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開発チームの成果を最大化するEMを目指すには?(全3記事)

「20代中盤は“野生の勘”でマネジメントっぽいことをしていた」 佐藤大典氏が『エンジニアのためのマネジメント入門』を書いたわけ【あらたまが聞くエンジニアリングマネージャー仕事の極意】

主にエンジニアを対象としたピープルマネジメントを主軸に、エンジニア採用からプロダクトマネジメントに至るまで、会社のフェーズによってさまざまな役割を求められるEM(エンジニアリングマネージャー)。やるべきタスクの多さに比例して悩みも増えがちな職種ですが、ロールモデルがまだまだ少ないのが現状です。 そこで今回は、LayerX EMの新多真琴氏をモデレーターに迎え、『エンジニアのためのマネジメント入門』の著者である佐藤大典氏にEMの役割、必要なスキルセット、キャリア形成など、チームを成果に導くEMになるために必要なことについておうかがいしました。全3回。

『エンジニアのためのマネジメント入門』の著者・佐藤大典氏

新多真琴氏(以下、新多):今回は、エンジニアリングマネージャーを題材として、『エンジニアのためのマネジメント入門』を執筆された佐藤さんをお迎えして、お話をいろいろ聞いていこうと思います。よろしくお願いします。

佐藤大典氏(以下、佐藤):よろしくお願いします。

では、簡単に自己紹介からやっていければと思います。先に私からいきますね。新多真琴といいます。ログミーTechのアンバサダーに2023年に就任いたしました。

ふだんは、LayerXという会社でエンジニアリングマネージャーをやっております。これまでのキャリアとしては、バックエンドエンジニアを主軸にやってきており、前職ではCTOを務めたりもしましたが、今はLayerXでEMをやっているキャリアになります。よろしくお願いします。

佐藤:佐藤大典と申します。今日はよろしくお願いします。

私は、現在フリーランスとしてエンジニア組織のマネジメントおよびソフトウェア開発に携わっています。前職では、VPoEとしてマネジメントの経験をいろいろしていて、2023年に、そういったマネジメントの知識を体系化するために『エンジニアのためのマネジメント入門』という本を執筆しました。

今日は、マネジメントをテーマにしたお話ができればなと思っております。よろしくお願いします。

新多:よろしくお願いします。

では、企画の背景をちょっとお伝えできればと思います。エンジニアリングマネージャー、これからEMと呼んでいきますが、EMという職種の定義の難しさはやはりあるなと思っています。

それはなんでかというと、会社によって求められる役割がさまざまであるというところもそうですし、ここからここまでがエンジニアリングマネージャーの職務ですという絶対的なラインみたいなものがやはりない。

ざっくり言ってしまえば、プロダクト開発におけるマネジメントっぽいことを全部期待されている役割と捉えられることもあったりして。

佐藤:(笑)。

新多:そうなると、自分の軸足をどこに置いていいのかがわかりにくいよねというのは、エンジニアリングマネージャー共通の悩みとしてあるかなと思っています。

その中で、私たちが実例というかたちでお話をしていくことで、ロールモデルにはならないかもしれないけれども、その一端を、なにかしら担えるような、そういった情報を出していけたらいいなと考えて今日ここにいます。

佐藤:ありがとうございます。

20代中盤は“野生の勘”でマネジメントっぽいことをしていた

新多:では、さっそく佐藤さんにいろいろうかがっていけたらと思います。先ほど自己紹介でも軽く触れていただきましたが、マネジメントのロール、VPoEも含めて担われてきた中で、ざっくりとどういったことをやってきたのかをうかがえたらなと思います。

当時はEMという名前がなかったかもしれませんが、「マネージャーをやってみてほしい」と言われた時のきっかけだったり、ご自身がやってみようかなと思った流れをうかがってもいいですか?

佐藤:私が最初にマネジメントに携わったのは、20代中盤の頃でして。

新多:だいぶ早いですね。

佐藤:そうなんですよ。ただ、当時はマネジメントというものを知らなくて、なんかよくわからないけどやり始めた状況でした。

具体的に何をしていたかというと、あるチームのリーダーを任されたというのが一番初めでしたね。そのチームでは、主にプロジェクトに向かってソフトウェア開発をゴリゴリ推し進めていくということをやっていて、そのチームのリーダーとしてプロジェクトのマネジメントだったり、テクノロジーのマネジメントを主な領域にしていました。

当時はエンジニアリングマネージャーなんて言葉はなくて、「なんか、コード書かなくなったな」ぐらいの感じで(笑)。

新多:(笑)。相対的に減っていたなって。

佐藤:そうなんですよ。自分が何をし始めたのかが当時はあまりわかっていなくて、がむしゃらにただただプロジェクトを進めていました。

次に体験したのが、組織長としての立場ですね。リーダーを経験してマネージャーをやって、部門長をやらせていただいた時に、組織にリーダーが幾人かいて、その人たちの評価などに携わるようになって、初めてピープルマネジメントなどそういった部分の片鱗に触れるんですけど。

それでもマネジメントはよくわからなかったというのが20代後半頃ですね(笑)。なんとなくで(マネジメントをしていました)。

新多:なんとなく野生の勘でマネジメントっぽいことをやっていたと。

初めての1on1がマネジメントのターニングポイント

佐藤:ターニングポイントがいくつかあるんですが、その後転職した後がやはり大きなポイントだったなと思っています。前々職に当たるんですが、その会社は(マネジメントの)土台を作ってやっている会社で、初めてそこの会社の上司に1on1をしていただいたんですね。

当時、1on1がよくわからなくて、「何が違うんだ?」と思いながら受けた時に、「あっ、こういうふうにやると相手の人……当時は自分ですね、自分自身がいろいろなことに気づけるんだ」とか「あっ、こういう話し方ってあるんだ」とか、すごく初歩的な話なんですけど。

新多:いやいや。

佐藤:そういったことを知ったんです。前までは、自分が思ったことや考えたことをただ直球でコミュニケーションしかしていなかったんですが、いろいろなやり方があることを知ったのがきっかけで、「あっ、こういった分野があって、そこを掘り下げることができるんだ」というのが最初の気づきでしたね。

新多:なるほど。

佐藤:その後、マネジメントではないのですが、例えばスクラムマスターのロールとして携わった時に、「チームビルディングって、こういうことをやっていくといいんだ」とか「直接的じゃなくて間接的にチームが動くようにやることも1個の手法なんだな」というのを経験しました。

個人のマネジメントやチームのマネジメントを経験している中で、「組織全体のマネジメントはどうやっていくのかな?」という部分に興味が向いて、もっと経営に近いところで仕事がしたいということで、前職に転職してVPoEをやっていたというところです。

佐藤:最終的にたどり着いた答えというわけでもないですが、自分の中では、チームから経営と横の各組織、全部がつながることで初めて成果になるんだなと感じていて、チームだけじゃなくて会社全体で考えなきゃ駄目だよということを思って本を書いていました。

新多:確かに、章が進むごとに視座が上がっていくというか、より巻き込む人の数が増えていくような構成になっていましたね。

佐藤:そうですね。

新多:なるほど。

佐藤:という経歴です。

新多:ありがとうございます。本がそのまま佐藤さんのご経歴をなぞるようなかたちで(笑)。

佐藤:(笑)。そうですね、実はそんな背景がありました。

新多:ありがとうございます。

(次回へつづく)

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