2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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関口朋宏氏(以下、関口):最後に、技育祭ということで、みなさんは未来のエンジニアたちだと思っているので、期待を込めてちょっとお話ししたいのですが、また入り口の話をしますね。
みなさんにぜひ考えてほしいのは、「テクノロジーとは何か?」「なぜテクノロジーが世の中に存在しているんだ?」ということです。
例えば、先ほどのアメリカのソフトウェアエンジニアのブートキャンプに出ると、「ソフトウェアはなぜ存在しているか?」から始まるんです。そこをみなさんぜひ考えてもらいたいなと思っています。
「テクノロジーとは何か?」をけっこう突き詰めていくと、難しい本がいっぱいあります(笑)。だけど、難しい本を読むのは大変なので、僕がさらっとお話しします。
先ほども言いましたが、テクノロジーって人間の目的を達成する手段です。ベースは人です。新しいテクノロジーが来ると、違うテクノロジーの違う課題が来るんですよね。だって、車は超便利だったでしょう。でも、こんなに車を走らせたら、地球温暖化という別の課題が来ちゃうわけじゃないですか。
やはり、新しいテクノロジーは新しい課題を生み出すんです。それに対して向き合っていかなきゃいけない。つまり生物のようにテクノロジーは進化していくので、その進化に追いついていかなきゃいけない。
「じゃあ、その進化はなぜ起きるのか?」というと、経済です。人の欲求が経済を作っているので、やはりその経済とともにテクノロジーは進化していきます。その源泉は人にあるので、やはり人にめちゃくちゃ興味を持ったほうがいいです。
あまり、こういうことは(他の人は)言わないんじゃないかなと思います。エンジニアはめちゃくちゃ人に興味を持とう、人の生活に興味を持とうというのが、テクノロジーというものの存在をより世に役立たせる役割として、技術者が成功するために必要なことなんだろうなと僕は思います。
「外に飛び出せ」と言っているのでみなさんわかると思いますが、私は、フルリモート反対派です。人を知ることができないから。人に興味を持てなくなっちゃうから。
あと、世の中で何が起きているか五感をフル活用して知ることができないから。だから、(外に)出ましょう。ずっと外にい続けろという話じゃないんです。でも、飛び出そう。世界は広いよということも含めて、自分の肌で感じてください、目で感じてください。
だから、やはり世界をもっと知って、もっと人に会って、もっと社会を見つめて、「技術」×「?」の部分をみなさんなりにもっと見つけてほしいなと。そうすると、いいものづくりができます。そういうエンジニアになってほしいなっていうのが、僕からの最後のメッセージです。
ありがとうございました。
村上晴香氏(以下、村上):ありがとうございました。ちょっと、せっきーが熱すぎて、ぜんぜん私が突っ込めなくて(笑)。
関口:暑苦しいですか? ごめんなさい。この話になると熱くなるので。
村上:ありがとうございます。じゃあ、10分ほど、質問時間を設けたいと思いますので、みなさんウェビナーチャットにどんどん投稿ください。せっきーの講演の途中に、「哲学みたいでおもしろい」とか「外に飛び出せ」とか、思ったよりせっきーが伝えたい、私たちが伝えたいような内容をみなさん書いてくださいました。
「今から東京に飛び出してぇ」とか(笑)。
関口:もう飛び出してください。
村上:(笑)。
関口:でも、東京に来るんだったら海外に行ったほうがいい(笑)。
村上:(笑)。で、いろいろ質問が来ています。まずは、講演の途中に来ていたものがあって、「情報産業が伸びているのにIT人材の給与が下がっているのはなんでですか?」という質問について、「気になる」というコメントもあったので、ちょっと補足いただいたほうがいいかなと思いまして。
関口:OKです。これはね、ファクトが足りないのですが、僕、二十何年このIT業界にいるのでわかるんですよ。技術者って基本、給与がどんどん下がっていくんですよ。最初は先進的な技術だとして希少価値があったとしても、だんだんみんな使えるようになってくるので、希少価値がどんどん落ちてくるんですね。
そうすると、技術者は常にアンラーニングやリスキリングをやっていかないと世の中についていけないわけです。経済とともに進化するからね。
これ、何を言っているかというと、仮説としては、日本のエンジニアのスキルが進化していないということなんだと思います。つまり、みんながそうではないのですが、平均値を見た時に、進化していないエンジニアたちがいっぱいいるということなんじゃないかな。昔の技術の貯金で食べている人たちがいっぱいいるということ。そうすると絶対に給与が下がる。
そういう人たちが大半を占めると、経済の構造上絶対こうなると考えたほうがいいかなと。だから、そうなっちゃ駄目だよというのが、今日のメッセージですね。
村上:なるほど。ありがとうございます。次にいきますね。「開発では極力無駄を取り除いて、本当に大切なものを残すことが重要だと考えていて、無駄を取り除くには本質を見抜く能力が必要であると考えています」。
意図せず、私たちが大事にしている「BrainPad Values」中にも「本質に向き合う」という価値観を掲げていますよね。
関口:はい、大事にしています。
村上:大事にしているのですが、「本質を見抜くために実践していることはありますか?」と。
関口:あぁ、なるほどですね。
村上:私たち社員が、でもいいですし、せっきーが、でもいいですし。
関口:じゃあ、せっきーの話をしましょう。
村上:せっきーの話をしましょうか(笑)。
関口:めちゃくちゃ考える。“なぜなぜ問答”を自分の中でめちゃくちゃすることですね。つまり、1個の事象があった時に、目の前で見たものがあった時に鵜呑みにしないこと。
「いや、これってなんでこうなっているんだろう? なんでこうなっているんだろう?」ということを繰り返していくことによって、「これは、本質的にはこういうことを解決したいために存在しているんだな」みたいなことがわかってくると思うんですよね。
人はけっこう表面的にしか見ずに判断していますが、そこで思考が止まったら本当は駄目で、本質的なものを見極めていこうと思うと、やはり考え続ける力がすごく重要だなと思っています。だから、頭を組み替えていかないと、やはりそこは駄目だなと思います。
あとは先ほどもちょろっと言ったのですが、鵜呑みにしないこと。インプット量はすごく大事なんですが、例えば僕は、1つのことを勉強したいなと思ってマーケティングの本を読んだりしている時も、同じテーマの本を他にもめちゃくちゃ読みます。そうすると、何が同じで何が違うかがわかる。10冊読んで10個同じことが書いてあったら、これはたぶん本質的にみんな共通項なんです。
ということをインプットしていくのが必要だったりするので、やはり1個のものを見てそれを鵜呑みにしないことが非常に重要。
あとね、自分の肌で感じることも大事。人はこう言っているけど、自分がやってみたら違う感覚を持ったりするから、自分でやってみるのはけっこう大事だと僕は思います。
村上:ありがとうございます。どんどんいこうと思います(笑)。みなさんせっきーに興味を持ってくださっていて、けっこう質問が来ています。
「せっきーは自身を振り返ると、自身のスキルの掛け算でどんな要素があったと思っていますか?」。
もう1つ、「掛け算のところは文系領域であるほうがいいですか?」という質問もあるので、併せてお願いします。
関口:いや、必ずしもそんなことないです。うちのデータサイエンティストの人間も、エンジニアリングのスキルと両方掛け算で持っていたほうがよくて、フルスタックエンジニアということで、フロントサイドからバックエンドまでやれるフルスタックがあるのですが、うちのエンジニアたちはさらにそこにデータサイエンスを加えているんですよね。
そういうもので、新しいフルスタックを作ろうとしているので、やはりそういうのを掛け算をしていったらいいんじゃないかなというのはあります。必ずしも文系だけではなくて、技術のことでもいいと思います。
でもやはり、世の中に対して役に立とうとした時、世の中は、技術のところだけだとあまり見えないんですよ。
そういう意味で、世の中の役に立つという観点で見ると、もう少し文系的なところ。「人ってなんでこういうことを考えるんだろう?」という、社会心理を考えたりするのもおもしろいと思うし、そういうのを掛け算したほうが幅は広がりやすいかな、なんて思います。
でも、必ずしも「理系」と「文系」とにすることはないと思うので、時と場合によっていろいろなかたちで掛け算をしたらいいんじゃないかなと思います。
村上:ありがとうございます。
村上:次ですね、「エンジニアは人に興味があるという意見にむちゃくちゃ同感です」。これは、おもしろいんですけど、「人に対する興味が爆発しすぎて人と過干渉、過剰接触してしまうことがあるみたいです」と(笑)。「普通に接しているつもりなんですけど、なにか人との関わり方についてアドバイスもらえないですか?」という。
関口:(笑)。いや、いいと思うんですけどね。いっぱい知り合いがいたり、いっぱい話を聞ける人がいたり仲間がいるということはすごいことなのでいいと思うんですけど。
ちょっと難しく捉えられちゃうかもしれないけれど、大事なのは倫理観なんですよ。世の中にとっていいことをやろうっていった時に、いいことの定義がきちんとできていないと駄目なので、やはり人と接する時も、倫理感がすごく大事だと思うんです。
その人にとって失礼がないこと、かもしれないし、やはりなにかを聞き出そうと思ったら、なにかを与えるというギブアンドテイクをきちんとすることもそうだと思うし、人と接する時には、もらうだけではなくて、きちんと与えることも大事かなと思うし。
あと、なんだろう、勉強することに対しても、インプットだけ増やしてもアウトプットしないとやはり入ってこないので、どんどんアウトプットするのも一緒にやったらいいんじゃないかな。
それだけ一緒に話せる人たちがいるんだったら、どんどんインプットとアウトプットを爆速でやってもらったらいいんじゃないかなと思います。
村上:爆速というキーワードが出ていました。参考にしていただければと思います。
村上:あと、2問ぐらいかなと思います。「データ分析のリード企業として、最新のおもしろい業界の話を知りたいです」とのことです。
関口:それ、長くなるんですよ(笑)。
村上:(笑)。
関口:だけど、生成AIの話って最近話題じゃないですか。やはり生成AIの世界になってくると、エンジニアリングの力がすごく重要かな。
アルゴリズムを作るより、どう使うかの世界になってくるので、それをどうソフトウェアとして世の中、人に役立つものに変換するかという力のほうがより重要になると思います。生成AIの世界になったら、これまでのアルゴリズムを作るデータサイエンティストタイプの力よりも、エンジニアリング力のほうが必要だったりするかなと思うので、やはりこの掛け算がけっこう大事だよなと思います。
エンジニアリングの力とデータサイエンスの力の掛け算というのは、幅を広げると思います。そういう世界なので、そんなことも考えてもらったらいいかななんて思います。
村上:質問で「新しいものをデザインしたり設計したりする側になるにしても、コーディングのスキルは必須でしょうか?」という質問が来ていたんですけど。
関口:僕は今経営者という立場で、直接はコーディングしない、システムを作りません。僕、若い時にシステムを散々作って、めちゃくちゃつらかったことがあるんです(笑)。
村上:なるほど(笑)。
関口:ですが、そのつらかった経験が大事で、やはりシステム開発やアプリ開発をしていく時に、何が大変かを肌を持って知っていることがすごく大事なので、絵空事は言わないです。
新しいことをやりたいけど、何が大変かを肌感を持って知っていることが重要なので、やはりそこはけっこう大事かなと思っています。
だから、つらい部分も知っているということ、闇も知っているみたいなことは、やはり人の幅を広げるんじゃないかなというふうに思います。
村上:私も前職は一応エンジニアでしたので、その話は同感ですね(笑)。
関口:みんな闇に(笑)。
村上:(笑)。
関口:ものづくりって、やはり生みの苦しみがあるじゃないですか。
村上:ありますね。
関口:悪い意味じゃなくて、最初生み出すのは苦しいんですよ。でもその苦しさを知っていたほうが人としても幅広くなるし、いいんじゃないかなと思いますけどね(笑)。
村上:苦しみも、楽しみもあるかと思います。
村上:じゃあ、最後、本当に最後です。ドドンと大きな質問です。「日本はこれからどうなりますか?」(笑)。
関口:僕に聞くか(笑)。
村上:残り1分残しておいてもらって、2分ぐらいでお願いします(笑)。
関口:なるほど、「どうなりますか?」。いや、「どうなりますか?」より「どうしたいか」のほうが重要だと思っています。別に詭弁ではなくて、やはりほっとくとヤバいなという感覚だけはみんな持っているので、ほっといちゃ駄目だと思うんです。
僕は日本人なので、日本が好きですが、このままの日本であるのは日本人としてすごく悔しいと思っているし、日本人として誇りを持って世界に向き合いたいなと思うので、このままじゃ駄目だと思う。
やはり若い人たちが活躍できる環境を僕らみたいな世代がどんどん作りたいと思っています。やはり、おじさん、おじいちゃんたちががんばっても駄目なんですよ。
だから、未来を作るのはもうみなさんたち。うちの会社もそうですが、みなさんたちの力をどうやって引っ張り上げられるか、活躍できる環境を作るかというのが僕らの仕事だと思うので、みなさんに幻滅されない社会にするようにがんばります。
村上:ありがとうございます。せっきーが宣言をしたところで、ちょっと1分だけ宣伝のお時間をください。
弊社は、毎年新卒採用を募集しています。現在も2025年卒の採用が始まっています。エントリーのURLをチャットに貼っているので、ご興味ある方は覗いていただければと思います。
すべての質問に答えられず大変申し訳ありませんが、みなさん、本日はいろいろと質問いただきありがとうございました。
関口:ありがとうございます。
村上:お時間になりましたので終了したいと思います。
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