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ドローンで変わる!? 未来社会(全3記事)

「空の産業革命がすでに起こっている」 千葉大・野波教授が語るドローン活用の現状

2015年7月28日、イノベーション分野のスペシャリストをゲストに招き、朝日新聞記者と参加者がともに社会的課題の解決へのアイデアを出し合う「朝日新聞・未来メディア塾 オープンカフェ」に、千葉大特別教授の野波健蔵氏と朝日新聞東京本社経済部の篠健一郎氏の2名が登壇。後半パートでは、自立制御システム研究所所長としてドローンの開発に携わる野波氏が、施設点検や災害時などにおけるドローンの具体的な活用事例について語りました。

世界を変えるドローンの最新技術

司会:続いては野波先生、よろしくお願いいたします。

野波健蔵氏(以下、野波):どうもこんばんは。今、篠さんからのお話を受けて、ちょっと補足しながら、最近の話題も含めて、それから一応題目にありますように今後どうなっていくかのほうも、すごく皆さん関心があるかと思うんですが、その辺をちょっとご紹介したいというふうに思います。これはちょっとビデオなんですけれども、多分ご存知ですかね。時間の関係でちょっとだけ。

(映像が流れる)

CESというのはですね、コンシューマ・エレクトロニクス・ショーということで、ラスベガスで毎年正月明けの6日、アメリカ正月関係ないんで、2日から仕事ですから、6~9と3日間毎年行われているんですが。

これは先ほど手を挙げられていた方はほとんどホビー用の(ドローン)をお持ちかと思うんですね。フランスのパロット社が出しているドローンで、DJIのファントムですね。

最近話題になっているのが「SENSE AND AVOID」ということで、障害物を検知して回避する技術です。これDJIのブースですけど、これはインスパイヤーというPhantom Ⅲをアップグレードしたものですね。

こういう”Follow me teacher.”と言っているような、基本的にスポーツなんかで自分の極めつけのビデオを撮って皆さんに見せるためにYouTubeにアップするとか。

特にこういうところ、ランニングしたり、綱渡りも出てきますけど、二度とできないことを記念として撮るという意味では、すごいドローンという新しい文化、カルチャーが生まれているということで、今までの世界が大きく変わろうとしているということです。ちょっとこれ長いので省略しますけど。

(映像終了)

今、本当に世界はドローンで変わってきたなという感じなんですけれども。結局ラジコンとドローンの大きな違いは、ラジコンを飛ばすことが目的だったと思うんですけども、ドローンは買った日から飛ばせる、飛ぶ。

飛ぶのは当たり前で何をするかというと、基本的には空撮、撮影ですよね。カメラで映像を撮る。しかも今まで撮れなかった映像を撮るということがポイントだと思うんですが、最近はそこに人工知能を搭載するということで、メディア塾も人工知能を前回やられたということでありますけれども。

2045年問題とよくいわれる30年後、人工知能が人間の脳を超えるということで、かなり深刻な問題なんですけども、ちょっとそれは置きましょう。

1機1200万円のドローンの性能とは

野波:これは業務用のドローンとして非常に有名なドローンなんですけども、重さ1.2キロぐらいで大変な能力を持っています。これご存知の方多いかもしれませんが、初めての方も半分ぐらいいらっしゃるようですので、ドローンで仕事としてどんなことができるかという。

(映像が流れる)

実はこれ1,200万する機体なんですけども、こんな小さいのに1,200万って。このように組み立てて飛行させるんですが、

ここに普通の可視光カメラとか赤外線カメラとかが入っていまして、いつも皆さんご存知のプロポというのはないんですね。

タブレットPCしかなくて、ここに全部経路を入れると自由に飛んでくれると。今50分とありましたけど、50分ぐらい飛行時間あります。カナディアンロッキーを超えることができるんです。これカナダのトロントの近くの会社なんですが、大学発ベンチャーなんですけども。

人が行けないようなところに行って、写真を撮ってきて、それを例えば今湯気が上がっておりますが、多分火山とかそういう所なんですけども、そういうところで写真を撮って地図を作ると。

これが撮った地図で3D型の地図を作るという。大体これ10分位でやってしまうということなんです。これがすごい技術で、エリオン社というのは、今カナダの業務用のドローンとしては世界のトップレベルでございます。ですので、非常に高いということなんですけども、ここにありますように1,200万と。

(映像終了)

GPSが使えない場所でも自立飛行できる「ミニサーベイヤー」

野波:私どもはこういう機体を実は今作っておりまして、これもせっかくでございますので、ちょっと動画を。私ども「ミニサーベイヤー」という名称で呼んでおりまして、6枚羽です。

(映像が流れる)

ビデオナレーション:2013年、11月1日に産声をあげた自律制御システム研究所は、現在ミニサーベイヤーと呼ぶ機体を量産し販売しています。この機体には、準国産のオートパイロットフライトコントローラを搭載。日本では、私たち自律研が唯一純国産のオートパイロットをドローンに搭載しています。

ミニサーベイヤーの量産は、福島県南相馬市にある菊池製作所南相馬工場で作られています。現在すでに100機を量産、完成。

野波:福島復興を兼ねて、今あえて南相馬市で量産しているということであります。

ビデオナレーション:引き続き、400機程度を量産し、皆さんにさまざまな用途でご活用いただくのが今年の目標です。現在世界中の自立飛行型ドローンのほとんどがGPSに頼って飛行しています。

しかし、私たちはGPSが使えない場所でも自立飛行ができるSLAMという技術を確立。この技術は特に資源エネルギー庁のプロジェクトで培われ、ブラッシュアップされてきました。

野波:これは福島の第一原発事故の建屋の中を飛行するということでしました。

ビデオナレーション:非GPS環境下で自立飛行ができるこのSLAMという技術が、世界トップの技術であり、私たち自律研の最も売りとなる技術の1つでもあります。SLAMを実装したミニサーベイヤーは橋梁の点検、トンネルの点検、インフラ設備の点検。

野波:さっき篠さんの話にもあったインフラ点検ですね。

ビデオナレーション:樹木で生い茂った樹林での放射線計測など、さまざまなアプリケーションでお客様にご使用いただいております。

野波:これは放射線量測定です。

ビデオナレーション:世界の競合と競争しながら、日本のドローン産業をより大きく成長させる、私たち自律制御システム研究所は、空の産業革命を中核で担い、全力でドローン産業をリードしていきます。

(映像終了)

ドローンによる土木分野のイノベーション

野波:アプリケーションとして先ほどもいろいろありましたけども、こういう太陽光発電所、メガソーラーの点検であるとか、

広いところ、北海道の圃場を飛んで、例えば小麦畑を1枚の図にして生育状況を見るということです。

例えば赤のところ、葉緑素って、緑は赤を吸収するんですね。赤が残ってるっていうことは緑がないということで、これ道路とかもちろんないんですが、本来植物が生育していなければいけない場所にも赤いスポットがあるということは、ここは緑がないということで、しっかり肥料を施して、成長を助長して、収穫量を上げるという。

2週間に1回ぐらいずつフライトするということで、北海道でこういう農業が始まっています。それを精密農業と言いまして、今まではある時期が来ると一様に肥料をまいて、一様に農薬をやって、とにかく何かその時期がきたらそれやるもんだということだったんですが、これからはそうではなくて、本当に必要最小限のものを必要な場所にだけやるということで節約をして、肥料代だけでも300万ほどかかるということ聞きまして、「えっ!」と思ったんですが、そういうことで、節約すれば50万とか100万以下になっていくという話のようですね。

(映像が流れる)

それからよくある、これはコンクリートのダムの壁面調査なんですけども、これもいわゆるドローンだからできる技術です。まず空撮をするんです。このように、埼玉県秩父市にある浦山ダムなんですけど、高さ180メートル位の高さからずっと写真を100数十枚撮ります。

これ、ちょうど昨年の秋の紅葉の時期なんですけど、写真を撮って1枚の図にするんですが、これは普通のデジカメを積んでいるだけです。5万円ぐらいの普通のデジタルカメラです。このデジカメで写真をバーッと撮っていって、すごいことをやります。

ここまでは、ドローンだからできますねということで、そんなに驚かないけれども、これをフリーのソフトで、あるいはもちろん有料のソフトでもいいんですけど、いろいろやりますと次のこういうことができます。

これは撮った写真が、下のほうなんですけども、3D化できるんですね。先ほどカナダのエリオン社っていうところの3Dの画像がありましたけども、あれと同じように三次元の地図ができます。

このように、ちょうどコンクリートの壁面を真っ直ぐになってるわけですが、高さ180メーターのところ、大体140~150枚写真を撮影して、オーバーラップ率大体60%くらいなんですけど、1枚の図にしますと、このような3D型の地図が、三次元マッピングができます。

最終目的はこのダムの壁面、コンクリート壁面を見るんですけど、撮った映像を今度はこの壁面にナンバリングをしまして、どこの写真かというのを、例えばこういうコンクリートの壁面こういう具合にありますと、この場所を拡大するとこういう形になりまして、その場所をずーっと、いわゆるマーキングすることができるようになります。

こういうことがドローンだから初めてできる。今までダムの点検と言いますと、ロッククライミングをする人が、ザイルを上のほうからざーっと降ろして、高さ150メーターあるんですけど、2人がかりでずっと上から下に降りてきて、また上に上がってということで、このヘルメットのところにカメラがあって写真を撮るという、非常にマンパワーでやっていたそうです。

それをこのような形で、ドローンがいとも簡単に、15分ぐらいあればもう完璧にデータ取れるんです。しかもここまで撮れるとすると、もうほとんど目視も同然ですよね。コストはおそらく100分の1以下になると思うんです。

そういうことでドローンによる、特にシビルエンジニアリング、土木系の分野は、ある種イノベーションって言いますか、産業革命がもうすでに起こってるという具合に言われています。

ドローンを使った施設点検で大幅なコストダウンが可能

野波:これは東京湾に面した、ある製鉄所の点検なんですけれども、ちょっとご覧ください。これも、このように蒸気の出ているところが溶鉱炉で、約100メートルの高さです。鉄鉱石という原料をベルトコンベアーで溶鉱炉まで運ぶんですけど、ちょうどベルトコンベアーをこのドローンで点検しています。大体高さ100メートル位のところです。

これ羽田行の普通の我々が乗る飛行機です。これ高さ300メートルくらいでニアミスはありません。風速5、6メートルのところですけども、非常に安定して飛行ができるところがわかるかと思います。

実際に撮った映像がどんな映像なのかということですが、このような映像になりまして、非常に鮮明に映像が見えていることがわかると思いますね。

これ全部本来カバーがかかっていないといけないんですが、カバーがはがれて、しかもこういう錆が進んでいまして、メンテナンスをしないとどんどん腐食して搬送もできなくなるということがわかると思います。

これは工事終わって、この設備を運用を始めて60年ぐらい経つらしいんですけど、まだ一度も点検したことないと言われていまして、そういう意味でこういう施設が日本中にいっぱいあるわけですね。

高度経済成長の頃に作られた、ここもそうですけれども、簡単に人が行って点検しようとしてもできない。もしやるとしたら膨大な足場を作って、すごいお金をかけて、時間とお金、それから危険作業、まさに3Kの職場になるわけですけど、そういう所をこういう形でドローンを活用するということで、非常にコストが下がるということでございます。

それからこういう高速道路なんかの事故、これなんかも例えば、よく高速道路で事故がありますと。大体3〜4時間と通行止めになって、脇道を一般道に入るということなんですけど、幹線道路を半日とか止めるというのはものすごい経済損失なんですね。

ですので、今まで4時間かかった通行止めを30分くらいで解消して復帰すれば、経済効果はちょっとだけ落ちる程度で済むという、そういう観点でこれからを考えるべきであって、ドローンを何機か活用して現場検証するということの効果ってのも計り知れないと。

幅広い分野のドローン活用事例

野波:あとこういう漁業なんかも、このドローンを使って。実はこういう鳥が飛んでるのを、人が双眼鏡を持ってずっと水平線を見てるというのはよくあったと思うんですが、これからはドローンを活用して、船にドローンを何機か積んでいって、それで大体人だと1〜1.5kmぐらいしか見えないところを、30〜40kmのエリアをドローンが調べて、鳥がいるところに必ず魚がいるんですね。

魚がいるけれども鳥がいないってことは当然あるかもしれませんが。でも鳥がいるところには必ず魚がいる。それは魚を食べて鳥は生き抜いているわけです。広い海のところで。ですから、これはもう真実のようでして、こういった群がっている鳥を見つければ、必ず漁獲量が上がるということのようです。

それから、私どもは非GPSというGPSのとれないところでのこともやってるんですが、ちょっと時間の関係で飛び飛びでいきますが。

私どもこういう原発の中の建屋の中を飛行するのにレーザーを使って飛行させる。先ほどちょっとありましたけども、そういうやり方をしております。

それからこれは、橋の点検なんですけども、

こういうのはドローンをお持ちの方はよくやられていると思うんですが、高さ150メーターぐらいまでは、一気に10秒程度で上昇できますので、そういうところから撮る映像というのはこういう映像ですね。

これは国道1号線で、左が太平洋で、右側が浜名湖です。目的は、こういうことをすることが目的ではなくて、実際はこういう全体の外観をまず見まして。

実際やりたいのはこういう、先ほど映像にもありましたけど、上り線と下り線の奥まったところがありまして、こういうところの点検をドローンでやろうと。

もちろんドローンにはカメラがついているので正確に撮れる。しかも大体1mm程度のひび割れを見つけていこうということで、こういう作業がたくさん出てくるわけですけど、インフラの点検とか、そういうところでこういう技術が活用されていることになります。

国交省が定める飛行禁止区域

野波:航空法改正っていうことなんですけども、ここに基本的な視点が2つあります。

第一段階は、7月14日に閣議決定されましたけども、飛行禁止空域というのが設定されました。これ、あとでちょっと出てまいりますけども。

第二段階は、機体登録制とオペレータ免許制。これ間違いなく航空法改正として、今国会では上のほう、第一段階。第二段階は多分次の国会ぐらいになると思うんですが、間違いなくなります。

つまり飛行禁止エリアというのが、先ほどの篠さんの話の、国会の上空とか首相官邸とか裁判所とか皇居とか、そういうことだけではなくて、実はここにあるんですけど、国土交通省令で定める飛行禁止区域。

実はこれはどういう基準かと言いますと、ここにありますように、人口1㎢当たり4,000人以上のエリアは飛行禁止区域です。そうしますと、東京、名古屋、大阪っていう首都圏、いわゆる人口が集中している大都市圏。いわゆる政令指定都市っていうのはほとんどもう禁止区域です。

東京23区全て飛行禁止区域です。荒川の河川敷もダメです。それから、もちろん江戸川もダメです。都立公園は、ましてやダメですね。全てダメで……地図がないんですけども、もし関心があるようでしたら、この「22年度国勢調査人口集中地区全国図」っていうのを、ネットで入れればすぐ出てきますので見てください。

基準はこれです。今年27年度。5年に1回国勢調査がありますからまたやるわけですけども、基本的にこれが今閣議決定されて、今度国会に上程される内容です。

ということは、東京23区点検したいところがいっぱいあるけれども飛ばせないね、どうしようかっていうことなんですけども、ここにありますように、「飛行禁止区域で飛行しなければならない場合は、飛行許可申請を行い、許認可を受けた後、飛行可能となる。有効期間1年間」と。

ちょうど免許と同じです。免許を取って3年とか5年ですけれども、同じように1年間の有効期間があると。それから業務としてやってる方は絶対取らなきゃ業務できませんので、ぜひ取ってください。

無人航空機の飛行禁止区域を定める「航空法改正案」

今国会は9月エンドまでありますけど、延長国会ですから。遅くとも来年1月1日施行になります。国会で採択されてから3ヵ月間の猶予期間があります。ですから10、11、12月ですよね。最悪来年1月1日からこの法律は施行されます。

法律ってどんな法律かっていうのはこれなんですけども、航空法改正案というのが出てまして、無人航空機とは、右側に線が引いてあるところが全部新しく加わった文章です。

特に重要なのはここです。無人航空機、飛行の禁止空域ってあります。2つの項目があります。1つは、「航行の安全に影響を及ぼすおそれのあるものとして国土交通省令で定める区域」。これは先ほど篠さんがおっしゃってた官邸の上とか、皇居の上とかっていうところです。いわゆる議員立法とか言われてたとこですね。

もう1つあります。これが先ほど日本地図出しましたね。空域以外の空域であって、つまりここで指定されている空域であって、「省令で定める人または、家屋の密集している地域の上空」って。実はこれが、1㎢当たり4,000人以上の人口密集地域ということになっています。

それから日の出から日没までっていうこと。あるいは、目視できるところとか、それからここにありますように危険なもの。

例えば先日アメリカで、拳銃を乗っけて飛ばしてましたね。ちょっと怖い映像が出てましたけども、あれは危険物搬送に該当するので法律違反です。ですから、これでしっかりと反則金、罰金が取られるということになります。もちろん何回か繰り返すと、もうこれは完全に現行犯逮捕になるでしょうけども。

厳格になっています。危険物の搬送はできませんということと、あるいは落としてもいけませんということですね。投下もいけません。投下しないこと。でも農薬とかあれも投下になりますので、それはちゃんと許可を取ってくださいということ。

ですから、全てこれ飛行禁止とか、いっぱい禁止禁止禁止。もう何もできませんではないんです。ちゃんとそのホビーも含めて、許可を取ればできますので安心していただいて、私はこれでストレス解消するんでぜひ飛ばしたいんだとちゃんと言えば、申請して許可を取れればできます。

それからもう1つは、赤いエリア以外の地方に行けば飛ばせます。ドローン特区とかですね。つまりこれで人の流れを変えようっていうのが、今の政権の。つまり地方創生って言ってますけど、地方になかなかみんな行ってくれないので、ドローンを活用して地方行けば飛行禁止エリアないですから。

昼であって、危険物搭載しなければ自由に飛ばせるんです。田畑の上も自由です、今のところは。そのうちに何かあるかもしれませんけどね。私有地の上は飛んではいけないとかっていう、民法上のまた問題があるかもしれませんけども。

私なんかちょっと話したら、道路を横切る場合は、ドローンが右左確認して電車が来なければ横切っていいとか、そういうこと言ってました。道路も、だって田舎のほうってそんなに道に次から次と車走ってるわけではない。

ですから右左見て、明らかに道路に誰も来ないということがわかれば30m、右30、左30とか言ってましたけど、渡ってもいいんじゃないかっていうような話してましたけども。それはちょっと余談としてです。

それで特例がありまして、ここにありますように、直下型地震が起きたとか、今犯人が逃亡してると、そういう時にドローンを使おうという考え方ですね。「都道府県警察、その他の国土交通省令で定める社が航空機の云々」で、要するに「使いたいという場合には使っていいですよ」と。

ですから警察はいいと。それから消防とか書いてないんですけども、消防とか各自治体の組長さん、そういう人が飛んでいいよということを言えば、別に国土交通省の許可を得なくてもいいということのようですね。

ということになっております。これに違反すると罰金50万円以下の罰金に処するということで、罰則規定もございます。

ですから、これからは本当に15歳の少年捕まりましたけども、ああいうことをすると、間違いなくこれは50万ということで、結構大変ですよね。ということになっております。ぜひ、お気を付けください。

ドローンの使用規制は世界的な潮流

野波:私自身はですね、これ私の個人的考えですね。これは大変ありがたいと思っておりまして、航空法改正で産業ドローンの飛躍的発展が期待できると。やはり結局、産業用のドローンっていうのは、きちっと管理してます。

私どもは先ほどありましたように、落ちない工夫もしてますし、落ちたら本当に会社の存亡に関わりますから。墜落したり、人を傷つけたりしたら大変なことになりますから、もう安全管理徹底してやってますので、そういう意味では我々はもう安全にものすごく配慮して、もう毎日毎日それを気をつけてますので、もうよっぽどのことがない限り事故が起きないような工夫をしています。

やはり事故が多いのは、安易にファントム買ってきて飛ばしてしまう。ああ、どっか行っちゃったと。でも10数万円だからしょうがないかなって。こういう人が結構多いんですね。

そういう人はやっぱりここで少し自粛していただきたいなっていうことで。ここはちょうどいい頃合いで、こういう法律で、これは世界的に、先ほど篠さんのお話のように米国はもっと厳しい法案ですし、フランスもカナダもいろんな国が厳しい。大体ほぼ横並びの世界の潮流はこうなっているということで御理解いただきたいと思います。

私どもはこのコンソーシアムというのをつくりまして、ミニサーベイヤー・コンソーシアムが主催する検定制度、技能検定制度っていうのがありまして、入門、初級、中級、上級とあるんですが、一応入門初級中級コースまで、例えばドローンの組立分解とか、チューニングの仕方とか、もちろん自律飛行のやり方とか、万が一異常が起こったときにマニュアル操縦に切りかえるときの技能訓練、この辺全部この1週間でやることになってます。

かなりタイトで合格者半分ぐらいしかいないんですけども、一応卒業までは面倒見ましょうということで、よっぽどでない限りは、自動車学校のように「所定の期間に取れないとお金払わないとダメです」というようなことはしておりません。

飛行時間の改善について

今後の話、ちょっと5分ほどさせていただきますが、今一番の技術的な課題の1つは、飛行時間が短いということですね。実はもう開発してますが、燃料電池型のドローンというのがやがて出てまいります。

これシンガポールでもうすでにできてるんですけども。そうすると、ここにありますように4時間飛行ができるという。今までのドローンのイメージを覆すような画期的なものになります。これだけの飛行時間ができたら、もう安心して使えますね。

あるいは、回転翼っていうのはやっぱり常に回転してなきゃいけないのでバッテリーの消耗が激しいので、固定翼と回転翼のメリットをうまく組み合わせてハイブリッド型にすることで、1.5時間は飛行できるようになりまして。そのうちまた、朝日新聞社のほうにプレスリリースさせていただきますんで。時速150kmです。

ですから例えば、伊豆大島まで行って戻ってきたいという場合もこの無人機が行けます。何か緊急物資を運ぶなんていうこともできるようになると思います。これこそ日本が今必要としている、周り海ですし、沢山大事な島があるわけで、こういう所に行って帰ってこれるような機体の開発というのは必要かなと思っております。

ドローンを活用した人命救助

これからちょっと未来の話をさせていただきますと、例えば農業なんかも、これはアメリカですけれども、大きなコンベアーの収穫に前がよく見えないので、ドローンで先導しながら行くというような、これは小松製作所さんも建設機械を使うのにこういう使い方してますね。

それから、地上の機械と空の機械をコンビネーションで使うというような形で、これからそういう無人機が活躍するということですね。

それからこれもいわゆる被災した人がいた場合にこういう無人機がまず行って、例えばAEDをパラシュートで落として、倒れた人を助けるということができるようになると思います。

それからこれはちょっと先になると思うんですけども、これはドローンタクシーというものでして、無人なんです。こう人が乗ってますね。救急車です。救急車が空を飛ぶという具合に考えていただいて、4つのプロペラがあって、緊急事態が発生したときに、今ここに患者が入ってるわけですけども、運ぶと。

そうすると、空中ですから、直線で飛べますし非常に便利ですよね。こういう時代が間違いなく身近にやってくるだろうと思います。

あるいは山岳地帯で遭難したって人なんかも、ドローンが行って、救助して戻ってくると。

それから高速道路なんかでかなり激しい事故が発生した場合にも空から行って、救急車とか、渋滞になっているときはなかなか行けないので、こういう機体で行って人を助けるとかですね。

それとよくあるのは浮き輪。海で溺れてる人を助ける。これはすぐにでもできると。見張り役ももちろん必要なんですが、見張り役がドローンを飛ばすために必要と。見張りの人は水泳できなくてもいいんです。

ドローンを常に置いておいて、何かあったらぱっと行ってですね。こういう浮き輪2つ3つ持っていって置いてくると。そうすることで、人命が助かるということもこれからたくさん出るんじゃないかと思います。もうすぐにでもできそうですね。

それから、雪崩にあった人たちへの救助。

それから火災ですね。山の火災なんかにもこういう消化剤をだーっと撒くというのもこれからすごくいいと思うんです。これは別に仮に熱で落ちても、また作ればいいわけですけどね。

ですから、有人ヘリコプターというのは極めて危険なので基本的に飛行禁止なんですけども。これからは本当に山火事は消火活動を無人機がやるということで、すごく有効かと思います。

このようにバーッと人がいるわけですけどそのときに、幸いドローンは風も出しますから、炎を人から遠ざけることもできますので、こういう瀕死の重傷と言いますか、生きるか死ぬかのときにはドローンが行って救助するということも可能かなと。こういう山の火事ですね。

それから竜巻とかですか、日本も台風とかいっぱいありますけども、今どういう状況になってるかっていうのをなるべく近くまで行って観測して、それを次からいろんなデータに反映するいわゆる気象観測。

千葉のほうに気象専門の会社があるんですが、そこからドローンを飛ばして、これ許可必要ですけど、上空1000mぐらいまで飛ばして、気圧と温度と湿度を計測して、大気モデルの正しさを予測して、実際にデータも取って改善して、いわゆるゲリラ豪雨とか、局地的な気象を予測したいという話が私のところにも来ております。

あるいは洪水です。こういう洪水とか、あるいは津波とかがあったときには、結局ドローンは、空は唯一残された空間ですので、陸上はもう一切使えないという意味では、ドローンの活躍の場でもありますね。

それから、搬送っていうのも将来、数珠つなぎになって編隊を組んで、沢山物資を運ぶというようなことも将来可能になってます。

これは、究極の姿ですけど、車も、将来空を飛ぶということで、

実際人が乗るドローンもあるんです。これドイツのやつですけど。結構20分ぐらい飛んだり、行くことができるようになります。燃料電池とか積めば時間も長くして、容積も大きくなりますから、人乗せて飛ばすということはもう、そう難しくないと。

これは海の中に入るという話です。

牧畜なんかでもですねこういう牛とかをうまく集めて、動物の監視にもなりますし、ある程度動物を、集めたいという時にドローンも活躍できるでしょうと、こういう感じで。

それからいずれはこういうドローンをですね、高層ビルの上に着陸させる着陸ポート、ドローンポートってのもこれから必ずビルに必要になってきて、ここに着陸して物資を届けてまた離陸するという建築の構造もこれから変わっていくのかなと。

例えば、こういう未来の都市でこういうドローンが、あるエリアを常に飛び続けるという。こんな状態でものを運ぶというようなことも、起こってくるのかなと思うんです。ちょっと時間超過しましたが、以上で終わります。御清聴ありがとうございました。

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