育成・成長が難しいプロダクトマネージャーをどのように増やすか

――プロダクトマネージャーカンファレンス2021の際にプロダクトマネージャーの育成・成長のお話をされていてましたが、プロダクトマネージャーの育成・成長が難しい理由が少しわかった気がします……。

山崎:トレーニングはできると思います。ですが、やはり難しいですよね。普通のことを普通にやったら普通になるっていう話なので。いわゆる王道を全部勉強して、王道どおりできるようになった。それは王道を使いこなせる人としてはすばらしいと思うし、その能力も必要です。8割はその能力が必要なので、土台にはなるんですよ。

だけど、最後の2割のイノベーティブな行動ができないと普通で終わる可能性が高いという話です。少なくとも強い競合には勝てない。強い競合にはそういうイノベータータイプ、2割を使いこなす人たちがいるので、そういう人たちに王道だけで勝とうと思ったらまず無理です。

――「プロダクトマネージャーは増えたほうがいい」と言われることもありますが、これまでのお話を聞くと、意図的に増やすこともなかなか難しいようにも感じます。

山崎:私はプロダクトマネージャーは増えたほうがいいと思っています。増やすべきだとも思っています。この話は、いわゆる起業家育成みたいな話と近いと思います。

プロダクトマネージャーのイノベーターとしての本質的な性質は、起業家とほぼ一緒。起業家の中でも、基本的には二番手戦略で、売れているものを真似して作って商業的には成功する人はいるし、それもぜんぜんありだと思います。

その一方で、ユニークな新しいサービスを作っていく起業家もいます。世の中を変えていくような起業家はたくさんいたほうがみんなの生活が豊かになるので、多いほうがいいという話はその通りだと思います。

日本でもいろいろな団体や、場合によっては政府、行政がイノベーター人材を増やすための施策を数年前からやっています。そういった流れが今、プロダクトマネージャーにも起こっているということなのかなと思っています。

一方で、プロダクトマネージャーと起業家は似ていますが、違った側面もあります。プロダクトマネージャーは、最終的にはプロダクトを作らなければいけないという意味で、ビジネスに加えて、テクノロジーやデザインを深く理解している必要があります。

未来を予測し、ビジネスを理解し、テクノロジーやデザインを使いこなすみたいな話なので、まあまあ大変ではありますよね。だから簡単ではない。だけど必要かどうかというところに立ち返ると、絶対必要だし、増やしたほうがいい。文明の進化のためには、プロダクトマネージャーはたくさんいたほうが絶対いい。

逆に、これまでもそういう人たちが文明を作ってきたという話かもしれません。前半の話にあった、自動車や電車、エアコン。コンピューターもそうですし、そういったものがたくさんあるから、今の豊かな我々の生活が成り立っているわけです。

――確かに、プロダクトマネージャー一人ひとりでも考えることはさまざまだと思うので、多ければ多いほど、よりよいアイデアが生まれそうですね。

山崎:そうなってくると、じゃあどうやって増やしたらいいの? という話になりますよね。今のところの私の答えとしては、良い師匠を見つけて師事するのが一番早いかもしれないなと思っています。

これは起業家でも一緒な気はしていて、やはり優れた起業家、ユニークな、イノベーティブな起業家のそばにいて、その人の仕事の仕方を見ることによって学べることは非常に多いと思うんですね。

そういう人たちが書いた本から参考になる点もあると思うけれど、そういった人たちと一緒に仕事をすることによって学べることは、想像以上に多いと思います。実際に一流の起業家に師事して一流になっていった人たちもたくさんいるはずです。

結局はプロダクトマネージャーも同じで、優れたプロダクトを生み出せるイノベーティブな、プロフェッショナルなプロダクトマネージャーの側で働くことが一番の近道になるんじゃないかと。そういった考えから、エムスリーでは、実際に階層構造をできるだけ減らして、私が直接プロダクトマネージャーとしての手本が見せられるような環境を用意しています。

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