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サービスを軌道に乗せるまで一人でやったすべてのこと(全1記事)

個人開発サービスを軌道に乗せるまでに行ったすべてのこと UU数28万人の「席替えメーカー」、元教師の開発者が語る

株式会社YOUTRUSTの寺井氏は、個人開発でリリースした「席替えメーカー」について、ユーザー数を獲得するまでに実施したことについて話しました。

教師からエンジニアになった寺井氏

寺井省吾氏:「サービスを軌道に乗せるまで一人でやったすべてのこと」というタイトルで発表したいと思います。よろしくお願いします。

まず簡単に自己紹介ですが、寺井省吾といいます。今、株式会社YOUTRUSTでエンジニアをしています。僕はもともと教師をやっていて、教師からWebエンジニアに転職しました。趣味で将棋とかバドミントンとかサッカーをやっています。

個人開発がけっこう好きで、今までいろいろなサービスを作ってきました。人のペインを解決するようなツール系のサービスだったり、あとはクスッと笑ってもらうためにおもしろ系のアプリだったりをいくつか作ってきました。今日は、自分が今まで作ってきた中で一番ユーザー数が伸びたというか、ユーザーがついてくれた「席替えメーカー」というサービスについてお話ししようと思います。

本セッションで話すこと

席替えメーカーの何について話すかというと、リリースしてから今日までやってきたことを、シンプルに時系列順に紹介していこうと思います。

ただ、再現性があるお役立ち情報とかアドバイスみたいなかたちではなくて。再現性があったら僕も自分が作った個人開発サービス全部にユーザーをつけることができたと思うんですけど、そううまくはいっていないので(笑)。再現性があるアドバイスというよりは、一例としてなにか参考になればと思って、今日スライドを作ってきました。けっこう自慢話みたいな発表になりそうなかたちなんですが、よろしくお願いします。

教師時代の実体験をもとに制作した「席替えメーカー」

席替えメーカーはどんなアプリかを簡単に紹介したいんですが、教師向けの実用的な席替えアプリです。自分が教師時代に「ここを解決できたらいいな」みたいな原体験をもとにして作りました。

実用的ということがどういうことかというと、席替えをする時に、くじ引きでできるクラスだったらそれはそれでいいんですが、小学校とか中学校とかで、くじだとちょっと問題がありそうなクラスがある時、教師目線だと、例えば「A君とB君はちょっと離しておかないと、最近ケンカしちゃったしな」とか「誰々君は目が悪いから、前のほうに持ってきておかないとな」とか「誰々さんは最近保健室登校が多いから、クラスの真ん中じゃなくて扉付近に配置しておこう」みたいな。

そういったいろいろな条件がある中で、席替えを月に1回とか2ヶ月に1回とかやっていくことになります。

その案を作るところを解決しようと思って作っていて、既存の席替えアプリと差別化が図れているようなかたちになっています。

ユニークユーザー数はトータルで28万人ぐらい

ざっくりユーザー数の遷移についてですが、このアプリは2021年3月にリリースして、今、ユニークユーザー数がトータルで28万人ぐらいになっています。すごくざっくりと、だいたい右肩上がりにユーザーが増えてきています。

(スライドを示して)これは月あたりの新規ユーザー数のグラフですが、月あたりの新規ユーザー数も2万人を超える月が出始めたというかたちになっています。

このグラフはちょっとおもしろくて、これもざっくりと右肩上がりになっているのがわかると思うんですが、これだけをあらためて見ると、席替えメーカーがすごく安定していないサービスに見えると思います。

これはけっこうおもしろいところがあって、くぼみになっているところが学校が休みの時期なんですね。3月の春休みとか8月の夏休みとか、あとは年末年始の学校がない時に需要が落ちて、新規獲得ユーザーが減る。

ただ、学校が再開されるとまた獲得ユーザー数がどんどん増えてくるようなかたちで、一定のプロダクトマーケットフィットに近づいてきているんじゃないかということがわかると思います。

席替えメーカーを作った時の理由

当時、席替えメーカーを作った時の理由なんですが、教師の業務を改善したいという気持ちがもう本当に強くて。エンジニア転職のポートフォリオにしたいとかマネタイズしたいみたいな気持ちはなぜかぜんぜんなくて(笑)。

当時僕はRailsのプログラミングスクールにいたんですが……。エンジニアに転職するにしても、バックエンドのエンジニアになりたいなと思っていたんですが、このサービスは課題解決ベースで作ったので、バックエンドもなければ、Vue.jsだけで作ったかたちになっています。

そういった目的で作っていたので、とにかく多くの教師の方に知ってもらうことを目的としていました。具体的には口コミとかSEOとか、作った後にそういうところを伸ばしていきたいなと考えていました。

リリースと同時に記事の投稿、そこからメディアへの掲載へ

ここから、時系列順にやったこととかうまくいったことを話していきます。まず、2021年3月のリリースと同時に「Qiita」の記事を投稿しました。たまたま「席替え」というみなさんにとって馴染みのあるテーマだったこともあって、未経験エンジニアのポートフォリオとして、本当に運良く注目を集めることができました。

そのQiitaの記事がきっかけでメディアの記事にしてもらうことができて。「INTERNET Watch」の「やじうまWatch」というメディアですが、そこで記事にしてもらえて、これで一気にユーザー数と認知度を高めることができました。

今振り返ってみても、これは完全に運が良かっただけの結果だったんですが、このチャンスを活かさない手はないなと思って、これをもとにできることがないかを考え始めたきっかけになりました。

届けたいセグメントにしっかり届けるために、SEOなどを強化

ただ当時、届けたいセグメントは教師にもかかわらず、届いてる相手はほとんどがエンジニアという課題がありました。なので、メディア記事を種にして、教育関係者への直接的なアプローチをしようという計画を立てたり、あとは教師の人が困って調べた時に席替えメーカーのことを知ってもらえるように、SEOを伸ばすことを目標に活動し始めました。

まず、その取っ掛かりとして「note」の記事を書きました。なぜかというと、教育関係者にアプローチする時は、Qiitaの記事に書いたような技術的な話は必要なくて、どちらかというと、思いとか、どういう背景で作ったかが重要であると考えたからです。

そのnoteの記事やメディアの記事とかを種にして、当時100人以上の教育系インフルエンサーの方に「X」のDMで宣伝を行いました。

僕はこういうことをやるのが初めてだったので、煩わしいかなとためらう気持ちも強くあったんですが、席替えメーカーを知ってもらって、困っている人に知ってもらえれば絶対に助けになるという確信があったので、実行しました。やってみると意外と……。共感して拡散してくれたり、現場目線のアドバイスをくれる人がすごく多くて、自分も励まされました。

あとは、Xのインフルエンサーではなくて、ブログで発信している教育関係者にも宣伝すると、何人かの人がブログで記事を書いてくれたりもしました。

あとは、ダメ元で5つのメディアにプレスリリースを依頼して(笑)。個人開発サービスなので99パーセント無理だろうなと思ってやったんですが、こちらは返信すら来ずというかたちになりました。

地道な活動の結果、検索結果で1位を獲得

(スライドを示して)3月はそういった地道な活動をやっていたんですが、その活動の結果、最初は青のグラフですね。Referral、記事経由が多かった。これがやじうまWatchの記事にしてもらって一気にパーンと増えたところです。

青が多かったのが、その後、次第にOrganic Searchですね、検索のところでどんどんユーザー数が増えてくるようになっていきました。今ではもうOrganic Searchがほとんどになっています。

あとはSEOのところも、目標にしていた「席替えアプリ」だけじゃなくて、「席替え」の検索結果で1位を獲得することができて、2021年当時から現在までずっと1位を維持することができています。当時、一番良かった時は、席替えメーカー関連で上位を独占することができたりしていて、席替えに困った人が自動的に席替えメーカーにたどり着く仕組みを作ることができたと思います。

仕組みを作ってからはサイクルがうまく回るように

この仕組みを作ることができてからは、サイクルがさらにうまく回るようになり、先ほど話した、プレスリリースをお願いしたメディアから5ヶ月越しに返信が来ることがあって(笑)。小学館さんの「みんなの教育技術」という教育業界で大きなメディアなんですが、そこで2つの記事を掲載してもらうことができました。

また、それが種になって、次は日本最大の教育NPO法人の企業教育研究会というところから、千葉県の教師や千葉県の県教育委員会の人を対象とした講演の依頼が来て、そこで話したりしました。

またまたそれが種になって、『「日常アレンジ」大全』という教師のための本の教師のお役立ちネタとして、席替えメーカーが……。(スライドを示して)これは実際に掲載された画像ですが、書籍に掲載してもらったりと、どんどん良いサイクルが続きました。

3月にめちゃめちゃ営業をかけたんですが、それ以降は特に自分からはなにかをすることはありませんでした。依頼なしでも20個以上のブログでその後に席替えメーカーを紹介してもらったりしていて、すごく良いサイクルになってきたなと思っています。

多くの学校に使われるようになってきたことを体感

(スライドを示して)これは教師の方から直接送ってもらったというか伝えてもらってめちゃくちゃうれしかった話なんですが、学校のクラスで席替えとか、いろいろなことを子どもたちで決めている小学校があって。席替えのやり方も児童に任せているところで。

席替えメーカーが投票結果で1位になって、子どもたちにも席替えメーカーが届くようになって、支持されるようになってきたというところがありました。最近はそういったかたちで当時届けたかった人たち、先生や子どもたちに届くようになってきたなと思います。

(スライドを示して)2024年に入って、先週(2024年1月18日時点)のことだったんですが、本当に多くの学校に使われるようになってきたなと体感できることがありました。

当時、一緒に働いていた先生たちから「LINE」が来て、「先生の作った席替えメーカーを○○学校がたくさん使っていました」とか「先日、誰々先生に会ったら席替えアプリが勤務先で広まりつつあることを聞きました。本校においても使用されている方がいます」というメッセージをもらって。

(スライドを示して)これは奇跡的に、実は今日もらったんですけど(笑)。当時目標にしていた、日本中の学校に席替えメーカーが届くというところが少しずつですが達成できてきていて、引き続きやっていきたいなと思っています。

運の要素が強いけれど、できる限りのアクションを起こしていくことは必須

再現性があるアドバイスというよりは事例を紹介してきました。まとめると、サービスを軌道に乗せるためには、運の要素が本当にすごく強いと思うので、再現性があるかわからないんですが、とにかくできる限りのアクションをどんどん起こしていくことは必須なんじゃないかなと考えています。

それで運良く結果が得られたら、それをもとにしてできることがないかを考えて、アクションを止めることなくどんどん続けていくことが大事なんじゃないかなと個人的に思っています。

つたない発表ではありましたが、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

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