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ドローンに関する国の取り組み(全4記事)

「外国の方が日本よりも厳しい」国交省が航空法におけるドローン規制の現状について講演

昨今ニュース等で取り上げられることも多いドローンは、航空法の中ではどのように扱われているのでしょうか。2015年5月20日に開催された国際ドローンシンポジウムの中で、国土交通省航空局安全課の担当者が、日本やイギリス、アメリカでの無人機の扱いや規制の現状、国際民間航空機関(ICAO)の中での議論の方向性などについて報告。技術開発を妨げない法規制のあり方を考えます。

航空法は航空機の安全運行の確保が目的

石井靖男氏:ただいまご紹介いただきました。国土交通省 航空局 安全部 安全企画課の石井と申します。本日は安全企画課長の松本がこの場でお話をさせていただく予定でしたが、昨今の政府全体の小型無人機に関する取り扱いの検討がかなり忙しくなっておりまして、私の方から国土交通省における無人機に係る取り組みという題でお話をさせていただきます。

まず無人機の話に入る前にですね、我々国土交通省の航空局の航空法というもの、この航空法というのはいわゆる航空機の安全運行を確保するという目的で作られた法律でございまして、今のところこういった小型無人機ですね。ラジコンとかその他小型のもの全てを規制する法律の体系にはなっておりません。

いわゆる航空機というものが何かということを最初にお話をさせていただきますけれども、こちらにございますように、まず我が国の法律では、ちょっと難しい書き方なのですけれども、要するに人が乗るもの、なおかつ航空の用。これは、どのように飛んでいく、どこに行きたい、そういう目的を達成できるもので、飛行機、回転翼航空機、これは一般にいうヘリコプターですね。それから滑空機、グライダー。および飛行船。その他政令で定めるものとございます。

実質、政令で定めているその他以外の特殊なものというのは、現在ございません。航空法はもともと何に基づいているかといいますと、国際民間航空機関という国連の専門機関がございまして、こちらでいわゆる世界的な航空のルール、航空機、パイロット、整備、そして管制、飛行場、そういったものの国際ルールを定めておりまして、その中に国際民間航空条約というのがございます。

この国際航空民間条約の中に航空機というものが定義づけられておりまして、そちらでは「大気中における支持力を、地球の表面に対する空気の反作用以外の空気の反作用から得ることができる一切の機器」と、ちょっと難しい書き方をしておりますが、例えばホバークラフトみたいなもの、これは地上からの反作用で浮いているということで、こういったものは当てはまらない。そういう意味では、飛行機とかヘリコプター、グライダー、そういったものがこの中で定義づけられております。

英国・米国における航空機とは

続きまして、英国ですけど、ちょっと我々が探した範囲では英国の航空法では航空機というものはこういうものですよと規定したものはございません。航空大国であります米国ですが、米国の規定では空中の飛行のために使用され、または使用されることを意図された装置、と。そして小型無人機も航空機に含まれる。

現在、日本の法律では、先ほど最初にお話をさせていただいたように小型の無人機というものは航空機の中には定義づけられていません。明確にですね。「明確に」というのはなかなか解釈が難しいところでございまして、例えば軍事利用でしかないのですけれども、グローバルホークとかを米軍が使っていると思いますが、あれはですね、人は載っていないのですけれども大きさ的にも人が乗ることができる。そう言ったことで、もしあれが民間機として日本で飛ぼうとしたら、我々は航空機として扱うというふうに考えております。

今お話したようなことを、こちらでもう一度図で説明させていただきますが、航空法における航空機というのは飛行機や回転翼航空機で、無人機は航空法上の航空機ではない。

航空機としての規制と言うことで、航空法第87条とかいくつかあるのですけども、これが先ほど申しました、例えばグローバルホークのようなものが民間機で飛ぶ場合、そうすると無人操縦航空機というのが航空法の概念でございまして、こちらで規制するということになります。

かつてJAXAさんが、今もあるかもしれませんが、無人の飛行船を実験で飛ばす、いわいる遠隔操縦で、これについては大きさ的にも人は乗らないのですけれども、乗れるような能力になっていたということで、航空機としての扱いをさせていただきました。

航空法におけるドローンの扱い

じゃあ、こういうものじゃない、今話題になっているドローンというかですね、小型のラジコン航空機や模型航空機はどうなるかというと、「他の航空機に影響をあたえるもの」として規制をする。要するに、航空機の運航を邪魔しちゃいけませんよ、と。そういう規制が航空法の中にございます。

先ほども言いましたように、航空法の趣旨というのは、あくまでも航空機の安全運行を確保するための法律として出来上がっていますので、こういったドローンなど小型の無人機は、航空機の邪魔をしてはいけませんという規定は従来からございました。

飛行に影響を及ぼす恐れのある行為というところで細かく書いてありますが、いわゆる航空交通管制圏、一般に言うと空港の周辺約9キロ。きれいな円ではないのですが、その範囲においては航空機の離発着の邪魔をしてはいけませんということで、ここではロケットとか花火の打ち上げと同じ扱いでして、国土交通大臣の許可が必要となります。

その他の空域ですね、空港から離れた空域については国土交通大臣に通報してください。どんな時に通報しないといけないかといいますと、具体的には地表、または水面から250メートルを超えて飛ぶ場合は国土交通大臣に通報です。ま、これは大臣に直接通報ではなくて、最寄りの空港にあります航空局空港事務所というのがございますので、そちらに通報してください。

なんで通報してもらうかというと何日の何時頃どこで250メートルを超えて、例えばラジコン機を飛ばします、という通報があると、その空港その地域を管轄する管制官がその付近を航行する航空機に注意を与えるということができます。

要するに、250メートルを超えて航空機がこの時間帯は飛んでいますよということを、付近を航空する航空機に情報提供する。そういう目的のために通報お願いしているところです。

航空機の安全確保のための国際規則

具体的にどういったものかと言いますと、これが航空路誌と我々呼んでいるのですが、パイロットはこれを使って飛行場への離発着とかをやるのでが、この赤で囲ったもの、これが羽田空港なのですけれども、羽田空港の管制圏というものが、この赤に囲まれた、もうちょっと形はきれいな円じゃないんですけれども、おおよそこんなもの、こんな形です。この中で飛行する場合は許可が必要です。この外で250メートルを超えて飛ぶ場合は、羽田空港の空港事務所に通報してください。

通常、空港以外のところというのは、航空機というのは、いわゆる旅客機を想定しておりますが、航空路というのは、これだけ編み目のように張り巡らされておりまして、航空機はこの航空路の上の、いわゆる地上の無線施設ですね。誘導電波みたいなものを発しているVORとDMEという装置がございまして、それをたどるかたちで飛んでいく、と。航空路も、それをつなげるようなかたちで引かれております。

航空機の安全確保というところで、先ほどの国際民間航空機関の国際民間航空条約ですね、その標準という中で、機体の安全性、これを我々は耐空証明といっていますけど、設計、製造、そして運航するときの整備ですね。これについて規制がございます。

操縦者につきましては国のライセンス、身体検査、定期的なチェック、管制機関の指示に従って飛んでください。飛ぶ場合は飛行計画の承認を受けてください。航空運送事業と我々呼んでおります、いわゆるエアラインですが、こういったものにつきましては、運航を管理する方法を定める。整備を管理する方法を定める。この方法、「規定」と我々は言っていますけど、国土交通大臣の許可を得ると。

その他といたしましては、事故があった場合や、事故に至らなくても事故が発生する恐れがあるという重大なインシデント、これについては国の調査機関が調査しますと。

こういった一般航空機に対する規制というのはこういうものがありますが、じゃあこれを無人の小型機に当てはめることができるのか、特に技術的に、現実的なものがあるか、というのが昨今議論になっているところでございます。

遠隔操縦機の今後の扱い

国際民間航空機関、これICAOと書いてありますけど、先ほどからおはなしをしております、国際民間航空機関では無人航空機に関する国際規則の動きというのはどういうものになっているか、ということをここに書かせていただいておりますけれども、まずガイダンスを作成しております。

ガイダンスというのはいわゆる条約上の規則ではございません。まずはガイダンスというのを作って、各国これに従ってとりあえず国内で運行される遠隔操縦機と彼らは言っておりますが、RPAですね。これについてはここに細かく書いておりますけれども、国際運航に係る国家間の承認、型式および耐空証明、登録、運航の責任、安全管理、こういったところを定めていきましょうと。

このガイダンスはすでにある程度できております。実際の条約上の規則の策定というところにつきましては、一部策定済みなのですが、技術的な部分で操縦者の資格とか運行の方法、機体の安全性、耐空性、これについての関連規則については現在議論行なっているというところです。

最終的にこの国際民間航空機関が目標としているのは、このRPAが有人機と同一区域で運行できる環境を目指すということですので、言うなれば、きちっと普通の旅客機と同じように管制機関の指示に従って飛行計画を出して、なおかつ操縦する人はきちっとライセンスを取って、機体の安全性についても確認をして、飛びましょうというところになるかと思われております。

英国・米国における規制の現状

で、この小型無人機に対する実際の諸外国の規制というのがどういうふうになっているかということで、我々も実はまだ完全に調べ切ってはいないのですが、おおよそ分かった範囲で取り纏めたのがこの表でございます。

いずれの国も、主に先進国ですが、航空機の運航を邪魔してはいけないよというのは大前提で書かれております。全体的に見ると、諸外国の方が我が国より厳しい規制になっていると。

米国、英国ととりあえず並べさせていただいておりますけれども、例えば一番上にあるように、人や物件の上の飛行制限ということで、細かい書きぶりは違うのですが、実質禁止になっておりまして。

あとは空港周辺の許可が必要というのは我が国も同じですが、空港周辺以外での飛行については、例えば我が国では目視範囲内という規制はないのですが、目視範囲内というような規制が、やっぱり米国英国ではございます。目視範囲外は飛んじゃだめですよ、というふうになっております。

図で簡単にまとめたのが、いわゆる小型無人機に対する飛行規制というものが、こういうことになりまして、いわゆる管制圏では許可されない限り飛行は禁止。その他の空域で250m超えるときには、あらかじめ通報することで飛行が可能。

英国の航空法におきましては、基本的には400フィートを超えては飛べません。で、目視範囲内の飛行限定。あと空港周辺などは許可されない限り飛行は禁止です。

続きまして米国ですけれども、こちらは商用と趣味と明確にある程度わかれておりまして、趣味の場合は基本的には高度150メートル以下で、商用の場合は重量原則的に55ポンド(約25キログラム)未満と書いてありますが、趣味の場合につきましても、やはり55ポンドに未満いうふうになっております。

じゃあそれを越えたらどうなるのかというと連邦航空局に確認はしておりませんが、規制を見る限りは有人の航空機と同じ規制がかかるという解釈になるかと思われます。

日本のドローン規制、今後の方向性は?

我が国で、今、省庁連絡会という中で、特に国交省としましては無人機の安全な航空ついて検討をやっておりますが、課題といいますか、考えないといけないということはこういうことかなと考えております。

操縦者とか機体そのもの、実際の運航、どういった範囲で、どこを飛ぶときはどうしないといけないのか、というようなところを考えないとといけないというところでございます。

今後の方針ということで、まだここも具体的になにをどうするというのはお話できるような状況にはなっておりません。省庁連絡会で公表しているものと全く同じなのですけど、小型無人機の安全な運航のためのルールについて、技術的合理性を踏まえ、また将来的な技術開発事業の発展も見据えつつ、整備を進めていきます。で、今月中にルール全体の骨子をとりまとめるということになっております。以上が私の方からの発表です。

【いま1記事目を読んでいます】2.ドローンの経済規模はどのくらい? 経産省担当者が日米欧の現状を解説3.ドローンの操縦に免許は必要? 総務省担当者が無線機器の電波利用について解説4.国有林がドローン特区に? 内閣府担当者が近未来技術の実証特区について解説

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