2018年3月期第2四半期決算説明会

長峯豊之氏:本日はお忙しい中、2017年度第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は代表取締役社長の片野坂がかねてより予定していた出張で不在のため、私からプレゼンをさせていただきます。

1点目として2017年度第2四半期決算の概要、2点目として2017年度通期業績予想の修正、3点目として事業戦略・航空事業の進捗について、4点目として財務戦略・資本政策について。以上4点についてご説明いたします。

決算概要

2017年度第2四半期決算概要です。主力の航空事業において、国際線事業を中心に成長戦略を推進してきました。

国内線事業や貨物事業も含めてANAブランドが増収に大きく貢献したほか、LCC事業も就航路線を徐々に増やしながら高い座席利用率を維持するなど、グループ全体でエアライン事業領域を拡大してまいりました。結果、上期の売上高は前年同期比で11パーセントを超える大きな増加となりました。

一方、費用面については、事業の拡大を進める中、コストマネージメントに取り組んでいますが、整備関連費用や人件費を中心に営業費用は前年同期比で約9パーセント増加いたしました。結果、連結営業利益は上期として初めて1,000億円を超える1,150億円となり、増収増益決算となりました。

経常利益ならびに親会社株主に帰属する四半期純利益を含め、すべての利益段階で過去最高を更新いたしました。

右のグラフは、過去5年間における上期の営業利益ならびに営業利益率の推移です。ご覧のとおり、業績は4年連続で向上しており、成長戦略を推進してきた成果が着実に表れています。

通期業績予想

続いて、今年度の通期業績予想の修正内容についてご説明いたします。

売上高と費用については、上期の実績に加え、整備関連費用の増加など下期の見通しを反映いたしました。その結果、営業利益ならびに経常利益はそれぞれ通期で100億円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は70億円の増加見込みとなる上方修正を行います。

なお下期の収入諸元ならびに市況前提は、当初計画からの修正はありません。10月1日を効力発生日とする株式併合を実施して、単元株式数を変更しましたが、配当については1株あたり60円を予定し、年度当初の計画を据え置いています。

事業戦略

事業戦略に関する内容として、今年度の航空事業の進捗についてご説明いたします。国際線旅客事業においては、アジア・北米路線を増便した一方、新型機材の投入によりプロダクト・サービスの強化を進めています。今後も生産量の拡大を継続して、当社グループの成長を牽引してまいります。

国内線旅客事業は、小型機材を活用して需給適合を推進するとともに、柔軟な運賃戦略で収入の最大化を追求して、グループの収益基盤をさらに強化していきます。

国際線貨物事業は、旺盛な需要を取り込みつつ、運賃の改定などによってイールドを向上させました。一方で、旅客便ネットワークの拡大に合わせてフレイターの生産量を抑制しています。貨物便ネットワークの再構築により、事業の収益性を改善させています。

LCC事業について、バニラエアではイールドマネジメントを強化して増収につなげました。主力の台湾線でも競争力が回復するなど、業績は着実に向上しています。

Peach Aviationは、9月の下旬から仙台空港を拠点化して、新たな路線に就航しました。今後も両社がそれぞれの強みを活かしながら日本やアジア地域で活躍していくように、グループ経営の立場からもサポートしてまいります。

一方、コスト面についてですが、今後の成長に備えるための経営の基盤固めとして、安全、品質サービス、さらに人材に関する投資を強化しています。

安全のさらなる堅持を最優先課題として取り組み、基本品質の徹底にこだわります。人材については、労働市場の受注バランスを見極めながら、将来に備えた安定的な確保に努めてまいります。

財務戦略

最後に4つ目のテーマとして、8月31日に適時開示した転換社債ならびに自己株式取得についてご説明いたします。

左の図で示しているとおり、今回実施した財務・資本政策の企図は、成長戦略の推進と資本の再構成を同時に追求したことであります。

まず、成長資金の確保です。今後の収益拡大の源泉となる航空機投資に700億円を充当する予定です。引き続き成長投資を優先して、将来のビジネスチャンスを着実に取り込んでいます。

次に、自己株式の取得です。来年の3月末までに最大700億円の買い付けを実施する計画です。これまでは資本の蓄積を充実してきましたが、今後は資本効率の向上へと資本政策を転換する考えです。また、資本の一部を返還して資本コストを抑制するとともに、1株あたり株式価値の向上につなげてまいります。

これらを実現するためのスキームとして、転換抑制型のCBを選択いたしました。ゼロクーポンによる有利な条件での資金調達であることに加え、希薄化を最大限に抑制して既存株主のみなさまに配慮をした、そういった設計になっています。

右の図は、財務指標の推移です。資本政策実施後の財務状態を確認しています。特段大きな変化が生じることなく、財務の健全性を維持していくことが可能です。引き続き最適な財務基盤を下支えとして事業戦略を加速することで、将来の企業価値向上を追求してまいります。

【参考】ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債・自己株式取得の概要

今回実施した取引の概要について、8ページにお示しをしておりますのでご確認ください。

業績ハイライト

第2四半期決算の業績ハイライトを、四半期ごとの業績推移とともにお示ししています。右上に記載しているとおり、第2四半期3ヶ月の業績は、営業利益が896億円、純利益が673億円、EBITDAが1,270億円となり、すべて過去最高を更新しています。

連結決算概要 経営成績

経営成績の概要です。売上高は前年同期比1,000億円、11パーセント増加の9,850億円となりました。一方、営業費用は前年同期比745億円、9パーセント増加の8,699億円となりました。

その結果、営業利益は前年同期比28パーセント増加の1,150億円、経常利益は前年同期比35パーセント増加の1,127億円となりました。

親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比609億円増加の1,183億円となりました。なお、Peach Aviationの連結化による株式評価益として、約340億円の特別利益を計上しています。

連結決算概要 財政状態

財政状態です。総資産は前年度期末より2,685億円増加の2兆5,829億円となりました。転換社債の発行に伴う1,400億円の資金調達や、Peach Aviation株式会社の連結化に伴うのれんの計上が影響しています。

自己資本は前年同期比948億円増加の1兆139億円となりました。9月末までに216億円の自己株式取得を実施していますが、期間利益の積み上げにより、自己資本は増加しており、自己資本比率は39.3パーセントとなっています。

有利子負債は1,139億円増加の8,438億円となり、D/Eレシオは前年度期末と同水準の0.8倍となっています。

連結決算概要 キャッシュフロー

キャッシュフローです。営業キャッシュフローは利益の増加に加えて、上期における法人税の支払額が減少しましたこと等に伴い、前年同期比927億円増加の2,065億円の収入となりました。

投資キャッシュフローは、航空機を中心とした設備投資や、Peach Aviation株式会社の株式を追加取得したことなどにより、2,108億円の支出となりました。

財務キャッシュフローは、転換社債の発行等による資金調達を行った一方で、既存社債の償還、借入金の返済、配当金の支払い、自己株式の取得を実施したことに伴い、ネットで671億円の収入となりました。

3ヶ月超の定期ならびに譲渡性預金の資金移動を除いた投資キャッシュフローから算出される実質的なキャッシュフローは、前年同期比409億円増加して、398億円の収入となりました。EBITDAは1,891億円。EBITDAマージンは19.2パーセントで、それぞれ過去最高となっています。

連結決算概要 セグメント別実績

セグメント別実績です。売上高は航空事業のみならず、すべてのセグメントで前年同期を上回っています。

航空事業 営業利益増減要因

航空事業における営業利益の前年同期比較です。売上高は962億円の増加となりました。国内旅客・国際旅客・貨物郵便、いずれの事業も増収となっています。

またその他の収入に含まれるLCC事業としては、バニラ・エア株式会社の収入が前年同期から約1.4倍に拡大した他、新規に連結したPeach Aviation株式会社も売上高の増加に貢献しています。

営業費用は717億円の増加となりました。事業規模の拡大に伴い、生産連動ならびに収入連動の費用が増加した他、年度当初において計画して説明したとおり、整備費が増加しています。

以上の結果、営業利益は前年同期から245億円増加して1,092億円となりました。なおユニットコストについては、下段の表の記載のとおり、計画に沿ってコントロールされています。

航空事業 国内旅客事業(事業動向)

国内旅客の状況です。左の図は上期の増収額77億円の要因分析です。旅客数要因では、総需要が堅調に推移する中で、低需要便への対策として、プロモーション運賃・旅割を積極的に展開したことに伴い、155億円の増収となりました。一方、単価要因では客体構成の変化等に伴い、80億円の減収となりました。

右の図でご確認いただけるとおり、需給適合を進めることで座席利用率を着実に向上してまいりました。第2四半期単独では71.5パーセントまで利用率が上昇しており、上期の実績68.2パーセントとともに、当該期間として過去最高を更新しています。

航空事業 国際旅客事業(事業動向)①

国際旅客事業の状況です。左の図は上期の増収額363億円の要因分析です。旅客数要因では、生産量の拡大に合わせて需要を幅広く取り込んだことで、165億円の増収となりました。単価要因では高単価需要の取り込みが奏功したこと、ならびにイールドマネジメントを徹底した効果に伴い、200億円の増収となっています。

航空事業 国際旅客事業(事業動向)②

方面別の供給と需要の推移です。第2四半期の旅客キロは、いずれの方面も前年を上回る実績となりました。中国方面では依然として市場全体の供給量は高止まりしておりますが、第2四半期は個人旅行を中心とした訪日需要の取り込みが奏功いたしました。この結果、第1四半期に60パーセントを下回っていた座席利用率は、第2四半期では77パーセントまで向上しました。

航空事業 国際旅客事業(事業動向)③

こちらのスライドでは、販売地別ならびにクラス別、当社の需要を分析しています。各グラフは2017年度上期の実績を前年同期と比較したものです。

水色は羽田発着の旅客数、青色は成田発着の旅客数を表しています。前年同期における両空港の合計旅客数を100として、今年度の実績をお示ししています。

初めに左の図でございますが、日本発売の旅客数は、堅調な業務渡航需要を着実に捉えたこと、テロの影響で減少していた欧州線のレジャー需要が回復してきたことなどに伴い、前年を上回りました。一方海外販売についても、アジア線における訪日需要が大きく増加したことなどで、ほぼ同等の伸び率で拡大しています。

業務渡航需要の獲得が奏功したことは右の図でもご確認いただけます。ビジネスクラスの旅客数は羽田発着路線を中心に14パーセント増加しており、エコノミークラスを上回る伸び率となりました。引き続き、羽田と成田の両空港を活用することで、幅広く需要の取り込みを進めてまいりたいと思います。

航空事業 国際貨物事業(事業動向)

続いて、国際貨物事業の状況です。左の図は上期の増収額129億円の要因分析です。重量要因では、輸出入貨物や中国発北米向け三国間貨物の取り込みが奏功した結果、45億円の増収となりました。また単価要因の増収は85億円となりました。堅調な需要動向を背景に単価は大幅に向上してきました。

航空事業 LCC事業(バニラエア)

LCC事業の実績として、本ページにバニラ・エア株式会社の状況を、28ページにPeach Aviation株式会社の状況をお示ししています。

両者とも需要を着実に取り込んだことで、高い座席利用率を維持しています。とくに第2四半期単独期間において90パーセントを迫る実績となりました。決算結果については以上です。

2017年度通期業績予想 連結業績予想

2017年度の通期業績予想についてご説明いたします。売上高は前年度から9パーセント増加の1兆9,250億円、営業利益は10パーセント増加の1,600億円を見込みます。

当初の予想との比較では、売上高で150億円、営業利益では100億円の上方修正となります。経常利益・当期純利益については、それぞれ1,500億円・1,320億円を見込みたいと思っています。なお下段に記載しているとおり、為替・原油の市況前提については当初予想からの変更はございません。

2017年度通期業績予想 セグメント別業績予想

セグメント別業績予想です。すべてのセグメントにおいて、増収増益を見込むことに変更はございません。航空事業を中心に、それぞれ当初予想から内容を修正しておりますので、ご参照いただきたいと思います。

2017年度通期業績予想 航空事業収入・費用予想

最後に航空事業における収入・費用の計画値についてご説明いたします。売上高は前年度から1,556億円増加の1兆6,920億円、営業費用は1,431億円増加の1兆5,400億円を見込みます。

当初予想との比較で、売上高は180億円の修正となりますが、下期における旅客事業・貨物事業の収入前提は、生産量を含めて当初の計画からは変更してございません。

営業費用では燃油費で50億円の減少。一方で、燃油費以外の費用で120億円の増加を織り込んでいます。

整備関連費用の増加が主な要因で、整備外注単価が当初の計画よりも上振れていること、ならびに下期の整備計画を、来期も見据えて精査したことなどを反映しています。

以上により、今年度の航空事業における営業利益は、前年度から124億円の増加。当初計画からは110億円の増加となる1,520億円を見込んでいます。

私からのご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。