2024.10.10
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AIチャットくん/AIイラストくんのリリースフローとチーム体制の変遷 (全1記事)
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渋谷幸人氏(以下、渋谷):よろしくお願いします。あらためまして、piconの渋谷です。
piconは、今画面に表示されている「AIチャットくん」と、「AIイラストくん」という2つのプロダクトをメインにやっている会社です。
まず、自己紹介からさせていただくと、あらためて、渋谷幸人と申します。今のpiconという会社を共同創業しました。2023年4月1日で8年目の会社になります。
少人数のチームなので、担当領域は、AIチャットくんのPM、開発、PR、BizDevなど、本当に幅広いです。個人的なところでいくと、サウナ、ビール、ナチュラルワイン、あと最近は、サーフィンにちょっと興味が湧いていて、体験したのでちょっと肌が焼けている状態になっています。
「Twitter(※現X)」をやっているので、ぜひフォローしていただければと思います。
今日は、piconがどういう会社なのかというところと、AIチャットくんの特徴や、どういったプロダクトなのか。あとは、今後について。どういったチーム体制なのかや、リリースまでのフロー。そういった全体像の中でpiconがどういったプロセスでどういうことを考えてプロダクトを作っているのかをお伝えできるといいなと思ってお話しします。
まず、piconですが、生成AIを使いやすいアプリケーションを通してマスに届けるといったテーマで今取り組んでいる会社です。
チームは、フルタイムが3名。代表がデザイナーで、僕がエンジニアで、もう1人のデザイナーの合計3名と、業務委託で15名ほどのチームになっています。
ここが特徴なんですが、創業から8年、一貫してtoCのプロダクトを作り続けているチームです。(スライドを示して)これは、作ったプロダクトの一部ですが、左上の「プライザ」というものや、賞金付きの大会を主催したり検索して参加できる、eスポーツで最も使われているアプリを作ってきました。このあたりは、今主力事業ではありませんが、過去に作ってきたプロダクトです。
これまで、(スライドを示して)こういった方々にご支援いただき、1.5億円ぐらい調達をして、やっている会社です。
ここからAIチャットくんを紹介いたします。AIチャットくんは「LINE」で簡単に誰でも「ChatGPT」が使えるサービスです。今まではサイトが英語だったり、認証フローがちょっと複雑だったりというところで、意外と使う方が少なかったり、使うハードルが高かったというのが背景にありました。
API公開の当日にリリースしたのですが、そこから1ヶ月で100万ユーザーほど。現在は(※登壇当時)160万人を突破しています。
特徴としては、50代以上のユーザーが15パーセント近く利用しています。本当に幅広く、これまでChatGPTを使ったことがないという方にも使っていただけているプロダクトです。
あとは、台湾のユーザーも10パーセントほどいます。リリースのタイミングで台湾のメディアにたまたま取り上げていただいたのがきっかけで、ここまで人数が増えているのですが、LINEが展開している国に、けっこう展開しやすいプロダクトというのが1つの特徴になっています。
プロダクトの機能面での特徴というところでいくと、「Whisper」というOpenAIから出ているAIを利用した音声認識機能で、音声入力できるというところであったり。
あとは、LINEならではというところでいくと、グループチャットの中に入れて使うこともできます。例えば花見で、持ち物を考えたり、幹事や担当を決めたりするのは大変だと思うんですが、AIチャットくんには「この中から1人選んでください」と言ったら決めてくれる機能も作っています。
こういうChatGPTの活用の中で、より日常の中で親しみやすいプロダクトを作っている会社です。
AIチャットくんは、年内1,000万人を目指していて、やっている意義というところでいくと、1人でも多くの人に最先端のAIを届けていきたいというところです。
最近弊社で調査をしたところ、今だと、やっと認知度が60パーセント。実際に使ったことがある人は30パーセントほどに留まっているという結果でした。まだまだ使っている人が少ないなという印象ですし、かつ、その中で活用できている人というと、もっと少ないと思っています。
なので、弊社は、1人でも多くの人に最先端のAIを使う機会を提供する、かつ、そこからきちんと活用できるところをサポートしていくことで、AIの時代においても日本を取り残さないようにしたいと思っています。
『鉄腕アトム』や『ドラえもん』など、ロボットやAIは、日本人にとても親和性が高いものだと思っているので、(日本を)AIの活用の先進国にできるんじゃないかなと思っていて、その一助になりたいなと思って日々やっています。
プロダクトとしても、このままピュアなChatGPTを叩くものだけではなく、最近は「LangChain」などを組み合わせることで最新の情報や今以上の能力を引き出すというところがトレンドになっていると思いますが、そういったトレンドもしっかりキャッチアップしていって、一方で自分たちの強みである、わかりやすいUXだったり、誰でも使えるような体験を担保するというところに取り組んでいこうと思っています。
会社として直近で出したプロダクトは、AIイラストくんというものです。AIイラストくんは、リリースが実際に完了していて、(リリース)1週間で3万登録、今は5万登録を突破しています。
これは裏側に、「Stable Diffusion」のモデルを使っています。GPUでオートスケールするようなかたちで組んでいます。こちらはけっこう開発が大変だったんですが、メンバーを採用して、開発パートナーというかたちでやって、リリースできています。
会社として今公開できるものがないので、すごくモザイクがかかっている感じになってしまっているのですが、並行して3つほどプロダクトが存在しています。すべてtoCで、AIチャットくんのユースケースを見ていく中で、一番ChatGPTが得意であったりユーザーさんが価値を感じているところを抽出してプロダクトに落とし込んでいくということをやっています。
というのがAIチャットくんの紹介と、piconが今取り組んでいる全体像です。
ここから、実際どういったフローで開発、リリースまで持っていっているのかというところと、現状のチーム体制、課題感をお話しさせていただければなと思っています。
リリースまでのフローについて、あらためてまとめてみました。
アイデアのところに関しては、けっこうまちまちというかプロダクトによって違って、AIチャットくんに関しては僕が、スマホでChatGPTを使うのであればLINEが一番身近なんじゃないかなというただの思いつきから半日でリリースしました。
AIイラストくんは、AIチャットくんの成功要因をトレースするようなかたちで、そこもニーズがあるんじゃないかというところで作りました。「思いつく」というところは、けっこうさまざまなところから来ています。
検討に関しては、本当に半日かからない時もあれば、1週間ぐらいかけることもあります。なかなか新規プロダクトでみんなを納得させるのは難しいよねという認識があるので、価値提供できるか、マネタイズできるか、会社の戦略と合うかというところを検討して、僕か山口(山口翔誠氏)、どちらかがGoしたらいけるというかたちで、かなりスピーディに意思決定しています。
その後、プロダクトの難易度によりますが、半日から2ヶ月間ぐらいかけてリリースしていって、プレスリリースやTwitter(現X)でリリース後の活動をやっている感じです。
世の中の話題性のスピード感と、クオリティをしっかり出していく必要があるというところで、どのタイミングでリリースしていくのかは、けっこう気を遣って判断しています。
実際、どういうチーム体制でやっているのかというところで、2023年3月2日の時点ですね。AIチャットくんをリリースするタイミングでは、(スライドを示して)完全にこの2人でやっていました。すごく寂しい組織図になっているのですが、もともとそんなに反響ないかもなと思ってAIチャットくんをリリースしたんですが、相当反響をいただいたので、きちんとチームを作ってやっていきたいなと(思いました)。
特にAIチャットくんを通じて、生成AI×toCやアプリケーション領域の可能性を、僕も代表の山口もすごく感じたので、チームで戦っていく必要があると思って、現時点でのチーム体制は(スライドを示して)こういうかたちになっています。
かなりメンバーが増えて、全体で15名というところで、ちょっとこれだと見にくいと思いますが、代表の山口が一番上で、その下に僕がいて、僕の下にけっこうたくさんのメンバーがいるかたちになっています。プロダクト開発に関わるメンバーにフォーカスしたのがこちらです。
山口はプロダクトを見るのがけっこう得意というか、プロダクトオーナーとしてかなりいいインサイトを持っている人間だと思っているので、山口が基本的にPMを見ていて、僕自身もPMをやっていたり、エンジニアの方々と連携しながら開発しているチーム体制になっています。
(スライドを示して)この緑のところが正社員で黄色が業務委託です。組織図を見ていただくとわかると思いますが、僕の下にめちゃくちゃ入っていて、なかなか回らなくなってきたなというところで、組織的にもなんとか進んではいるのですが課題を抱えているところになっています。
プロダクトごとのチーム体制としては、(スライドを示して)こういったかたちで、PM、エンジニア、1人から2人。あとはデザイナーだったり、イラストくんだとプロンプトエンジニアリングというところで1名入ってもらっていたり、こういうかたちで、けっこうスモールで進めています。
現状、自分たちが抱えている課題ですが、ChatGPTや生成AIを活用したプロダクト開発には本当に可能性があるなと思っている一方で、技術の進歩が早すぎて技術選定だったり、より深く技術の調査をした上での実装にリソースを割けていなかったり、拡張性を踏まえたアーキテクチャ設計だったり。
あとは、エンジニア組織を作っていく上での知見や経験がそこまであるわけではないので、組織としてきちんとアウトプットを出していくというところに今後取り組んでいかなきゃいけないなと思っています。
なので、現在エンジニアを募集しています。どういうエンジニア組織であるべきなのかというところから考えられる方や、かなり進歩が速いこの生成AI×toCの領域の新しい技術、新しいプロダクトの可能性を楽しんでいただける方、ユーザーに喜んでもらうために何が必要かを考えられる方。
そういったエンジニアの方と一緒に働きたいなと思っているので、副業スタートでもOKです。興味が少しでもある方、より踏み込んだ話がしたい方、Twitter(現X)、「Facebook」、どちらでも大丈夫なので、「yukito_shibuya」で検索していただいてお気軽に連絡していただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
司会者:渋谷さん、ありがとうございました。なかなか興味深いお話でした。
ここからQ&Aセッションというところで、質問を拾いたいのですが、ちょっとその前に私からも1個だけ質問をさせていただければと思います。
AIチャットくんやAIイラストくんの話が出た時、めちゃくちゃリリースが早いなと思っていて(笑)、キャッチアップの早さとか、先ほどスピード感がすごく大事という話をしていたと思いますが、そのためになにか工夫されていることはあるんですか?渋谷:そうですね、情報のキャッチアップは特別早いとは思わないのですが、リリースまでの意思決定がめちゃくちゃ早いのかなとは思っています。
とりあえずやってみようという精神もありますし、やってみているからこそ、アンテナを張っているところもあるので、意思決定の早さや、やってみようという精神が効いてきているのかなという感じはします。
司会者:Microsoft for Startupsのファウンダーのところにも入っていますよね。そこもやはり意識してけっこう早く入っていった感じですか?
渋谷:そうですね。あとは、どこぞの馬の骨のプロダクトかわからない状態は不安だろうなと思って、きちんとBizDevも含めてブランドを作っていかないとなというところでそういった動きをしていました。
司会者:ありがとうございます。質問が何件か届いていますので、拾っていきたいと思います。
1つ目です。「画像の生成で妙な形の生物や不思議な人体が出てきちゃう例があると聞いたのですが、そういうことって実際あるものなんでしょうか? また、それに対してどう対応するべきでしょうか?」という質問で来ています。
渋谷:そうですね。手の描写のところとかはまだ苦手なので、そういったものはぜんぜんあると思っています。やはりAIのアウトプットをそのまま出すというよりも、利用用途に応じて人の目を通したり、レタッチ、修正を加えたり、発表の幅はいろいろあるのかなと思っています。
人間の手を加えていくことでいいアウトプットにしていけるんじゃないかなと、AIチャットくんでも思っていますね。
司会者:なるほど。やはり最後は人の手でなんとかしたほうがいいんじゃないかということですね。
渋谷:そうですね。どんどんその領域が減ってきたり、絞られてきたりするとは思いますが、現段階だとまだ幅広い領域で必要だなと思っています。
司会者:なるほど、ありがとうございます。もう1つ質問が届いています。、「デザインが非常にかわいくて安心感があるのですが、どうやっていますか?」という質問です(笑)。
渋谷:すごいデザイナーの方に入ってもらいました。
司会者:やはりかわいいというところは、意識しているんですか?
渋谷:どうなんですかね? 僕はデザイナーじゃないので……ただ、代表がデザイナーなので、本当にこだわっていますし、前のプロダクトから、デザインがいいと言っていただくことがけっこう多くて、それを継承できるデザイナーの方も入っていただけたということと、そこに力を入れて採用しているというのが1つの答えにはなるかもしれません。
司会者:最後に、先ほどのスライドの中にも、50代以上が15パーセント以上いると書いてあったと思うんですが、そこはやはり取っつきやすさが関係しているということでしょうか。
渋谷:そうですね。それこそChatGPTのアプリはめちゃくちゃ使いやすいし、いいと思うんですが、やはり年齢を重ねれば重ねるほど、新しいプロダクト、新しいUI、新しいアプリを覚えること自体が億劫になってきたり難しくなってくる方がものすごく多くいると思っていて。
そんな中で(LINEで)友だち追加して、友だちに話しかけるような感覚でChatGPTを使えるというのは、そうですね、普及する1つの大きな理由だったのかなと思います。
司会者:なるほど。もう1個、質問が届いていました。「急激にユーザーが増えていると思いますが、インフラのスケールはどういうふうにしていますか?」というところで。特にAIイラストくんのほうなんですけど。
渋谷:AIイラストくんに関しては、急激にアクセスが増えすぎるとまだオートスケールできないなという感じでした。僕はインフラまで見られていないのですが、「Kubernetes」を使って、GPUを乗っけてスケールするかたちで、開発しています。
AIチャットくんのほうだと「Cloud Functions」だったり、今だと「Azure Functions」ですね。「Lambda」のようなものを使ってオートスケールさせています。
司会者:ありがとうございます。いったんここで締めさせていただければと思います。渋谷さん、今回はどうもありがとうございました。
渋谷:ありがとうございました。みなさん、連絡をお待ちしています。
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