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Rust完全に理解した(嘘)_LT 3(全1記事)

Rustの習得はどこで差がつくのか? モダンな静的型付言語を理解するためのポイント2つ

キャディ株式会社が主催した「Rust完全に理解した(嘘)」。バックエンドエンジニアたちが Rustを習得するまでの苦労や、使ってみたうえでの技術的なメリット・デメリット・課題などについて話しました。ここで登壇したのは、八巻紘士氏。Rustを習得するにあたって活用した本や方法について発表しました。

Rustを触ったきっかけは、モダンな静的型付言語への興味

八巻紘士氏:よろしくお願いします。私もRustをどうやって習得していったかという話を中心にできればと思います。

まず、なぜRustなのか、みなさん理由があると思うのですが、私はそこまではっきりした理由はなく、けっこう良さそうだなという、わりとミーハーな理由で始めました。

少しだけ真面目な話をすると、Rustには、所有権やライフタイムという、ほかの言語をやっているとあまり聞かない概念があって、単純にそういう新しいことに興味がありました。また、私が当時メインで触っていた言語がGOとPHPだったので、両極端とまではいかないですが、特徴が違う言語を扱ってみたいという気持ちがあり、GOとPHPと違った切り口でモダンな静的型付言語をやってみたかったというのが、Rustを触ったきっかけです。

インプットとしてやったこと

(スライドを示して)インプットとして何をやったのかというと、「The Book」や「Rust by Example」のようなWebのものは王道としてやりました。私はもともと、GOとかPHPの時もDDDで開発するのをメインでやっていたので、Rustをやるのも、DDDに従った型をうまく使いながら開発してみたいと思っていました。

RustでどうやってDDDをやるのだろうと考えていた時に、弊社の桑名というエンジニアが管理しているGitHubのリポジトリにたまたまたどり着いたので、RustでDDDを書く時の参考にしました。これがきっかけで今のキャディを知ったので、Rust学習をしながらキャディと縁があったという意味で、ちょっと思い出深いというか、印象に残っているリポジトリです。

(スライドを示して)Web以外のものでは、本はいわゆる「自転車本」と呼ばれる『実践Rust入門』や、「カニ本」と呼ばれている『プログラミングRust』を一通りやりました。あとはUdemyでは「Ultimate Rust Crash Course」という、最終的にインベーダーゲームのようなものを作るものが、たまたまセールしていて評価も高かったので、試しにやりました。

ほかの言語で書かれたコードをRustで書き直す学習方法

インプットを一通りやったあとにメインの学習をする方法ですが、私の場合は業務で触る機会はあまりなかったので、基本的にはほかの言語で書かれたものをRustで書き直すことで、取得していきました。

(スライドを示して)最初に、Kent Beckの『テスト駆動開発』という本の第1章の他国通貨の交換のところを題材にやりました。わりと昔の本ですが、4〜5年前に和田卓人さんが、第2版を出版し直して、一時けっこう話題になりました。

テスト駆動開発の本なので、わりと最初の段階からテストを回して実際に動かしながら開発をしていけるところがけっこういいなと思いました。本に従って何を動かさなければいけないという目的がわりとはっきりしている中で、Rustではどう書くのかがわからないところが、穴埋めになっています。書き方を調べながら、実際に動くコードを少しずつ積み上げていってやるという意味で言うと、私はGOを習得した時もこのやり方をしたのですが、これはやり方の一つとしては非常におすすめできると思います。

アルゴリズムのポイントは写経で学習

(スライドを示して)テストなど一通り動かすところはできたのですが、基本的なアルゴリズムは押さえておきたかったので、次は、ほぼ写経に近いのですが、比較的気に入っている『プログラマの考え方がおもしろいほど身につく本』という本をやりました。

データ構造とアルゴリズムをやる時に参考にしている本で、ちょっと昔のものですが、みなさんも何かで勉強する機会はあると思うので、読んだことがない方は、ぜひおすすめです。ここのところでスタックを作ってみましょうとか、ポインタの話も出てくるので、Rustでやる時もそのあたりを押さえながらある程度できると強いかなと、これでやりました。

ほかにも、コレクションの使い方やライフタイムなど、このアルゴリズムを解く中で複雑なプログラミングをやる時にどうやったらいいのかという点の理解が深まったかなという気がしています。

RustでDDDを書いた時に苦労したこと

(スライドを示して)3つ目ですが、最後にDDDをRustでやってみたくて題材に選んだのが、「チケット料金のモデリング」です。2019年なので少し前になってしまいますが、DDDの界隈でTwitterが盛り上がった時期があって、そのネタをもとにRustで書いてみました。

これをやった頃は、キャディに入社することがだんだん見えてきた時期でもあったので、使っている技術スタックのgRPCやDieselのキャッチアップも兼ねて、Webサーバーを構築しつつ、DDDでやってみるのを実践的にやりました。どちらかというとDDDのモデリングを書くところよりは、gRPCやDiselのライブラリを組み込むところや、そこに合わせてDIをするところの、フレームワークに近いところが苦労した部分かなと思っています。

Rustのキャッチアップの鍵は基本概念に対する知識量

(スライドを示して)最後にまとめです。今バックエンドでWebサービスの開発をやっていますが、振り返ると、実務に入ってきた時に難しかったのは、非同期やDIです。実際にキャディに入ってから、動くコードを見ながらこういうふうにやるのかと、一定理解ができたかなと思います。非同期まではともかくとしても、DIのCakeパターンは、自力で到達するのは難しいという感覚もありました。

また、Cargo Workspaceの使い方も、自習だけだとそこまで大規模なものは作らないと思うので、Cargoも実際に業務に入りながらキャッチアップした部分かなと思っています。

もう1点は、Rustそのものももちろんあるのですが、Rust自体が汎用プログラミングというか、かなり幅広い分野を扱えるものなので、それまでどんな言語学習をしてきたかがRustのキャッチアップにも関わってくるのかなと思っています。

私はジェネリックプログラミングにそこまで多く触れてこなかったので、苦労したところでした。マクロや関数型は少しやっていたにしろ、あまり馴染みがなく、言語機能の中でもほかの言語でカバーしているものはわりと理解しやすいとは思うのですが、Rustの中であまり触れたことのない概念は、一定キャッチアップに時間がかかるのかなという感想を持っています。

Rustが難しいかどうかは、その人がたどってきた経験にもよるのかなという感覚を持っています。以上です。

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