チャート分析をする一番の理由は何かというと、トレード法を開発するには、チャートから、「投資家たちが、今何を考えているのか?」「どういう感情を抱いているのか?」「これからどうやって動くのか?」「なぜあの時、投資家たちはこういう判断をしたのか?」という人の心の動きを読み解くスキルを身につけるのが大事です。

突き詰めていくと、心理学になっていくんだと思います。このチャートから投資家の心理を読み解くスキルが継続的に利益を生み出すために必要不可欠なスキルだと考えています。

ということで、このチャート分析が非常に重要だということがおわかりいただけたかと思います。ぜひこれをきっかけに、「チャート分析やってみよう」と思っていただければ幸いです。

チャートを読むときに、数字は大事じゃないです。数字は結果でしかないんです。その結果が出た背景・過程に、「投資家たちが何を考えたのか?」と。ここを想像して、トレード法を開発していただければと思います。

一番大事なのは、その数字の裏にいる人間です。その人間たちが今何を考えているのか、これからどういう動きをしていくのかが手に取るようにわかるようになれば、利益を出せるトレーダーに近づいていけると思います。

今回は以上で終了いたします。最後までご視聴いただきまして、ありがとうございました。

<続きは近日公開>