第32期(H29/6)連結業績

秋本淳氏:それでは、終わりました第32期(平成29年6月期)の決算と今後の見通しということで、説明をさせていただきたいと思います。

残念ながら、売上が大きく減っています。売上が38億4,700万円で着地いたしました。前期比でいいますと、約6億円のマイナス。グラフをご覧いただくとおりなのですけれど、このぐらい減りました。

ただ、いろいろな要素があって、粗利がそれほど大きく出なかったので、5,000万円ぐらいの減収になんとか抑えられました。これにはいろいろな要素があります。

為替の影響もありました。あとは新製品やいろいろな開発案件など、そういう粗利がうまく取れないような要素がたくさんありました。それに対して減ったところに関しては、逆に言うと、そういう案件がだいぶ利幅も改善したということ。

それから、もちろんコストダウンについての取り組みが一生懸命できたこともありまして、大きく粗利を損なうことなく、着地できたということになりました。

一方、販管費に関しては、(前年同期の)21億円が(今期は)17.8億円ぐらいですか。トータル3億5,000万円の削減ということで、着地いたしました。この要因の1つで大きいものは、やはり開発費ですね。研究開発費が1億3,000万円ぐらい、前期比で減っています。

これは、開発をすごく抑制したのかというと、実はそうでもありません。必要なことはやってきた中で、前期まではgeneLEADを中心に、だいぶ(遺伝子自動抽出)装置開発の費用がかかっていました。そういったところが(今期は)一段落して、少し落ち着いてきたのかなという感じがしています。

それから、その他の諸々ある要素については、一言ではちょっと言えませんが、残り2億円ぐらいですね。人件費が少し減っている。前期比で10人ちょっとぐらい減っています。

これはなにかと言うと、とくにリストラをしたわけではないのですけれど、海外に人員を割いたと言いますか。社内的にもいろいろなことで人員が配置され、辞めた補充等をせずに、なんとかやっているというところもあります。

(人が減ったと言っても)少人数ですから、10名程度ではそれほど大きな影響は出ません。そのあたりが減ったことがございました。それから前期は、大きく減損処理をしましたので、減価償却が大きく減っています。

そのようなことがありまして、販管費が非常に減りました。なんとか営業利益ベースでは、前期よりだいぶ改善したところです。まだ4億円ぐらい赤字ですけれど、けっこう改善がみられたということになっています。

当期利益は、前期は減損の影響がすごく大きく出ておりますので、ここはあまり一言では言えませんが、だいぶ赤字幅としては縮小したということで、第32期は着地いたしました。

第33期(H30/6)通期連結業績見通し

来期予算としては、(売上高が)通期50億円という計画をしております。これは、大きくはやはり(フランスにある)エリテック社ですね。geneLEADはOEM先で、フランスの会社でもここ2年ぐらい販売しています。

装置は徐々に今軌道に乗ってきておりますので、今期に関しても引き続き、好調な販売が予想されます。それと、FDAにも申請をするという手続きに入っておりますので、ヨーロッパはもう新FDAということで、医療系にどんどん入っています。

そういうことがありますので、装置が出ていくこと(で売上を上げていく)。それにともないまして、エリテックさんにはPSS(プレシジョン・システム・サイエンス株式会社。以下、PSS)から、遺伝子抽出試薬も提供しております。装置を使っていただきますと、試薬の販売も伸びていくと言うことができます。そのあたりの見通しが、1つございます。

それから最近、やはり自社販売にけっこう力を入れてやっています。終わった期の売上は、この(売上高予想の)うちの、まだ10パーセントもいかないぐらいですかね。3億数千万円ぐらいだと思います。それをとにかく伸ばすということで、今期はさらに倍ぐらいの、イメージの計画になっています。

ただ、まだ数字が小さいので、倍と言ってもそれほどすごい金額ということではないので、そのあたりを、いろいろなディストリビュータ中心に、自社販売をとにかくプロデュースしていく計画をしております。それによって、全部でプラス11億円ということで、(売上高)50億円という計画をしております。

粗利は前期並みと言いますか、利益率としてはそれほど変えていません。一方で、販管費に関しましては、今期はだいぶ落ちましたけれど、来期はまた少し上がる計画にしております。今は研究開発費を中心に、多少今期よりは積み上がるという予想が出てきております。それと、自社販売の体制作りですね。

この結果として数千万円ぐらいですけれど、プラス要因ということできております。したがって、(販管費は)プラス1億8,400万円ほどになっております。トータルではまだ、残念ながらちょっと営業赤字が残る、マイナス1億円と計画いたしました。これが、来期の見通しということにしております。

中期事業計画の見直しについて

次は、中期計画ですね。中計を一応出しております。ここ何年か、実はこの(資料にある)枕詞はほとんど変えておりません。つまり、遺伝子診断市場に行きますよということです。それに向けて(事業を進めております)。あとは、試薬・消耗品ビジネスへの事業転換です。これはぜんぜんぶれていないと言いますか、ずっとこの方向で進んできています。

中計の方針としては、資料に①、②、③と書いてあります。まず、①のOEM取引。既存先のOEM取引の深耕ですね。それと、新規OEM契約の獲得。とくに新規OEM契約につきましては、geneLEADですね。geneLEADは、うちには遺伝子自動抽出装置もございますが、geneLEADに関しましてもOEMを増やしていきたいと思っています。

今はエリテックだけですけれど、基本的にはいろいろな会社さんと、水面下ではいろいろな交渉を進めております。それを今期にはなにか1件ぐらい、公表できるようなかたちにまとめたいと思っています。そういったものを作りまして、geneLEADに関しても、自社販売とOEMと両方やります。そのなかで、新規OEM契約を獲得したいと思っています。

次は、②の自社(製品の)販売ですね。ラインアップの充実と販売強化ということで、今は海外、とくにヨーロッパではわりと体制が整いつつあります。おかげさまで、いろいろ人も入ってきてくれていますし、実はロシュ社から1人、ヨーロッパの社長をやり始めております。そのあたりでPSSの自社販売に、とにかく力を入れてやっていくということを、今行っております。

それは遺伝子自動抽出装置とgeneLEADの両方を含めております。今はgeneLEADは、自社販売としては、どちらかと言うと本格販売よりプレ販売みたいなかたちでやっています。将来的には抽出機ですね。今はmagLEAD 12gCという機械が中心ですけれど、抽出機とその抽出試薬(の販売を強化する)ということで、販売をかけています。

あとアメリカのほうも、今1名、役員である古川という人間(取締役の古川昭宏氏)が赴任しています。彼のような人がアメリカを中心に、当面兼務みたいなかたちで、ほとんどアメリカに軸足を置いて、いろいろな活動を始めようとしております。とくに人事発令は出していないのですけれど、やり始めております。

おかげさまで、株式会社日立ハイテクノロジーズさんとの提携を発表させていただきますが、日立のアメリカの施設などもございます。向こうの、日立ハイテクサイエンスパークさん。

あちらの会社も、一緒になにかやりましょうよということで、お声がけいただいております。できればそういうところでうまく入り込んで、一緒に事業展開させていただければ、ありがたいなというところです。

日立さんとの提携はもう少しご説明しますけれど、とくにアジア面ですね。日立さんは実は、日本・中国・韓国・台湾に、非常に(大きい)販売ネットワークを持っています。とくに我々としては、中国をうまく軌道に乗せていただけるとありがたいなと考えています。

そのあたりの自社販売の方針を明確に決めて、日立さんとタイアップして、なんとかやっていきたいと考えています。

あとは③の、試薬ビジネスをはじめとする製品コストダウンについて。つまり、コストダウンですね。利益率の向上を進めていきたいと思っています。ご存じの人はご存じだと思うのですが、試薬は売れてくると、わりと利幅が高いのですね。試薬自体は、それほど原価率が高くないですから。

ただ最初の立ち上げのときは、固定費倒れするんですね。どうしてもそこを乗りきって試薬ビジネスを広げないと、なかなかコストダウンに結び付けるのは厳しいです。抽出試薬の世界で、診断薬というものがございますが、ある程度競争もあります。

価格的にも、ある程度市場価格で決められてきてしまうところがあります。我々としては、やはり、さらにコストダウンを進めることで利幅を上げていくこと(を方針としています)。

これらの3つを大きな課題と掲げて、売上拡大と収益確保を進めるということであります。

1-1 分子診断市場の動向(市場トレンドの変化)

分子診断市場の動向についてご説明します。グラフに平成34年、つまり2022年と書いてあります。診断領域で、ここはもう間違いなく広がると思いますので、我々としてはそこの一角をなんとか担っていきたいと思っています。

1-2 中期事業計画(損益計画)

3ヶ年計画ということで、(売上高は)50億円、57億円、65億円と、ロジックを固めた数字を作ってあります。このぐらい行ってくれれば、収益的にも(平成32年6月期には)5億円ぐらいの営業利益が確保できるだろうという目論見で、計画を進めています。

1-3 OEM・自社製品別売上計画

売上の中身ですけれど、一番大きく伸ばしているのが直販(青色のグラフ)です。このあたりは自社販売をとにかく進めていて、3年後には売上の半分ぐらい(を占めたい)。今はだいたい、10パーセントぐらいだと思います。

(いずれは)半分弱、4割ぐらいを直販の自社販売製品でやっていきたいということで、なんとかこれを達成するために、今いろいろと努力を重ねているという段階になっています。

1-4 セグメント別売上計画

これはセグメント別の売上計画です。これも同じですけれど、やはり試薬・消耗品(赤色のグラフ)を大きく伸ばしていこうと(考えております)。自動化装置(青色のグラフ)についても、それほど減るという感じはないのですけれど、少し伸びてくる感じです。

試薬・消耗品は、(自動化)装置が出て使われると、それにともなって出ていく性質のものです。そこが試薬ビジネスのおもしろいところですから、なんとかそこを拡大していきたいということで、計画しております。

2-1 資本業務提携契約締結

これはすでに発表しておりますけれど、株式会社日立ハイテクノロジーズとの資本業務提携です。まだ(平成29年)5月にやったばかりですので、(投資家のみなさまには)今回初めてご説明します。

日立さんは遺伝子の検査業界では、非常にトップクラスの会社です。日立ハイテクノロジーズという会社ですね。やはり遺伝子検査に非常に興味があって、そこに向けていろいろな手を打っていきたいとおっしゃっている会社です。それで、PSSの装置に非常に興味を持っていただきました。

とくにgeneLEADに関しては、日立さんに実際1台買っていただきました。おそらく彼らは、社内で非常に検討したのではと思います。「これでいいのではないか」と言っていただきましたので、資本業務提携に発展してまいりました。

実際問題で、(この件について)話し始めたのが、ちょうど今から1年前ぐらいですかね。いろいろ始めまして、両社で月に1回必ず会合を開いて、主要メンバーで検討を重ねました。それで最終的に提携の方針が固まって、10パーセント株を持つということにも、応じていただきました。そのため、今回はそういうかたちになりました。今回、次の総会で正式に決定するのですが、昇さんという方が非常勤役員で当社に入ってくださいます。

提携方針ですけれど、1つ目は遺伝子抽出ですね。MagLEADシリーズと呼んでいる、うちの抽出機を日立ハイテクが販売する。これは実際には、具体的にどうやって売るかというのは詳細が決まっていません。したがってこれから先方とお話をします。

多分中国あたりが、1つのターゲットになると思います。なぜかと言うと、PSSは中国にあまり実績がないというところがあります。そのあたりを、日立さんにうまくやってもらえるのであれば、うちとしては非常にありがたい話です。まずは、そのあたりをどうするかということになると思います。

2つ目は、geneLEADという小型遺伝子検査システムです。今PSSで開発中の遺伝子検査システムですね。これが立ち上がった暁には、日立さんも販売するということを言っていただいております。

「小型の装置は、このgeneLEADがいいのではないか」と言っていただけました。この①、②が、販売締結というかたちになります。

3つ目が、日立さんが非常に興味を持っている、中型遺伝子検査システムです。ロボットの遺伝子検査システムです。大手さんはみなさまここに入りたいので、いわゆる大量処理型ですね。

要は、感染症等に関して、検査センターで大量に行われている遺伝子検査の領域に入り込みたいと、彼らは考えています。ここに関してはPSSの技術を活用して、日立さんが自社で開発をするという契約になっております。

一方で試薬に関しては、PSSが開発したものを日立に提供してほしいという提携になっております。これはこれで非常にありがたい話なので、中型遺伝子検査システムに関しては日立さんが機械を作って、PSSがそれに向けて試薬を提供するという関係ができあがると思います。

これは3年後ぐらいを目処にしておりますけれども、この3段階の契約方針になっております。

それから、資本提携は10パーセントです。また、役員の派遣は先ほど説明したとおりですね。以上が、今回の業務提携の骨子ということになります。

ただ、このあたりの資本業務提携は、まだこれから両社で話をしながら決めていきましょうということになっています。そのための会議も設定してあります。向こうが必ず定期的に会合を持って、どういうふうにやっていくかということをお互い話し合いましょう、というところまでは決まっております。

2-2 ウェブサイトリニューアル①

それから、自社販売をするときに、やはりウェブサイトが非常に重要であると考えます。これはみんなそうなのですけれど、PSSのホームページは過去、どちらかというと投資家向けのホームページに近かったのです。

そうではなくて、やはり自社販売を始めるなら、製品の売り込みができるようなホームページに切り替えたいということで、今回社内でいろいろ、すったもんだやりました。そしてこの間リニューアルして、オープンしたホームページになっております。

うちの製品がどのようなものかというのが、非常に見やすくなっていると思います。ビデオもだいぶ入れておりますので、ちょっと見に行っていただくといいかなと言う感じです。

2-2 ウェブサイトリニューアル②

その中で、こちらはPSSのオリジナル技術・製品コンセプトを明言しているページです。なにかというと、分注チップを中心とした単純化システムです。非常に単純な自動機になっています。

普通は自動化というと、手作業でやっている作業を自動機に置き換えるというだけです。ただ、それだとあまりうまくないんですよね。せっかく機械化するなら、そこにもう少し、単純にして早く・安くということをよく考えてあげる。そのうえで機械化するということが非常に大事なのです。このあたりは、PSSは得意なところです。これがいわゆる、分注チップを中心とした単純化システムです。

それから、試薬ボトルマネージメントからの解放。これはなにを言っているかというと、この業界をご存じな方はよくわかると思いますが、いろいろな試薬がボトルに入っているんですね。自動機に送るときにそこから吸って吐いてというのを、必ずやるんですよ。

それが分注機というものの基本なのですけれど、それが非常に煩雑ですし、時間もかかります。いろいろと、ボトルマネージメントというものは面倒くさいものなんですね。そこを、うちはプレパックというところでやっています。要は、素人でも使えますよということです。

決まった試薬を買ってきて、置いてもらってボタンを押せばいいのです。これにより、試薬ボトルマネージメントからの解放ということができるのです。あとは当然ですけれど、せっかく装置化しているので、同時測定も可能です。

こういったことが全部できますので、高性能・コンパクト・汎用性が高いということが、PSSのシステムの特徴だと思います。

変なことをいいますと、このgeneLEADという機械は、リアルタイムPCRという業界では一番スタンダードな遺伝子の検査の手法が乗っています。したがって、リアルタイムPCRの試薬であれば、ほとんど全部が乗ると思います。正直に言って、全部乗ると思います。

なぜかというと、PCRとMagLEAD。MagLEADと言われたらPSSのマグトレーション技術です。(遺伝子抽出技術)であるのですけれど、PCRとの相性もバッチリです。これはロシュさんを始め、過去いろいろなところで検証されている技術です。

それとPCRとの組み合わせなので、そういった意味では非常に単純で、どのようなことにでも対応できるシステムということで、できあがっています。

そのため、例えば遺伝子検査薬を持っている試薬メーカーとのコラボレーションを、進めていきたいということが成り立つということです。

2-2 ウェブサイトリニューアル③

これは、世界に広がるバイオシステムネットワークということです。いろいろな分野に広がっているのですね。

要は、これは全部コンテンツです。うちのシステムは多種多様なところに入っていけますので、こういったことをやっているお客さまに対して、自動化装置・システムはいかがですかと提案できます。

2-2 ウェブサイトリニューアル④

それから最後に、病院等の現場で看護師さんが血液を採って、シュッと入れて測れるという機械でないと、なかなか普及は難しいと思います。そこまで自動機を落とし込めるかどうかというのが勝負だと考えております。

うちはそういうところは得意なので、いろいろな業界の人たちとネットワークをもち、技術的に交流していきたいと考えてます。

開発はいろいろな数がありますけれど、OEMや特注機、それから自社販売に力を入れていきます。それから当然、研究開発ですね。これも、この業界でやっていく限り必須だと思います。

ともかく、次々と新しい技術をやっていかないと、陳腐化していきます。こういった中で新しい分野を切り開きながら、開発していきたいと思います。

3 IR Q&A (株主・投資家の皆様よりよく受ける質問より)

こちらはテレビ等でも放映されたので、国立がん研究センターさんもわりとPRしていることですが、13種類のがんを早期発見すること。ここのメンバーに、うちも入っています。そのため、この問い合わせもよく受けております。情報はいただいておりますけれど、このNEDOプロジェクト自体を公表しておりません。

中身について、PSSが言うわけにはいかないのです。実際にうちの現場で、いろいろ話は聞いているようです。それについて、うちがなにかコメントする立場にありませんので、それはいつもどおり控えさせていただきます。

ただひとつ言えることは、geneLEADは装置としてできあがっておりますので、これは試薬の問題なのです。

ガンを早期発見するために、遺伝子のどこの部位をどう見ればいいのかが、試薬においては肝であります。そのあたりが、ある程度明らかになっていれば(よいのです)。PSSにはそういった機能がないので、基本的には国立がん研究センターさんや、試薬メーカーとして参加されている方々が、なんらかのかたちで探し当ててくだされば、あとは自動機に載せて、測ることができます。そのように判断しています。

3 IR Q&A (株主・投資家の皆様よりよく受ける質問より)

それから、次世代シーケンサーにまつわる質問もよく受けますね。全自動遺伝子検査システムは、次世代シーケンサーではありません。先ほどお話しした、PCRが搭載されています。

「シーケンサー」とはなにかと言いますと、遺伝子の配列を読んでいる機械です。PCRというのは、例えば特定の配列がわかっている、既知というのでしょうか。例えば、ある遺伝子が病原菌の原因だとわかっている場合。

その遺伝子があるかないかということを測定して、その人がその病気になるかならないかということを予測しているのです。それがわかっている病気も、あるということです。

シーケンサーとは、未知のものもすべて読んでしまうので、そのときにどのような配列をしているかを、1つひとつ測定しています。そのような機械です。

したがって本当は、遺伝子配列がわかっていれば、PCRが有利なのです。有利といいますか、便利です。いまは昔と違って、シーケンサーそのものの価格・コストが下がりました。そのため、わざわざPCRを使わなくても、シーケンサーで全部読んでしまえばいいではないかという考え方も、できあがっています。

そういう時代になってきていますので、シーケンサーで読んだ検査結果を、例えば健康診断に使ったらよいのではないかという流れが、起こりつつあります。

そして、PSSのDNA自動抽出装置は、シーケンサーではありませんとお伝えしています。これはそのとおりでして、リアルタイムPCRの測定技術がまかなっています。

もう1ついえることは、シーケンサーの前処理技術ですね。うちの前処理技術のmagLEADは、シーケンサーの前処理に使っています。前処理機として、遺伝子を抽出することは絶対に必要ですので、そこの部分では使っています。

例えば、いまはうちのサーモフィッシャーさんに供給しているOEM機器に関しては、かなりの前処理自動化装置が、シーケンサーの前処理工程で使われているようです。

ただの抽出機ですので、いろいろな用途に使うことができます。それらを含めて、全体を大きなターゲットとして売り込んでいるという事実があります。

そのため、PSSとしては本当に抽出と、シーケンサーにかけるときの面倒くさい前処理というところに組み込んで、シーケンサーの完全前処理機というものも、開発の1つのテーマに挙がっています。

そのようなところを、次世代機には、ただの抽出機だけではないというところを念頭に置いて、やっていきたいと思っています。

これは、いますぐどうこうというものではないのです。要するに、PSSとしても独自の領域をやっていきたいと思っています。どこか時流に乗りかかることがあれば、それは非常におもしろくなるのではないかなと思っています。

実際に、タイなどいろいろな国の先生方とお付き合いがございますので、geneLEADⅧが世の中に出て、こういったところの試薬のデータを揃えて、この新装置でできますよと確立できれば、この新医学分野も、夢ではないのかなと思っております。

これを出す前に、実は1つ日立ハイテクノロジーズさんから、彼らの機械に載せる試薬を開発してほしいということで、ご依頼がきております。こちらについての開発を、いま始めております。もう1つは、自分たちでも売っておりますので、geneLEADⅧに搭載する試薬として、いまヨーロッパのダイアジェノード社という会社と開発しております。

これがまもなくできあがってくると思うので、この2機の開発とあわせて、なんとか順調にもっていきたいと活動しております。また、代理店の構築ということも絡んでくるのですが、この3つを並行して進めています。

それが各々揃ってくれば、「ああ、こういうことだったんだな」と販売が開始されるようになれば、ずいぶんと状況も変わってくると思います。

「いろいろあって売上も落ちたし、大丈夫なのか」という感じがしますが、実はいま非常に、PSSはエキサイティングな状況です。いろいろとあったなかでアボット社さんとのPJは中断していますが、あれはあれで、我々も非常に勉強させていただきました。

それをもとに、いろいろな着眼点を持ちました。また、試薬センターも、それがあったおかげで体制を整えました。それはそれで活かしていき、次に繋げたいと思っております。

私からのお話は、だいたい以上でございます。ご清聴ありがとうございました。