2017年9月期第1四半期決算説明会

藤田晋氏(以下、藤田):本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。2017年の新しい期が始まりまして、第1四半期が終わりましたので、本日、ご報告いたします。

当社、9月決算ですので、10月~12月の四半期なんですけれども、全体としてはすごくいいわけではないですけども、社内の計画通り推移したというような四半期になったと思います。

全体の連結業績としては、売上高は、一応、過去最高を更新しまして、メディア事業は、AbemaTVに200億の先行投資をする期であると、前回の説明会で申し上げましたけれども、第1四半期、かなりアクセルを踏んだつもりですけど、全体の4分の1にあたる50億投資をしたというかたちです。

広告事業は、好調と言ってもいいような推移をしておりまして、イヤーオンイヤーで大きく売上・利益ともに伸ばしております。ゲーム事業に関しては、堅調に推移したというような結果であったと思います。

連結売上高 四半期推移

こちらが、クオーター別の推移の売上高のグラフです。毎回言っていますけれども、当社は、大規模は買収などをせず、自分たちで種を蒔いて事業を育てるという方針の中で、数年前に仕込んでいた事業が、今、収穫期を迎えて、売上高を伸ばしているというようなものがほとんどなんですけれども、継続性高く、規模を拡大させているというかたちであると思います。

連結営業利益 四半期推移

こちらが営業利益なんですけれども、とくに、この第1四半期、その前の、前期の期末は、広告費を大きく使い、アクセルを踏んだんですが、その分が乗っているというようなかたちになっております。

販売管理費 四半期推移

こちらが、販売管理費の項目別なんですが、この一番下の緑色の部分を見ていただいてわかります通り、アクセルを踏んだというのは、主には広告宣伝費をかなり使ったということですけれども。

第4四半期で99億、第1四半期で91億使っていますが、我々の今の感覚値の平常時が、多くても50億から60億くらいだろうというような感覚を、広告宣伝費に関しては持っていますので、それにしては、けっこう寄せた期だというようなかたちになっております。

2クオーター以降は、平常時の数字に徐々に戻っていく計画でございます。

連結役職員数

従業員数、規模を拡大すると同時に人員は増えておりまして、4000人を突破し、4054名。連結での従業員数というふうになっておりますが。これもいつも言っている通りなんですが、4月に新卒をとるのが、当社の社員の採用の多くを占めますので、第3四半期のところでまた伸びるというようなかたちになります。

損益計算書

損益計算書で見ると、こちらの通りでございます。このクオーターは、少しゲームでの特別損失も出まして、当期利益が少ないというようなかたちになっております。

貸借対照表

バランスシートはこちらの通りというふうになっております。

2017年度 業績見通し

今期の業績見通しに対する進捗のご説明ですが、前回の決算説明会でも申し上げました通り、今期は、もともと減益予想で、予想を出しておりまして。AbemaTVへの投資を200億行い、先行投資時期に当てるという計画のもとに、営業利益が280億という予測になっております。

連結業績の進捗

それに対しての進捗ですが、売上高・営業利益は、ほぼ計画線というか、だいたい4分の1近く消化していますので、その消化速度ですけれども、当期純利益が、もともとの予測も小さいんですけれども、少しショートしていると。

これがずっと続くわけではないんですが、今のように、AbemaTVに大きく投資をし、その分を完全に取り込んでいる以上は、当期利益のところはどうしても難しくなりますので、そこに対する、中長期的に応援してくれる株主のみなさまへの配慮も込めて、新しい方針を打ち出しましたので、それは一番最後にご説明させていただきます。

事業別営業利益の進捗率

事業別の進捗ですが、個別事業はほぼ計画通りで、広告が少し良くて、ゲームが少し遅いというぐらいで、ほかは、だいたい四半期ベースで4分の1ぐらいは消化しているというかたちでございます。

インターネット広告事業

個別のそれぞれのインターネット広告事業、ゲーム事業、メディア事業、この3つの事業をそれぞれご説明させていただきます。

まず、広告事業。ファーストクオーターは、そんなにいい時期ではないんですけど、10月~12月、まぁ悪くはないんですが、そんなにいい時期ではないんですが、好調に推移したと言っていいと思います。

当社、インターネット広告事業では、国内トップシェアだと思いますが、ご覧になってわかります通り、売上の約8割が、スマートフォンの広告です。

インターネット広告が伸びているといっても、その実情、中身はほとんど、今、スマートフォンにシフトしていると。そこの部分に強いところが、まず、当社の強みになっていると思います。

こちらがスマートフォン広告のシェアですが、2015年から16年、これが、市場に対して、もともと高かったシェアを我々はさらに伸ばしておりますので、ここの市場拡大。

おそらく、この予測で、2017年、この1年でまたさらに伸びるだろうと言われていますが、この成長市場をしっかり取り込んでいるというかたちになっていると思います。

営業利益もこれ過去最高の水準が出ていますが。毎回言ってますけど、営業利益率が10パーセント近辺で推移していまして。だいたい次の第2四半期が一番高くなる傾向に、例年見てとれるとおり、次はまた高くなると思いますが。

おそらくこの事業をやっている同業他社と比べても非常に利益率が高いという背景には、作業をシステム化しているなどの理由もあるんですけれども。昔、「太客戦略」といって、案件規模の大きいところを手厚くフォローし、クライアント数を絞るというのを一時期やったことによって、1案件あたりの規模が大きいことが、この利益率の理由の大きなものの1つになっていると思います。

今、インターネット広告のなかでは、スマートフォン全体が伸びているんですが、そのなかでも伸びているインフィード広告ですが、これはもう4thクオーターすごく大きく伸びましたけれども、その規模を維持したというような結果になっています。

動画も同様に4thクオーターですごく伸びましたけれども、その規模を維持し、これもインフィード、動画ともに今後も拡大基調にあると思われます。

ゲーム事業

続いて、当社のゲーム事業についてご説明させていただきますが。ゲーム事業も底堅く推移しているような状況が続いておりまして。

ゲームというと、どうしても「1本のヒットでグーンと伸びて、流行り終わるとグーンと下がっていく」というイメージがあるかもしれませんが、当社の中長期的なこのグラフを見ていただいてわかりますとおり、じょじょに地力をつけながら伸ばしているというような段階が続いていまして。

この1stクオーターも、だいぶ伸びた前四半期を維持すると、少し上がったぐらいの数字で推移をしております。

営業利益は、そういう意味では少し前期よりも下がっているんですけれども、これは冒頭に申し上げましたとおり、かなり広告費をかなり使いましたので、そういう意味では、そこの部分が今後少し落ちついてくると、売上を維持している以上は、利益率というか、利益額は上がってくるものと見込まれます。

主力8タイトル。我々は1本足打法じゃなくて、たくさんヒットがあると、毎回申し上げているんですが、8つタイトルがあるところが息長く堅調に推移しているというかたちになっております。

今後2ndクオーター以降に、この2017年、今のところ6本新しいサービスを予定しておりまして。

もうみなさんもご存じかと思いますけれども、スマートフォンゲームは1本あたりの開発にかかるコストが非常に大きくなってきていて、製作期間ももう2年を超えるのは当たり前というぐらいになってきていますので、そういう意味では、これはもうかなり前から仕込んでいたものでございます。

とくに3月に出る予定の『BanG Dream!(バンドリ)』というタイトルは、AbemaTVのほうでこのアニメを先行配信しているんですけれども、たいへんな人気で。事前登録もかなりの数が来ていますので、ヒットする途上というか、可能性は十分あると思われます。

メディア事業

続いて、メディア事業ですけれども。メディア事業、今、AbemaTVに注力していますが、既存の事業もしっかり売上を維持しておりまして。横ばいのようなかたちではあるんですけれども、しっかりやっていると。

利益もなんとか出しているようなかたちですが、それとは関係なく、今、AbemaTVに大きく投資し、新しいメディアとして立ち上げているというフェーズになります。

いつもAbemaTVの話ばっかりしているんですけれども、それ以外にもこのメディア部門のセグメントのところで強化している分野がありまして。今、カップリングサービスというのを強化しているですけれども。これ、いわゆる昔、出会い系とかって言われていた分野。ネットで。

とくに海外ではMatch.comという上場企業があったり、けっこう市民権を得ている分野だったんですけれども、日本国内ではどうしてもイメージがよくない。とくにそこで犯罪に巻き込まれる例があったりとかっていうのがあったんですけれども。

この分野は、スマートフォンになってから、非常にデザインがスタイリッシュになって、写真も非常にきれいなものが1人ひとり載せられるようになり、非常にオープンな世界になって、非常にクリーンな世界になったというか。

というのがきっかけで、我々、「タップル誕生」というサービスを2014年からやっているんですけれども、これが2、3億円、月に売り上げるタイトルになっておりまして、そこから矢継ぎ早にこの分野に事業を拡大しております。

社会の少子化問題とかもありますけれども、出会いに困っている人は本当にものすごい数いるというか、非常に大きな市場だと思っていますので、ここを新たな注力分野の1つとして、今、強化し始めているというようなかたちになっております。

AbemaTVについて

続いて、AbemaTVについてですが。

1,000万ダウンロードを突破したところまではプレスリリース出してたんですけれども、社内で追っかけている数字はダウンロード数ではなくて、ユニークユーザー数、利用率なので、あまり外には出さないようにしてたんですけれども。1,000万ダウンロードしてからもさらに加速度を増して伸びておりまして。今、足元では1,300万超えて、今、1350万ぐらいまで来ております。

MAUの推移は、12月で686万まで来ておりまして。これ、1月ではもう800万をうかがうところまで来ていますので、MAUですけれども、Monthly Active Userが1,000万人到着するのはわりともう近くまで来ているというところまで、伸びてきています。

Weekly Active Userがその横にありますけれども。一番伸びた年末年始、この期間が514万という記録が出ておりまして。そこから年始明けて少し下がるというのは想定済みだったんですけれども、予定通り大幅に年末年始のプロモーションで伸びて、そのままベースアップして、今も足元も推移しているというふうになっております。

このあと4月から5月にかけて、1st Anniversary、1周年記念でキャンペーンをやるというか強化していくのと、また夏休み、正月……正月は一番伸びることがわかったんですが、この時期、また伸ばしていきたいと。そのへんにアクセントをつけながら伸ばしていこうというような計画を持っております。

利用者の年齢に関しては、もうこれはもともとの計画どおりですけれども、若年層、10代・20代・30代が大半を占めるというか、メインの視聴者層になっておりまして。なかなかテレビを見なかった世代というか属性の人たちを取り込みたいという狙いどおりになっていると思います。

男女比率は半分半分と思っていましたので、そこは狙いどおりではなかったんですけれども、徐々に上がってきまして、35パーセントまで来ていると。

もともと我々サイバーエージェントがやっているサービスというのは、どちらかというと女性が多いサービスがほとんどだったので、そういう意味では、男性のほうに支持を受けているというのははじめてでもあるんですけれども、そういう意味では徐々に戻してきていると思います。

年末年始とくに伸びたと言いましたけど、31日・1日・2日と200万DAU、200万人以上の人がアクセスしてくれていまして。

過去最高の視聴数を取った、『フリースタイルダンジョン東西!口迫歌合戦』というのを大晦日の紅白歌合戦がやっている時間帯にやったんですが。これは一応テレビ朝日の深夜でやっている番組の特番ではあるんですけれども、AbemaTVオリジナルの番組が過去最高の数字を取ったというようなかたちになっております。

1stクオーターやってきたこととしては、前回の説明会で言いましたけれども、「FireTV」「Chromecast」「Apple TV」「Android TV」というテレビデバイス対応をひととおり終わりまして。

実情でございまして、実際にこのChromeキャストやFire TVの普及が十分ではないと思います。ここが普及してくれると、AbemaTVにとってもものすごく追い風なんですけど、個人的な考え方としては、今年イギリスのパフォームという会社がJリーグの(放映)権利を買って、DAZN(ダ・ゾーン)で独占配信するんですけど。

それとかソフトバンクの「スポナビ(ライブ)」とかがスポーツを流すことによって、TVで観ようとするユーザーが増えることによって、こういったスマートテレビ端末の普及が今年進むんでないかという期待をしておりますけど、そのような状況になっております。

AbemaTV 今後の計画

今後の計画ですが、一番大きな期待をかけているのが、3月末に縦型化、これ縦型化なんて簡単にできると思うかもしれないんですけど、AbemaTVを作り直すくらい大変なことなので、ちょっと時間がかかっておりまして、一応3月末にこれをオープンする予定です。

縦型になると、もうバックグラウンド再生の対応が完了しておりますので、LINEの返事をしながらAbemaTVをつけっぱなしにしたり、Twitterを途中で見ながらやったりとか、番組にお便りを書きながら再生をするといったことができるようになると。

1回1回気楽にあけられるようになるので、これに1つ大きく期待をしているのと、オンデマンド(機能)の「Abemaビデオ」というのを3月末〜4月にかけてオープンする予定です。

これはTVerとNetflixの間のようなサービスです。AbemaTVでやった番組の見逃しや映画などが並んでいるようなオンデマンドのサービスなんですが、基本的な考え方は、AbemaTVを開いて、今やっているものをバーっと見て、観たいものがなければオンデマンドに行って、そこでチョイスしたものを再生するという流れです。

一部無料エリアがあって、それ以外は今の月960円のプレミアサービスに入った人が見放題というサービスになります。

これによって、観たい番組がない午前中の時間とか、お昼の時間とかは、編成的にもあまり力の入ったものがないときが多いんですけど、オンデマンドのAbemaビデオのほうに行ってくれれば、新たなものが見つかるようにしていきたいと思います。

今後の計画としては、1月1日からHIPHOPチャンネルが始まりまして、ちょうど今日(1月26日)の17時から、カタールでやっているゴルフのヨーロッパツアーの生中継が始まるんですが、ゴルフチャンネルが始まり、(2月に)将棋チャンネル、3月にサッカーチャンネルという新しいチャンネルが続々とオープンしていく予定です。

総括

総括を簡単にまとめます。

これはずっと言っていることなんですけど、AbemaTVをマスメディアにすると。4月の開始から1年経っていますけど、少なくとも2年くらいは先行投資で、売上のことは一切考えないで、投資を続けて拡大させようということを前提でやっているんですが、順調に伸びてきていますので、これをやっていくと。

広告事業は好調と言ってもいいような状況ですので、引き続きこれを続けていくと。

ゲーム事業も、だいたいペースがつかめはじめているので、今後も新しいものを出しながら、引き続き伸ばしていくというふうに考えています。

中長期の営業利益イメージ

これも毎回の資料なんですけど、やはり我々の会社は上場して四半期ごとに、決算を発表すると「伸びた」とか「下がった」とか言われ続ける運命にあるんですけど、当社の場合はどうしても自分たちでつくって伸ばすので、ボラティリティーが必要というか、先行投資の期間もあれば、収穫の期間もあるというなかで、過去のトラックレコードを見ても、メディアに投資をしたから今のゲームのようなものが生まれ、スマートフォンに投資をしたから今の成長があるというなかで、動画に投資をするフェーズにあるということをご理解いただきたいんですけど。

いずれにしてもこの中長期の時間軸で経営しているので、株価的には厳しい局面を迎えるかもしれないと。

それをなんとか、中長期で応援してくれる株主に応えたいということで、新たな指標を1つ設けたんですけど、DOE(株主資本配当率)5パーセント以上を目安とすると。

本当は「10パーセントくらいいきたい」と言いたいんですけど、少なくとも5パーセントを下回るようであれば、手持ちの現金で自社株買いをするか、もしくは配当を増やすかによってDOE5パーセント以上を維持しようと。

これで中長期的にボラティリティーで厳しい局面も、なんとか株価を維持するようにやっていこうという基準を新たに設けております。

もともと会社も中長期で経営していますので、中長期で株を持ってもらうのが一番効率がいいと僕も思っていますけれども、そういった会社を目指していきたいと思っております。以上でございます。