2018年5月期第2四半期決算説明会

鎌田和樹氏(以下、鎌田):ただいまご紹介に預かりました、UUUM株式会社の鎌田です。本日はお忙しいところ、決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

弊社の2018年5月期第2四半期までの決算説明を開始いたします。お手元の資料もしくは、スライドのご確認をお願いします。

まず冒頭で、弊社の経営理念として、「セカイにコドモゴコロを」という言葉をお伝えできればと思っております。私たちの会社は、みなさまの前で話す機会が少ないので、あらためてご説明できればと思います。

よく、「子どもに向けたメッセージ、経営理念ですね」というお言葉をいただくのですが、そうではありません。

私たちは、「新たな文化・価値を創造するコンテンツカンパニー」という表現をしています。弊社がアウトプットするものによって、ワクワクしていただくということです。変な言い方かもしれませんが、「世の中に対して、童心に帰るような影響を与える事業を、行っていきたい」というところから、「セカイにコドモゴコロを」という言葉を、経営理念に掲げています。

INDEX

3ページです。今回お話しさせていただくのは、大きく分けて4つのポイントです。

第2四半期までの決算概要・業績見通しに対する進捗率・トピックス・下期~来期に向けたポイントの、4点です。

2Q業績ハイライト

5ページです。資料のいちばん左の青くハイライトした部分が、2018年5月期第2四半期の業績です。

第2四半期単体の業績は、売上高が24億8,500万円。粗利益が7億4,400万円。販管費が6億200万円。営業利益が1億4,200万円。当期利益が8,900万円。

参考までに、資料のいちばん右に、前年同期比の数字を記載しています。

2Q累計業績ハイライト

6ページです。累計業績ハイライトのご説明です。

売上高が48億7,300万円。粗利益が14億7,200万円。販管費が12億1,300万円。営業利益が2億5,900万円。当期利益が1億5,900万円。

こちらも、資料のいちばん右に前年同期比の数字を記載しているので、よろしければご確認くださいませ。

売上高(四半期)推移

細かい各事業ポートフォリオのご説明に移ります。

7ページは、売上高(四半期)推移です。資料のいちばん右に、2018年5月期第2四半期の数字として、24億8,500万円と掲げています。

各カテゴリーを見るとおわかりのように、全事業で増収を達成しています。前年比で、179パーセントの増収です。

トピックスとしては、(2018年5月期第2四半期のグラフの)上から2段目に「2億9,400万円」と記載しています。こちらは、「クリエイターサポートその他」の分類です。上期に「U-FES.2017」と呼ばれる、大きなイベントがございました。それにともない、グッズの売上がございました。これらの2つが起因となり、売上の数字が大きく伸びています。

粗利益(四半期)推移

8ページは、粗利益(四半期)推移です。

2018年5月期第2四半期は7億4,400万円で、資料のいちばん右のグラフに記載のとおりです。先ほどお話ししたとおり、売上の増加にともなって、前年比で204パーセントの増益を達成することができました。

販管費(四半期)推移

9ページは、販管費(四半期)推移です。

今期(2018年5月期)に上場してから、既存事業関連・新規事業関連を分けて、括弧書きで表記しています。2018年5月期第2四半期で、販管費は6億200万円になっています。

営業利益(四半期)推移

10ページは、営業利益(四半期)推移です。2018年5月期第2四半期は、1億4,200万円になりました。補足までに、前期比の数字を四半期単位で出しています。

(2017年5月期第4四半期に)「マイナス5,700万円」と記載があります。これは、先ほどの販管費のページにもありましたが、一過性の費用や先行投資が発生したので、この四半期だけ、赤字になっています。

こちらの資料をご覧いただいたとおり、粗利益については、右肩上がりで順調に推移している状態です。

期末所属チャンネル数および3ヵ月合計動画再生回数推移

11ページに、弊社の最重要KPIとして、期末所属チャンネル数および3ヶ月合計動画再生回数推移を記載しています。

資料のいちばん右をご覧ください。(2017年)11月末時点で、チャンネル数(折れ線グラフ)が5,020チャンネル・3ヶ月合計動画再生回数(棒グラフ)が約76億回でした。

本来再生回数は、8月や12月など、夏休み・冬休みの季節に変動が発生するものです。しかし、資料をご覧いただいたとおり、動画再生回数・期末チャンネル数ともに季節性要因を超えて、すべて右肩上がりに推移しています。

四半期末の従業員数、臨時雇用人員数推移

12ページに、弊社のKPIの1つとして、四半期末の従業員数・臨時雇用人員数推移を記載しています。(2017年)11月の第2四半期末時点では、195人の正社員(従業員)と、22人のアルバイト(臨時雇用人員)を含むかたちになっています。

こちらの人数の投下は、新規事業の担当や、上場にともなうバックオフィス強化というかたちで、増加しています。

上期、通期業績見通しに対する進捗率

続いて、業績見通しに対する進捗率について、ご説明します。

14ページの、いちばん左(青いハイライトの部分)をご覧ください。

先ほどご説明したとおり、(2018年5月期上期は)売上高の約48億円から始まり、当期利益が1億5,900万円という業績となりました。

対上期計画進捗率です。売上高は、(上期計画の)37億7,600万円に対して、129パーセントの進捗率です。

粗利益は、(上期計画の)10億6,600万円に対して(実績が)14億7,200万円で、138パーセントの進捗率です。

営業利益は、上期計画の5,500万円に対して(実績が)2億5,900万円で、470パーセントの進捗率です。

当期利益は、(上期計画の)2,500万円に対して(実績が)1億5,900万円で、620パーセントの進捗率です。

対通期計画進捗率に関しては、資料のいちばん右をご覧ください。(売上高の)54パーセントから始まり、(当期利益の)61パーセントまでの進捗率ということで、現在順調に推移しています。

なお、次のページで、売上進捗率を記載しております。上期はかなり好調に推移しているものの、下期は新規事業や先行投資に費用を使っていきたいと考えています。実際の(投資)金額が不確定のため、今時点での上方修正は考えておりません。直近の業績や投資金額などがわかり次第、適宜必要であれば、開示していきたいと考えています。

事業別の売上進捗率

15ページは、ただいまお話しした事業別の売上進捗率を、グラフで表したものです。ご覧いただいたとおりです。資料の上段から、アドセンス・広告収益を記載しております。これらは、計画値どおりに進捗しています。クリエイターサポート事業は、先ほど申し上げたグッズやイベントなどが、上期で大きく進捗できたと思っております。

HIKAKIN & SEIKINの新曲『雑草』がiTunes総合で1位

続いて、第2四半期のトピックスをお伝えします。

17ページをご覧ください。弊社のトップクリエイターであるHIKAKIN&SEIKINの新曲『雑草』が、iTunesのMusic Storeで総合1位・レコチョクでも1位を獲得できました。

また、年末に行われたテレビ朝日系の『MUSIC STATION SUPER LIVE 2017』にも出演できました。この数年間で、かなり「YouTuber」という呼称を、YouTubeの中に留まらないところにも、進出させていくことができました。

誤解を与えないようにお話しすると、別に「YouTube以外をやりたい」というわけではありません。ただ、結果的に(YouTube以外へ)影響を与えるところまで、成長できたのではないかと思っています。

reel audition 2017 のちスタ

18ページをご覧ください。こちらは「のちスタ」という、後々スターになる子たちを発掘するプロジェクトです。女性インフルエンサーを対象としたオーディションを行いました。ご応募いただいた方が3,615人で、その中からグランプリに値すると思われる方を現在20名弱選定しています。この中から、また次のトップYouTuberを作っていきたいと考えております。

「のちスタ」スマホアプリに対応して、自薦・他薦問わずオーディションを行っており、日々UU数なども上がっている状態です。

新規加入大型クリエイター

続いて、(2017年)11月に行ったU-FES.2017で発表した、新規加入大型クリエイターのご説明です。2組のクリエイターが、弊社に所属するかたちになりました。

左側は「東海オンエア」というクリエイターで、11月時点での登録者数が約234万人です。右側は「恭チャンネル」というクリエイターで、こちらの登録者数が約81万人です。もともと、ニコニコ生放送で有名だったクリエイターです。

YouTubeだけではなく、ニコニコ生放送で人気のある方たちまでも、UUUMに加入してくれているということを、世間に対して大きくアピールできたと思っています。

カリスマブラザーズが聖火リレーに参加

20ページです。2018年冬季平昌オリンピックの聖火リレーに、弊社所属の「カリスマブラザーズ」というクリエイターが参加しました。こちらは、コカ・コーラ社さまとの取り組みです。

先ほどお話しした「レコチョクで1位」や、このようなもの(聖火リレーの参加)からおわかりのように、「YouTuber」という言葉が「YouTubeの中で活動している人」を指すだけではなく、それ以外に影響を与えるほど、成長してきたということです。

よく、「クライアントの数は?」「どこと取引しているのか?」という観点で、どうしても「怪しいのではないか」というご意見もいただきます。しかし、聖火リレーのように、正式なものにも参加させていただいています。

これは、また大きくレピュテーションを上げていく取り組みだったと考えております。

U-FES.2017開催

21ページです。「U-FES.2017」というイベントを、昨年(2017年)11月18日に、パシフィコ横浜国立大ホールで開催することができました。

弊社はこのU-FES.という取り組みを、もう3年以上やっています。「YouTuberを、世の中に知ってもらいたい」「お祭りのようなものを毎年やることが、僕たちの啓蒙活動における、使命なのではないか?」という思いから、開催しているイベントです。

こちらのU-FES.2017では、過去最高の1日約1万2,000人のファンを集めることができました。

U-FES.2017 トピックス

22ページです。資料の右のTwitterのトレンドでも、1番目が「UUUM」、2番目が「#ufes」、3番目が先ほどお話しした(弊社に)加入いただいた「東海オンエア」となり、独占することができました。

リアルなイベントをやりながら、ネットでも噂になるということで、あらためて弊社に所属しているクリエイターの、インフルエンサーとしての力を発揮できたイベントだったと考えています。

青鬼3 リリース

23ページです。昨年(2017年)から取り組みを強化しているゲーム分野において、この度12月に、『青鬼3』をリリースさせることができました。著作権者さまから権利を借りてリリースしているものの、第3弾です。累計で、400万ダウンロードを突破しました。

「どうしてもこのゲームを実況したい」というクリエイターが、多くいます。(人気の高い)『青鬼』を実況するほど、再生回数が増えます。それが結果的に、弊社のダウンロード数につながり、広告収益を押し上げているビジネスです。

当社が優先すること

冒頭で申し上げたとおり、弊社はみなさまの前でお話しする機会がなかなかありませんでした。この決算説明会を機会に、お伝えしたいことをいくつか挙げています。

弊社は昨年(2017年)の8月30日に、マザーズに上場させていただきました。現時点で弊社は、「トップライン(売上)を伸ばし続ける」ことを、最優先にしていきたいと考えています。

動画広告市場の見通し

こちらは、昨年(2017年)11月末にサイバーエージェント社さまから発表された、直近のインターネット動画広告の市場の見通しです。その11月末で、データはアップデートされています。以前よりもさらに右肩上がりとなり、例えば2020年では、2,700億円まで上昇しています。私たちも、この資料をもとにたびたびご説明していました。

(動画広告市場の平均成長率が)引き続き上方修正されているところから、このインターネット動画は、世の中のすべての媒体に置き換わっていくと捉えています。僕たちも、さらに突っ込んでいきたいと考えています。

中期的な営業利益イメージ

そのわかりやすい一例として、27ページに2本のグラフを記載しています。このグレーのグラフが、僕たちの事業が、クリエイターのサポートのみ(既存事業)にとどまった状態です。例えば、新しい動画フォーマットに取り組まないまま、成長を続けた場合のイメージだと考えてください。

一方、青い矢印が付いたグラフをご覧ください。今後は、このグラフの成長イメージを目指していきたいと考えています。先ほど申し上げたような、さまざまな新規事業や自社メディアへの先行投資を行うことにより、中長期的な経営に努めていきたいと考えています。

「先行投資(をする)」と言っても、もちろん投資家のみなさまに対して、販管費はしっかり抑制・管理していくことを認識しています。資料の右の青い太字のとおり、販管費増加は抑制し、粗利益率のさらなる改善を目指し、中長期的な営業利益率を10パーセントにすることを掲げています。

ちなみに、昨年2017年5月期の営業利益率は、約5パーセントでした。もちろんこれは、急には10パーセントになりません。着実に上げていきながら、最終的な目標として(営業利益率の)10パーセントを、目指していきたいと考えています。

トップライン(売上)を伸ばし続けるため

トップラインを伸ばしていき、中長期的な経営をしていくために、今後はこちらの5つをやっていきたいということを、私からお伝えできればと思います。

1.コンテンツの更なる健全化

1つ目は、「コンテンツの更なる健全化」です。昨今はどうしても、インターネット動画に対するリテラシーや、コンテンツの中身に注視されていることを、私たちも認識しています。

こちらは、そもそも私たちがIPOする以前から、「完全なコンテンツチェック体制」があり、「所属しているクリエイターの動画を、弊社でチェックしています」というかたちで、しっかりと世の中にご説明しています。今後はそのチェックを、さらに厳重にしていきたいと考えています。「何がいいのか・悪いのか」(の判断)については、どうしても個人個人の感覚が、正直強く影響すると思っています。

世の中にもBPOなどがあり、その中で一定の(いい・悪いの判断の)ラインができ始めています。これらに適宜対応していきたいという点において、ガイドラインの更新を行っていきます。私たちの場合、すべてのトップクリエイターは、半年に1回の集合研修を必ず行っています。最近のトレンドを受けて、「このようなことは、してはいけないよ」ということを、常に伝えています。

資料の右をご覧ください。昨年(2017年)発表した任天堂さまとの取り組みから、主要なIPホルダーさまへ、いろいろなお声がけをしています。時期がきたら発表できると思いますが、IP許諾についてのお話を、さまざまな会社さまと交わしている最中です。

2.タイアップ商材の多様化による売上拡大

2つ目は、「タイアップ商材の多様化による売上拡大」です。弊社の売上の大多数が広告だということは、ご存じだと思います。その中で企業さまから、例えば「これを紹介してくれないか?」というかたちの「タイアップ広告」を、創業以来獲得してきました。極端な話、バジェットがどんどん増えていく中で、最近のトレンドには、コンテンツの中身やフォーマットがあります。

(タイアップ商材で)いちばん短いものでは、「1つ(SNSで)呟いてくれ」というものがあります。これが最近は「オリジナルドラマを作ってくれ」など、かなり多種多様に変わってきています。ほかにも、リアルイベントの実施や、長期契約などがあります。また、「海外に行ってきてくれ」という案件も増えてきています。

最近で言うと、インフルエンサーを使った、さまざまなタイアップ案件が増えてきています。弊社としても、それに対応するべく、メニューの多角化・多様化をしていきたいと考えています。

3.新チャンネル立ち上げへリソース投下

3つ目は、「新チャンネル立ち上げへリソース投下」です。2015年7月から、講談社さまと取り組んでいる「ボンボンTV」をはじめとする、いくつかのチャンネルが存在しています。

タイアップの延長線上にあるものは、企業さまの「自分たちでメディアを持ちたい。しかし、YouTubeでいきなり1万回も再生されるような動画を作ることは、難しい」という思いです。これを受けて、「メディアを一緒に作りませんか?」という引き合いが、とても増えてきています。これこそまさしく、弊社がこの何年間かで培ったYouTubeのノウハウや、インフルエンサーを自社で抱えていることの強みを活かし、そこからの垂直立ち上げができるということです。

自社メディア・新規チャンネル立ち上げに対するリソースを、社内でも積極的に投下していき、こちらの事業を伸ばしていきたいと考えています。もちろん自社チャンネルなので、クリエイターをサポートするよりも、高い収益率が確保できるので、こちらに集中していきたいと考えています。

4.専門性に特化した体制に向けた組織再編

4つ目は、「専門性に特化した体制に向けた組織再編」です。トップラインを伸ばしていくために、組織も変更させていくことを考えています。

1年前は100名ちょっとだったメンバーが、現在は200名を超える体制になっています。

従来の、クリエイターをただサポートする事業から、イベントやグッズなど多種多様に広がっているビジネスに対して、組織再編を行っています。責任者の育成ができていることを受けて、権限を委譲し、もっとフラットでスピード感のある組織を作り、売上増加を目指していくことを掲げています。

5.共通費抑制

5つ目は、「共通費抑制」です。トップラインを伸ばすことには直結しないと思いますが、利益率の向上の観点から、今期はバックオフィス系の人数を一時的に増やしました。

その整備も終わったので、同じようなかたちで人を増やしていくことは、来期には計画していません。そのため、結果的に販管費の抑制につながると捉えています。

以上で、2018年5月期第2四半期の決算と、それにともなう下期~来期に向けた取り組みの、ご説明とさせていただきます。ありがとうございました。

質疑応答:クリエイターの成長と独立について

質問者1:いちよし経済研究所のナヤと申します。3点ほど、お願いします。

1つ目に、今後の新規投資および先行投資について教えてください。上期の業績が良く、新規・先行投資をする可能性があるとのことですが、最小・最大で、どれぐらいの金額を投資されますか?

人材投資等も含めて、どのようなところへの投資を考えているのか、教えてください。

鎌田:新規事業に関して、いちばん注力するポイントは、先ほど申し上げた「自社メディアの立ち上げに注力する」ことだと、お考えいただいて大丈夫です。

ただ、実際の投資金額につきましては、今精査中です。確定次第、おそらく下期に、通期の見通しが出てくると思います。

渡辺崇氏(以下、渡辺):そうですね。(下期は)まだ半年あるので、何が起きるかわかりません。当然、状況は変わる可能性があります。

第1四半期・第2四半期に計上しているものから、大きく増えることは、現状は想定していません。ただ、まだ先行きがわからないところがありますので、そのあたりが見え次第、通期の見直しに関しても、検討させていただきたいと思っています。

質問者1:ありがとうございました。

2つ目に、グッズ・イベントの進捗が非常に良かったとのことですが、この背景について教えてください。

「思いのほか上手くいった」という類の上振れなのでしょうか? それとも、従来からの御社の取り組みの結果として、当然のものなのでしょうか? そのあたりを、どのように認識されているか、伺いたいです。

鎌田:弊社の上期は、6月からスタートしています。今回(2018年5月期)は、(2017年)8月に大きなイベント(「う祭 ~UUUM CARNIVAL~ 2017夏」)と、11月に大きなイベント(「U-FES.2017」)がありました。

年間スケジュールの中で、イベントを上期により合わせる傾向があり、このような結果になったと思っています。

先ほどお話ししたグッズの部分につきましては、イベントの成功に連動して売れたということです。グッズが売れると、今度はほかのクリエイターも「(イベントを)やりたい」と言い始めるので、良いスパイラルができたと思っています。

質問者1:ありがとうございます。

3つ目に、御社の経営に関わる部分について、教えてください。

トップのYouTuberさんは、ファンの数・影響力・年収の部分などが、どんどん成長していると思います。どこの会社でも起こることですが、成長していくと、独立したい人が出てくると思います。

それに対して、鎌田社長は、今どのような考え方をしているのでしょうか? 今後、どのように対処するのが正しいと考えているかを、教えてください。

鎌田:弊社のホームページにも記載しているのですが、「独立する」ということは、裏返しとして、「所属することに対して、メリットが薄い」と取れると思います。

その点、私たちの手数料体系では、クリエイターに(収益を)多く返せるような仕組みになっているのが、(メリットの)1つです。

現時点で、クリエイターの収益についても、私たちが管理しています。変な話ですが、彼らが1人で(独立して)やるよりも、UUUMから(得られる)対価のほうが見合っているということで、(UUUMに)残ってくれています。

先ほどお話ししたとおり、クリエイターが成長する過程において、単純にYouTubeに動画を投稿するだけではなく、曲やグッズなどを発表するようになってきました。

彼らは自分たちの影響力を使い、次のことにチャレンジしたいと思っています。その部分に対して、私たちも一緒になって歩んでいきます。そのため「(UUUMから)出ていくことがマイナスか」と言われると、一緒に成長していける(プラスである)のではないかと考えています。人によるかもしれませんが。

質問者1:ありがとうございました。

質疑応答:動画の再生回数とアドセンスの関係について

質問者2:立花証券のクリハラと申します。

質問者2:動画の再生回数が、基本的に右肩上がりとのことでした。このアドセンスと広告の収入が、2017年5月期第4四半期から2018年5月期第2四半期にかけて、ほぼ横ばいで推移しています。これは、動画の再生回数とはあまり比例しないのでしょうか?

鎌田:アドセンス……資料の、何ページ目でしょうか?

質問者2:7ページ目です。

鎌田:一言で言うと、季節性という答えになってしまいます。第1四半期から第2四半期が、なだらかに右肩上がりしています。弊社の場合、第4四半期は3月・4月・5月を指しています。

こちらは、対外的に見ても、かなり好調な数字が出やすい時期になっています。昨年の第4四半期と比較しても、上昇しているというところから、季節要因が大きいと思っております。

補足で申し上げます。再生回数は右肩上がりなのに、(アドセンスが)緩やかだということに関して、ある月は広告予算が多くて、単価が上がっていくと、ある月だけは少ないというところから計算した結果、このようになっています。

質問者2:基本的に比例はするものの、単価要因でこうなるということですね。

鎌田:そうですね。

質問者2:わかりました。どうもありがとうございます。

質疑応答:中期的な営業利益イメージについて

質問者3:エース経済研究所のサワダと申します。ご説明ありがとうございました。

1つ目の質問です。「トップライン(売上)を伸ばし続ける」ことを優先するとのことでした。これと、27ページの中期的な営業利益イメージについて、教えてください。

「トップラインをとにかく伸ばし続けること」と、「営業利益の目標を長期的に設けること」が、逆に矛盾しているように見えてしまいます。このあたりについて、ご解説をお願いします。

鎌田:矛盾ですか?

質問者3:トップラインを伸ばし続けるためには、あえて低収益の分野に踏み込むことも必要です。それが投資の一部……27ページの、少し利益が落ち込むことにつながっているのではないかと解釈しました。

「中長期」が何年かわかりませんが、最終的な目標として「営業利益率で10パーセント」という数字を持っていると、それが達成された時点で刈り取りを行うのでしょうか? ある程度目処が付いたら、また利益にシフトするのでしょうか? そのあたりのイメージを教えてください。

鎌田:なるほど。27ページのグラフが極端なので、一時的に青いグラフだけを見ると、「順調なところを、むしろ減益してでも伸ばすのではないか?」と捉えられていると思います。

計画したものは実行しますし、それ以上のものについても(順調なところを)過激に落としたくはないと、ご理解いただきたいです。

「トップラインを伸ばし続けるための先行投資を、いつまで行うのですか?」ということについて、お答えします。僕たちがいる動画広告市場は、まだかなり伸び続けています。そこに対してのイニシアチブを取りにいくために、市場が伸びているときには、引き続き先行投資を行っていきたいと考えています。

渡辺:少し補足いたします。我々の収益構造を見ていただくとおわかりのように、タイアップやアドセンスに関しては、粗利益率が20パーセントから20パーセント後半になってしまうところが、現在の収益構造です。

今新規投資をしているものに関して言うと、先ほどお話しした自社メディアも含めて、粗利率が高いものになり、投資しているタイミングでは費用が先行しますので、収益を押し下げる格好になります。

それがちゃんと実ってくれば、粗利率を上げてくるかたちになってきますので、収益性を最終的に押し上げていくということです。

また、先ほど鎌田から申し上げたように、今期は粗利と販管費がほぼ同じようなかたちで増えてしまっています。ただ、今後は、粗利益が増えてくるペースに対して、販管費が増えるペースは抑制されてきます。そことの合わせ技で、(中長期的に)営業収益率を10パーセントにしていくイメージを、持っていただけたらと思います。

質問者3:ありがとうございます。

2つ目に、28ページについて教えてください。

先ほどの質問とも絡めて、トップラインを徹底的に伸ばし続けるためには、「1.コンテンツの更なる健全化」が、非常に重要かと思います。これについて、新しい取り組みや、現状で最も力を入れている部分があれば、教えてください。

鎌田:トップラインを伸ばす中で、「コンテンツの健全化」に関しては、特別に強化しているというより、僕たちがずっとやってきたものを、あらためて可視化させていただきたいという意味で、記載しました。

現時点では、先ほどお話ししたように、「かなり厳格なコンテンツチェック体制をとっている」部分に力を入れています。

さらに、昨年(2017年)からの任天堂さまとの取り組みを含めて、次のフォーカス的な(IP利用の)許諾獲得に向けて、IPホルダーさまといろいろなかたちでお話しさせていただいています。これが、実ってくればと考えています。

質問者3:ありがとうございます。

3つ目に、32ページの組織再編について、教えてください。「もっとフラットでスピード感のある組織を作る」とのことでしたが、これを重視する理由を伺いたいです。

鎌田:従来で行っていた、クリエイターをサポートするというだけの事業から、グッズ・イベント・自社メディア・ゲーム等を作るように、事業や収益構造が多岐に渡ってくることが、想定されています。

そこに対して各責任者を置くことにより、よりスピード感を持って対応できるのではないかなと考えているので、今回の体制にさせていただきました。

質問者3:とてもよくわかりました。どうもありがとうございました。