2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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佐地良太氏(以下、佐地):さっそくおもしろいお話でした。続いてテーマ2です。「今後どのような分野でAI活用が進むことが予想されるか」というところで、竹迫さん、今の流れからいけますか?
竹迫良範氏(以下、竹迫):そうですね。今はマルチモーダル(マルチモーダルAI)というものが流行っていて。今まではしゃべっている言葉とか文字だけだったのが、人間が見ているような視覚の画像とか動画みたいなものからAIが状況を推定して、そのシーンをいろいろと予測してくれるみたいなものがあります。これが将来自動運転とかの領域とかに行くかもしれなくて。
昔はそういった認識機能は複数のセンサーを組み合わせて実現していくっていう感じでしたが、これがもう単一のカメラ画像だけでシチュエーションがわかったり。人間も右目と左目だけで認識しているので、そういったところとかも応用としては広がってくるのかなと。
人間は注意が散漫になってくると、どうしても見落としとかあるんですが、コンピューターはそういったものを見落とさない特徴があるので、そういったところでより安全に自動運転が進んでいくみたいなところとかはあるんじゃないかなと思います。
佐地:なるほど。ありがとうございます。
佐地:ちなみに、林さんはもともとモビリティ関連(のお仕事をされていた)かと思いますが。
林要氏(以下、林):はい。自動車メーカーでしたね。
佐地:今の話でいくと、センサーはステレオカメラ一強みたいになるんですか?
林:ステレオカメラでできることは相当増えるでしょうね。なので、ビジョンが大事なのは間違いないとは思います。
ロボットとか自動車に関して言うと、生成AIのようにコンテキストをなるべく正しく出すみたいな能力とは別に、スピードがめちゃくちゃ大事になるんですよね。自動車だったらスピードがないことには安全性が担保されない。遅くて正しい答えはほぼ意味がない。
佐地:意味ないですね(笑)。
林:実はLOVOTも一緒で、LOVOTの生命感の大事な部分は、正しいコード以上にリアクティビティなんですよね。このレスポンスみたいなところは、生成AIも良くはなっているけれど、僕らが求めるレベルにはまだなっていない。
おもしろいのは生成AIのスピードがどんどん上がっていることですよね。1年ぐらい前に性能的にはまあまあ良いものができて、それをベンチマークに世界中の人たちが加速させているので、今後スピードはどんどん上がると思うんですよ。スピードが上がると、今とはまったく違う使われ方をしていくだろうなと思います。
佐地:なるほど。ありがとうございます。
佐地:今井さん、いかがでしょうか?
今井翔太氏(以下、今井):今スピードの話がありましたが、ここの趣旨は、AI活用がどういう分野で進むことが予想されるかというところで、スピードとかもそうですし、精度とかもそうなんですが、すでに数値上測れているところで、「この数値がちょっと低いから今はまだ応用できないな」というもの(に関して応用ができるようになるかどうか)は、もう時間の問題だと思います。自動車とかLOVOT君とかもそうですけど、そういうところはもう時間の問題だと思います。
今使われているところは、金融とコーディング、あとは医療とか研究領域とかで、僕は前まで松尾研究室に所属していたわけですが、製造業にも(AIを)入れたいということを言っていたんですね。
生成AIとは書いていないのでAIということに関して言うと、ぶっちゃけ全部の分野にいくとは思いますが、逆にどういうところで進まないかというか、どこに限界があるのかを言っておくと、まずWeb上で情報が完結する分野、デジタル空間にすべての情報が完備されている分野は、もう全部AIが入ってくると思います。
佐地:そうですよね。
今井:逆にWeb空間で情報が完結しない。例えば人間の頭にしか情報がないとか、実世界でリアルタイムで起こっていることとかは、AIの性能とは関係なくインフラとかの問題で……。街中すべてのところにカメラをつけたり、人間の脳をハックしたりは無理なので、そういうデジタル空間で情報が完備されないところとかはちょっと難しいのかなというふうには思っています。
例えば最近は生成AIを使ったメディアとかがけっこう出てきていて、正直僕としてはちょっと迷惑に思っていて(笑)。Web上が汚染されている感もあるんですけど。
佐地:そうですね、はい(笑)。
今井:メディアとかはわりと(AIで置き換えられるものだと)反対している人もいるんですが、僕はメディアとかをAIで全部置き換えるのは、ちょっと難しいと思います。あれは人間社会から情報を取ってくるとか、人間社会の頭の中から情報を取ってくるとか……。今日は「人間力」がテーマなわけですが、いわゆるソフトスキルとかは現実世界で設置しておくことが必要なので、こういう分野はAIの性能とか以前の問題でちょっと難しい。逆にこういうところ以外は入ってくると僕は思っています。
佐地:なるほど。ありがとうございます。
佐地:ちょっとずれるかもしれません。LOVOT君にも近いところがあるかもしれないんですが、例えばマッサージ師とかはなくならない寄り(の職業)なのかなと思っているんですが、いかがですか?
今井:まったくそのとおりです。先ほど言わなかった方向の1つとして、人間にやってもらいたいことって、やはりあると思うんです。接客業とかもそうだし、マッサージとかもそうだと思うし、介護とかもたぶんそうだと思います。
2013年だったかな。たぶんディープラーニングが出た直後に、「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?」という、オックスフォード大学の教授が書いたけっこう有名な論文があったんですが、そこで置き換えられない仕事として挙げられていた2つの性質のものがあって。1つがいわゆるクリエイティビティ。創作的な人間のクリエイティビティが必要なところが1つ。もう1つが社会性的なところ。いわゆる感情的なところで、今話しているのは、この感情のところですね。
クリエイティビティのところは、残念ながらAIが置き換えちゃったんですねが、ソーシャルなところ、社会性とか感情とかの部分は難しいと思っていて。人間らしさとかの話に入っていく時にもうちょっと言うと思うんですが、創作界隈からの反対とかも今起きていますし、実際に論文とかを見ていても、性能はともかく、人間にやってもらったほうが良かったというものがけっこうあるので、そういうものは難しいのかなという感じですね。
佐地:ありがとうございます。めちゃめちゃ次のテーマに続きそうなので、このまま次のテーマにいってしまいます。
(次回につづく)
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