2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
「デザイン」のない組織をデザインする(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
竹田哲也氏(以下、竹田):では、4番目、いきたいと思います。株式会社オプトの竹田と申します。よろしくお願いします。
「@taketetsu1982」でTwitterやnoteをやっています。現職はオプトでUI/UXのデザイナーを中心にやってまして、前職はグッドパッチという渋谷にあるUIのスタートアップで働いていました。
最近の僕のやったことは、社内なんですけど、Slackのようなチャットベースのタスク管理のツールがありまして、それのUIであったり、会社のビジョンやミッションが書かれたクレドカードを作ったりとか。
あとは、今年の5月に元DeNAの坪田( 朋)さんをアドバイザーに迎えてStudio Optを立ち上げたんですけれども、それの立ち上げメンバーの1人だったりとか。
あとは、千葉工大の安藤先生にお声がけいただいて、ゲスト講師というかたちでUIのデザインの先生をちょっとやらせてもらったりとか、みたいなことを最近やっています。
オプトをご存じですか? 知っている方?
(会場挙手)
ありがとうございます。弊社は93年創業で、かなり最初は低迷していましたが、インターネット広告にフォーカスした結果、右肩上がりに成長してきている会社です。
オプトのこれまでの話をさせていただくと 、2014年まではBusinessのBしかなかったド営業会社でした。そこから2015年にホールディングス化するんですけれども、そのタイミングでエンジニア組織が立ち上がって、現状のBT型日本企業になっています。
みなさんご存じだとは思いますが、今年、「『デザイン経営』宣言」が経産省から出ました。
ここではデザイン経営とは「デザインを重要な経営資源として活用し、ブランド力とイノベーション力を向上させる経営の姿」と定義されています。
そんなデザイン投資は「いきなり始められますかね?」という問題があります。デザインというふわっとしているものに対して、「いきなり投資できるのかな?」というと、 経営者の人たちにとってなかなか難しい問題であると思います。
結果的に僕が寄与したと思っているのは、会社の魅力を向上させるために、会社のビジョンや行動指針を刷新しようと社長に直談判して変え、それが結果としてデザインの価値の理解を深め、会社がよくなるという体験をしてもらえたことです。
その結果「デザインって重要だね」と認識してもらえて、実際にデザインへの投資ということで組織を作る。Studio Optに一定の投資をしようとなったきかっけであると思っております。
これは、チカイケさんという方がアウトプットしているものです。会社で定めたビジョンというものを目指していく上でプロセスがあります。
まず一番最初に言語化です。オプトの場合はビジョンや行動指針のアップデートするという言語化がありました。実際にロゴの変える・変えないみたいなことは、検討した結果変えませんでした。ビジュアル化ということで、コーポレートサイトが変わったり、名刺のデザインを変えようと検討したり、右側のステップにどんどん入っていっているかたちですね。
先ほどお見せしたこういったものを実際に作って社員全員に配ったり、社員がデザインが変わったことを身近に感じてもらえるものを作れたかなと思っています。ということで、デザインを組織にインストールしていくということを愚直にやりました。
ほかにもデザイン界隈の著名な方が登壇する場に役員を連れていくということをやりました。僕を介して説明するよりも、直接話しているのをそのままインプットして、空気感も含めて体験してもらうほうが早いと思ったので、たくさん連れていきました。
そうすると、エグゼクティブクラスの人が「ちょっとちょっと、手伝ってよ」というかたちでスライドづくりを僕に頼んでくるということが起こりました。創業社長も含めて僕にプレゼンスライドを作ってというお願いが来た結果、その方たちが参加する重要な打ち合わせの場に平社員の僕が入っていけるという状況を作り出せました。
その結果、僕の話を聞いてくれるようになったので、著名な方のものや、ジョン・マエダさんの資料をどんどん使って、より説明していきました。
結果、社内のデザインに関するプレゼンスが上げられ、ブランド力に少し寄与し始めたかなと思っています。
先ほどブランド力とイノベーション力のお話をさせていただきましたが、では、イノベーション力のほうはどうするのか。
これは僕の前職、グッドパッチではこんな言葉があります。
「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」。偉大なもの作ろうと思ったら、まず偉大なチームを作らないといけないと。
僕が最近気になっているのが、「偉大なチームはどこから生まれてくるのか?」ということです。それって場や環境からチームが組成されると思っているので、場って大事だよねと思っています。
なので、いいプロダクトを作りたかったらいいチームが必要で、いいチームが必要だったらいい場を作らなきゃいけないという意識が働いていきました。
ある時ピピッとつながったんですが、早稲田のビジネススクールの入山先生とbiotopeの社長の佐宗さんが対談している記事が「Biz/Zine」というメディアに載っています。そこで、イノベーションを軸にして、それに関わりそうなキーワードを整理していくと、この5階層で整理されると対談でおっしゃっているんです。
これを見て僕がピピッと来たのが、一番上は世の中や世界と捉えると、ここに対してメッセージするのがビジョンであり、組織に対して、一会社に対してメッセージとして発信するのがミッションであり、個人、社員に対してメッセージするものがバリューであると。
つまり行動指針が定義づけられるんじゃないかなと思いました。これをベースに、オプトはビジョンの刷新を進めていきました。
先ほどのイノベーションに関する言葉の整理にあるように、イノベーションというのは、このビジョン、ミッション、バリューというのがチームでやっていくのに必要で、それを刷新することで場の引力は作れたかなと思っています。
もうすこし整理を進めると、みなさんから見ると右手に組織や人材戦略というのがあるのに対して、左側に事業戦略というのが紐付いてくるかなと。
そこがさっきの左側がミッションで、右側がバリューと定義づけられるかなと思っています。
その下に事業であれば、どのマーケットを選択してどんなプロダクトをそこに投下するのかが左側で、右側はハード面ソフト面を含めて、どんな環境でどんな個人、キャリアや育成評価を含めて、どんな個人がいるかが組織人材の戦略につながるかなと思います。このピラミッドが僕の中ではけっこうしっくりきています。
もうちょっと進めて、それをテンプレにして公開をしています。
公開しているのは、どう整理したらいいかということに頭を使うよりも、このフレームを使っていただいて、中身をどうよくしていくかに集中してもらいたいと思っているからです。もしご興味あれば使っていただきたいなと思います。このように記入例を書いてあるので、ぜひ見ていただけたらなと思います。
実はここにOrganization Canvasと書いてあるんですが、先ほどの右側に組織、左側に事業というこのフレームは、オプトの全部長、全役員が書いて全社員に公開しているのを今年からやっています。それをKPI化して、KPIのマネジメントも始まっています。
最後にお伝えしたいのが、先ほどの「『デザイン経営』宣言」が発表されたあとに、その事務局をやられていた方たちが緊急カンファレンスというかたちでイベントをやられていて。僕は行けなかったんですけど、この@koeriさんという方が議事録を書いて公開されています。
これを見てすごく気になったのが、「デザイン経営宣言のイベントなのに、経営者が誰一人もいなかった」というコメントがすごいグサッときました。
なので、みなさんに問いたいなと思うのは、デザイナーの方は、「非デザイナーの方、とくに経営者の方と対話されていますか?」ということと、もしここに経営者の方がいらっしゃるなら、「デザイナーと対話されていますか?」ということを、問いを投げかけて終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
(会場拍手)
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは